私という一頁の物語   作:スナエ

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ハロウィン

 ハロウィンがやってきた。

 

「トリック・オア・トリート! お菓子をくれてもイタズラするぞー!」

 

 するんかい。仁礼光さんが、一番乗りで、決まり文句を放った。

 

「落花生パイをあげるから、イタズラは勘弁してねぇ」

 

 鞄から出した、個包装されたパイをひとつ手渡す。

 

「砂子はいっつもお菓子持ってるもんな! だから、お菓子をくれてもイタズラするんだ!」

「えー」

「イタズラするぞー!」

「やめてよ~」

 

 仁礼さんは、カウンセリングルームにずかずかと入った。仕方なく、後に続く。

 

「このぬいぐるみは、アタシが預かった!」

「ミツくんが!」

 

 デスクの上に置いていたミツクリザメのぬいぐるみを奪われた。

 

「返してほしかったら、後でアタシんとこの作戦室に来ること!」

「はーい」

 

 仁礼さんは、元気に去って行く。

 今日は、ちょっと高い落花生パイは早い者勝ちで、その後は、フルーツ味の飴を配る予定である。例年通り。

 カウンセリングの合間を縫って、紙袋を持ち、ボーダー本部内を歩き回る。人に声をかけられるためだ。

 

「砂子さん、トリック・オア・トリート!」

「はい、飴」

「乗り遅れたー!」

 

 南沢海くんは、大袈裟にがっかりしてみせた。

 

「さて、大人たちにも配りに行くかな」

「いってらっしゃーい!」

「いってきます」

 

 冬島くんとか東くんとか二宮くんとか、絶対に自分から来ないもんな。

 太刀川くんと加古さんは、自分から来たから、あとは諏訪くんたちのとこも寄ろう。

 歩いていると、来馬辰也くんが見えた。

 丁度いい。

 

「来馬くん」

「砂子さん。こんにちは」

「こんにちは。トリック・オア・トリート」

「ええっ!?」

「冗談、冗談。これあげる。鈴鳴のみんなに渡してあげて」

「ありがとうございます」

 

 4種類の飴を渡した。

 

「じゃあねぇ」と、手を振り、来馬くんと別れる。

 あ、そうだ。影浦くんのとこも行かないと。

 私は、影浦隊の隊室へ向かう。

 

「こんにちは」

「お、来たな、砂子!」

「仁礼さん、ミツくん返してよ」

「はい、サメ!」

 

 ぬいぐるみを受け取り、奥に、北添くんと絵馬くんがいたので、飴をあげた。

 

「影浦くんは?」

「どっか行ったぞ」

 

 と、そのタイミングで、影浦くんがやって来る。

 

「砂子さん。こんにちは」

「こんにちは。はい、これあげる」

「どもっす。また全員に配ってるんですか?」

「歳下にはねぇ」

「大変じゃないですか?」

「いや、別に。楽しいよ」

 

 影浦くんは、「ならいいか」と、少し笑った。

 次は、どこへ行こうかな。

 

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