ソードアート・オンライン 黒の剣士と赤の少女 作:相馬エンジェル梅太郎
まさか、まさかの3日連続投稿です!
飽き性の自分がこんなにやる気を出すとは、正直思っていませんでした!ww
理由としては、やはり感想をもらえたのが大きかったです!
こんなこと言ったのは、感想書いてほしいとかそういう訳じゃないんだからね!(ツンデレ
冗談は、ここまでにして今回の話も読んで頂けたら幸いです。
色んな思いが、溢れてきた。
それは、あんな無茶をしていないかに対する不安だったり、今まで何をしていたのかそれに対する不安のだったり。
つまりは、不安だったのだ。
止まっていた、歩みを再開する。
最初は、ゆっくりと。
ここに来る前よりも、明らかに遅い歩み。
それでも、気持ちは、心は、体を急かすように暴れだす。
体は、それに反応し、歩みは、早くなり、次第に走り出す。
「はあ。はあ」
短い距離。
いつもより遅いペース。
なのに。
なのに、息は、心臓は、いつもとは、比べものにならないほど、暴れている。
目から、溢れ出す涙は、もはや、止めようがない。
もう少し。
さっきよりも、遥かにエミリーとの距離が近づく。
何て声をかけるんだろう。
何をするんだろう。
頭の隅では、まるで他人事のようにそんなことを考えていた。
もう、エミリーまで、後少し。
ここで。
エミリーは、静かに目を瞑った。
それを見て、無意識に。
「エミリー」
そう、呟いていた。
俺は、止まらない。
止まることなど、出来ない。
エミリーは、もう目の前。
すると、ゆっくりと微笑んでくれた。
それを見て、体が自然と動いた。
俺が、執った行動は、俺の予想を遥かに超えていた。
キリト君が、今、ゆっくりと歩き出す。
顔は、戸惑い、不安、怒り、喜び。
色んな表情が混ぜ合わさったように見える。
けど。
けど、私の目に映るキリト君の表情は、喜びが一番大きい気がした。
これは、願望も入っているのかもしれない。
けど、それは、仕方のないことだと思う。
私が、ここにいる理由は、キリト君を、悲しませたい訳でもなく、不安にさせたい訳でもない。
喜ばせたい。
それだけの思いで、今、私は、この場に立っているのだから。
さっきとは、比べものにならないほど涙を流している。
嬉しい。
私のために、涙を流してくれるなんて。
でも、同じ気持ちだった。
キリト君が、私のために泣いていてくれているように。
私も、キリト君のために、キリト君のためだけに涙を流している。
心が温かい。
それでもまだ、満足できない。
じれったい。
キリト君が歩いているのを見て、そう思った。
同じ空間にいられるのに。
私の心は、この数秒で欲張りになったようだ。
抱きしめてほしい。
心の底からそう思う。
段々とキリト君との距離が迫ってくる。
キリト君が走り始める。
「はあ。はあ」
吐息が聞こえる。
可笑しいな、って思った。
いつももっと早く動いているだろうに。
いつももっと長い距離を走っているだろうに。
こんな、短い距離で息を上がらせちゃうなんて。
でもそれが、今、あと数歩で辿り着く私のために。
私のために、そんな息を上げている。
心の底から嬉しいと思った。
でも、瞬間。
キリト君の顔が、あの男と重なって見えた。
思わず目を瞑る。
恐怖が体を支配する。
全身が震えそうになる。
それでも。
「エミリー」
確かに、聞こえた、温かい声。
そう。
そうだった。
私は、エミリーだ。
恐怖は、消えた。
目を開ける。
キリト君は、もう目の前。
自然に。
また笑えた。
そして。
確かな、温かさが私を包みこんだ。
温かい。
これが、データだなんて信じられなかった。
今、この瞬間。
俺の、腕の中にある、この温かさだけは、本物だと思った。
「エミリー」
また、呟く。
そして、抱く力を少し強めた。
でも、カッコ悪いなと思った。
だって、俺の声は、情けないほどの涙声だったから。
すると、襲る襲るだが、確かに。
俺の、背中にも腕が回ってきた。
「会いたかったよ。キリト君」
聞こえる声は、涙声で。
それでも、とても嬉しそうで。
だから。
「俺もだよ。エミリー」
そう言って、全力で抱きしめた。
もう二度と離さないように。
温かい。
仮想世界では、感じることなんて出来ないと思ってた。
いや、こんな温かさは、現実世界でも味わったことなんてない。
「エミリー」
呟かれ、少しだけ強く抱きしめられる。
声は、涙声だった。
じっとしていられなかった。
この幸福感を。
もっと強く味わいたかった。
ゆっくりと、キリト君の背中に手を回す。
そして。
「会いたかったよ。キリト君」
紛れもない本心を告げた。
そんな私も、涙声だった。
「俺もだよ。エミリー」
私の、本心に対する気持ちは、言葉と、態度の両方で帰ってきた。
さっきの比じゃない力で、抱きしめられた。
とても苦しかったけど、もう少しこのままで、居させてあげようと思った。
