ソードアート・オンライン 黒の剣士と赤の少女 作:相馬エンジェル梅太郎
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です!
フォローしてくれないと泣いちゃうぞ~?
友情と言うものは、何物にも変えがたいものである。
私はそれを思い知らされた。
カリンは今私の隣で寝ている。同じベッドで、私に抱きしめられるように。そして私を抱きしめるように。
優しい寝息を立てている。私は今までこの子にどれ程の苦労をかけたのだろう。
それが分からない程、この子に頼って生きてきた。辛いのは自分だけだと言い聞かせ。
それを自覚するば止まらない。胸の奥から流れて、溢れてきそうになる感情は熱くて自分では抑えきることの出来ないほどの激情。
それに身を任せ、力のままカリンを抱きしめる。
「ん、どうしたの?」
起こしてしまったようだ。目を薄く開き、カリンは私の顔を見る。
「ううん。何でもないよ」
顔が近づく。互いの吐息が近い。存在の境界が揺らぐ。
「そっか。それならよかった」
カリンがそっと目を閉じ、私の顔にさらに近づく。
それが合図だった。
「うん。本当に何でもないよ」
ゆっくりとカリンの唇にキスをする。
深く、深く。とても深く。互いの存在が曖昧になり、1つになる。
体が熱い。カリンも熱い。
昨夜の激情は留まることを知らない。私達はそのまま互いを愛し合う。
私は理解してくれる人が欲しかった。この苦しみを。けれど、それは誰にも出来ないことだった。
故に私が求めたのは、誰かに求められる程の実績と、私を知らない第三者。
“過去の私”を知らず、“今の私”を求めてくれる人。
これは私が最も求めていたことであり、私が最も嫌っていた行為でもある。
けれど、この世界ならば仕方がない。
私はエミリー。“過去の私”でも無ければ、“今の私”ですらない。
弱虫の私ではなく、私が求め、なりたい自分。その投影。
それがエミリー。そのはずだった。
けれど、彼は違った。私が彼を求めれば、求める程エミリーの中にいる私を見ようとした。
彼にとってはエミリーを求める行為は、私を求める行為に他ならなかった。
それもそうだろう。このデスゲームもいつかはクリアされる。そうなれば残るのは、エミリーではなく私なのだ。
エミリーは他のプレイヤーからしたら、アバターネームでしかない。だが、私は違う。
キリト君が現実世界に帰れば、きっとこの世界で学んだことを生かすだろう。
なぜならキリト君はこのデスゲームが終われば、現実世界に横たわるキリト君に返るのだ。この世界の経験を胸に秘め。
でも私は違う。エミリーとして生きた二年間は、“絵美”ではきっと生かせない。
だって現実世界に横たわる“絵美”は、留まることしか出来ない女の子に成り下がってしまったのだから。
他でもない“あの事件”によって。
俺と君の距離は今どれくらいだろう。
この迷宮の世界。そこにいる誰よりも君を遠く感じる。
「キリト君。どうしたの?」
「ああ。何でもないよ」
今は偽りの安らぎに溺れている。息が詰まりそうになるほど優しくて、苦しい。
この日々からの脱却。それが距離を縮める一歩となるのだろう。
けど、出来ない。俺は怖いんだ。
自分が傷つくことよりも、自分が誰かを傷つけることが。
距離を取ることでしか、君を守れないなら距離を取ろう。いくらでも。
君が笑ってくれるなら、俺はいくらでも偽りの安らぎに溺れよう。いつまでも。
例えそれが、俺達の関係を完璧に崩壊させるものだとしても。