沢山の絶望をあなたに 作:エレオノーレ・フォン・ゼートゥーア
ミンスクハイヴ攻略作戦が成功した事で、より一層人類の東欧方面への圧力が強まった。
1号含む戦術機の優先配備、そして合衆国にて整備された諸兵科連合軍集団の投入。
無論BETAも相応の戦力を動員させていた、カシュガルから送り込まれて来たBETAによって総数は300師団規模に至る。
史上最大規模の対BETA戦争が始まる、その最中であった。
後方でのBETA群出現、いざ『決戦を』と息巻いてた時に後方から敵が現れたのだ。
前線も後方も大混乱、戦術機ごとBETAを砲撃するわ後方で予備戦力としての任を担っていた合衆国の戦車がワルシャワ条約機構の弾薬庫を流れ弾で撃ち抜くわ、滅茶苦茶である。
第六計画の主任や豪州より派遣されて来た国連軍副司令官までもが戦術機に乗って戦闘を行なっていた、合衆国が戦略核を用いての焦土作戦を要求して、それを拒否したら諸兵科連合軍集団を引き上げられて前線が崩壊した。
それだけで戦力の2割を失う大敗北、基地化されたミンスクハイヴにまでBETAに浸透された。
突如動員された歩兵に戦術機、雪崩れ込んでくる戦車級や小型種に対しては対処できていたが、出現した突撃級によって蹴散らされてしまった。
その下の階層では運搬されていたA-6が突撃級の突進を受け止め、近接戦用スパイクを利用して投げ返していたが、今度は戦車級に集られた後に解体されてしまう。
最下層にて広間の清掃を行なっていた1号及び特1号が投入された後にようやく被害の拡大は止まり、旧ミンスクハイヴ現ミンスク基地にて掃討作戦が行われた。
最終的な被害は全軍の4割に至った、これも全て|合衆国軍人なる人々《後方基地でゆったりしていた癖いざ本番になると逃げ帰ったカス》の責任である。
...と言いたいがまあ責任を追求する気は起きないかな?
軌道戦力は予定より少し多く弾薬を損耗したぐらいだが戦術機は半数を、砲兵は3割戦車や歩兵なんか6割は軽く損耗している。
何がヤバいって下手したら次回からの戦闘で浸透してくる小型種が十分に駆除できない可能性、浸透戦術大好きなターニャちゃんが発狂してる、曰く『するのは好きだがされるのは嫌い』らしい、道理だな。
そんな状況で笑っている私を周囲は化け物の様な目で見ていたが気にしない気にしない、だって私にとっては命の危機じゃないもの、紛う事なきバケモンですからね。
レーザー級相手に個人で撃ち合いできる人間なんざ、第3世代機に乗った衛士でもそうそう居ないもんな。
「まあ落ち着きたまえよ諸君、小型BETA種の恐ろしさは隠匿性と何処にでも侵入できる柔軟性ではあるが、中型種や大型種ほど馬鹿げた馬力を有している訳じゃない。」
流石にコンクリートは破壊できないし、頑丈であれば網等は通り抜ける事ができない。
故に小型種のBETAが入り込む余地がある場所、そして入り込んだら頑丈な金網を下ろす様にすればいい、そうすれば一方的に小銃等を使用して撃ち殺す事ができる。
ただそれは籠城戦になるし、無論中型種である戦車級が出て来れば崩れる戦術であるが、有効ではある筈だ。
故に歩兵は小型種の対処を迎撃から地下陣地を用いての籠城に切り替える、そして大型種及び中型種を撃破した後に戦車や機械化装甲歩兵を投入して蹂躙すればいい。
籠城と間接攻撃、時間稼ぎに特化した戦術だ。
歩兵の天敵は同じ歩兵でもなく戦車である、分厚い装甲を有しており生半可な防衛陣地では攻撃に耐えられず、その対処には防衛陣地からの突貫を必要とする。
...無論それで戦車を撃破する事は可能だ、だがその際に随伴歩兵によってズタズタにされるのである、近接戦において戦車は絶対なのだ、それは対連邦戦でも対BETA戦争でも変わりない現実である。
機動攻撃戦用ユニットに歩兵が敵わないのは有史以来の常識、ならば彼女は『ゲリラ戦しかないだろう?』と言わんばかりに戦争形態の変化を謳った。