死ぬまで踊れない   作:スナエ

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追悼

“光栄に満ちた聖ヨゼフ、マリアの幸せな浄配よ、世の救い主イエズスの保護者に選ばれたあなたは、御子を抱いて、天の楽しみを前もって味わいました。

わたしのために罪の完全なゆるしと、あなたの善徳にならう恵みを取り次いでください。

わたしがいつも天国への確かな道を歩めますように。

あなたが臨終の時、イエズスとマリアに守られてやすらかに息絶えたように、わたしの臨終の時にも、敵の手に陥らないように救いの手をさしのべて見守ってください。

天国であなたとともに永遠の光栄にあずかる希望に満ちて、イエズス、マリア、ヨゼフの尊いみ名を呼びながら、息絶えることができますように。アーメン”

 

聖ヨゼフによい死を願う祈り

 

◆◆◆

 

 心の中みたいな、真っ黒な喪服を着て、参列する。

 親友のラウーロの葬式は、粛々と進んでいく。

 俺は、泣くことすら出来ないでいた。

 せめて、彼が安らかに眠れるように、と。神に祈り、俺は唇を噛み締める。

 墓標に刻まれた名は、確かに俺の親友で。深い悲しみに包まれた。

 墓に、白百合の花束を供える。

 なあ、俺が、お前のこと好きだって言っていたら、どう返事をした?

 答えのない問いに、意味などない。

 この想いは、一輪の花のようだ。ラウーロが種を植えて、勝手に育ってきた。お前なしでも、花は枯れずに咲いている。ひとりぼっちで。

 俺は、社会福祉公社作戦部2課に所属を変えるつもりだ。義体の少女を預かり、少しでもお前に近付きたい。もう手続きは済んでいる。

 俺の兄弟となる少女の名前は、カルメン。きっと、条件付けのせいで、俺に恋慕のような感情を抱くであろう少女。

 俺は、彼女をどう扱うのだろう? 道具? 妹? 別の何か?

 今はまだ、分からない。

 ひとりきりになった墓地で、親友に話しかける。寒風が、俺の体を撫でた。

 

「ラウーロ。俺は、エルザを妬んでいる。お前と一緒に死んだ少女を、羨ましく思っている。はぁ。こんなこと言われても困るよな。俺は、舞台を降り損なったつまらない役者だよ」

 

 舞台の上に置き去りにされて、踊ることもままならない男。

 悲しい花を心に持つ、哀れな男。

 お前が死んでから、自分の恋に気付くなんて、愚かだ。

 俺に救いが訪れるとしたら、それは“死”だけだろう。

 いつか、その時が来たら、お前の元へ行けるか?

 少女を戦わせる俺たちは、地獄行きだろうから、きっと会える。

 再会出来たら、この想いを告げられるだろうか?

 言えないな。俺はカトリックだから、この気持ちが罪深いものだと考えている。

 ただの親友として、お前に会いに行くよ。

 俺は、カルメンを地獄へ向かう切符にする。こんな人間は、ろくでもないよな。

 主よ、俺を地獄に落としたまえ。

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