コメント、誤字修正いつもありがとうございます。
ストーリーが進んだので、あらすじとタグを追加しました。
今話は嵐の前の静けさで、徐々に大きな山場に入ります。
「やっと終わりましたね。お疲れ様」
ジオン公国軍。技術本部。
その会議室から出てきたトクワン中尉がデュバル大尉に話しかけてきた。
「いやあ…あそこまで掛かると思わなかった…」
「もういっそ、モビルアーマー(MA)もモビルスーツ(MS)と同じ規格でということで、決着がつきましたね」
「暫定だがな。運用してみなければ、弊害があるかどうかはなどわからん。だが、こうしてあらかじめ規格を統合してもらうと助かる」
「後から変更とか言われても困りますからね…」
そう言い二人は休憩室に入り、自動販売機で飲み物を買って席に座った。
「そう言えば、突撃機動軍のマ少佐から依頼があったな」
「少数ロットでの試作品の話ですか? ジオニックへの要求は『高速性・指揮支援能力に優れた指揮官用MS』と『生産性と汎用性を重視したMS』らしいですよ」
「それって実質ザクII R2とザクIIだろう。既にあるって言うのは羨ましい限りだ」
「ツィマッドには『機動性と継続性を重視した、電波中継と電波妨害が可能な電波送受信特化MS』と『ホバー機構による重力環境での機動性も確保された重火器装備MSおよび防御特化型MS』でしたか?」
「そう言うMIPは、『補給と機体回収を想定した貨物格納空間強化型MS』と『高出力センサー搭載型無人機もしくは遠隔索敵が可能なMS』だったか?」
そこで言葉を切って、デュバルは缶コーヒーに口をつける。
「例のエネルギーCAPはどうなんだ? ビーム兵器の完成が見えているなら、重火器関係はMIPと合同開発したいところだが」
「代わりに例のテム博士が名付けた『ガンダリウム』の都合はつきますか?」
「交換条件として申し分ないな。ただ電子戦や索敵関係の機器は、ジオニックとの合同開発が良さそうだ」
「OSの方も専用のものを作った方がいいでしょう。メイ嬢ちゃんに頼むのが一番ですかね」
「彼女は『カーウィン少尉』と呼ばんと怒るぞ」
「そういえば知り合いでしたね」
「ヅダのOS作りで世話になっている。ヴェルター中尉が絶賛していたな」
「そう言えば、うちのドミトリーも絶賛してましたね。取り敢えずまた3社で話し合いをしましょう」
「そうだな。まあ今の形式になって開発速度が上がったのは歓迎だが」
トクワンに答えるデュバルの言葉を契機に、二人は立ち上がって、空き缶をゴミ箱に捨てる。
「ルナ・ライン先端技術研究所の連中にも連絡しましょう。あそこに頼めば、大体上方修正されて返ってきますし。ただ、疲れているみたいでしたが…」
「ああ、そう思って差し入れをこの前送った。今頃届いている頃合いだろう」
同時刻、サイド6、パルダコロニー。
「送り主、ジオン公国軍技術本部。品名、瓶入り飲料(エナジードリンク)…確かに機密性が低いものだな」
伝票に印字されている内容を確認したシロッコは、そう言い一つ息を吐いた。
民間宅配業者が使われている時点で、情報機密は低いと判断されたが、念のため直接窓口での受け取りが原則とされていた。そこで一番若い研修生のシロッコは、研究所のお使いで民間宅配会社の窓口まで来ていた。列の順番が来て伝票を渡し、身分証を見せると番号札を渡される。それを受け取り、シロッコは近くのソファーに座った。
その時、シロッコは妙に気になる気配を感じた。その気配を辿ると、丁度集積場に届いた荷物の一つから発せられている事に気づいて視線を向けると、運搬員らしき男が同僚に話しかけるところであった。
「サイド3からの荷物はこっちでいいか?」
「ああ……って、なんだこれ⁈ 見た目以上に重く無いか?」
「園芸用土……ってさ。宛先はフォンブラウン…って重っ‼︎ ちょっと台車取ってくるわ」
そう言い運搬員の一人は足早にその場を去っていった。シロッコは荷物に近づいて見てみようかと一瞬思ったが、どこかしら背筋が凍るような感覚に見舞われる。
その時、ちょうどシロッコが持っている番号が呼ばれ、小包の受け取りを終えてから気になる荷物を確かめようとした。しかし荷物は既に運び出されていて無くなったので、シロッコは気を取り直して出口へと歩き始める。
「気にはなるが…まあ、研究所に戻るとするか」
********
同パルダコロニー。ルナ・ライン先端技術研究所本部。
研究所を訪れた私キシリアは、テム・レイと愉快な仲間たちの技術暴走を頭痛を覚えながらも、視察を続けていた。
連れてきたホシオカ父娘は、無事研究員たちと打ち解けた様子なので問題ないだろうとスクリーンに視線を戻すと、時代を先取りしすぎているMSのデータ上の試合が終了した。
そのテストパイロットの内一人が、最後の学友であるジョニー・ライデンであった。
