沢山の絶望をあなたに   作:エレオノーレ・フォン・ゼートゥーア

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絶望の仏帝戦争

帝国はこれまでの戦争を部分動員にて遂行していた、共和国と協商連合この二国が総動員令を発令し大規攻勢作戦を行おうとも、帝国軍はその度に一刀のもと両断していたのである。

 

そして遂に、大規模動員後に繰り出された一撃によって協商連合は斃れたのである。

 

 

無論帝国が被った被害も少なくなかった、二個近い魔導大隊が消滅し対艦用誘導爆弾と弾道ミサイルの在庫のほぼ全てを吐き出してしまっていた。

 

 

だがそれも許容範囲内と帝国は割り切ったのだ、戦線を一つに絞る事によって指向できる様になる総合戦力は、最終的に連合王国と共和国を足した陣容と比べて大きく『隔絶したものになる』という算段らしい。

 

 

共和国は対帝国戦争において200師団の陸上戦力が必要だと論じた、協商連合の60師団と合わせて、それだけの戦力があれば帝国軍の総戦力を凌駕できると。

帝国軍が指向できるのは360師団の内240師団程だと考えられていた為である、だが実際は部分動員時点で420師団に、そして本格的な動員が開始された今600師団規模にまで全軍が膨れ上がっていた。

 

西方に投入される帝国軍は420師団合計680万人、対して共和国は連合王国と合わせて280師団320万人規模である、そして損耗し再編成を行なっている部隊が40師団の為、実際は240師団程度しか戦闘に用いる事はできない。

 

大凡倍の数の敵を相手に、彼らは戦い抜かねばならないのだ。

 

 

それも機動性の低い歩兵と重砲中心の静止戦部隊ではなく、戦車と機動砲兵を先鋒とした機動戦部隊を相手にである。

 

帝国軍は如何に、どの様にして共和国軍の縦深防衛陣地を攻略したのか。

 

 

1925年1月1日帝国西方ライン戦線にて、作戦が発令された。

それは、これまで利用されてこなかったもの、帝国軍は今戦争において効果が薄いとされた化学兵器を戦域規模で運用したのである。

 

マスタードガスとタブンの大量投入を行った、そして混乱する前線を制御する為に総動員された後方部隊を後方都市ごと爆撃し、化学兵器の対抗術式を大規模に発現させた魔導師を徹底的に砲で叩いたのである。

 

共和国と連合王国の魔導師と歩兵の損耗が激化する、厳冬期に加え大量投入された化学兵器群は過酷な前線を更に悲惨なものとしたのである。

 

化学兵器によって爛れた皮膚を排泄物と混ざった泥が触れる、同時に前線では広域の伝性病が発生したのだ。

同時に未知のウイルス感染が広がった(H1N1ウイルス通称スペイン風邪)事により、事態はより悪化した。

 

 

帝国軍の兵士は()()()()()()()()()()()()()()ので問題とならなかったが、共和国と連合王国の兵士は歴史上初のインフルエンザの大規模感染によって数十万の兵士を更に消耗させていくのである。

 

偏西風が例年に比べて非常に弱く、環境も味方した帝国軍の勝利は誰が見ても明らかだった。

 

 

なし崩しに前線は崩壊、後方は戦車によって蹂躙され、碌な抵抗すらできず共和国は陥落した。

共和国軍死者数約128万負傷者数不明、大して帝国軍は死者1万重軽傷者11万

という大勝利であった。

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