沢山の絶望をあなたに   作:エレオノーレ・フォン・ゼートゥーア

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甲1号攻略作戦・門の確保

「香月博士から連絡があったぞエレナ、佐渡島ハイヴの攻略と対BETA諜報員の運用が成功したそうだ。」

 

「なら安心だな、これでやっとB()E()T()A()()()()を撃破できる。」

 

「我らの慎ましき老後の為に、ようやくだな。

...おいお前その膨らんだ腹は何だ?」

 

 

ターニャ達は安堵すると同時に、背筋を伸ばした。

ふとした拍子にターニャは自分の上司に当たる人物の腹が少し膨らんでいる事に気付いてしまったのだ、最初は放射線の影響か腹に腫瘍でもできたと思ったが、それこそ彼女がそんな事になるのは有り得ない。

...懐疑に思っていた心の内を汲み取られたのか、彼女がその理由を口にした。

 

 

「親父が子供見たいって言うから、作った。」

 

「...誰との子だ?!」

 

「いや私の子だが、誰の子でもないが。

...ああそういう意味ね、私のDNA情報と細胞因子を利用して生み出したホムンクルスだよ。」

 

「子を抱えながらBETAの本丸に突撃する人間がどこにいる...」

 

「ここに居るけど?」

 

「...胎児や子供が無重力空間へ行くのはあまりよくないんじゃなかったか?」

 

「まあ私は例外、その辺は魔法で調整できるし。」

 

 

何と自分勝手で浅薄短慮な行動だとも思ったが、彼女は前々からそうだった事を思い出してしまった。

...そもそも例外は戦前及び戦中のみであり、対帝国大戦後は豪州にて国家規模で産業を焦土にしてBETAの日本侵攻の前にある程度は自重してたとはいえ大量の米を買い漁る等の行為は、何というか褒めるしかない。

 

 

「まあいい」

 

「世界で一番安全な場所に私は居るからね、帝国で白銀の後ろほど安全な場所はなかった。

よろしく頼むよターニャ、私の子供(人類の明日)はターニャにかかっている。」

 

「ならあ号標的の攻撃は私に任せてくれればよかっただろうに...」

 

「だが断る!!余計な養分(経験)はBETAに与えてやるつもりはないんだよなぁ!!」

 

「あ号と自分以外の人類の接触はなるべく避けたいか、理由をいい加減聞かせてくれ。」

 

「第一として並行世界の認識を避けたい、その他諸々色々ね。」

 

「そうか理由としては分かった!!なら好きにすればいいさ!!私も好きにするさ!!」

 

 

それは私個人じゃ手に負えない、傍目からが一番丁度いいのだ、いつでも聞いてやる。

...その他諸々なんて手に負えない、俯瞰するのは面倒だから与えられた仕事を十二分に熟すだけなのが私には合っている、だから面倒な事は自分でやってくれ。

 

 

帝国軍の戦術規範である消耗抑制ドクトリンと双璧を成す浸透襲撃戦と敵司令部への直撃、その中心であった白銀の真の実力を示す時だ。

 

今は無き筈の亡霊、神話にて紡がれる力の写し身である。

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

「ごめんね霞ちゃん、本当は連れてくるつもりはなかったんだけど。」

 

「私が望んだ事です、あのBETAとの戦いに決着をつける、その事を多くの人が知るために。

BETAと戦った人のために...」

 

 

何を考えているかは聞かないし、まあ私から聞く必要もないだろう。

ただ彼女にとって私は唯一心の内を読み取れない人物であり、世界からすれば完全な異物だ、その背景は白銀武に近いと思う。

...彼女の個人的な関係としてはターニャの方が背景は近いだろうけど理解は及ばなかったのだと思う、どこか違和感を感じるみたいだし何か言葉にはできないな。

 

 

「鑑純夏ちゃんだっけ、あの子を助けたい気持ちは皆んな一緒みたいだね、香月博士も同じ様な事を考えてると思うよ。

...心の内は分からないから何とも言えないけどね、そこまで私達は狭量な人間じゃないから頼ってくれてもいいよ、流石に無条件で手を貸せる聖人じゃないけどね。」

 

 

ターニャが戦術機でBETAを次々と蹂躙し、ハイヴの坑道に沿って待機していた母艦級を次々と撃破し続けている。

...重頭脳級を除き、恐らくはBETAと戦闘になる可能性はほぼないだろう。

 

 

「ゼートゥーアさんには話そうと思います。」

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