沢山の絶望をあなたに 作:エレオノーレ・フォン・ゼートゥーア
「F-22Aに不知火そして1号か、そして沿岸部から特1号が強襲、そのままハイヴの底に在る頭脳級をS-11で破壊して、勢いそのままに日本列島からBETAを駆除する腹積りか。」
「どう見る榊、横浜のBETAは倒せるか?」
「共同体からの大規模派兵や米国最新鋭のF-22Aが投入されると聞いた時は一度耳を疑ったが、この目で見て確信した、必ず横浜と日本列島は奪還できると。」
「...やはり佐渡島は厳しいか?」
「優先すべきは本土だ、この方針を変えるつもりはない。
...そしてだな、共同体は朝鮮半島の残存部隊の支援の為に改めて橋頭堡を築くつもりらしい。」
「...正気か?!」
「明星作戦終了と同時に引き上げるつもりらしいから何かのブラフだと思うが...」
戦略規模でのBETA戦力の分断、何を考えての事か理解できないが、心強くはある。
その裏を考えていた時、ふと違和感を感じ、理由もなく周囲を見渡す。
何でもない衛士達の筈、彼らは共同体から派遣されてきた1号及び特1号を前にし、一つ妙な行動をとっていた。
私服で基地内を歩く少女に向けて敬礼、それも士官だけでなく左官及び
その姿には見覚えがあった、ゲルマン系オーストラリア人そしてオルタネイティブ6最高責任者『その人』である。
少なくとも『同じ目的を有している』らしい、ただ手段が同じであるとは限らないのだが。
...米国の第五計画に同調するか我々の第四計画に同調するかは分からないが、少なくとも今は我々の敵ではないのだ、背中を任せてもいいだろうか、少なくとも彼女がここに居る以上我々の第四計画が本命ではあるのだろう。
ここが岐路なのだ、人類が滅びるか『BETAを地球から駆逐するか』の。
分からない、彼女が何を考えているのか分からない、どんな顛末を描いているのかも分からない。
...何故ここに居るんだ?
「貴官は日本陸軍ブルーファング中隊...に居た真田大尉だったか?」
「現在は第二帝都防衛連隊に所属しております、特別昇任を受け現在は少佐であります。
この様な場所でお会いできるとは思っていませんでした...前線の視察でございますか?」
「まあ視察っていうか...」
言葉を選ぶ為に口を噤めた彼女の心の内を察した彼は、その凶行を口にする。
「...もしや攻略作戦に参加するおつもりで?」
「するよー」
あっさりと彼女は、その言葉に同意した。
...一国の最高指導者とは思えない行動の示唆であった、ある種の冗談ではないかと思ったが、彼女の呆気ない返答に否定するだけの気力を奪われてしまった。
「御身を大事に、どうか。
我々は近衞に救われた身ではありますが、閣下に助けられた立場でもあります、ですので前線に出る等の危険な行為を避けて頂けると幸いです。」
「実は同じような事を先程も言われてな...
だが気にするな私は
...ミンスクに続き月面そして
「どうか後の者を、宜しくお願い致します。」
引退させてくれぇ...
彼女は心の中で叫ぶ、地球が『平和になぁれ』と。
現存しているのが2機のみとなってしまった0号初期生産型、その内の1機が持ち込まれていた。
万能型兵器の開発の為に凡ゆる要素が詰め込まれた機体、それを万全な状態で運用する技術は現在何処にも存在しないが、それを動かすだけの能力を彼女は有していた。
彼女は矢面に立つ訳ではないが、主力として投入される戦力ではどうする事もできない敵が現れた場合にのみ、出撃する事になるだろう。
彼女は存外この時を楽しみにしていた、理由としては最近権力闘争や視察等で窮屈だったから。
...ハメを外し地図を変えるレベルで全力で動ける事をストレス発散程度に思っているのだ、ターニャは彼女を見て、改めて人間じゃないと思った。
次々とハイヴに突入する戦術機、S-11を抱え武御雷や不知火系列機そして1号特1号が雪崩の様に、その奥底へ向かっていた。
だがそんな彼らの努力を嘲笑うかの様に、BETAは超重光線級を繰り出してきた。
地上に居た戦術機や戦車そして戦闘車両が白い光に次々と貫かれる、だが海上からそれに匹敵する総合熱量が投射された。
水平線より放たれし光の粒子は、友軍を脅かす超重光線級を両断し、分裂した光によって周囲の光線級も諸共撃破された。
そして突入部隊によってハイヴ内を掃討、頭脳級は無力化され陸海軍の共同による追撃作戦によって、多数の目標を撃破する事に成功する。
因みにこの世界ではまだG弾なるモノは存在しないそうな、理由としては戦術機によって何回もハイヴが攻略されているから。
あっさり!!そしてハイヴ攻略が定型化されてる恐怖!!