ソードアート・オンライン 黒の剣士と赤の少女 作:相馬エンジェル梅太郎
お久しぶりです。ww
全然投稿していませんでした。ww
サボってました。マジごめんなさい。
今日からまた、頑張りますので読者の皆様戻って来て下さい(切実
2015年はしっかり投稿していくので、よろしくお願いします!
覚えてない。
どうやってここまでたどり着いたのかが、分からない。
それほどまでに、無茶苦茶な夜を過ごしたと今になって思う。
気づけば自分の部屋にいて、体にはとてつもない疲労感が襲ってきていた。
最後の気力を振り絞って、ベットまでの短い距離を歩く。
そのままベットに倒れこむ。
装備を服装もそのままに。
それでも構わず目を瞑る。
瞬間浮かんできたのは、コーバッツの死に怯える表情でも無く、エミリーの顔でも無かった。
「ごめん。アスナ」
瞼の裏に映った彼女の顔が、離れない。
泣かせた。
それでも仕様が無かった。
俺も俺で一杯一杯だったんだから。
そんな無責任な責任放棄をして眠る。
不思議とエミリーのことは、全く考えなかった。
「はあ。はあ。はあ」
息が上がる。
「はあ。はあ。はあ」
それでも走るのは、辞めない。
「はあ。はあ。はあ」
だって今ここで止まってしまったら、俺は二度と走れない。歩けない。立てない。
自分の感情に任せて人を殺した。
殺した。殺した。殺した。
死に怯えたコーバッツの表情は、巨大な悪意となって俺をむしばんでいる。
今止まれば、今後ろを振り返れば。
そこにはきっと。
「キリト君!」
「ッ!」
反射的に剣を抜く。
全身から殺気を出す。
相手が来るならその前に、そいつを。
「どうしたの?キリト君」
けれど予想とは違う反応。
それに声。
その声があまりにも優しくて。
その呼び名があまりにも嬉しくて。
赤毛の少女が迎えに来てくれたのでは、と考えてしまう自分が憎らしくて。
目の前の少女が凄く、不快な人に感じてしまった。
「いや。何でもない。アスナこそどうした?」
不快感を隠すことなく、言葉に乗せる。
「え?いや、ボス攻略の時のキリト君が心配だったから、フレンドリストで見てたら凄いスピードで走ってるんだもん。何かあったのかと思ったから来てみたの」
笑顔で語るアスナ。
いつもなら出てくる言葉も、今は出てこない。
「いや。俺なら大丈夫だから」
本心からの言葉で告げた。
なのに。
「それは嘘」
「え?」
凛とした声に、気持ちが否定された。
「分かるよ、キリト君が大丈夫じゃないってことくらい」
少し微笑んで、淡々と告げるアスナ。
それを聞いて目頭が熱くなって、喉の奥がどうしようもなく、痛くなった。
そして沈黙が訪れた。
お互いに話さない。
けれど。
「始まりの街に行こう。キリト君」
表情は変わらないけれど、声のトーンで言いたいことが分かった。
「ああ。分かった」
ゆっくりと歩き出す。
決して隣にはならない。
合わない歩幅。
合わない足音。
それを見て、それを聞いて。
アスナは悲しそうに笑った。
黒鉄宮。
巨大な石碑。
その前に二人で立つ。
向かう視線は同じ。
そこには。
ko-battsu
その文字が横線で消されていた。
「殺したの?」
視線は変わらず、石碑に向いたまま。
「ああ。殺した」
淡々と真実を告げた。
「そっか」
顔は見ない。決して見ない。
けれど声で分かってしまう。
俺とアスナは共有しているものは、少ないのに。
お互いに相手の本質を理解し合える二人だったと思う。
少なくとも俺はそう思っている。
だから。
この言葉は俺から。
俺が言うべき言葉だった。
「俺はコーバッツを殺した。それは自分のためでもあるけど、ある一人のためでもある」
俺の独白をアスナは黙って聞く。
視線は俺に向いている。
それは分かっているが、俺は決して見ない。
