沢山の絶望をあなたに   作:エレオノーレ・フォン・ゼートゥーア

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オルタネティブ計画潰したくない?

世界大戦から約20年強の時間が経過した。

1950年、豪州はソビエト連邦や合衆国そしてEUにならぶ世界有数の大国としての地位を築いた。

 

それは彼女達の徹底的な合理化の追及故に成就したのだ、特に重工業の発展は凄まじい。

...既に先の大戦時に存在した帝国を諸外国の重鎮に彷彿とさせている、それどころかより一層強大な存在として映っているだろう。

 

 

「どうよターニャ第一世代駆逐艦は、宇宙主力兵器の礎だ、備考として追加燃料タンクを装備する事で地球から月面への往復能力を付与する事ができる。」

 

「それに何の意味があるか分からないが、それで何を載せるか決めているのか。」

 

 

約320tまでの重量のものを2つまで搭載できる設計だ、小銃から弾薬そして核弾頭から未来の戦術機に加えて専用のカーゴまでね、何でも積載できる。

 

 

「とりあえずW61やB57を100発は運用できると思う、一機常駐してればBETAが月面にやって来ても数分で粉々にできる、まあそれだけの高性能高威力の核弾頭を用意できるのは西側じゃ米国だけだから、彼の国が首を縦に振らない限り不可能だけどね。」

 

「十分だろう、それでコレはどうする気だ。」

 

「以降国連が生産する駆逐艦をこれに固定させる、低価格で量産性に優れているからな、運用から何から何まで考慮しても既に合衆国製の駆逐艦の2分の1の値段だ、嫌でも了承させる。」

 

「強気だな、次はどうするつもりだ。」

 

「機械化歩兵装甲の実用的な()()()かなぁ、戦前じゃ技術レベルの問題で機械による装甲兵量産は叶わなかったけど、まあ今回は数十年の猶予期間があるから上手くいくと思うし。」

 

「ああ!!あれは貴様の差し金か!!」

 

 

私はアレをゴミだと思ったんだよね、対人戦なら魔導師でいいじゃんっていうのが本音だ。

だけどアレをドクが凄い気に入ってなぁ、まさか魔導師に追加装備として儀装させようとしていたとは、まあ理には叶っていると思うが97式でも実用の為の出力に不安を感じる。

 

 

「テストパイロットにでもされたか?

対BETA戦争では、より進歩したアレが必要になるんだ。

重機関銃やRPG-7の様な高威力擲弾を人間の6倍以上の即応性で運用できる人型兵器がな、戦車級の群れと正面から戦うには必要な最低限の性能だよ。

一芸に特化した兵器よりも万能な高性能兵器を要求される、理想は現代兵器を装備した203強襲魔導大隊の魔導師達だな、まあ今の技術水準じゃ不可能だろうけどね。」

 

「何となくは理解した、同時にその目標の基準が高過ぎる事にもな。」

 

「航空機並みの速度で地表をビュンビュン飛んで、重機関銃並みの弾幕を単独で運用できる上で、高威力の武装を沢山携帯できる人型兵器を将来の我々は必要としているんだ。」

 

「あれほど一芸に特化した兵器と戦車に執着していた貴様が、それを捨てて万能性を求めるか。」

 

「人類の戦争に於いてなら戦車は万能の兵器足りうる、そして器用貧乏の末、最低限の能力の詰め合わせた結果だ。

だが対BETA戦争ではそれでは足りないというのが本音だ、むしろどれだけの水準に至ろうと不足するだろうとも言える。」

 

「何故に?」

 

「圧倒的な数の差だ、BETAは計算上で10の37乗の数が居るらしい、最悪それが重頭脳級だけだとしたら、その総数は更に膨れ上がるだろう。

だがそんな統計は何の意味もない、この世界で10の37乗の数が居るんだ、別世界も合わせたら文字通り無限大の数が存在すると言ってもいい。」

 

「別世界だと?随分と規模の大きい話だな?」

 

「正確には文字列と電子情報の中にな、ターニャ・デグレチャフなる前世がオッサンの元オーバーワーカー人事部長とかもね。」

 

「待て、貴様のその様な背景は聞いていないんだが?」

 

 

ターニャは慄いた、目前にいる人間はヤベェと。

帝国での戦争経験は踏み台でしかなかったと断言した彼女を恐ろしく感じた、これほどのビジョンで以って成り立っている仕事だとは思っていなかったから。

というか自分の前世の背景まで知られている事実にも震えた。

 

 

「言ってないもん、因みに本来の世界線では再度あの存在Xに転生させられて月面なりギリシャなりでBETAと殺し合いをする羽目になっていたぞ。」

 

※カルロ・ゼン Muv-Luv Lunatic Lunarian及び幼女戦記原作で検索ぅ!!

 

 

「それだけは勘弁してくれ、私の言いたい事は分かるな。」

 

「安全な後方勤務だろう、理解しているさ、共に平穏な未来を掴もう。

ところで人生の先達たるターニャに聞きたいのだが...万年成長期かつ現役の私達が一線を退くのはいつなんだろうな?」

 

「知らん、貴様が何とかしろ。」

 

 

転生者は知らんと欲す『何がどうしてこうなった』か分かるのならば彼女達は今この場には居ないのだから、諸行無常である。

 

既に肉体年齢で40に迫る二人はまだまだ若々しい、身体の痛みもない事から肉体年齢もそこまでなのだろう、周囲からすれば不思議に違いない。

能力も同じだ、空飛ぶし素手で鉄製の梁を捻るなり切断する事もできる、外的存在或いは高位存在からの幾多の干渉の末に最早人の身の域を脱している、そしてそんな彼女達を野放しにするほどこの世界は優しくないのだ。

 

ただ立場さえあれば、能力を基軸に成果を出しているならば別だろう、相応の立場を担保させてもらおうじゃないか。

 

 

全ては豊かで穏やかな老後の為に、手段ではなく目的のために。

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