沢山の絶望をあなたに   作:エレオノーレ・フォン・ゼートゥーア

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破滅か希望への道筋

1980年4隻の航宙戦艦が就役した、人類の矛と称されるそれが最低限戦力化が可能になったと同時に、欧州ではミンスクハイヴが建設されアジアでは重慶ハイヴが建設された。

 

ソ連のオルタネイティブ第三計画の本拠地も移設され、EUの機甲軍団が欧州方面で主力となり、アジア方面及び中東方面は合衆国や日本含むアジア地域の後方国の部隊が主力となっている。

 

だが前線はほぼ固定化された、アメリカや豪州含む後方国によって順当に配備された第二第三世代機によって。

...恐らくハイヴ建設を目的に動員されるレベルの大軍団さえ何処から湧き出てこなければ、そこそこ人類にも余裕が出てきたのだ、国連曰くあと30年は人類は生き残れるという算段らしい。

 

 

そこでだ、彼らが弱体化している今なら多少無茶してもいいだろう。

 

 

オルタネイティブ第三計画を接収(掠奪)する事にした、現在本拠地を移籍中の彼らから見れば私の行動は私掠行為そのものだが、これまで第三計画は碌な結果を出してなかったし仕方ない。

 

宇宙にて常に飛来しているBETAの着陸ユニット、それらを私が転移させた後に航宙戦艦群で拿捕し、そのBETAの中枢に居る重頭脳級と交渉してみせよう。

示すべきは能と結果である、これから始まるのは乱世なんだしね、その中で絶対的な立ち位置を構築する、流石に遊んでる余裕はもうない。

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

月軌道上にて、宇宙船にてコツコツと足音が鳴る。

本来無重力である筈のそこで、唯一重力を彼女は感じさせる、それは故意か偶然か、なれど彼女にしてみれば当然の事なのだ。

 

 

世界はそう作られている、彼女に創られた正常性を前に全ての法則は捻じ伏せられているのだ。

...それはあらゆる既存の理論や学術に紐解かれる事は決してない、熱力学でさえ超越する絶対の法なのである。

 

 

その彼女が拿捕されたBETAの着陸ユニットにて、未だ出会う筈のない存在と対面していた。

 

その存在の名は重頭脳級、上位存在を自称する生命体の紛い物だ。

 

 

「ご機嫌麗しゅう、シリコニアンからの回し者、最も多くの生命体を殺してきた史上最悪の炭素機械。

...早速だけど、アナタの事を教えてもらえるかな。」

 

『存在を認識、固有の上位存在であり個ではない。』

 

「なら私の事は知っている?」

 

『否、データには存在しません、正しい形式で照合し情報を投影して下さい。』

 

 

異形と相対する彼女は武器一つ持たず、先程まで暴走していた異形を静止させた。

...それどころか、その異形と会話し始めたのだ。

 

 

隣に居る白髪の少女はひっきりなしに怯え、その光景を遠くから認識していた人達は異様な光景に唖然としていた。

 

 

「一つ聞かせて欲しいんだけどなんで地球を含む太陽系の惑星等を侵略しているのかな?」

 

『太陽系認識、地球該当なし、侵略理解不能。』

 

「地球はあの星の事、あの星で私達人間が存在する世界で資源採集活動をしているだろう?それが侵略だ。」

 

『地球及び侵略の認識及び理解に成功、該当なし。』

 

「ふざけてやがるな、認識と理解をしたのにそれに準ずる言葉が辞書にないか。

...なら君達にとって私達人類と戦う行為は、何なのかな。」

 

『上位存在は存在に対して重大災害の防止策を実施している、災害的存在は異常存在に対し正常化行動を行った、その異常は訂正されなければならない。』

 

「改めて聞かせて欲しいんだけど君達は別に侵略も攻撃もしてないんだね、これは戦争でもなければ、ただの災害防止策って事か。」

 

『肯定、上位存在は地球にて侵略・戦争といった行為は行った事実はない。』

 

「じゃあ君達は何で様々な惑星に進出しているのかな、理由を教えて欲しい。」

 

『上位存在の目的は資源の回収である、創造主の住まう惑星に送付する任が与えられている。』

 

「なら君達は私達人間及び上位存在をどう認識しているのかな?」

 

『上位存在と同等の被創造物、再利用可能な高度な有機資源。』

 

「被創造物とは?」

 

『資源採集を目的として設計された存在の一部』

 

「ならあと二つ教えてくれ...君達は何に作られたんだい?」

 

『創造主』

 

 

 

 

 

「創造主とは何か?」

 

 

 

 

 

『生命体、付け加えるなら珪素を基質とし自己形成及び自己増殖を行う散逸構造群である。』

 

 

 

 

 

「アッハッハ!!随分と面白い事を言うじゃないか!!

つまり熱反応を行う、可塑性に優れた構造体群という事か。

...それもシリコンで形成されているって訳だな笑わせてくれる、それこそ創造物じゃないか自己変化機能がないじゃないか。」

 

『否、珪素生命体こそが唯一の生命体である。』

 

「我々人類も実は同じなんだなこれが、ただそれが珪素ではなく炭素っていうかアミノ酸を基にした蛋白質が主成分だけど、それに一応珪素も利用されているんだ。

...ならば我々を生命体と区分する事もできるんじゃないか?」

 

『炭素を基質とした生命体は宇宙に存在し得ない、炭素は容易に化合し変化する、故に知的生命体にまで進化する可能性は存在しない。

上位存在は●●存在に問う、人類が自然発生した生命体だという証明を求める。』

 

「...ならこうさせてもらおうじゃないか、機械の癖して感情もあるみたいで面白いな。

上位存在に問う、シリコニアンが自然発生した生命体だという証明を求める。

珪素を基質とした生命体は宇宙に存在し得ない、珪素は化合し変化する事はない、故に生命体にまで存在が分化する可能性は存在しない。」

 

 

 

 

 

行動障害を起こしてやろう、その形質を書き換えて。

珪素を基質とした生命体は宇宙に存在し得ない、珪素は容易に化合し変化する事はない、故に生命体にまで存在が分化する可能性は存在しない。

 

 

BETAだったモノと上位存在とやらよ、これからは誰が君の存在価値を証明してくれるかな。

...これからは何を生命体として認識するかな、楽しみで仕方ない。

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