シン訳 機動戦士ガンダムZZ   作:溜め無しサマソ

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「あ、あれが聖殿であっちが村ですね!こんな風に見えるなんて…感動です!」

 

コアベースのサブシートに座るサラサがひどくご機嫌なのがエルにはよくわかった。

 

「ああもう、危ないからあんまりはしゃがないでよ…」

 

後ろの人間がいなくなるのはもう勘弁してほしい。エルは操縦桿を握りながらも気が気ではなかった。

 

「すごいですね、エルさんは。こんな機械を動かして空を飛べるのですから…」

 

「そんなことないよ。大体のことはコンピュータがやってくれるから結構簡単なんだよ?」

 

「そうですか?それでもやっぱりすごいと思いますが…。でもそういう、機械が出来ることをわざわざ人がやっているのだとしたら、私たちは余計な苦労をしているだけ…なのでしょうか…」

 

今度は急に考え込んでしまったようだ。

 

「まあそんなことは置いといてさ、ラサラさんだっけ?妹さんを探さないと」

 

「ええ、そう、そうでした…では、巨神の方へ向かって下さい」

 

「巨神…データをもらった所ね」

 

エルはミリィから送られていた位置情報をインプットする。並んで飛んでいるジュドーのコアファイター、イーノのコアトップへもそれを伝えようとしたところへ、

 

『ああ、もうちょっと!聞こえる?ダブルゼータのみんな!』

 

案内役の女性を一人乗せて村の方へ行っているルーから、やけに音量の大きい通信が入った。沢山の人たちの騒がしい声が入り混じっている。

 

『何だ、どうした?』

 

ジュドーがそう応じると、

 

『どうもこうもないわよ。金色の巨神だー、何ていわれて村の人たちに捕まっちゃったのよ!ちょっと誰か来てくれない!』

 

かなり混乱した状況らしく、あの澄ましたルーが随分と慌てた様子だ。

 

『あー、なるほど、確かに百式はご神体っぽいよねえ…』

 

などと答えるイーノに、エルとジュドーは思わず吹き出してしまう。

 

『ちょっとあんたたち、笑ってる場合じゃないっての!』

 

『わかったわかった。そうヒステリー起こすなって。すぐに俺が行くよ』

 

エルはそこで、

 

「あ、待ってジュドー、サラサさんは巨神の方に行きたいっていってるから、私はそっちに行ってみるよ」

 

言いそびれていたサラサの意向を口にした。

 

『よし、じゃあイーノもエルと一緒に行ってくれ。後でそっちで合流しよう』

 

『了解』

 

「了解」

 

コアファイターが旋回していくのを見ながら、ジュドーがルーを優先したのはちょっと気に食わないなと思いつつ、エルはそのまま視線を後ろのラサラに移す。そして、

 

「じゃあさっさと行くからね。しっかり捕まってなさいよ!」

 

そういってアクセルペダルを踏み込んだ。

 

 

 

 

 キャラは、自分の興奮がどうにか収まって来たのを感じる。周囲を見ると多少、森を荒らしたようだ。

 

「キャラ様!落ち着かれましたかー!」

 

足元にいるゴットンの声を、Rジャジャが拾う。

 

「ああ、もう大丈夫だ。暴れないよ」

 

「それは良うございました。それで、その…」

 

「何だ、はっきりいえ!」

 

「はいっ!アーガマがMSを出して来たとの報告が入っております!これの相手を適当にしてやり、その隙にアーガマを探しだして破壊するというのはいかがでありましょうか!」

 

「アーガマもMSを出して来たのか…」

 

そういいながらゴットンの言葉を反芻する。最もな献策、といったところだろうか。敵対する艦同士が同じコロニーに停泊しているというのは異常事態なのだ。行動は急いだ方がいいだろう。

 

「そうだな…向こうも同じことを考えているかもしれないから早く動いたもの勝ちか…。よし、アーガマのMSの位置を送って来い!私とガザDが相手をする!その間にお前たちはアーガマを探せ!」