「これは俺の勝手なお節介だ。その人に頼まれた訳でもない。第一そんなことを頼むような人でもない。けど俺はやった。勝手にやった」
そこまで話して、初めて視線を別の方へ向けた。
emily
一時期毎日見に来ていた。
その名前を見て。
もう二度と会うことのないその名前を見て。
「こんなお節介をやこうと思う人は、その人以外には絶対にいない」
はっきりと告げた。
胸に押し寄せるの感情は、よく分からない。
けれど今ここで。
俺が泣くのは間違っている。
それだけは分かったから、あふれ出ようとしてくる感情をどうにか押し留めた。
再び訪れる沈黙。
けどその破られ方は、俺の予想からは大きくはずれていた。
「キリト君。私。キリト君のこと好きだよ」
「え?」
思わずアスナの方を向いてしまう。
アスナは泣き笑いのような表情で続けた。
「私達って今思うと、凄い変な関係だったと思う」
「変な関係?」
「そう。変な関係。互いのことを大切に思っているのに、互いのことを知らないからその伝え方が分からない。なのに、必要以上に自分の近くには入れたくない。近づきたいって感情より先に、本当の自分を知られるのが怖かった」
アスナの言いたいことが、何となく分かった。
「でも私達はお互いを近くには入れようとしないのに、相手の近くに自分以外の誰かがいるのにとてもじゃないけど耐えられない。そういう関係だった」
「ああ。そうかも知れない」
本当にアスナの言う通りだった。
でも。
「でも今は違うんだよね?キリト君」
真剣な目。
本当の気持ちを伝えなきゃいけない。
「ああ。今は違う。変わったんだ。心の中での立ち位置が」
「そっか」
ふわりと、柔らかい笑みを浮かべる。
俺の好きな顔だ。
いや。
好きだった顔だ。
「キリト君。好きです。大好きです。私とお付き合いしてください」
甘美な響きだ。
けれど、俺は。
「俺はずっと、ずっと、ずっと。ずっとアスナのことが好きだった。でも今はアスナより大切な人が出来たんだ。俺がアスナに抱いていた感情とは少し違う。俺はアスナの綺麗なとこだけしか知りたく無かった。君が綺麗だって知っているつもりだったから。でもその人は。アスナよりも綺麗じゃないかもしれない。汚いところ。醜いところ。酷いところ。悪いところ。そういう負の部分も全て受け入れたいって思ったんだ。だからごめん。俺はアスナとは付き合えない」
思いっきり頭を下げる。
でも。
「そっか。分かった」
明るい声が返ってくる。
「キリト君。頭を上げて」
言われるまま頭を上げる。
アスナは笑っていた。アスナは泣いていた。
けれど明るい声で。
「その人のこと幸せにしてあげてね」
きっと俺はアスナのこういうところに惹かれたのだろう。
そして同時にこういうことろに甘えていたのだろう。
だから。
「ああ。もちろんだ」
アスナに頼るのはもう辞めにすることに決めた。
目が覚める。
身体がとても重い。
不思議に思って、辺りを見回す。
そこにはいつも寝ているベットも無く、枕も無かった。
「玄関?」
私は玄関で寝ていた。
そして、現状を理解して。
唐突に思い出した。
昨日の夜を。
もう会うことの叶わない彼のことを。
「キリト君」
目頭が熱くなる。
涙が溢れる。
我慢しようとすれば、するほど。
溢れてくる思いはそれ以上で。
「うわあああああああ」
泣いた。泣いた。泣いた。
昨日あんなに泣いたのに。
それでもまだ私は泣き続けている。
コンコン。
ドアをノックする音が聞こえる。
でも、動けない。
動こうと思わない。
無気力。
それが今の私を表すのに、最も適した言葉。
それでも。
「エミリー。私だよ。開けて」
親友の声には、流石の私を動き出す。
ドアを開ける。
「エミリー」
カリンの顔は蒼白だった。
私よりも顔色が悪いかもしれない。
