カードゲームを広めたら、息子が世界の命運を背負ってました 作:ユースト
それから数年の月日が経過し、私は高校生になった。
その頃になっても――私としては嬉しい事に――『レガリアコード』は人気を博しており。
いや、そのような表現ではもはや足りないのかもしれない。
言い換えよう……『レガリアコード』はもはや一つの『娯楽』となった。
日本で起きた爆発的なブーム。
トイズ・ドリームから正式に発売されてから短期間で日本全国に普及された『レガリアコード』。
それこそ犬も歩けばレベルでそこらじゅうで『レガリアコード』のプレイヤーがいて、その頃の私はそれをニコニコ顔で見ていた。
私が作った私の理想。
カードゲームでみんなが笑顔になって、楽しんでいる。
これほど嬉しい事はない。
私はこのためだけにこの世界に生まれてきたのだとすら思った事もあった。
……そこまでは良かったのだ。
まさかそこから、『レガリアコード』の人気が地球規模になるとは、流石の私も考えていなかった。
結論から言うと、現在『レガリアコード』は多数の言語で翻訳され世界中で楽しまれている、らしい。
今はまだスマホどころか携帯も普及されていないような時代なので実際にどれほどなのかは分からないけれども、トイズ・ドリームの田中氏曰く「冗談みたいに売れ過ぎている」らしい。
私のような子供どころか、経済学とかも勉強しているに違いない大人ですらそのような表現をしているのだから、きっとこの爆発的なブームはおおよそ普通の事ではないのだろう。
あるいは――運命的なものを感じた。
私としては嬉しいような悲しいような話ではあるが、『レガリアコード』の初期ブースターパックが一つ数万で取引されたという話を聞いた。
とある盤面を大きく変える事の出来る高レアリティカードが数十万円で売れるらしい。
最近だと『レガリアコード』の「ドラゴン」シリーズの販売の際には多数の購入者(かどうかは不明らしい)が店頭に列を形成したのだそうだ。
それらは転生者である私にとってはある意味体験した事のある事象とも言えるが、とはいえいざ当人になってみるとちょっと寂しくもあった。
世界的に人気になった今、大会なども世界規模で行われている。
前回はハワイで行われた。
優勝者にはステンレス製の特殊カードが送られたのだそうだ。
ここまでくると、数年というのは私にとっても結構長い期間だと思っていたが、しかしこの爆発的な流行を前提とするとこの時間はあまりにも短いように感じる。
……道を歩くと、どこかに必ず『レガリアコード』を見つける事が出来る。
しかしどこかその雰囲気は今までとは異なっているように見える。
本気なのだ。
いや、本気なのは良い。
本気で、必死。
遊び感覚のように見えない。
まるで――真剣をもって勝負をしているような姿を、錯覚する。
今もなお私はトイズ・ドリームに通い、そこで『レガリアコード』の開発に参加している。
ただ最近は学業の方に集中するために足を運ぶ回数は日に日に減るようになっていた。
今後、私はどのような人生を送るのだろう。
やはり、トイズ・ドリームに就職する事になるのだろうか?
一応、今のところその『レガリアコード』のおかげで手元には莫大な資産があるので、今の時点でも究極働かなくても生きてはいけるだろう。
ただ、それでは楽しくない。
私は、今もなお『レガリアコード』を作った理由を覚えている。
だからこそ、私は真剣に考えなくてはならない。
既に私の知っているそれとは異なる運命を歩みつつあるこの世界。
私は果たして、どのように生きていくべきなのか。
――
『速報です。本日未明、〇県〇市にて巨大な未確認物体が発見されたという通報を受け警察が駆け付けたところ――』
運命の歯車が軋む音は、既に響き渡りつつあった。