私という一頁の物語   作:スナエ

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居酒屋

 酒のつまみが好きで、たまに、ひとりで居酒屋へ行く。

 今日は、そういう気分の日。

 そうしたら、入った居酒屋に、諏訪くんたちがいた。

 

「おや、こんばんは」

「砂子さん!? こんばんは」

「こんばんは」

「お久し振りです」

「ばんわ~」

 

 諏訪くん、風間くん、木崎くん、寺島くんが、私に挨拶する。

 

「砂子さん、酒飲まないんじゃ?」

「飲まないよ。でも、居酒屋メニューは好き」

「一緒します?」

「助かる。ひとりで烏龍茶飲んでると浮くんだよねぇ」

 

 私は、座敷に上がり、空いてるスペースに座った。誕生日席だな、これじゃ。

 

「俺らも、注文まだなんで」

「そっか」

 

 何にしようかな? 焼き鳥がいいかな。塩の気分。

 私は、烏龍茶と、焼き鳥のモモ肉と皮と軟骨と砂肝を頼んだ。諏訪くんたちも、各々注文を済ませる。

 

「みんな、大人になったねぇ」

「んな、親戚みてーな」

 

 しみじみと言うと、諏訪くんにツッコミを入れられた。

 

「子供の頃から知ってるからさ。みんな、酒が飲める歳になったんだなぁって」

「まだまだガキですよ、コイツら」

「おまえが言うな、諏訪」

「うるせーぞ、風間」

「仲良いねぇ」

 

「仲良くないです」と、ふたりは声を揃える。

 微笑ましい。

 

「君たちみたいな友達がいたら、私ももっと行ける場所が増えるんだけどね」

「いないんですか?」

「いないよ。リア友0人。ネットの友達は、それなり。一番話すのは、弟だし」

 

 リアルの繋がりは、みーんな切れてしまった。切った奴もいる。元カレとか。

 

「同じ小中学校の奴らは、みんな嫌いだし、高校の頃の友達は自然消滅。大学の友達は、中退。恋人は、完全に縁切り」

「へぇ。なんか、意外ですね」

「そう?」

「ボーダーじゃ、顔が広いから」

「顔の広さや人付き合いのよさと、友人がいるかどうかは別でしょ。私は、性格と性質が悪いんだ」

「そう、なんですか」

「うん」

 

 みんな、押し黙ってしまった。

 

「あーごめん。つまらない話をした」

「いえ」

「お詫びに、奢るよ」

「いいんすか?」

「任せなさい」

 

 私は、気持ち、胸を張る。

 待って。財布の中身、いくらだっけ?

 あとで、こっそり確認しよう。

 それからは、取り留めのない話をしながら、飲み食いして過ごした。

 

「モテてぇ~」

「モテないの?」

「まあ…………」

「いい子なのに」

「子じゃねー! ですけど」

 

 諏訪くん、モテないのか。変なの。

「諏訪は、鍛練が足りない」と、風間くん。

 

「ああ?」

「筋トレするか?」

「しねーよ、ゴリラ」

 

 木崎くんは、本命がいるから、モテとかどうでもいいのかな?

 寺島くんは、我関せずで、もくもくと食べている。いっぱいお食べ。

 

「終わっちゃうね、秋」

 

 ぽつり、と呟いた。

 運動も読書もハロウィンもしたし、たくさん食べて、歌ったし。いい季節だったな。

 新しい傷も付いたけど、生きてる限り、しょうがない。

「冬も、楽しいといいな」と言ったら、4人とも、「砂子さんなら大丈夫でしょ」と返した。

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