次の模擬戦が始まったタイミングで、ジョニーの方から私に話しかけてきた。
「……どうでしょうか?」
「うむ……どちらのパイロットも技量が高いのがよくわかる。それぞれの機体は相当スペックが高いであろう? それに振り回されずに扱っているのは見事だ」
フルアーマーガンダムと百式もどき、データ上とはいえ一体何足飛びしたのかと頭を抱えるような機体を、制御している両者に私は感心した。
「……MSではなく、パイロットの方を見るんだな?」
急に丁寧な言葉ではなくなったジョニーに私は視線を向ける。
「俺は会ったことがないが、あんたはもしかして、キシリア様の影武者をするリアナ・キシ専務補佐か?」
前世の記憶を知る前に親しかった友に疑問視されたという事実は、私の中で燻っていた疑念と不安を刃に変えて、心奥底を正確に貫いた。
「……そうだとしても、公式にここに居るのは『キシリア・ザビ』だ」
そう言う私を探るように、ジョニーは暫く凝視してきた。しかし次の瞬間、ジョニーは安心したように破顔した。
「なんだ……やっぱりキシリア様か」
突然納得した表情を見せるジョニーに、私は少し驚く。
「不安になった時に一瞬目を伏せる、驚いた時に一瞬片眉が動く。何も変わっちゃいない…ただ、深みが出たってだけだな」
「私は………」
「貴女様には立場がある。それに応じて変わらなければなりません。何を不安に思ったかわかりませんが、変化があっても貴女の根本は変わっていませんよ」
「……そうか」
その時、ジョニーを彼の上官が呼ぶ。ジョニーは綺麗な敬礼を私に向けて、足早に去っていった。
一方で次の模擬戦は終わり、それぞれのモビルスーツのシミュレーターからテストパイロットが降りてくる。
「………何をやっているんですか?」
内一人がシャアに扮したキャスバルであることに気づき、私はため息混じりで尋ねる。
「流石にわかったか」
「眼の色でわかりますよ。今週は休暇だったと聞いておりますが、なぜこちらに?」
「なぜって……最近顔を合わせていないだろう?」
「そうでしたか? 最近、夕食をご一緒した記憶がありますが」
「……半月前は最近とは言わん」
「そう言われましても、時間が取れないんですよ」
最近は数少ない休暇を割いて、旧自衛隊関連書籍の翻訳と改訂を進めているので、キャスバルと会う時間を作るのが難しいのが現状であった。特に今は教本や教範といった専門用語の多い本に取り掛かっていることもあり、翻訳以前の読み解きに苦戦していた。
「今日の夕食は?」
「難しいですね。ランク氏との晩餐会ですから」
「え?」
「先月同席をお願いしたはずですよ。休暇を取るからと辞退したのは、貴方ですよね?」
そう淡々と指摘すると、キャスバルは思い出したらしく、ガックリと床に膝を着いて項垂れた。
「いや……確かに会える……会えるが仕事上だろう? もっとプライベートというか…」
ブツブツとそう呟くキャスバルを一瞥したのち、私はテム博士に視線を向ける。
「それより……なんで子供がシミュレーターに乗ってるんですか⁈」
もう一人のテストパイロットは、なんとテムの息子のアムロ・レイだったのだ。
最初は見間違いと思った。
二度見してやっぱりそうだと思った。
三度見した時「なんで白い悪魔が乗ってる⁈」と前世の記憶が暴れ出した。
今日一日で、どれほどの心労が伸し掛かったか計り知れない…
「そうはいうが、なかなか優秀なんだ」
そう言い破顔するテムと、緊張した面持ちでこちらを見るアムロに対して、私は深いため息を吐く。一方でフランクリンも「自分の息子もいずれは乗せたい」とか言い出し、テムも「自分の作品を息子が乗るのはロマン」とか言い出す始末で、私は再度厳重注意をした。
全く……前世のサブカルチャー由来の情報から乖離していないか? アムロと言いカミーユと言い、2人の主人公の父親たちは家庭を顧みない人間だった気がするが…
前世由来の情報を探っていたその時…
腕に触れた何かが、私の中を探った。
いや、正しくは奥に触れる前にその気配が消える。
そう感知した次の瞬間、呻き声が横から聞こえてきた。
「うっ……!」
いつの間にか私の隣にシロッコの姿があった。そして私の腕に触れたのが、シロッコの指先であることも理解できた。しかし…
シロッコの瞳が見開かれ、仰け反るように倒れ込んだ。
「え⁈」
「シロッコ⁉︎」
突然の出来事で騒然となる中、私は慌てて駆け寄るが、シロッコは白目を剥き、泡を吐いた状態であった。
「いけない……誰か担架を! それからフラナガン医療センターに連絡を‼︎」
ネタバレ防止のため、コメント返しは落ち着いてからとなります…
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