 

「ははっ!了解です!」

 

Rジャジャのモニタに、僚機のガザDからアーガマのMSに関する情報が入って来た。どうやらかなり近くにいるようだが、

 

「何だ、集落にいるのか…?面倒だな!」

 

MSの付近に多くの人家や畑らしきものが確認出来る。人や家を巻き込まないように戦うのは確かに面倒なのだが…ただ、相手は1機らしい。無力化するのはそう難しくないだろう。

上手くいけば鹵獲できるかもしれない。

 

「このコロニー…アーガマを叩いた後で制圧してやる…!」

 

最初こそ自然豊かな良いコロニーだと思っていたが、今はその全てが欺瞞に満ちているように見えた。言いようのない嫌悪感に包まれ、身体全体がうずく。

キャラはモニタが示す集落に向けてRジャジャの機体を大きくジャンプさせた。2機のガザDが、慌ててそれに続いた。

 

 

 

 

「ヒュー!バッチリ、巨神の足元じゃないの!」

 

リニアモーターカーを下りて地上に上がると、眼前に伝説の巨神がそびえ立っていた。ビーチャは軽くガッツポーズを取る。

 

「うひゃあ、大きいな…MSより一回り、いや、それ以上大きい感じだ…。ラサラさん、こいつの中に入れるんだろ?」

 

そういうモンドの腕を、ラサラはまだ掴んでいた。

 

「はい、あちらが入り口です」

 

モンドを掴んでいない方の手で、ラサラが巨神の足元にあたる部分を指した。

 

「おいおい、お二人さんさ、いつまでそうやってくっついてるつもりだよ」

 

ビーチャにそういわれてようやく、ラサラはモンドから離れる。

 

「あ、すいませんモンドさん…」

 

「いやいや、その、全然…」

 

「別にいいけどよ…随分と仲良くなったみたいじゃないか。ええ?モンド君、こりゃ一体どういうことなのかな?」

 

ビーチャはモンドにヘッドロックを極めながら歩き出す。モンドが「苦しいよ」などといいながらビーチャの腕にタップしているところへ、

 

「あれえ!?ビーチャ、モンド!」

 

エルとイーノが現れた。

 

「おお!エル!会いたかったぜ!」

 

すっかりモンドとラサラにあてられていたビーチャが堪らずエルの方へ駆けていくと、エルの後ろから突然ラサラにそっくりの少女が現れて突き飛ばされ、尻餅をつく。

 

「姉様!」

 

「ラサラ!」

 

二人の少女が手を取り合っているのを、ビーチャはエルの足元で見た。

 

「これは、ええっと…」

 

「感動の姉妹の再会ってやつよ。元気そうだね、ビーチャ」

 

エルがビーチャの隣にしゃがんでそういった。

 

「ああ、お前もな…ってか、さっきは興奮してて気づかなかったけど…エル、お前ちょっときれいになったんじゃないか?」

 

「あらありがと。ビーチャも何だかりりしくなったんじゃない?」

 

「おう、これでも結構大変な目に遭ったからな…よっこいせっと」

 

ビーチャは立ち上がって、手に付いた草をはたく。

 

「エル、イーノ、お前たちもこの伝説の巨神が目的で来たんだろ?」

 

「うん、これを動かせればアクシズのMSも追い払えるかもしれないって話でさ」

 

イーノの答えにビーチャは頷く。

 

「そういうことならみんな目的は一緒だな。それじゃ行くぞ。あそこから中に入れるんだろ?」

 

「ええ、行きましょう。白い船に危機が迫っているようですし」

 

全員の足並みが揃ったところで、突然サラサがそんな不穏なことを言い出した。

 

「え?何それどういうこと?」

 

イーノがそう聞くと、

 

「はっきりとはわかりませんが、白い船に何か、悪意が迫っているようです」

 

サラサが神妙な顔つきでそう答えた。

 

「あの、姉様にはこの場にいない人や出来事が見える時があるんです。信じていただけるかわかりませんが…」

 

