沢山の絶望をあなたに   作:エレオノーレ・フォン・ゼートゥーア

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ヘクセンヤークト戦術

陸戦の王者は砲兵である、ならば王だけでいいのかと聞かれても問答無用で首を縦に振る事はできない。

歩兵に戦車に兵員輸送車どころか工兵が居なければ碌な戦力にならないのが正直なところだ。

だがそれらがある限り、砲兵は陸戦において絶対の王者となる。

 

 

だが、その陸戦の王者を容易く撃破する兵科がある、魔導師だ。

 

 

歩兵以上の俊敏性に車両より優れた機動性、軽野砲並みの火力にある程度の装甲を有し、必要とあらば沸騰魔力拡散爆発反応術式或いは拡散魔力気化爆裂術式によって、もしくは大規模魔導術式によって最前線で大火力を運用できる兵科を、真の意味で阻止できる兵科は存在しない。

 

 

あるのはそれ以上の圧倒的な正面及び間接火力を有した軍集団による飽和攻撃、歩兵に砲系列兵に戦車、加えて高貫徹かつ集弾性のに優れた戦闘機による数に任せたゴリ押しである。

もしくは、同じ魔導師同士での消耗戦か、遊兵状態であれ警戒を行わなければいけない、非常に対処の難しい戦力だ。

 

 

その魔導師を無力化する戦術を提示しようと思う、それも大魔導師級(エース・オブ・エース級)の対処法を熟考していきたい。

 

 

歩兵や砲兵、必要とあらば戦車や航空機も投入可能という前提ではあるが、敵に砲弾の撃墜を強要する環境を構築する事によって即座に敵魔導戦力の無力化が可能であると愚考する。

 

敵魔導師による迎撃方法、は恐らく速射性を考慮してプラズマ化された魔力を投射する術式による迎撃だろう。

通常ならば砲弾は急激に熱される事で内部の炸薬が急激に燃焼し無力化されるが、この中に比重が4以上の金属で構成された砲弾を内包する事で、内包された重金属が即座に蒸発し拡散する事により、目標となる大魔導師が電子ネットワークから寸断される。

そして完全に孤立した魔導師に全戦力を用いての特攻紛いの強襲を仕掛ける事で、確実に撃破する事が可能だろう。

 

例え何度取り逃したとしても、敵魔導師の呼吸器系をほぼ確実に重金属群類によってダメージを与える事が可能だと思われると。

カドミウム・鉛・水銀・ヒ素・六価クロム等々で敵魔導師の呼吸器系を汚染できれば、少なくはない療養期間を要求されるだろう。

 

 

魔導師は科学兵器及び生物兵器に強い耐性を有するが、決して万能でも無敵でもない。

数多の手段を講じ、魔導師が対処不可能な数或いは密度の有害化学兵器・生物兵器を用いる事で無力化が可能であるとも愚考する。

 

 

加えて敵魔導師に砲弾の迎撃を躊躇させる事ができる様になれば、我が軍の砲撃効率は更に向上するだろう。

敵魔導師を陥れ、拘束している隙に敵の砲兵を我が軍の魔導部隊が撃破するのも可能かもしれない。

 

 

魔導師の機動性及び運動性・火力・装甲の確実な向上が必要であると愚考する、加えて本日から20年程で航空魔導師という戦闘規格は消滅する可能性が想定される、航空機や戦車や歩兵装備を含む通常兵器の発展を軽視する事はできない。

恐らく1920年に至る頃に魔導師は歩兵運用の通常兵器による統制射撃で撃破される様になる、だがどの様な作戦でも必要とされる貴重な魔導戦力の保全の為、可能な限り通常兵器戦力による任務代替を模索せねばならない。

 

 

よって、この場で私はヘクセンヤークト戦術を提言する。

重金属を炸薬代わりに充填した砲弾を迎撃させ、敵魔導師の孤立化もしくは戦闘能力の削減を提言する。

孤立化もしくは戦闘能力が低下した敵魔導戦力を師団規模の諸兵科連合部隊、或いは優勢的な総合戦闘能力を有する魔導部隊によって強襲し迅速な排除を行う、近接打撃ドクトリンの構築を提言する。




直訳して魔女狩り戦術、何そのレーザーヤークトと思ったそこの君、正解だ。
君にはエース・オブ・エース級の魔導師との視界不良環境下での近接戦闘を演じてもらう、大丈夫きっと勝てるさ。
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