いつも感想、誤字脱字修正ありがとうございます。
第5章の山場ですので、ちょっと長めです(汗)
第5章はあと残り2話の予定です。
『この俺が遅れをとるかよォ!』
アレキサンドリアからヤザン・ゲーブルのMk-IIが猛然と飛び出した。そして続いて出撃したネモ小隊と共に、ヤザンは敵MSの群れに突入する。
『レコア・ロンド、ガンダムMk-II出るわ!』
ネェル・アーガマからMk-IIが単機で発進。続いてジムⅢ小隊が後を追った。自艦からMS隊が出撃する様子を一瞥するや否や、艦長であるブライトは、オペレーターにレーザー通信への切り替え作業を指示し、弾幕が薄い左舷の砲撃手へ指示を出す。
「コロニーに向かわせたMS隊と通信出来ません‼︎」
「続けるんだ。繋がり次第呼び戻せ‼︎」
前方先の地球の重力に引かれ加速するコロニーと、そこに張り付いているエコーズ残党への対応で、アルビオンが所有する精鋭のMS隊は出払っている。他2艦のMS隊がアルビオンの防衛をカバーしているため持ち堪えているが、電子戦による座標撹乱と通信妨害で苦戦を強いられた。
何せ敵影が視認できたのは至近距離にいる状態で、艦砲射撃による牽制や援護ができなかったのだ。おまけに通信妨害は継続中で、MS隊は上手く連携ができなかった。
「ジムⅢ2号機、大破‼︎ 帰還します‼︎」
「後方の艦隊との連絡は?」
「ミノフスキー粒子の濃度が高くて…最後に入った通信から、不明MS部隊と交戦との連絡が…」
「……敵モビルスーツ来ますっ‼︎」
オペレーターの一人が声を上げた次の瞬間、ネェル・アーガマの艦橋の前に一機の敵MS…射撃特化ドラッツェが降り立った。
「っ‼︎」
ドラッツェは680mmカノン砲の砲口を向け……
次の瞬間、一筋の閃光がカノン砲を正確に撃ち抜いた。
弾き飛ばされ誘爆したカノン砲を撃ち捨て、ミサイルポッドを放とうとしたドラッツェを、レコアのMk-IIが仕留める。
それと同時に、通信が入ってきた。
『こちらシャロン・フェアリー隊所属、カミーユ・ビダン』
「来てくれたか‼︎」
『お久しぶりです。ブライト艦長。相手MSの情報をお伝えします』
Zガンダムで収集したデータをカミーユは感応波で伝達、そしてラーディッシュ通信担当のエルと管制担当のクスコが共同でデータへ再変換し、MSに詳しいアイナに分析をお願いしたのだ。
アイナの分析でドラッツェと呼称しているMSは、ジオン軍の次世代機への移行後に市場に流れたザクⅡの胴体と、他の試験用機体を組み合わせものと判明。
『ジオン軍未採用のルッグンの“索敵・情報中継機能”をランドセルに装用し、電子戦に転用していると推定されます。翼を背負ったMSを優先して叩いてください。ランドセル部位を破壊すれば、機能の無力化が可能です』
「了解した! 感謝する‼︎」
そしてカミーユのZガンダムは飛行形態からMS形態へ変形し、背に飛行翼を背負ったMS…電子戦特化ドラッツェのランドセルを連続破壊する。すると、艦間の通信は瞬く間に回復していった。
速やかに情報は伝わり、各艦のMS隊が電子戦特化ドラッツェを叩くと、次々とMSとの通信は回復した。こちらが連携を取れるようになった一方で、真正ティターンズ側のMSは通信中継機を破壊された影響で、逆に連携が乱れ始めていた。
戦況は次第に反転し始めた。
ジュピトリスが即座に後退運動に入り、MS隊の一部は切り捨てられ始めた。
「ガーベラ・テトラ、撤退中!」
「ジュピトリス反転! 後方に向かっているようです」
オペレーターの言葉を聞き、ブライトは厳しい表情となる。
「…いや、後方の味方艦隊本隊を狙っているのかもしれん」
ブライトらは、所属不明艦艇の正体を調査するための先発隊。相手は軍法会議で有罪判決後に逃走したジャマイカンたち…真正ティターンズと名乗る反乱軍とエコーズの残党と判明し、掃討対象であることが確定した。
引き続きの任務として、コロニーの地球落下阻止。
