沢山の絶望をあなたに 作:エレオノーレ・フォン・ゼートゥーア
「徹底した機動戦を行う緒戦と静止ゲリラ戦を強いる中盤戦、そして機動戦を用いた防衛を行う最終戦かねぇ、対連邦戦での損耗を許容できる戦争論か悩ましいな。」
「なら失っても問題のない人間に前線へ行ってもらうべきだ、例えば共和国や協商連合だな。
史実でも英米は植民地から大量に兵を動員してた、失っても問題のない戦列を帝国も編成すればいい。」
「帝国の歴史、そして文化であり伝統である『精鋭主義』に反する方針だな。」
「背に腹は代えられない。
戦後の日本政府も経済戦争の為に治安の悪化を勘定に入れつつも毎年数千どころか万単位で労働者を受け入れたんだ、我が軍も規律の悪化を勘定に入れつつも、万単位の外国人を運用してみなければならない、分散して配備するか集中して運用するかだが、まあ何もしないよりはマシな筈だ。」
「指向性蛋白質だったか?
それを利用して『自分は帝国人』だという記憶とジャーマンランゲージを入力すれば、今貴様がしている必要のない逡巡もなくなるのでは。」
「あーそれ私も一度考えた、 でも無理だったわ記憶の削除はできても、記憶の入力の方法は分からないんだ。」
「ポンコツか貴様!!」
「私は凡才なんですぅ、そもそも『ただ模倣しただけ』だからね、私が生み出した訳じゃないんだMADと同じ基準で考えないでくれ。
まあぶっちゃけた話指向性蛋白質の原理的に無理なんだよ、蛋白質の阻害や破壊はできても、本来習熟させて行うそれをいきなり入力する事はできないのよ。」
「いや、お前がやっている事はMADと比べても比較にならんぞ。」
「いや、その呪いの道具を生み出した、世界の法則をブッチしてるシュゲール技師の方が凄いだろ。
BETA由来の元素なしで常温超伝導を成すとか、まんま『神話の領域』だからな、やり方を教えてもらいたいところだよ。」
「アレも理解していないと思うぞ、何を目指しているんだお前は。」
「...勝利?」
「何の勝利だ?!」
「そら次はルーシーに、最終的にはBETAだな。」
「無謀にも程があるぞ?!そう何度も世界を相手に戦争を続け勝利できるものか?!」
「それ自体は簡単なんだけどさ、まあ国家の範疇でそれをするのは難しいけどね、まあ『やりたいな』って。」
「意味が分からない、理解ができない『自分ならできる』と言えるお前の頭が信じられない。」
「私なら衛星軌道から核兵器並みの攻撃が行えるからな、協商連合どころか連合王国ぐらいなら簡単に滅ぼせる。」
「本当にやってしまいそうなのが何とも...」
「そんな事はどうでもよくてな、あの馬鹿げた物量を有するあの国をどうやって打ち砕くかが問題なんだよ。」
「何度も言うが敵戦力の各個撃破と敵陣の迅速な制圧しかない、ナポレオンにも不可能だった。
凡人の集まりでしかない帝国が成せるとでも?」
「やはり戦略規模での機動戦しか有り得ない」
「先ほど、不可能だと結論を出したのでは?」
「それでもやるんだよ、敵の機動戦力を徹底して足止めしてやる。
必要なものと、必要な人材をターニャは私に伝えてくれ、私が全て用意する。」
「中爆撃機と重爆撃機合わせて1000機、あるだけの滑空誘導爆弾と焼夷弾を用意してくれ。」
「了解した、とっておきを融通しよう。」
既存の爆撃機が600機、そして新開発された5400馬力のターボプロップエンジンを2基利用した航続距離4000kmの中爆撃機が400機投入される事になった。