俺の場合、そんな“あり得ない事”が二つ同時に やって来たがな…
その あり得ない事 ってのは、まず“幻想入り”、それから“能力の発現”。
そんな事 以外にも、幻想郷の“みんな”との出会い、闘い といった、様々な出来事もあった。
"東方創造人"としての物語がコレに繋がる今…
また俺は新たな出来事に遭遇して行く……
ーーーーー非常識とは皆、何だと思うだろうか?
本来常識である事柄の反対や、実際には あり得ない事や行動を表すのが“非常識”だ。
では、幻想郷と謂う地で“非常識”とは何か?
それ等の答えは今、晃太と優が知っている。
「……優さん」
「何だ?」
「……いつから此処に居た?」
「つい30秒前だ」
「じゃあ優さんはいつから飛んでる?」
「つい30秒前から今にてずっとだ」
そう、答えは『“幻想郷”は全てが"非常識"』である。幻想郷では“非常識こそが常識”なのだ。
【2章】
〔知らされた“力”と目醒めた“力”〕
晃太と優が今居る場所ーーそれは、人里から離れた道では無く、周囲を無数の"目"が囲う不気味な空間であった。
驚きを通り越して最早通常の晃太とは対象的に優は割と冷静である。
その表情は まるで見慣れた光景を見るかのように、そしてその眼はあらゆる修羅を目の当たりにして来たかのように…
他の人間とは違う圧倒的な“凄み”が優にはあった。
暫らく宙に浮いていた晃太と優の真下に突然エネルギー質の足場が出現し、優は自分と共に晃太を足場へ降ろした。
「足場があれば、飛ばなくても済むだろ?」
「そうですね、足場さえあれば優さんにわざわざ持ち上げてもらわなくてもーーって、はいぃ?」
晃太の脳内に疑問符が打たれた。優の その言動は明らかに“自分が足場を"つくった"”と言う事を示している。
「……まさか、優さん?」
晃太は“まさか”と思いながら優に声を掛けるが、優は晃太の方を向きながら笑顔で言葉を口にした。
「気が付いたか、晃太。そうーー俺が この足場を"創り出した"」
まさしく、それは晃太の“まさか”の事実だった。
不気味な空間に居ても平然とし、尚且つ空まで飛ぶ時点で晃太は思っていた。
「だが、この空間は違うぜ。この空間は奴だ」
優は不気味な空間の真上を指差す。晃太が優の指差した方向を見上げると、なんと驚く事に八雲 紫の顔が浮かんでいたのだ。
「えッ……⁉」
その光景の あまりの気持ち悪さ晃太の顔が勝手に引き攣る。一方の優は口元を緩ませて笑顔だ。
顔だけで浮いている紫は不気味な笑顔で晃太と優を見降ろしながら喋り出す。
「ようこそ、私のスキマへ。居心地は如何かしら? 晃太くん?」
紫は晃太に問い掛ける。が、晃太は紫のあまりの不気味さに言葉が出ず、ただその場に佇むだけ。
「俺が代わりに答えよう。最高に気持ちが悪い、吐きそうだ ってよ」
怯える晃太を見た優は、晃太へ近づきながら紫を見上げつつ、代わりに言葉を放った。
「あら、随分 気に入って頂けてるようで何よりだわ。ところで優、まだ彼に あなたの
そう言うと、紫の顔は消失し、代わりに空間内の無数の目が一斉に優と晃太を凝視する。
直後、晃太は怯えたまま硬直し、まるで石のように“動けなく”なり、優は無数の目を睨み返すが如く目が鋭く、笑みが
瞬間、無数の目がビームを大量照射し出した。それと同時に優は晃太の周りに鏡のようなバリアを張り、無数の目に向かって一気に飛び出した。
優は手元にエネルギー質の槍を創り出し、大量のビームを軽々と
切り裂き、突き刺し 貫き、はたまた蹴ったり殴ったり、優は
「さすがスキマ、キリが無いし面倒だから、そろそろ逝っとくかぁ」
そう言うと優は自身のズボンのポケットから短冊状の紙札を取り出すと、突如紙札が光りを放ち始めた。そして優が唱える…
「槍雨『スピアスコール』!」
優が唱えた直後、紙札が消えて無くなり、同時に優はエネルギー質の槍を真上に向かって思い切り投げ放った。
次の瞬間、真上から無数の槍が まるで“雨”のように不気味な空間内全体に高速で降り注ぐ。無数の槍は空間内の目を全て貫き、あっという間に一掃してしまった。
一方の晃太はバリアの中で正気に戻っていた。だが、今まで優が闘った光景は正気じゃなくても しっかりとその目で見ていた。
「さて、
優は面倒事を やっと終えたかのように言葉を口にし、晃太の方へゆっくりと降り、晃太を覆っていたバリアを消した。
周りのバリアが消えた直後、晃太は膝から崩れてしまった。
晃太は思っていたーーもう何もかもが
暫らく経過した後、晃太と優は元の“人里から離れた道”に戻ってきた。呆気に取られた晃太は瞬きをしながら立ち上がり、自分の頭を数回叩く。
