メハラの救い   作:koasimitekara

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episode2 翼はなくとも 後編

ゴマさんと私は歩く彼女の後ろ姿を追いかけた

 

 

「どこかに向かうんですかね」

 

「いや何もわかんねえ、あれが目標かどうかも。ただ離れるんじゃないぞ、わかったな」

 

さっきまでとは一変して二人にはただならぬ緊張感が漂っていた。

 

彼女は改札をくくり駅のプラットホームに向かった。

それに私たちも続く。

彼女を見失わないように必死に彼女を追いかけた、先ほどまでの暑さも忘れて。

 

 

「電車まもなく到着します。黄色い線の内側にお下がりください。」

 

少しして到着した電車に彼女は乗り込んだのが見えた。

電車に乗るときに初めて見せた彼女の横顔が見えた、それはウゴウさんに渡された写真の儚げにうつろの目をした彼女そのものだった。

「ゴマさん、、、、!!!!!」

私は最小限に声を絞ってゴマさんに伝える

 

 

「間違いない、あれは目標だ。」

 

「私たちも電車に、、、!」

 

しかしゴマさんはすぐには電車に乗らず立ち止まった、ゴマさんは迷っている、きっと私がいるからだ。

 

 

 

 

「まもなくドアが閉まります。駆け込み乗車はおやめください。」

 

 

気の抜けたアナウンスが流れる、時間がない

「ゴマさん、私大丈夫、、、」

なにがどう大丈夫かもわからずとにかく私はゴマさんにそう言った。

 

 

 

「何か起きたら舞はすぐに逃げろ」

ゴマさんは決心した表情で私にそういって、二人で電車に乗り込んだ

 

 

彼女は車両の先頭のほうまで行って立っていた。私たちは違和感の内容に車両の後ろの方の席に私が窓側、ゴマさんが通路側にになるように座った。

 

 

「この電車は、まもなく発車いたします。ご注意ください」

 

ドアが閉まり地方に向かうその電車は二人の心境を気にも留めずいつも通りに動き出した。

 

「地方に逃げて隠れるつもりでしょうか」

「わからんがどのみち逃げ場はない。慎重に行くぞ」

二人はできる限りの小声で話した。

 

 

 

一般の乗客もそこそこにいる状態で目標にアクションを起こすことはためなわれた。

このまま一人になるところまで追跡して暗殺するのが一番いいと判断したんだろう。

状況は変わらないまましばらく綿たちは電車に揺られた。

 

 

 

しかしその膠着状態の中先に動いたのは目標である彼女だった。背をみけて立っていた彼女はゆっくりとこちらのほうに振り替えった。

 

一瞬目があった気がした。

その動揺が表情に出ないように私はポーカーフェイスを装う。うまく隠せていたかわからないけど

 

 

二人は息をのんだ。私は横目にゴマさんに目を向ける。ゴマさんはまだ動こうとはしなかった。

私たちの顔を彼女は知らないはず,ならこちらから情報を与えることはまだしないと判断した。

 

 

今少し先にいる少女は今回の暗殺の対象で間違いない。

 

 

 

 

その時彼女はおもむろにポケットから何かを取り出しこちらの方向にゆっくりと歩き始めた。

 

 

そしてーーー

 

パンッ

 

 

 

乾いた音が電車内に鳴り響く、もちろん銃声は私たちの鳴らしたものではなかった。

彼女は突然、座っていた乗客の一人を撃ち抜いた。

 

車内は当然パニック状態になった。私にもゴマさんにもすぐには状況が呑み込めなかった。

 

彼女は止まることなくこっちに向かって歩いてきながら一人、また一人と乗客を撃ち抜いていった。

逃げ惑う乗客、席の足元に身を隠す乗客、パニックを起こす乗客、動きは三者三様であったが彼女は冷酷に淡々とその一人一人を撃ち抜いていった。

 

しかしゴマさんはまだ動かなかった。私たちの座った場所は車両の後ろの方でそこはパニックになった乗客たちが狭い扉に群がり人だかりとなっていた。

そのため私たちは簡単に動けなかったのだが、ゴマさんが動けないのは私が窓側に座っていたことも大きかった。

 

また一人また一人と彼女は乗客を撃ち抜いていく。

 

 

ゴマさんは隙をみて銃を構える。

 

 

彼女が乗客の一人を撃った瞬間、ゴマさんはに向けて銃弾を放った。

 

ゴマさんは機関の中でも射撃を得意とする方だった。

この距離で

 

しかし現実は残酷にも、弾は空を切った。

ゴマさんの狙いが悪かったわけでは決してなかった。

 

訓練では想定されていない動き

彼女はその場で宙返りをして弾を躱した。まるで重力を無視するかのように

そしてそのままゴマさんの脳天に銃を撃ち返した。血を流しながその場に倒れるゴマさん。

 

ゴマさんが死んだ

 

この状況を理解することは今の私にはできなかった

 

私は一連の動きを舞はただ見ていることしかできなかった。

体がうまく動かない、腰が抜けて席から立つこともできなかった。

目の前でゴマさんが殺された、さっきまで普通に会話していたのに

帰りにアイスを買って、またいつもと同じような生活が続くはずだったのに。

 

 

彼女は混乱する車内を気にも留めずまっすぐもう動くことのないゴマさんの元まで歩いた。

そしてゴマさんのカバンやポケットを漁り、何個か物を抜き取り自分のポケットにしまった。

 

私の手には銃が握られていたが体は恐怖と混乱で金縛りのように動かなかった。

一メートルもしない距離に彼女がいるのに

彼女は私の手にある銃を目にし、私がゴマさんの仲間であることを確認し私のそばまで近づいてくる

 

 

あぁ私もここで殺されるんだ。

ウゴウさんは悲しんでくれるかな

 

死に直面して私はそんなことを考えることしかできなかった。

 

 

彼女は私を冷たい目で見降ろした。

その華奢な体から想像できないほどのどう猛さをその眼には秘めていた。

生気が感じられないその表情が彼女に対する恐怖をさらに増幅させた。

 

 

私が覚悟を決めたときーーー

彼女は私を撃つことなく、、、止まらない電車の窓を撃ち割りそこから身を投げ出した。

 

 

突然の想定できない動きにまた私は混乱させられる。

 

自殺?どうして?

 

何が起きているのか私にはもう理解が追い付かなかった。

 

 

彼女が姿を消した後ですぐ電車は緊急停止した。

やっとで体が動くようになった私は彼女が撃ち割った窓から外を見た。

ここは大きな河にかかる長い橋の上。ここから落ちて無事で済むわけはない。

 

彼女はだれなのか、彼女は死んだのか、結局何もわからないまま嵐のように出来事は過ぎ去った。

 

 

夏のカラッとした晴天のその日、風が強く私の髪をかきあげた。

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