沢山の絶望をあなたに 作:エレオノーレ・フォン・ゼートゥーア
「超重光線級に匹敵するBETAが一つのハイヴに120体って正気か?」
国連軍が火星のマーズ0ハイヴに存在する120体の超重光線級を相手に決戦を行い敗北した、国連軍の航宙砲撃要塞の7割を喪失したらしい。
戦力密度が...そんな普通の光線級みたいな密度で出現していい敵じゃないのよ...
「それだけではありません、新型のBETAによって戦術機も少なくはない被害を受けました。」
「新型BETAとは?」
「方法は不明ですが
「性能は?」
「準光速での巡航能力を有しています、合衆国の新型第六世代戦術機を単独で撃破可能とする性能があります。」
「厄介な、第五世代戦術機の2号じゃ策を弄しても対等に戦うのは困難だろうな。」
「はい、戦術機戦力の7割が消失しました。」
全滅を前提とした先遣隊が数年単位で戦闘を続け、未だ戦力を堅持している彼らの頑張りは本当に素晴らしい。
...よきかなよきかな、さて次は何を譲歩してくれるよ。
「それで?要件は何かな?」
「再び、力を貸していただきたく存じます。」
「それで私に何を?」
「国連本部にて事務総長に就任していただきたく存じます」
「...はい?」
「終わりなき内紛、より強力となるBETAに対して人類は敗北を続けています。
どんな手段を用いても構いません、もしこの終わらない戦いを終わらせられるのなら、その全てを取り仕切って頂きたいのです。
...この最初の12人によって呪われたオルタネイティブを潰し、新たな人類の希望を編み出して欲しいのです。」
「...うん?」
それは要するに国連というか、各国の軍の指揮をしている国連統合軍を自由自在に動かす権利と、国連分担金をどの様に使うかを最終決定する地位を与えるって事になるぞ。
...てかこれまでしてきた事の全否定か、オルタネイティブ第六計画を遂行する私にオルタネイティブの名を貶めるとはいい度胸してるじゃないか、ターニャといい勝負だと思うわ。
要するにだ、彼らのしている事は『世界の全てを壊した後にそれらを掻き集め、それら全てをこの私に実質的に売り飛ばす。』企みだ、別世界にて引き起こされた日本のクーデターの理由となったそれと比べても規模も何もかもが違う。
...汎豪州共同体の一員として国家を支えた功績、そしてその末に豪州政府を傀儡化させたその手腕によっていずれ国連が乗っ取られるぐらいなら被害の少ない内に売り払ってしまおうという魂胆らしい。
本気かは分からないが目的はBETAの殲滅と人類の平和らしい、その為なら国連を売り払う事も躊躇しないとの事だ。
「汎豪州共同体改め
「トリースタ・シェスチナは覚えていらっしゃいますか?」
「勿論覚えてるよ、いい子だったね。」
「オルタネイティブ第三計画第六世代型人工ESP発現体である彼女に、トリースタ・シェスチナ改め社霞に
連合王国にて暴走を引き起こした
「つまり『流れる血が少ない内に』って事か、いいだろう一枚噛んでやる。」
「寛大な御心に感謝を...」
これなら皇帝の存続には繋がるだろう、超越種にやられてしまった親父も彼の世で喜んでいるに違いない。
...生まれつきサイコパスで百数十年という時間で育まれたソシオパス的な精神と倫理を有していた彼にしては、良心のある末だっただろう。
何て言ったってこれは帝国の勝利だからな、愛国そして未来を生きる人達への手切れ金なのだ、まあ本人達は手付金として認識してしまっているのだが。
私は小さき頃の誓いを曲げてしまったが、あの人は最後までそれを貫いたのだ。
...だがそれでもいいのだ、その誓いは父の願いであり私の願いはまた別なのだから。
今を生きる人達の平穏な老後を守る、そしてほぼ不老となってしまった私とターニャの平穏のために。
「ですので一先ず火星戦線の安定化に努めて頂きたく、こちらが約1時間前の火星の現状です。」
ズタズタに引き裂かれた各部隊、それも一年前だから現在ではもっと悪い事態に陥っているだろう。
戦術機だけならまだしも火星には戦車に歩兵もドローンも、有人無人問わず無数に展開している、それら全てを取り纏めるところから始めなければ何もできない。
...例えるなら国家どころかユーラシア大陸に点在する壊滅した部隊全てを掌握し、兵器の規格も人種も何もかもが違う部隊を再編成する作業だ、それも追撃を受けている壊滅寸前の部隊をね。
過労死するかもしれへん...
各新人類や背景は作者の空想とイマジナリーによって設定をつけられています、実際はどうか知りません、âge先生の次回作にご期待下さい。