突如始まった雄英高校、ヒーロー科実技試験。合図が出た瞬間、周りが呆然とする中、飛び出す人影が一つ。
「パパっとやって、終わらせましょうかね」
試験開始から1分後、試験会場Zでは予想外の事態が起こっていた。
「なんだよあれ・・・」
「うそだろ」
「どこにも、どこにも、残ってないよ!?」
その会場では、他の受験者達が一人の受験者が行った事をただ眺めているしかなかった。開始合図とともに飛び出していった一人の受験者。
空中へと飛び出し数秒後、会場全ての仮想ヴィランが空中へと上がっていた。その光景を受験者達はただ見届けるしかなかった。
ありえないと・・・・
不可能だと・・・・・
本物の超常を目の当たりにした時、人はあまりの現実に呆けてしまう。超常が日常になったと勘違いした者にとっては、その光景はあまりにも、異常だったから・・・・
「どうなっている!?」
「全ての仮想ヴィランが全滅させられています!?」
「会場に設置された仮想ヴィランは、1p110体、2p50体、3p30体、合計300pと・・・それを完全に独占するとは・・・前代未聞ですね。」
「こんなことが、彼のプロフィールは・・・・」
「個性は、『異能』と記載されてますね・・・詳細は・・・・」
「どうしたのよ?」
「色々できる・・・」
「いや、詳細を聞いているのだが」
「ですから・・・『色々できる』と書かれています。」
「・・・!?」
会場を見ていたプロヒーローの教員たちは、唖然とするしかなかった。
「さてと、補足した仮想ヴィランは全て収集、圧縮できたみたいだな。さて、速く出せよ0pをよ。」
会場の空中で、集め、圧縮し1つの巨大な鉄球へと変貌させた仮想ヴィランと共に空中に漂っている一人の受験者は、静寂に包まれている会場を眺めていた。
そして数分後、会場に変化が起きる。0p仮想ヴィランが各会場に1対ずつ出現し、受験者達へと襲い掛かる。
「おい、あれって、まさか!?」
「0p!?デカすぎでしょ!」
ビルと変わらない巨体を動かし、進行する大型仮想ヴィランしかし、その進行は数歩進んだのち止まった。
0pが見つけた絶望は、他の受験者も同様に受け取っていた。同時に、ロボにはない生命的本能が、生存本能が全力でそこか退避を選んでいた。
「おいおい、随分とチャチじゃねぇかよ」
絶望はすぐそこまで来ていた。一塊になっていた仮想ヴィランは、灼熱を纏い、隕石となって一直線に0pヴィランへと進んでいく。
生命的本能を持たない機械故に、判断つかない事象には対処する事は出来ない。ただ棒立ちのまま、灼熱の隕石に潰されるしかなかった。
「期待外れだな・・・これなら、ヒーローより、ヴィランの方が楽しめるかもな・・・・」
少年の呟くは誰にも届く事無く、空へと消えていった。
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雄英高校ヒーロー科試験、評価を行われていた。
「総合成績でました。」
「救助p0で、総合2位の実力とは、他が鈍くなる後半、派手な個性で立ち回り、仮想ヴィラン引き付け撃破し続けたタフネス。」
「対象に、ヴィランp0で8位。見事に0pヴィランを撃破し、・・・・」
各々が印象に残った受験者達を評価していく中、問題の生徒へと直面する。
「総合成績1位、試験会場の全ヴィランp取得による前代未聞の300p総取り独占。挙句に、0pヴィランの完膚なきまでに完全破壊。雄英高校史上初の出来事だ。こんな状況下で救助pと稼ぐなんて、仮想ヴィランを譲る以外できないため、救助p0」
「初手に飛び出し、空中へ移動。即座に何かしらの個性を発動し、仮想ヴィランのみを空中へ上げ、一まとめに圧縮して全滅。出現した0pへ、加熱したであろう塊をぶつけて終わり・・・」
「でたらめだな・・・」
「これが個人で行われた事とは思えないな・・・」
「全てが異常だな・・・何者なんだ・・・」
「こいつだな・・・」
「なにか見つけたの?」
一人の教員ヒーローが見つけたネットの記事
「えっと、何々・・・『唯一の異能者』ってなに?」
「それってたしか、個性因子を持たずに個性を所持してる奴だっけ?」
「そうだ、もう結構前で思い出すのに苦労したが、第三の人類とか言われていたな」
「なる程ね。個性社会の中で唯一の本物か・・・」
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2週間後の少年元に届いた結果発表
「主席合格に加えて、特待生ねぇ・・・」
特待生、特別な待遇の生徒。雄英高校では一度もない事例。それほどまで、この少年を特別視していたのだ。
あの場を見ていたヒーロー、一般教員、誰もがこの少年には絶対にヒーローになってもらいたい言う願いも込められたものでもあるのだった。
「なんでもいいけど・・・詰まらなかったら即ヴィランだぜ俺は・・・」
超常が日常となり、異能は個性と言われる現代、世界中の人類の内8割が何かしらの
彼は、人か、神か、天使か、悪魔か、英雄か、魔王か、今は誰にもその答えは見えない。勿論彼も知らない。その歩みのみが、答えを現す。
『唯一の異能』