沢山の絶望をあなたに   作:エレオノーレ・フォン・ゼートゥーア

11 / 77
戦略概要の鮮明化

内線戦略による大陸軍編成及び投入による戦域規模での打破は理想ではあるが、実際に遂行までの間に発生する人的資源的損出の割合は帝国国体の維持及び軍全体への綻びになると予想される。

 

その為戦線全体での損害を軽減し、戦線の拡大という事態を避ける為に内戦戦略による大陸軍の構築と運用ではなく、内戦戦略による戦闘部隊の迅速な編成と早急な戦闘区域への投入を前提とした構想に転換すべきであると愚考せり。

 

 

この戦略構想を、戦闘団構想と命名する。

火力と即応性の優れた適正な規模の部隊による現場単位での制圧および持続的運用を目指すものである。

 

この戦闘団構想を構築する為に必要なのは高度な規範で訓練された士官と将官そして規格化された汎用性の高い兵器群であり、兵員の迅速な教育及び戦闘以外での損失を減らす事で効率的に成立させられると考えられる。

 

 

その為に必要なのは兵器製造の過程で規格化を推進し、不要な兵器類の生産を無くし真の意味で必要な兵器の生産量を増やす事である。

3.7cm砲と40mm機関砲の2種類の類似した兵器の生産を統合し、40mm機関砲のみの生産ラインを構築する事で総合的な戦闘力の拡充は達成できると確信せり、同じく7.5cm砲の生産を取り止め8.8cmの生産数を増加させるべきである。

 

 

また懸架機材及び輸送手段も可能な限り共通化し互換性を高め規格化を行う事で、既存の環境では運用できなかった大型兵器も技術の発展により山岳や沼地の様な過酷な環境でも従来に比べ柔軟に兵器及び兵員を運用可能になると確信せり。

 

これら一連の構想は民政軍で協力して行うべき帝国の命題であると愚考せり、国家の人的資源的リソースを全て動員しての戦争を『国家総力戦理論』として提言する。

戦闘団構想は短期的に緒戦における迅速な動員及び投入による敵線の圧迫、長期的な人的損耗の抑制を成し国家存続を賭した勝利の基盤とするものである。

 

よって『戦闘団構想』は、決して理想的な選択ではない。

だが国家総力戦という現実の前にあっては、人的損耗を抑え、持続可能な戦力を保持するために、やむを得ず実行せざるを得ない構想であると結論付ける。

国家の存続を前提とした現実的選択肢として、戦闘団構想への転換は避け得ぬ決断であると信ずる。

そして戦闘団構想を実際に運用する上で必要な条件として『個軍優勢』状態というものがあり、それは徹底的な精鋭主義の帝国軍の内情に即していると考えられる。

 

短期的には緒戦における迅速な動員および投入による敵線の圧迫を、長期的には国家存続を賭した勝利の礎たらしめるものであると愚考せり。

本来ならば長期的視野に立ち大陸軍構想を採用すべきと確信する、しかし国家総力戦の渦中において、それを実現するための時間と資源の捻出は困難であると思案する。

ゆえに、戦闘団構想は必要な構想であると確信せり。

 

 

国家総力戦を遂行する為に必要なのは技術の発展と高度かつ効率的な資源開発、そして必要とする人的資源の低減及び効率的な運用、兵站の強化なくして達成不可能であると確信せり、例え戦闘団構想を切り捨てるとしても10年後に則した大陸軍構想を再構築する為に10年かけて取り組むべきである。

よって『戦闘団構想』と『国家総力戦理論』は単なる軍事戦略的の選択に留まらず、国家の継続と国民の生存を賭けた大陸軍と対極にありながら必要とされる戦略である。

 

 


 

 

こんな感じの文章を親父がルーデルドルフおじさんと一緒に提出したところ、私も巻き込まれてしまった。

 

世の中の残酷なところは、それが上に認められたら「やってみろ」と立場も関係なしに提言者が言われるところである。

そんなこんなで私は、親父の命令で戦闘団構想の実行の為に必要な兵器の遍歴を構築する事になったのであった、それも現場で部品単位で製造過程から兵器の開発を行う事にね、私の青春は軍務の中に霧散したのである、南無三。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。