沢山の絶望をあなたに 作:エレオノーレ・フォン・ゼートゥーア
「連合王国が帝国に対し宣戦を布告しただと!?」
1923年10月4日連合王国が帝国に対し宣戦を布告、魔導師と爆撃機により編成されたコマンド部隊によってクラグガナ物資集積地が破壊された。
報復として帝国は、協商連合の首都
東方から砲兵旅団及び輜重部隊の転用が行われ、協商連合への圧力は更に高められる事となる。
参謀本部は大混乱に陥っていた、連合王国軍との直接の戦闘はなかった筈だと何度も確認した。
例え参戦するとしても、協商連合が陥落した後に共和国と共倒れになった帝国の漁夫の利を狙い参戦してくると考えていた為である。
あの海賊共が『参戦してくるには早過ぎるのでは』と、だが歴史上によくある
連合王国による海上交通網の完全構築及び共和国軍による前線の固定、帝国は各軍ともに戦略の変更を余儀なくされる。
空軍は戦場支援重視の方向性から、戦域及び戦略規模の作戦を行う為の再構築が決定された。
海軍は海上支配から通商及びチョークポイントの破壊に方針を転換、戦艦や装甲巡洋艦の拡充から高速巡洋艦や潜水艦の拡充が行われる事になった。
陸軍は陣地を守り敵に損耗を与える方針から、敵の撹乱と不全化を目的を中心に挿げる事となった。
ただ一人の少女だけは違った、彼女は従来の方策を維持するべきだと主張した。
正確には協商連合と共和国を下した後に、その方策を選択するべきだと主張したのだ。
帝国は現在1億の国民を有している、加えて10年前にベビーブームが発生していた事も考慮し、彼らが十分に成長した後に、ある程度の損耗をよしとする事のできる状態になった時に合わせて方針の転換をするべきだと提言したのだ。
当然参謀本部からの反論は出た、ならばそれまでの間『誰が戦略的な陽動を敵国に仕掛けられるのか』と。
我々は戦術及び戦域規模の作戦しか行えないのに、敵は戦略規模で我々を疲弊させてくる、我々が港を破壊しても敵は地域単位で破壊できるのだぞ。
ならば、どうやってそれを否定するのだ。
彼女は笑いながら言った『戦略規模の敵軍が戦術規模でしか戦えない様にするしかないだろう』と、ならば『戦術及び戦域規模での戦闘を優位にする我々が負ける事はない』のだ、故に今は2から3年後を念頭に置いて損耗を与える事を第一にするべき、と彼女は進言した。
曰く25年まで共和国の予備兵力が尽きる事はないだろうと彼女は算段を立てたらしい、それが何故かは分からないが、まあ周囲は『彼女が言うのだから』と納得してしまった。
妄信と過信が過ぎると彼女の親父とその親友は言ったのだが、まあ残念ながら誰一人として大半の『大人達』は耳を貸さず。
数年かけて損耗を減らす戦略を構築し、数年かけて敵軍を損耗させる消極的な戦略案を参謀本部は採用するのだった。