「落ち着きを取り戻そうと必死なところ悪いが、さっさと先を急ごうぜ。心配すんな、いつか慣れるさ」
優は実に あっけらかん とした様子で既にヘロヘロな晃太に声を掛けた。だが、幻想郷へ来たばかりの晃太には少々無理があり過ぎるのであった。
そんなこんなで、優と晃太は八雲 紫の家へとやって来たのだが、立派な御屋敷にしては それらしき妖しい雰囲気は全く無い。
「いらっしゃい」
後ろから声が聞こえた晃太は素早く振り向き、逆に優は僅かに後ろを見る。優と晃太の視線の先には紫一色のドレスを着た紫が立っていた。
「お出迎えどうも。何だか妖気が いつもより“妖しく”なってんな、お前」
「当たり前よ。だって"力を解放する"って言うのは それなりの事なんだから」
優と紫の会話に対し、晃太は無論チンプンカンプン。それどころか、紫の顔を見ていたら不気味な空間を思い出してまた顔が引き攣る。
紫は優と晃太の間を抜けて行き、自分の家へと歩いて入って行く。晃太と優も紫の後を付いて行くように紫の家へと入って行った。
紫の家は実に立派だが、それは気付けば何処にでもありそうなただ普通に立派な家。その家の縁側に紫は居た。
優と晃太は紫の家の縁側へ歩み寄った。
「来たぜ、紫。話ってなんだ? …って、さっきの事が用か」
優は既に紫の これから行う事に既に気付いていた。会った時の様子、妖気、恰好、そして言葉で悟っていた。
「そうよ、用って言うのはーーこれよ」
立ち上がりながら優の言葉に答え、晃太に近づいた紫。次の瞬間、紫の眼が赤く染まり、晃太に向かって空間の切れ間を飛ばした。
気付けば晃太は再び無数の目が存在する不気味な空間に居た。すると不気味な空間内に紫が“全身ちゃんと”現れた。
「な、何をするつもりですか?」
「あなたの力を解放してあげるのよ。これから先、あなたの弱い力では生き残る事は出来ない。だから、あなたの奥底に眠る力を目覚めさせるの」
と、紫は右手を前に出し 開いて捻った瞬間、晃太の身体に異変が起こった。晃太の全身に“風”が集束し出し、次第に晃太の体が光を帯び始めた。
「ああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁああああああああああああああああああああああああああああああああああーーーーーッッッ!!!!!」
光を全身に帯びた晃太は、集まった力を内側から一気に爆発させた。発せられる轟音と
暫らくして、放出したエネルギーが徐々に鎮まり始め、晃太の体は失った分のエネルギーを周囲から吸収し始めた。すると晃太は紫の目を見つめた。
晃太からの強烈な威圧を全身で受け取った紫は額から汗が流れ出す。直後、晃太の瞳が紫色に染まり、すぐに元の黒に戻った。
紫は晃太と自分をスキマから出し、優の居る紫の家の縁側に出た。スキマから出た晃太は跪いて息を荒くして全身から汗を流す。
「はぁ、はぁ……」
何なんだ今のは……まさか今のが俺の力だと言うのか? これが、俺の力…
晃太は自分の両手を まじまじ と見つめ、そっと立ち上がる。そこへ紫が晃太の目の前まで近づき、こう言った。
「それがあなたの力、“無双を扱う程度の能力”と“力を繋ぐ程度の能力”。あなたは幻想の"無双人"よ」
「無双人か、じゃあ俺の二つ名と並ぶな」
紫の後に優が晃太に近づき、右手にエネルギー質の長槍を創り出して、地面に突き刺してから口を開いて告げた。
「俺の能力は"創造する程度の能力"。二つ名は"創造人"だ」
なかなかおもしろいだろ? と言葉の後に優は言い、直後に紫が優と晃太に声を掛けた。晃太と優は紫の方を振り向く。
「私からの用は済んだわ。後は あなた達が“零のスペルカード”、"はじまり"を探して、無事 私に届ければ、あなた達のやる事も終了するわ。手掛かりは私でも掴めないから、それ等は全てあなた達二人で頑張ってね」
そう言うと、紫はスキマの中に入り、優と晃太を残して消えた。まだ何がなんだか掴めない晃太に優は肩を叩いて言う。
「取り敢えず、ゆっくりと行こうぜ。焦って探す必要は無いんだしさ」
優は軽く言葉を口にし、伸びをしながら紫の家から出る。そんな優の気軽さ や 能天気さ に対し、晃太は思った…
ホントーー羨ましいよ、その性格…
と…
続く
能力を明かした優。それは“創造の力”
能力を発現した晃太。それは“無双の力”
次回、いよいよスペルカード探し
「手掛かりが無いなら虱潰しだ!」
「いや、待って優さん! その場所 明らかに危なそうだけど⁉」
また次回