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悪魔みたい。魔女みたい。
よく言われる。私のこと。
「そこがいいのにな」って、君は言う。
カウンセリングが上手いねって言われた。
人心掌握が上手いねって言われた。
言葉選びが上手だね。嘘をつくのが上手だね。詐欺師に向いてるね。
魔女め。男と番わないことを詰られた。年を重ねる度に、それは嘲笑に変わった。
悪魔め。誰の人生の責任も取れない癖に。月日が流れると、それは憎悪に変わった。
「当真勇くん」
ふたりきりのカウンセリングルーム。クライアントの当真くんに話しかける。
「ん?」
「君に、
「表層だけならな」
「へぇ」
私は、口元を隠して笑った。
「君の目には、私がどう見えてるの?」
「助けてやりたい人」
「ははは。助けてほしいよ、ほんと」
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現海砂子は、焦げ茶色の目を細めて、俺を見ている。
「砂子さん」
「なあに?」
「もう時間がない」
「時間……?」
「砂子さんが砕けるまで」
歪なガラス細工の精神こころ。
「だから、俺の手を取ってほしい」
「……あは」
砂子さんは、顔を隠して笑った。
「残念だけど、当真くんの手は取れないなぁ」
「砂子さん」
「じゃあ、ここまで来なよ。この地獄まで。来れないでしょ?」
「カワイソーとか、うんざりだよ……」
笑顔のまま、砂子さんは言う。目は笑ってない。
「好きとか、愛してるとか、結婚しようとか、全部嘘……」
あんたは俺を見てくれない。
傷が、いつまでも痛むんだろう。
◆◆◆
“「千代子はこのパノラマ国の女王様だ。人間界へは決して二度と姿を見せないだろう。お前はこの島にある群像の国を見ただろうか。時として千代子は、あの目まぐるしく林立した裸体像の一人になりすましていることもあるのだよ。そうでない時には海の底の人魚か、毒蛇の国の蛇使いか、花園に咲き乱れた花の精か、そして、その様な遊びにも飽き果てると、この壮麗な宮殿の奥深く、錦のとばりに包まれた、栄耀栄華の女王様だ。この楽園の生活を、どうして彼女が好まないことがあろう。彼女は丁度昔話の浦島太郎の様に、時を忘れ、家を忘れてこの国の美しさに陶酔しているのだ。お前方はちっとも心配なぞすることはないのだよ。お前のいとしい主人は、今幸福の絶頂にあるのだから」”
江戸川乱歩 パノラマ島綺譚より引用
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