だって、私もこのままで居たいと思っていたから。
会えなかった一週間の悲しみを、今、ここで埋めるように。
甘えん坊のキリト君と、甘えん坊の私は。
ずっと。ずっと。
抱き合っていた。
どのくらい時間が経っただろう。
私達は、ずっと抱き合っていた。
一時間かもしれないし、十分かもしれない、もしかしたら、本当は、一瞬だったのかもしれない。
そんな曖昧な時間を二人で、過ごしていた。
離れようとしたのは、キリト君からだった。
「あ、その、エミリーさん?」
「うん?」
キリト君の胸に顔をうずめながら声を出す。
「その、自分から抱き着いといて、何ですけど、そろそろ離れません?」
「え、どうして?」
キリト君の、言いたいことは、分かっている。
それでも、分からない振りをした。
徐々に、腕の力を抜いていくキリト君。
それを、引き止めるため、ドンドン力を強めていく私。
「っ。やっぱり、これ恥ずかしいからさ。ね?」
同意を求めて来る声は、弱弱しい。
でも。
「もう少しだけ。お願い」
私は、まだ。
まだ、このままが良かった。
「っ。ああ。もう!」
恥ずかしいのだろう。
私だってそうだ。
でも、キリト君は、私の気持ちを尊重してくれた。
さっきのように。
力強く抱きしめてくれた。
「ふう」
思わずため息を吐いてしまう。
「ふふ。そんな溜息吐くほど緊張した?」
「あ、当たり前だ!」
「じゃあ、嫌だったの?」
答えなんて、分かりきってるくせに、エミリーは、悪戯っ子のような笑みを浮かべながら聞いてくる。
「い、いや。嫌じゃなかったよ」
照れくさくなり、頬を掻きながら答える。
すると。
「うん。私もだよ。ううん。嫌じゃなかったじゃなくて、嬉しかった。」
そんな、爆弾発言をして、俺を照れさせてきた。
「っ。そ、それならよかったです」
「うん」
きっと、俺は、エミリーには、敵わないんだろうなって、この時思った。
でも、それでもいいとも、思った。
「「………」」
キリト君を、からかった後、私達の間に、訪れたのは、沈黙だった。
お互い、話したいこと、言いたいこと、それは、たくさんある。
でも、それ以上に、気まずい空気が漂っていたのだ。
それも、そうかもしれない。
だって、私とキリト君がこうして会うのは、今日で二度目なのだから。
この一週間、ずっとキリト君のことを考えていた。
だから、キリト君の存在が、私の中では、近くなったように感じていた。
でも、実際には、遠い。
それは、今、この空間を支配している、気まずい空気が証明してくれていた。
何か、話さなきゃ。
でも、そう考えれば、考えるほど、言葉は、出てこなくなった。
だが、突然。
「はは。何か懐かしい」
「え?」
キリト君が、微笑んだ。
「初めて会った時も、こんな空気になったなって思ってさ」
「あ、ああ、確かにね」
思い出す。
確かに、あの時と、同じような空気だ。
「俺さ、この一週間ずっとエミリーのこと考えてた」
顔を、赤くしながら。
それでも視線は、真っ直ぐに、私を射抜いていた。
「うん。私も」
「そっか。何か照れるな」
確かに、照れる。
でも、私には、それ以上に大きい気持ちがあった。
「でも、それ以上に嬉しい。キリト君と同じ考えを持っていられたことが。そして、キリト君が私のことを考えてくれていたことが」
これだけは、伝えたかった。
すると、キリト君は。
「あ、うん。俺もだよ」
照れながらも、同意してくれるのだ。
「ふふ。嬉しい」
それを見て、私は、また幸せな気持ちになるのだ。
いい雰囲気だと、思った。
エミリーと会ったら伝えたいこと、話したいことが、沢山あった。
でも、今、ここで、話すのは、ちょっと厳しい気がした。
だから、もう一度勇気を振り絞ってみようと思った。
自分でも、理由は、分からないが、エミリーを前にすると、
動悸が早くなる。
落ち着かなくなる。
でも、ずっと一緒にいたいって思う。
だがら、今、ここで、勇気を振り絞る。
「エ、エミリー!」
「うん?」
思った以上に大きい声が出た。
それに、裏返ってしまっている。
でも、止めるわけには、いかない。
「い、今から、食事でもどうかな?」
精一杯の勇気を振り絞った結果だった。
「い、今から、食事でもどうかな?」
まさか、キリト君から、そんなお誘いが来るとは、思わなかった。
「うん。行こうか」
でも、答えは、すぐに出た。
「ほ、本当に!?」
「うん。もう、キリト君が驚いてどうするの?」
「あ、ああ。それもそうだな」
照れ笑いを、浮かべながら言う。
それは、とっても可愛らしい表情だった。
「で、どこに行くの?」
疑問を投げかける。
すると、キリト君は、困ったような表情を浮かべて言った。
「エミリーの家じゃダメかな?」
「え?」
今回は、私が驚く番だった。
「ど、どうぞ」
「お、おじゃまします」
家に、招く私も戸惑い、招かれる、キリト君も戸惑う。
