沢山の絶望をあなたに   作:エレオノーレ・フォン・ゼートゥーア

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技術研究部との顔合わせ

「お初目お目にかかります、帝国第一魔導軍(陸軍麾下の魔導部隊)所属エレオノーレ・フォン・ゼートゥーア准尉です。」

 

「魔導軍第一研究部所属■■■■・■■■■■■■技術少佐だ、研究部への協力感謝する。」

 

「確か小官に与えられた役目は...」

 

「アチラで話そう、()()()()()で積もる話もあるだろう。」

 

「はい?承知致しました」

 

 

奥の部屋にまで連れて行かれ、そこでとある人間と私は面会させられる事になる。

 

彼の名はアーデルハイト・フォン・シューゲル、恐らくアインシュタインを元ネタとした天才科学者だ。

恐らくユダヤ系帝国軍人というヤツだろう、キリスト系ゲルマン民族とはまた違う視点を有しているとして重宝されている筈だ、私が侵入した兵站基地は西暦世界知識においてハンガリー地域と呼ばれる場所だが、ここはハンブルクにある開発局だ、ここはまた別の研究拠点なんだろうなぁ。

 

 

「ー今度は子供かね?

いい加減にしたまえ、帝国の魔導師全てを連れてこいと言っているだろう。」

 

「何度も言うがシューゲル技師、既に帝国一の魔導師を融通した、彼以上の魔導師は()()()()に存在しない。」

 

「だから言っているではないか!!基準(演算宝珠への抵抗のない魔力)を満たす魔導師を連れてきたまえと!!」

 

 

抵抗のない清流の様に澄んだ魔力を有する魔導師『白銀』ターニャ・デグレチャフ、彼女が表舞台に現れるには戦争の開始を待つしかない。

だがそれまで10年、それだけの時間をこの偏屈な科学者が我慢できる訳でもなく、紆余曲折あり私が送り込まれたのである(おのれ情報部)

 

 

「我々は実用的な兵器を求めているのです、その点彼女は技術・兵器開発の天才だ、今の我々にも得られるものがあるのではないか。」

 

「それが彼女という訳か、箔付けの貴族の遊戯になぜこの私が手を貸さないといけない。」

 

「シュゲール技師、彼女が世界初の地球外生命体の発見者です。」

 

「あれは帝国魔導情報部が偶然発見したものではないのか?」

 

 

「いいえ、彼女が太陽の軌道にある衛星に、BETAが居る事を初めて発見しました、帝国魔導情報部は存在を確認した程度です。

ですが()()()()()か正体や目的、組織図を含む様々な添付された情報を全て集めたのは彼女です。」

 

 

ここまで言われてしまえば流石のシュゲール技師も口を閉じ頷くしかない、目の前にいる少女が魔導演算宝珠もなしにそれを成したと言われれば、基準ではなくとも得られるモノはあるのだと感じたのだろう。

 

そんな彼女が最初に開いた言葉、帝国参謀本部の知識の牙城の一角を個人で占める彼女が最初に発した言葉は、この場の誰もが予想だにすることはできなかった。

 

 

「博士、あなたは神を信じますか?」

 

 

帝国最高の技術者兼科学者と、帝国最優の魔導師兼技術者のする話の内容とは誰も思えなかった。

 

 


 

 

研究者が神を信じるか、それは一見異常な光景だろう。

 

誰もが、その無駄に性能が高い脳漿で存在の証明を行おうとしていた。

研究者は現代において誰よりも神から遠い筈の存在と言われてはいるが、実際は逆であり全ての起源は神の存在を証明する事である。

 

 

優秀な学者ほど有神論者だという話を聞く。

無論無神論者も当然存在するが、科学とは哲学の延長であり神を信じてはいなくとも、嫌悪するまでの人は中々居ない。

 

基盤なき技術は存在しない、混沌の中でそれは生まれるのであって、その中で誰かによって作られる事はないのだ。

故に基盤となる土台が広く高度ほど、高度な理論を組み立てられるのだと思う。

...それを神という概念は育むのだと思う、故に優秀な学者ほど私は有神論者だと勝手に思っている。

 

個人的な好奇心の発露先、それには最適だろう。

だからこそ気になった、優秀な学者として無神論者な神が、神と最も近い位置(魔導技術研究者)にある彼が、どうして神を信じていないのかを。

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