今いる戦力だけでもコロニーに取り付き推進器の操作はできる。しかし万が一コロニーの軌道変更に失敗した場合、破壊へ切り替える必要がある。そのためには後方にいる連邦軍本隊の戦力が必須であるが、こちらと同様に電子戦を仕掛けられていたとしたら、少なくない被害が出ていると予想される。
「後方艦隊の救援に行くべきか…いや、どちらにせよMS隊の回収が…」
ブライトが迷っていると、ガディから連絡が入った。
『ブライト艦長、アレクサンドロスは推進器の修復に時間が掛かる見込みだ。先発MS隊の回収およびコロニー対応に残る』
『アルビオンもここに残ろう。MS隊を呼び戻さぬ限りは逆に足手纏いだからな』
『シャロン・フェアリー隊は、コロニー側にはラーディッシュ、連邦軍本隊にはアーガマが応援に向かってます!』
シナプスとカミーユの言葉を聞き、ブライトは決断する。
「了解した。ネェル・アーガマはジュピトリスの追撃および後方艦隊の救援に向かう‼︎」
『僕が先行して索敵します!』
「了解した。任せたぞ、カミーユ」
ブライトの返答を聞くや否や、カミーユはZガンダムを飛行形態…ウェイブ・ライダーに変形し、一気に飛び去って行った。
一方で地球へと飛来しつつあるコロニーでは、サウス・バニング率いるアルビオン隊のMS小隊が、エコーズの残党のMS…ガーベラ・テトラとバーザム相手に苦戦していた。
母艦のアルビオンが奇襲を受け、今だに合流できていなかったからだ。弾薬の補充ができず最後の弾が切れてバニングが撤退命令を出そうとした時、シャロン・フェアリー隊のラーディッシュが応援に来たことで難を逃れた。
そして…
「そこっ‼︎」
アムロのMk-Ⅱディフェンサーのビームライフルがまた一機、エコーズ残党のMSであるガーベラ・テトラを撃墜したことで、コロニーに取り付いているMS防御網に穴ができた。
『我々が援護します』
『早くコロニーへ!』
蝉に似たMA形態からMSにガブスレイを変形させバーザムを牽制するジェリド、同時にキュベレイからファンネルを飛ばしてハマーンが支援する。
「後は頼む!」
アムロは航行形態であるGフライヤーへ変形させ、コロニーの中へと突入した。そしてそのまま中を突っ切った奥、コロニーの推進器のコントロールルーム近くに降り立ち、Mk-Ⅱ本体からアムロが、Gディフェンサーからシローとアイナが降りる。
「アイナさん。こっちのコロニーだけで大丈夫なんですね?」
「ええ。もう一つのコロニーでは電気系統は稼働していない。こちらのコントロールルームで一括管理しているわ」
「急いでコントロールルームへ、これ以上加速したら離脱できなくなる‼︎」
地球への落下軌道から逸らすため、コロニーの推進器の方向を変えようというのだ。
難なくコントロールルームに辿り着き、アイナは足早にコンピューターの場所へ駆け寄る。一方でシローは何か考え込んでいる様子であった。
「どうしましたか、シローさん」
「いや……見張りの兵どころかセキュリティシステムすら発動していない。随分と簡単に進入できたことがどうも…」
シローに指摘されて、アムロは微かにその場に残っている“悪意”の残滓を感知した。
「システムを立ち上げちゃダメだ‼︎」
「え⁈」
アムロの制止は一足遅く、モニターに電源が入る。
「っ‼︎」
シローは迷わずアイナを抱き抱えて部屋の外に飛び出す。続いてアムロが飛び出し、3人とも床に伏せた直後、トラップが発動してコントロールルームは瓦礫と化した。
『ラーディッシュより連絡。推進器のコントロールルームが破壊された。コロニーは制御不能』
「っ……承知した、バスク艦長」
母艦であるアーガマからの連絡を聞き、百式のキャスバルは内心舌打ちをする。
「カミーユは?」
『本人はやる気がありますが…アルテイシア医務官がドクター・ストップを掛けています』
「当たり前だ。カミーユはまだ“見習い”だ。無理をさせるな』
『アーガマの防衛には、エマとカツのMk-Ⅱディフェンサーを出撃して対応しております』
バスクの報告を聞きつつ、キャスバルは右下前方にある桁外れの大きさのMSに視線を向ける。