結局、私たちは、ご飯を食べるために、私の家に移動した。
改めて、思う。
私の部屋は、お客を招くのには、向いていないことを。
木造建築の家は、部屋も木で出来ている。
あるのは、黒のベットと、黒の机と、黒の椅子。
女の子として、どうなのだろうと、思わずには、いられなかった。
「うん。綺麗じゃん。家具も黒だし、何かアンティークぽくていい」
しかし、部屋を見たキリト君の口から出てきたのは、予想とは、違うものだった。
「あ、ありがと」
「いえいえ。やっぱり、エミリーは、黒好きなの?」
「うん。何か落ち着く」
「趣味合うな」
「ふふ。そうだね」
やっぱり、思う。
キリト君は、とっても優しい。
「じゃあ、キリト君。キッチンは、こっちです」
「おう」
キッチンに案内する。
それほど、立派な道具がある訳じゃないけれど、問題はない、はず。
そして、改めて、考える。
ラグーラビットの肉。
それを、どう調理するべきか。
話を聞いた時からずっと考えてる。
「エミリーの家じゃダメかな?」
「え?」
俺の言葉に、エミリーは、分かりやすいほど困惑している。
だが、引く訳にもいかない。
「実はさ、俺今ラグーラビットの肉を持ってるんだ」
「え!?本当に!?」
流石の食い付き様である。
「ああ。だからこれを、エミリーに料理してもらいたいなって」
正直に告げると、しばらく考え込むような表情をする。
それでも。
「うん。いいよ。頑張ってみるよ」
笑顔で、了承してくれたのである。
目が釘付けになる。
理由は、分からないがキッチンで料理をしているエミリーから、目が離せない。
エミリーは、防具を外している。
格好は黒のワンピース。
その上に、フリフリの可愛い白のエプロン。
それが、実に似合っているのだ。
椅子に、座りながら見る。
笑顔で、作っているエミリーは、やっぱり可愛い。
ここで、ふと。
まるで、新婚夫婦のようだ。
そんなことを考えてしまった。
ガッシャーン。
リビングから、凄い音がしたので、そちらに目を向ける。
「ど、どうしたの!?キリト君!」
「あ、ああ。何でもないよ」
何でも、ないようには、見えなかった。
座っていた、椅子は、倒れ、そして、机も倒れている。
「「………」」
疑う視線の私と、それを逸らすようにしているキリト君。
何とも言えない空気が漂っている。
そんな中。
ジリリリリリ。
クッキングタイマーが盛大な音を、発した。
「おお!スゲー!」
素直に喜んでくれているキリト君。
それを見ると、嬉しくなる。
何となく、鍛えていた料理スキル。
それが、まさか、こんな形で役に立つ時が来るとは。
「食べていい?」
「うん。どうぞ」
「いただきまーす!」
ジッとみる。
ドキドキする。
不味いって言われたらどうしよう。
そんな考えが、広がっていく。
でも、そんな心配をする必要は、なかった。
「うん。上手い。本当に」
しみじみとした言葉だった。
それが、逆に嬉しかった。
「よかった」
「エミリーも食べてみろよ」
「うん」
二人仲良くご飯を食べることが、こんなに幸せだとは、思わなかった。
エミリーの特性シチューを、食べ終えた俺たちは、お茶を飲んでいる。
このお茶も、エミリーが淹れてくれたものだ。
「ふう。落ち着く」
「うん。落ち着くね」
安らかな時間が、俺たちの周りに流れている。
ずっと、永遠に続くかに思えるほど優しく、温かい。
今だけは、攻略のことや、現実のことを考えるのは、嫌だった。
代わりに、考えているのは、今、俺の前にいる女の子のこと。
「なに?ずっとこっち見て」
「ううん。なんでもない」
「そっか」
無意識に、見てしまっていたのだろう。
これで、決心した。
「なあ。エミリー。無理にとは、言わない。嫌だったら答えなくていい。聞きたいことがあるんだ」
考えれば、考えるほど。
近づけば、近づくほど。
エミリーのことが知りたくなる。
だから、聞いてみる。
「教えてくれ。エミリーのこと」
真っ直ぐ、真摯な気持ちで。
どんな返答でも、受け入れる。
そんな、決意を胸に秘めて、俺は、聞いた。
怖かった。
私の、本質を知られて、キリト君が、離れて行ってしまうのが。
でも、キリト君の声は、目は、真剣で。
「教えてくれ。エミリーのこと」
真っ直ぐな、言葉。
真っ直ぐな、意思。
私の全てを、受け入れようとしてくれている。
それを、感じて。
私は。
3話目書き終わりました!
今回は、再開の話でした!
前の話より、語り手が、キリトになったり、エミリーになったりで忙しいことになってしまいました。
それでも、二人がどういう気持ちで、お互いを見ているのかが分かってもらえたら嬉しいです。
そして、暗い過去がありそうな、エミリーは、キリトの質問にどう答えるのか、そこにも注目してもらえたらもっと嬉しいです!w
それでは、感想などなど待ってまーす ←気持ち悪い。