沢山の絶望をあなたに   作:エレオノーレ・フォン・ゼートゥーア

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対ル戦策略

「帝国が先の戦争で勝利した残酷な本当の理由、それは運用できる兵士の数が共和国と協商連合と合わせた数よりも上だったからだ。」

 

 

共和国の中核総人口は5000万に届かないぐらい、協商連合の総人口は2000万を超すかどうか、対して帝国は1億2000人と実質倍の数の差があった。

 

 

「人口で優る敵国に対し勝利する事は不可能であると結論を出す他ない。

加えて今の敵国は全て連合王国にルーシー連邦に合衆国と、全ての国を合わせたら実質3倍というね、戦力差は圧倒的だ。」

 

「困るな」

 

「ああ困る補給線の確保に奔走している帝国に比べソ連は元気120%だ、春明けには損失した兵力を補填するどころか、更に倍の戦力を送り込んでくるぞ。

東側の対処をしながら西方及び北方の防備を整える策はあるのか、否存在しない、たった120万の兵で広大な大西洋の防衛は不可能だ。」

 

「ならどうするんだ?

戦技研究及び戦訓調査を理由として私は今ここに居るが、それが終わったら私は東方に行ってしまうぞ。」

 

 

彼女は嗤う

 

 

「決まっているだろう?()()()()()()()を投入するんだ、あれ?そういやpは発音しないんだっけか、まあフライコワか?いやフライコーワ?フライコーワだな、代わりに西方では義勇軍に最前線を張ってもらおうじゃないか。」

 

「もしや貴様今『言葉の使い方』を忘れたのか?

こんなのが私の上官とか信じられんな、よもや人間かすらも怪しい。」

 

「ド忘れだよ」

 

「それで言葉の話し方を忘れるのか?」

 

「おう、忘れるさ。」

 

 

ターニャは呆れた、天才か狂人か、世の中には頭のネジが根本的に違う部分に付いている人間が居ると。

 

 

「呆れたな」

 

「そうだ連邦も同じだ、このタガが外れた異形の存在をどうやって倒すか。

展開能力に難はあるが輸送能力は合衆国及び帝国に次ぎ世界有数の水準だ、帝国は大陸軍及び方面軍の多角的な運用の為に、整備された高度なインフラのもと自走車両を用いて、帝国の交通規格のもと最適化しているが、連邦は何を考えたのか膨大な数の列車であの不毛の地を、馬鹿みたいな数の(ウマ)(ソリ)で補完している。

これは非常に厄介だぞ、原始的ながら非常に効果的な輸送だ、今の帝国が運用できる騎兵の総数は10師団程度だろうが奴ら300師団規模だ、300万近い騎が居るあの国の輸送力は馬鹿にできん。」

 

「備考として聞きたいのだが、帝国軍にある自走車両はどれくらいの数なのだろうか。」

 

「民軍合わせて約3200万台だな、四人家族だとして一家庭に一台ってところだな。

軍事利用できる中型以上のトラックは800万程度でハイエース風の自動車が200万かね、まあ民間から徴発して1000万台用意できるかな?ってところだな。」

 

「やけに多いな、何か理由でもあるのか?」

 

「10年前から重工業製品は()()()()採算を無視してまで量産していたからね、この時のために備えてたのさ。

インフラさえ用意できれば帝国軍は輸送力不足に苦しむ事はないだろう、だがそんなモノ連邦にはほぼ存在しない、となればインフラのある場所で戦うしかない。

モスクワだ、連邦軍が体制を完全に整える前に全兵力でモスクワを叩く。」

 

 

「正気か?!側面の防備はどうする気だ?!」

 

「まだ奴らは側面攻撃という概念を有していない筈だ。

できるのは都市や拠点を主軸とした死守的なゲリラ戦術ぐらいだろう、なら勝機はある。

知っているか?奴らの首都圏を賄う発電機は合衆国製だ、恐らく一度破壊されたらどれほど早くても3ヶ月下手すれば1年は電気が使えなくなるぞ奴ら、加えてだ()()()()()()()の水力発電施設を破壊すれば碌に工場も動かせなくなる、残るは()()()()()()()だが、あそこを抑えても連邦に損益はないしな。

よって私の率いる主力をモスコーに、ターニャ含む方面軍から転用した部隊でヨセフグラードの産業破壊活動だ。」

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