この戦線の到着直後、キャスバルは自身が駈る百式の切り札と言える武器…メガバズーカランチャーの初撃で、宙域にいた真正ティターンズのMSの1/5を沈め、旗艦のジュピトリスを中破させた。キシリアからの指示で、ジュピトリスは可能な限り拿捕する方向で作戦は進められている。そしてネェル・アーガマを始めとした連邦艦隊が、ジュピトリスを追い込もうとしたその時…
ジュピトリスが繰り出したのが「サイコガンダム」という巨大なMSであった。
サイコガンダムの全身から放たれたビーム砲で、連邦艦隊は壊滅的な被害を受けた。そしてアーガマの艦橋を庇ったZガンダムも被弾し、母艦に帰還していたのであった。
シャリアとシムスのキケロガと、アルマのキュベレイと連携してサイコガンダムに対処し、その間に連邦艦隊の残存勢力がジュピトリスを攻め、キャスバルはサイコガンダムを沈めるためにメガバズーカランチャーの2発目を準備していたのだが…
「……聞こえるかシャリア」
『はい。メガバズーカランチャーのチャージまでは、まだ時間がかかるかと思いましたが…』
「もうしばらく持ち堪えてもらえないか? コロニーが制御不能という連絡が入った」
『っ⁈』
「コロニーはあと40分後にこの宙域に到達する。その対応を優先させたい」
『メガバズーカランチャーだけでは局所破壊はできても、コロニー自体の破壊は不可能。早急にこの場を押さえて、連邦軍の艦隊と連携するのが最善かと…』
割り込んできたシムスの言葉に対して、キャスバルは首を左右に振って反論する。
「残存戦力でコロニー2基を破壊できるのか?」
そしてサイコガンダム相手に手間取っている状況からも、コロニーが来るまでに制圧完了できるとは考えられなかった。
「コロニー推進器の一部破壊で位置を変える。一基の進路を変えて玉突きを起こして、もう一基の進路もずらす」
『そんな神業……下手をすれば推進器を暴走させる恐れが…』
『いえ……キャスバル様なら可能でしょう。むしろ艦砲ではそこまでの精密射撃はできない』
半ば焦りを滲ませるシムスの声と裏腹に、シャリアは確信を込めた声でそう言い切った。
「あまり煽てるな。だが……やるしかないだろう」
キャスバルらアーガマ隊の居る宙域に、地球への落下軌道を取るコロニー2機が通過するまで残り15分。
百式のメガバズーカランチャーのチャージ完了をキャスバルが確認していた時、レーザー通信による入電が母艦のアーガマから入った。
『ラーディッシュから連絡。コロニー推進器のコントロールルームで入手した情報の一部解析に成功。合流したアレクサンドロスおよびアルビオンとの協力の元、できうる限り得られた情報が感応波を介して転送された』
『こちらアーガマの戦術参謀、ヤヨイ・イカルガ。管制代理のゼロおよび通信担当のサラで圧縮データの解凍を実施、機関長のマリオンを中心にイーノ、モンドを補助に解析および分析を実施。最適な射撃角度、射撃ポイントのデータが算出され次第、こちらから送る』
バスクに続いてヤヨイからの報告にキャスバルは一つ頷く。
「了解した」
暫くして届いたデータファイルを開こうと、タブレット端末に伸ばした手が震えていることに気づきキャスバルは愕然とした。
『こちらZZガンダム、ジュドー。ちょっといいですかぁ?』
その時、コロニーを継続偵察中のジュドーから連絡が入ってきた。
『この前コアトップできたじゃないですかぁ? で、今はGフォートレス形態で飛んでんじゃん? このままダブル・ビーム・ライフルを何度かぶち込んだら、コロニー壊せるんじゃないかな?』
「馬鹿なこと言うな! 百式のメガバズーカランチャーに匹敵する威力とは言え、コロニーの外殻は数十メートル以上ある」
『だったらキャスバル隊長みたいに、推進器をぶち抜いて…』
見習いらしい無茶なことを言い出したジュドーに対して、キャスバルは額に手を当てる。
「壊すんじゃない! 一部を壊して狙った角度に傾けるんだ‼︎」
『面倒だなあ…10発くらい撃てば、どっかで成功するんじゃ…』