「あ、それ何だかわかるよラサラさん!だったらなおさら早く行こう、こいつが動くかどうか確かめなきゃ!」

 

「はい!」

 

そういって、モンドとラサラが手を取って走り出す。ちょっと、まともに見られないほどに二人はきらきらと輝いていた。

 

「何だよ全く…モンドの何がいいってんだ…?」

 

「ふふん。ビーチャもまだまだね。女っていうのはね、何かの拍子にときめいちゃうと止められないんだから」

 

「お前もそうなのかよ?」

 

「それだけのものを見せてくれればね」

 

エルがそういってニヤっと笑う。

 

「ああ、なるほど…エマリー艦長代理もブライト艦長にときめいちゃったんだね…」

 

ボソリとイーノがそういうと、エルが堪らず吹き出し、サラサも意味ありげに「フフフ」と小さな笑い声を立てた。

そこへ、

 

「随分楽しそうじゃないか、お前たち。誰が誰にときめいたって?」

 

静かな声が4人の後ろからかかった。

振り返るまでもない。ブライト率いるアーガマクルーが2台のエレカで到着していた。

 

 

 

 

ジュドーは村の近くにコアファイターを下ろして一旦それを隠し、百式が立っている方へ向かって走り始めた。百式の足がはっきり見える所まで来るには思ったより時間がかかってしまったが、ルーは大丈夫だろうか?

 

「あら、早かったじゃない、ジュドー」

 

そこにはサマーベッドのような寝椅子にゆったりと身を預けて、村人からかしづかれているルーの姿があった。ジュドーはズッコケそうになる。

 

「な、ルー…何だよ、その扱いは…」

 

「金色の巨神を操る女神様ってやつ?まあ私の美しさがそうさせてしまうのよねえ…」

 

村人から差し出された飲み物を受け取り、ルーはそれをクイっと飲み干す。

ジュドーは激しい脱力感に見舞われた。

 

「何だよ、急いで来たってのにアホらしい…」

 

「あーら、そんなこといっていいのかしら?村の人たちにリィナのことについて調べてもらってるんだけど?」

 

「何、本当か!さすがルーさん、いやルー様!」

 

「ほっほっほ、苦しゅうないぞ、ジュドー、肩をもめ」

 

「ははーっ!」

 

ジュドーがそういってルーの後ろに回ると、村人の一団がやって来て、年かさの男が進み出て来た。

 

「金色の巨神を操る女神よ、残念だがラサラ様はここにはいない。この少女も村で見た者はいない」

 

「あら、もうわかったの?随分早いわね…」

 

その男は、リィナが映っているカード型の端末をルーに返す。

 

「よそ者が来たり、変わったことがあればすぐに私の耳に入って来るからな」

 

「何だよ、ここも手掛かり無し、か…」

 

ジュドーは落胆する。どうやら肩もみの必要は無くなった。

 

「あら?ちょっと、ジュドー?」

 

「ほらルー、いつまでも遊んでないでみんなの所へ行くぞ。向こうで合流しないといざって時にダブルゼータに合体出来ないんだからな」

 

「ええーもうちょっといいじゃない」

 

「バカなこといってんじゃないの、アクシズの連中が来たらどうするんだよ!」

 

といった矢先だった。

大きな影が出来るとともに轟音が響き渡る。

その馴染みの無いスラスター音にしまった、と思って見上げれば、案の定、アクシズの機体が3機、村の上空を覆っていた。

 

 

 

 

 




GジェネエターナルでURデンドロビウムが出たぞー!ヒャッハー!
↓こんなの作っちゃうくらい好きなんですわ、デンドロビウム!!
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さてさて、ムーンムーン編ってアニメ本編を見るとよくこんな一からの話を前後編でまとめたなって感じなんですが、それにしても兵士たちが弱過ぎる…武装した大人がジュドーたちにあっさり蹴散らされるのはご都合主義な所も感じられますが、折角なのでそれを踏襲して、こちらでも頼りない人々にさせていただいております。
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