人のためにここまで出来るカリンは、本当に素晴らしい人だと思う。
そして同時に自分が酷く意地汚い人間に思えた。
「カリン。そんなとこに立ってないで、上がったら?」
無理をして、取り繕う。
全部知ってるカリンの前で、無理する必要があるのかは謎だが今はそうしたい気分だったのだ。
それでもカリンは動かない。
でもこれ以上頑張るのは、辛くてカリンに背を向けてリビングに向かおうとした時。
突然抱きしめられた。
「どうしたの?カリン」
とても強い力で抱きしめられる。
抵抗しても、全然無駄。
でも。
「ごめんね。エミリー」
「え?」
この一言で抵抗する気など消えた。
「私が、私がコーバッツを殺していれば」
「辞めてよ。そんなこと言わないで」
いつもより物騒なカリンに驚く。
どんなことがあっても、カリンは殺すなんて言う子じゃない。
だって過去にも言ってるところなんて見たことがない。
最後の一歩は必ず踏みとどまってしまう子だった。
けど今日のカリンは違う。
自分の中の正義感と戦っている。
だってカリンの両手が今はとても震えている。
いつもと違うカリンに、戸惑う。
そして胸に焦燥感が広がる。
「どうしたの?カリン。何があったの?」
カリンを問い詰める。
カリンが息を飲む。
相変わらずこの子は隠し事が下手だ。
そして。
腕の力を少し強めて。
「コーバッツが殺された」
「え?」
世界が止まった気がした。
異様な光景だった。
私の家なのに私の家じゃない。
そんな感じ。
たった一人。
たった一人。
アスナさんがいるだけで、自分の家がまるで別の家のような錯覚を受ける。
佇まいから見ても完璧だった。
こんな人とキリト君はずっと一緒にいたんだ。
それが妬ましい。
そしてそんなことを考えてしまう自分が本当に嫌になる。
「じゃあ昨日あったことを話すね。全部は話せないけど、話せることは全部話す。けど一つだけ約束してほしいことがある」
「約束ですか?」
「そう。約束」
微笑みながらアスナさんは、右手の小指を差し出して来る。
「分かりました」
そう言って私も右手の小指を差し出す。
「約束は、キリト君のことを待ってあげてほしい。」
彼のことを待つ資格なんて私にはありません。
その一言が口から出るのを、抑えるのに必死だった。
止まった世界が動き出す。
「コーバッツが殺されたってどういうこと!?」
カリンの腕を振りほどき、大声で問いただす。
けれど泣きそうなカリンの表情を見ると、それ以上強くは言えなかった。
「ねえ。カリン。教えて。コーバッツは誰に殺されたの?」
優しく問いただす。
けれど、カリンは泣いているだけで答えない。
すると。
「お邪魔します。エミリーさん」
「え?」
僅かに開いていたドア。
そこから入って来たのは。
「アスナさん」
アスナさんは、ゆっくりと口を開いた。
「詳しいことは私からお話します」
アスナさんをリビングに通して、指切りをしてから時間が少したった。
けれど、アスナさんは話そうとしない。
けれど、それをこちらから問いただす雰囲気でもない。
そんなじれったい時間が流れていた。
でも、その時は訪れた。
「話す前にエミリーさんに聞きたいことがあります」
「はい」
真剣な表情。それに目。
敵わないと思った。
いつも自分にも他人にも誠実で、明るく、人望もある。
そんな私とは真逆の人間が目の前にいる。
そんな彼女の口から紡がれる言葉を待ちながらも、聞きたくない自分もどこかにいる。
けれど、アスナさんは止まらない。
紡がれた一言は。
「あなたはキリト君のことが好きですか?」
あまりにも幼稚で、けれど美しい言葉だった。
そんな真っ直ぐな言葉に対して、答えをはぐらかすのは間違っている気がした。
だから。
「はい。愛しています」
アスナさんの目を真っ直ぐ見て、決して本人には伝えられない言葉を伝えた。