「止めろ‼︎ 下手をすれば暴走させて逆効果だ‼︎ 予定通り監視を続けて正確な位置情報を随時送れ。あとは……私がやる」
『りょーかい。頼みましたよ、キャスバル隊長』
何とかジュドーの行動を押し留めることができ、キャスバルは深い溜息を吐いた。
肩の力が抜けたのか手の震えはもうなかった。
そしてジュドーからコロニーの位置情報が、アーガマを介してキャスバルの元に届けられた。
「ここまでのフォローを受けて失敗したらお笑いだな?」
操縦桿を握り、計器を確認し、皆から寄せられた情報を集約して計算を頭に入れる。肉眼で見え始めたコロニーを一瞥し一呼吸、射撃ポイントに向けてメガバズーカランチャーの銃口を向けた。
眩い閃光と共に虚空を貫く光の帯が放たれた。
タイミング、照準、全て完璧であった。
サイコガンダムが射線に割り込まなければ…
「何っ⁈!」
重く冷たく突き刺さる漆黒の“悪意”を纏うサイコガンダムを貫き破壊するも、標的であったコロニーの推進器に届く前にビームは拡散し、消え失せてしまった。
いつしか戦闘は終わりジュピトリスは拿捕された。
真正ティターンズとエコーズの残党兵は投降した。
しかし……コロニーの地球落下阻止には失敗した。
キャスバルは無言のまま、感情に任せて拳を操縦桿に叩きつけた。
次回は来週水曜日予定。早ければ月曜日更新します。
それと真正ティターンズのMSの補足。
ジオニックやツィマッド、MIPで試作後に採用されなかった兵器の部品を寄せ集めて、新たなMSの作成がジュピトリスで行われている。
指揮官機はアナハイムから提供されたMSを使用
⚪︎指揮官機:
・ガーベラ・テトラ:
アナハイム提供
⚪︎一般機:
・ドラッツェ:
ジオン軍の次世代機への移行後にだぶついて市場に流れたザクⅡの胴体を中心に制作
⚪︎特化機:
・射撃特化ドラッツェ:
未採用のギガンのガトリングを腕部。未採用のザメルの8連装ミサイルランチャーをミサイルポッドとしてランドセルで懸架ランチャーとする。もしくは680mmカノン砲を武装を背部/腰部に2点支持の砲架を設けて搭載
・電子戦特化ドラッツェ:
未採用のルッグンの「索敵・情報中継機能」をランドセルに転用し、ジャミング支援や電子戦に使用
あなたが好きなキャラクターは? ②
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キシリア・ザビ
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マ・クベ
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キャスバル・レム・ダイクン
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ギレン・ザビ
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ドズル・ザビ
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アムロ・レイ
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ララァ・スン
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ニアーライト
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シャリア・ブル
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パプティマス・シロッコ
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カミーユ・ビダン
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ジュドー・アーシタ