マスキッパと私   作:スナエ

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出会って、27年

 君がまだゴースだった頃、私は小さな子供だったね。

 私は、カントー地方のシオンタウンの生まれで、たまにポケモンタワーを家族と訪れていた。

 墓参りの帰りに、君が私の後ろをついて来たから。親に渡されたモンスターボールを投げたんだ。

 そうして、君は私の最初の相棒ポケモンになってくれたね。私たちは、いつも一緒にいた。

 君が、ゴーストに進化した時は、私と両親、みんなで祝ったものだ。君は、とても嬉しそうにしていたな。

 君の大きな手が、私を包んで、それが凄く心地よかったよ。

 私が、ポケモン生態学者という夢を追いかけ始めた時も。夢を叶えて、シンオウ地方のノモセシティに居を構えた時も。ずっと、君は隣にいた。

 博士と呼ばれる立場になった私は、湿地帯のポケモンを研究するようになって。ノモセ大湿原に、日夜行くようになった。君は、いつでも頼れる相棒だったよ。

 お陰で、『湿原におけるポケモンの生態と多様性保全』という著書が完成した。

 ノモセシティで暮らすうちに、新たなポケモンも仲間入りしたね。まず出会ったのは、グレッグル。今では、立派なドクロッグだ。次に出会ったのは、マスキッパ。大切な、私の家族たち。

 ノモセシティを出て、カロス地方を旅し、花畑に生息するポケモンの調査をしたこともあったな。スカイバトルが印象深い。

 ガラル地方を旅した時は、共にキャンプをして、カレーを食べたり。カンムリ雪原は、寒さに慣れた私たちでも、驚くくらいに冷えていた。

 君との日々は、全てが光輝く宝石みたいな思い出なんだ。

 人との別れがあった。辛いことがあった。悲しいことがあった。けれど、いつも君が、君たちポケモンがいたから。私は、挫けずに歩いて来られたよ。

 暗い過去があっても、未来を輝かせることが出来る。現在が最低でも、共にいてくれる存在がいる。その事実が、どんなに私の助けになっていることだろう。

 研究資金の打ち切り。厳しい自然。牙を剥く野生のポケモン。

 大変なことは、人生で何度も体験してきた。それでも、私は諦めない。君たちがいるから。

 私の人生を、私は良いものとして終えたい。これは我が儘だが、これこそが、私の夢。人生を賭して、僅かでも構わない、私はこの世界に爪痕を残すぞ。

 そして、満足して死んだ後は、君と一緒に夜の散歩にでも行くさ。

 ゴースト。君の大きな手で、私の手を取ってくれるだろう? 君は、私の味方だものな。

 私たちが出会ってから、27年の月日が流れた。

 これからも、よろしくお願いするよ。

 さて、それじゃあ、今日もアカデミーの特別教員としての仕事を始めようか。

 なに、パルデア地方にも、すぐに慣れるさ。

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