呪術師になるには、呪術高専を卒業しないといけない。今日は、その呪術高専に入学する日だ。
「君、素質あるね。磨けば光るね。マジで」
「あ、ありがとうございます…」
このおおよそ教師とは思えない謎の白髪目隠しは、現代最強術師2人組の片割れ、五条悟である。
「遅いぞ。8分の遅刻だ」
急に厳ついオッサンに怒られた。五条悟が。
「まあまあ、そう怒んないの」
そして、僕に手を向けて、話題を逸らす。
「はい、自己紹介どうぞ」
「どうも。私は影野実と申します。これからよろしくお願いします」
見事なモブ的挨拶だ。こんなの一切記憶に残らない。
「何をしに来た?」
「え、呪術師になりに…?」
「何のために呪術師になる?」
「それは……普通の暮らしのため?」
「他人のために呪術師になるのか?」
「え?違いますけど」
「あくまでも自らのためか」
「え、ええ」
「では、その先にお前は何を望む?」
「……本当に大切なものは、口にしないって決めてるんです」
「合格だ。ようこそ呪術高専へ」
あーこういうのぽいな。ちょっと身構えたけど、それっぽいこと言ってるだけだ。その証拠に、テキトーな受け答えで合格してしまった。
てか、あの人形たちは趣味なのかな? まあ色んな趣味の人がいるよね。うんうん。
その後、五条先生に校舎を案内されつつ、寮に向かう。
「はーい、ここが君の部屋でーす」
「そして、こちらがお隣さんの伏黒恵君でーす」
目にも止まらぬ早さで現れる伏黒君。現れたというか、持ってこられてたよね?
「えーと、影野実です」
ここでも完璧なモブ的挨拶!
伏黒君が、不機嫌そうに先生を睨む。
「もうちょい普通に紹介してください…」
「いいじゃーん、今年はもう1人いるんだよ?変化つけてこ」
モブ的挨拶、また考えとかないと。
なんやかんやあって寮の自室に入ると、先客がいた。艶のある流れるような長い黒髪と、吸い込まれそうな漆黒の瞳を持つ女性。
「ステラじゃん、来てたんだ」
「うん。少し探りを」
「高専には入らないの?」
「私たちそれぞれには役割がある、でしょ?」
僕はモブ呪術師を、ステラはモブ一般人を担当するらしい。
「ああ、任せたぞ」
「もちろん」
いやー。中々いいね。
こういう意味深な感じのやりとり。
そうして、僕と伏黒恵君の楽しい学校生活はスタートしたのである。と言っても、基本は呪霊狩るだけだけど。授業は皆揃ってからみたいだし。
しっかし、伏黒ってどっかで聞いたことあるような気がするんだよなあ……どこだったかな。うーん。気のせいかな。
とにかく、僕は『陰の実力者』への道を、また一歩進んだのであった。