私という一頁の物語   作:スナエ

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ホラー映画オタク

 休憩がてら、カウンセリングルームの外へ出ると、人見摩子さんが、こちらへやって来た。

 

「砂子さん、聞きましたよ」

 

 じっと私を見て、彼女は言う。

 

「なにを?」

「荒船くんと映画館行ったって」

「あー、うん」

「私も、砂子さんと行きたいです」

「いいよ」

「貞子3D2、初日に!」

「オーケー」

 

 スマホのカレンダーをチェックし、返事をした。

 

「やった!」

 

 人見さんは、両手を組んで喜んでいる。

 そして、後日。私は、約束した通り、映画館へ向かった。

 

「おはよう、人見さん」

「おはようございます」

 

 初回上映を観るために、朝に集合した私たち。券とパンフレットと飲み物を買い、30分前に席に着く。

 

「楽しみですね」

「うん」

 

 貞子3Dは、正直怖くなかったが、2はどうだろうか?

 その後。

 映画の上映が終わり、私たちは、喫茶店へ移動する。

 

「前作よりよかったですね」

「そうだね」

 

 意見の確認後、ふたりで内容について話し合った。

 

「赤い水が凄かった」

「そうですね。笑っちゃいました」

 

 ふたり揃って、ホラー耐性が高いので、恐怖シーンは、だいたい面白く感じる。人見さんは、笑顔だ。

 アイスティーを飲みながら、話は、邦画ホラーの水の使い方に派生し、リングシリーズや仄暗い水の底からの話に移った。

 人は何故、水まわりを恐れるのか? 水辺や風呂やトイレなど。

 段々話は逸れていき、私のベストホラー映画は何かと訊かれた。

 

「キャビンかな」

「あれは、ホラーのお祭り映画ですよね!」

「そうそう。お祭りだよ、あれは」

 

 キャビンは、様々なホラー映画を足して割らない面白い映画だ。ホラー映画を好きであればあるほど楽しく感じられるように作られている。

 

「そういえば、死霊のはらわたのリメイク見ました?」

「見たよ。意外にも全滅しなかったね」

「ですね。あれはあれでよかったです」

「うん。ただ、犬好きには見せられないかもねぇ」

「そうですね」

 

 犬猫が死ぬのは、ホラー映画ではままあることだ。私は、生物全般が好きだが、その辺は割り切っている。

 

「他の好きなホラー映画は?」

「コンスタンティンってホラー?」

「ホラー要素もあると思います」

「じゃあ、コンスタンティン。あとは、ドリームキャッチャーとカルトとノロイとオーディションと蝋人形の館とゴーストシップとリトルショップ・オブ・ホラーズとタッカーとデイルとゾンビ映画たくさん」

 

 挙げ連ねていくと、人見さんは目を輝かせた。

 

「切りがないね。好きなホラー映画が多過ぎる」

「流石ですね、砂子さん」

「そう言ってくれるのは、君くらいだよ」

「あはは」

「ふふ」

 

 ホラーが怖くないふたりは、微笑み合い、ホラー映画談義に花を咲かせ続ける。

 ホラーの夏が終わるね。私たちは、年中ホラーを見るけど。

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