私という一頁の物語   作:スナエ

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※自死

クラスドオマージュ。


自殺の理由

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 知ってる?

 ボーダーにあるって噂の、クラブ・スーサイドのこと。

 

◆◆◆

 

 それは、たまたま見付けた。

 掲示板の中央に、「クラブ・スーサイド」と書かれた紙が貼り付けられている。どうやら、集まる日時が添えてあるようだった。

 俺は、その紙を手にして帰宅する。

 自殺志願者の集まり、か。

 興味本位で、クラブ・スーサイドへ行ってみることにした。

 指定された会議室へ向かう。

 そこには、知り合いはいなかった。

 でも、まさかあの人が来るとは。

 遅れてやって来たのは、見慣れた白衣の女。現海砂子。

 仕切り役らしい眼鏡の男から、自殺の動機を発表していく。

「もう疲れました。私には、救えないものが多過ぎた」と、困り笑いみたいな顔をしながら、砂子さんは言った。

 俺の番。

 

「飽きたから、死ぬ」

 

 そう、嘘をついた。

 ここに集まった奴らは、一週間後に自殺するらしい。

 解散になった後、俺は、砂子さんに話しかけることにした。

 

「砂子さん」

「なあに?」

「よかったら、死ぬまで一緒に過ごさねーか?」

「いいよ」

 

 砂子さんは、俺が隣に並ぶのを許す。

 帰路。

 

「一度も出来なかったな……」

 

 砂子さんが、献血バスを見ながら、ぽつりと呟いた。

 

「貧血?」

「それもあるし、服薬の関係で出来ないんだよね」

「へぇ」

「せっかくO型なのにね」

「せっかく?」

 

 緊急の際には、O型の赤血球を全ての人に輸血することが出来るそうだ。O型の人は万能供血者と言われてるんだとか。

 

「私の人生、意味なんてなかった」

 

 寂しそうにこぼす背中に伸ばした手を、無理矢理引っ込める。

 俺と砂子さんは、日々を生きた。

 ふたりで映画を観たり、博物館へ行ったり。

 ボーダーでは、ごく普通に仕事をした。

 そして。約束の日。

 砂子さんと一緒に、海へ来た。

 

「冬の海もいいもんだねぇ」

「そうですね」

 

 砂子さんは、入水自殺するつもりでいる。たまに、「海に還りたい」と言っていた。

 

「当真くんは……」

「ん?」

「もう帰りなさい。死にたくないでしょ?」

「…………」

「私は、ひとりで行くからさ」

 

 死ぬつもりがないのがバレてたことは、どうでもいい。

 ただ、心中相手にしてもらえないことが嫌だった。

 

「さよなら、当真くん」

「待っ————」

 

 砂子さんは、俺の手をすり抜けて、海へ入って行く。

 決して振り返らない彼女を、俺は見ていた。見えなくなるまで、ずっと見ていた。

 

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