雄英高校の校庭にこだまする少年少女の声。
数十分前雄英高校ヒーロー科A組の教室にはヒーローの卵になった少年、少女たちが集っていた。全員に挨拶をする眼鏡の委員長キャラや、机に足をのせ、威張り散らかすヤンキー、個性豊かな者達だった。
そんな浮足立った教室に冷や水がさされる。
「友達ごっこがしたいなら、他に行きな。ここはヒーロー科だぞ」
「「「「(なんかいる!?)」」」」
生徒の心が一つになった瞬間だった。
「早速だが、
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グランドに着いたA組を待ち受けていたのは、突然の個性把握テスト。
「入学式は!ガイダンスは!?」
「ヒーローになるならそんな悠長なこと言ってる時間はない。早速だが、首席は神代だったな」
「何だとォ!」
「これ投げろ、円からでなきゃ何してもいいぞ。」
早速、デモンストレーションの為に、神代が選ばれる。悠々とボールを受け取る。
「先生、本当に何しても良いんすか?」
「あぁ、構わん、早よ」
ボールを遠くに投げる、あるいは飛ばすのに必要な要素とは何だと思う?
自傷するほどの剛腕だろうか?
何でも吹き飛ばせる爆発だろうか?
大砲でも用意しなければいけないだろうか?
重力を消して投げる?
いや、神代にはそんなモノ一切必要しないのだ。
「転送」
神代の手の中のボールが消失する。
「えっ」
「どこいった。消えたぞ。」
生徒達が困惑する中
「おい、どこに送ったんだ?」
「月にですけど」
担任の相澤先生の問いに、なんてことの無い風に答える神代、その答えに他の生徒たちが驚嘆する。
「ハァッ!?」
「嘘でしょ!?」
「月って、最低でも38万km離れていますわよ!?」
「証明できるか?」
「ちょい、待っててくださいね。」
こんどは神代自身が消失し、すぐに姿を現す。
その手には、先ほどのボールと、スマホが握られていた。
「ハイ証拠」
そして、スマホの画面に映し出されたのは、地球をバックに自撮りされた写真だった。
「ウッソォ!?」
「マジか!?」
また生徒たちに驚愕が広がる。
「なら、記録は38万kmにしとくぞ」
「了解っす」
「いきなり、万越かよ!?」
「個性思いっきり使えんだ。」
「楽しそう!」
記録が付き、ざわめきと、個性使用の解禁に浮かれ始める生徒たちに、相澤先生が顔を顰め言葉を呈する。
「楽しそうか・・・なら最下位になった者は、見込み無しとして除籍とする」
「なっ!?理不尽すぎる!!」
「理不尽か、確かにな、だが雄英高校は自由が教訓だ。生徒の如何は教師の自由、ようこそ、これが、
「自然災害、大事故、身勝手な
プロからの激昂にやる気を漲らせる生徒たちの中で、唯一、つまらなそうな顔をする者が一人だけいた。
「随分と余裕そうだな、神代」
「そりゃぁ、余裕過ぎますけど」
「なら、お前は5位以下なら除籍だ」
「5位って、さすがにそれは!?」
「いいねぇ。そん位じゃなきゃやる気も出ねぇ」
「嘘でしょ、何でヤル気出るの!?」
「ふん・・・なら早よ始めろ、時間は有限だ」
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50m走
「ピッ、0秒45」
転送で、即ゴールする神代
「早っ」
「負けたッ」
「アレには勝てんて、移動系個性だろう」
立ち幅跳び
「いつまで持つ」
「さぁ、限界まで試した事ないんで、でも1日中浮いてたことならありますよ」
「無限だ」
「無限出たぁ!?」
「どう何てだよあれ、転送の個性じゃないのか?」
握力
「先生、壊れました~」
「測定不能」
「次は怪力かよ。」
「どんな個性ならここまで万能んだよ」
持久走
「なんで、もう完走してんだよ!?」
「30秒も経ってねぇよ!?」
「もち余裕だよ」
ソフトボール投げ
「お前はもういいぞ」
「えっ、でも2回目」
「転送以上に、他の方法で距離が出るならいいが、出ないならやるだけ無駄だ」
「あぁ、確かに、了解っす」
ほぼ見学となったボール投げの途中、神代は一人の生徒に目を向けていた。
「(緑谷出久、個性複数所持を確認。どうなってんだ。俺と違って個性は所持者だろう、何で複数あるんだ?)」
ある思考を軽巡させてる時、
「どう言う事だぁ!!デクゥ!!」
爆豪が両手を構えながら、緑谷に突撃する姿が見えた。
即座に相澤先生が動こうとするそれよりもはやっく
「重力、増加」
神代が爆豪に能力を発動する。瞬間的に重力が増加した爆豪がは、土煙をあげながら、地面へと勢いよく倒れる。
「ガッ!」
「あまり興奮するなよ爆豪、早死にするぜ・・・」
「て、テメェっ!」
「おっ、気絶しないのか、結構強めにかけてんのに」
「くっ、クソがぁ!」
どれ程動こうとしても、指一つ地面から離れない程、強烈に抑え込まられ、むしろ徐々に潰れそうになっているのを耐えるのがやっとなほどだ。そこで、個性を使い脱出しようとするが
「個性が、使えねぇっ!?」
「何度も、個性を使わせるな。俺はドライアイなんだよ。おい、もういいぞ。爆豪もそれ以上暴れんじゃねぇ、除籍にするぞ」
「了解っと」
「く、クソッ!」
「それじゃ、パパっと結果発表だ。時間は有限一喝開示するぞ」
そこには同等と、1位を飾る神代の名があり、緑谷出久が最下位と表示されていた。
「除籍は嘘な、君たちの全力を引き出すための合理的虚偽だ」
「「「ハァァァァ!!」」
「当り前じゃないですか。少し考えればわかりますわ」
「(ガチで、除籍するつもりだったでしょ。)」
入学初日から波乱に満ちた、ヒーロー科生活が幕を開けた瞬間だった。
「そうだ、おい緑谷」
「えっ、」
神代が解散していく中、リカバリーガールのところへ向かおうとしていた緑谷を引き留める。
「お前の指見せてみ」
「えっと、」
「神代だ、それよりほら」
「うん」
困惑しながら、右手を差し出す緑谷にたいして
「めっちゃ、ボキボキやん」
一言交わした後、淡い翠色の光が、神代の手から放たれ、緑谷の指を包む。
「えっ!?ちょ」
「ほれ、これで大丈夫だろう。」
「あっ、治ってる!」
「なに、神代治療もできんの!?」
「お前は何ができなんだよ!?」
「万能かよ!?」
またクラスメイト達を驚愕させる。
「なんでもできるぜ。」
「さ、才能マンかよ・・・」
そして、自身の治療された指を見つめて、緑谷は驚愕の中で、一つの可能性を見出していた。