二度転生したらスラりんだった件   作:Kut-Ku

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09話 親方! 空からスライムが!

 理由は知っているけどね。

 

 早朝からリムルに起こされて「落ち着いて聞いてほしい‥‥。今、王城の牢屋に居るんだ」って言われるからさ。

 

 昨日の件もあってついからかいすぎてしまった。

 

『俺だって好きで牢屋にいるわけじゃないやい‥‥』

 

『すまん、悪かったよ。理由は分かった、裁判まで動けないなら引き続き買い出しは俺がやっとくわ』

 

 裁判まで二日あるから観光でもしようかな? 図書館や錬金店にも寄りたいな。

 

『職人は来てくれることになったぞ! 鉄とか銅、レンガも質が良いからドワーフ産を買っとけだってさ』

 

『流石にその量はお前がいないと無理だぞ? 皮と布と調味料を今日は買う予定だし』

 

 リムルがいないと買い物の量が制限されて、毎回外に預けに行かなきゃいけなくなるんだよな。

 

『じゃーそれは俺が何とかするわ。裁判がもし悪い方向になったら‥‥』

 

『任せろ! 金の力で絶対無罪にしてやる』

 

「リヴェルさんマジパネェ‥‥」と呟くリムルと念話を終えると、丁度ドアがノックされた。

 

「リヴェルさん、起きていますかな?」

 

「あっトルネゴさん、おはようございます」

 

 あいさつを終えると、会話を切り出した。

 

「お別れをする前にお店を紹介したくて、リヴェルさんが欲しいものを全部取り扱う雑貨屋があるのですよ」

 

「おお! それはありがたいですね、ぜひお願いします」

 

 酒場から近く、数分で目的の雑貨屋に着いた。

 

「ここですぞ! それではリヴェルさんお世話になりました。またお会いしましょう」

 

「はい、ぜひまたお会いしましょう。お二人にもよろしくお伝えください」

 

 二人は二日酔いで馬車中でダウンしているようだ。

 

 家族に早く会いたいので、無理にでも働かせて帰路に着くつもりみたい。

 

 急ぎ足で馬車に向かうトルネゴを背に、何とも言えない気持ちが湧きあがる。

 

 

 

 雑貨屋の入り口は巨人が入りそうな大きさだった。

 

 背の高い種族にも対応しているのかな?

 

 店の中は結構広く、狼の背に乗ったスライムも呼び止められずに買い物ができそうだった。

 

「主様、これは何ですか?」

 

「ジャムと言って果物を砂糖で煮詰めたものだよ。それをパンに塗って食べるんだ。種類はイチゴと、ミカン? かな」

 

 甘みは結構、良いお値段だね。女性陣のみやげとしてある程度買って帰るか。風音がイチゴのジャムが欲しそうなので別で購入した。

 

 調味料に醤油や味噌は無いみたいだな。ハーブ・胡椒・砂糖・オリーブ・唐辛子・お酢かこれ? 案の定胡椒の値段が高すぎる。

 

「こりゃ〜珍しいお客さんだ〜ねぇ」

 

 恰幅の良いドワーフの女将さんが話しかけてきた。

 

「どうも、お姉さん。豆から作られる調味料って知らないかい?」

 

「あはは、この年でよしとくれよ。エルフが作るっていう醤油と味噌のことかい? 今うちでは取り扱ってないね」

 

 それは残念。女将さんが言うには帝国の商人が売りに来るみたいだけど、最近は帝国品自体が滞ってるみたい。

 

「とりあえず、調味料は一通り貰うよ。皮と布、油も欲しいかな」

 

「買ってくれるのは嬉しいけど、お金はあるのかい? 食品関係は値引きできないよ」

 

 俺は風音に金貨を出してもらいドヤ顔をする。

 

「言い値で買おう! あーでも台車貸してもらえると嬉しいです」

 

「はいよ、この札持って裏にお行きさね。そこで借りれるよ」

 

 台車を借りに行き、店で支払いを済ませた。全部で金貨18枚だから180万か、何だかんだで結構オマケしてくれたじゃん女将さん。

 

「台車は門横に返却所があるからね、また来なよ!」

 

「ありがとね! 女将さんまた来るよ」

 

 もうお昼かな? 朝食べて無いから結構お腹すいたな。

 

 屋台巡りして食事の差し入れと、荷物をリグルのところに持っていくか。

 

「お腹すいたね、風音。何か食べたいものある?」

 

「串焼き屋の前に、美味しそうなパンとスープの店がありましたよ!」

 

 いいね! と風音に返事をしてパンとスープを買い、噴水広場で食べることにした。

 

「リムル様はこの国と相性が悪いのかもしれませんね‥‥」

 

「そうだな、魔物の俺達は結構楽しく過ごせてるもんな‥‥」

 

 周りにはイエティー? みたいな種族や、岩のゴーレムの様な魔物、トレント風の魔物なども和気あいあいとしている。通訳をしているドワーフの兵士さんもいるな。

 

「おい! リムルの旦那何やってんだよ! 脱走してきたのか!」

 

「うわっ! カイドウさんじゃん、ちょっと静かにしてくれよ。俺はリムルじゃないよ」

 

 何とかリムルの兄だと説明して納得してもらえた。

 

「おぉ、そいつはすまねぇな。旦那の兄貴だったのか、うちの兄貴が迷惑かけてすまんな」

 

「スライム種族ってだけで絡まれるから仕方ないさ。俺みたいに風音に乗ってる方が良かったかもな‥‥。」

 

 風音を見ながら呟くと嬉しそうにワフッとひと鳴きした。

 

「迷惑をかけたついでに一杯奢らせてくれ、今日は無理だが明日は非番なんだ。」

 

「行きたい場所があるから明日案内してくれよ。カイドウさんが付いて来てくれたら安心だ」

 

 力強く胸を叩き「おう! 分かった。じゃ〜明日の昼にルイーザの酒場で待ち合わせな」だってさ。自然と仲間が集う不思議な場所っすね。

 

 

 

 荷物が満載された荷台を、軽々と引いていく風音と一緒に外に出る。

 

 台車は門横の兵士さんに木札を渡して返却を済ませた。

 

「返却です」

 

「おう、はい確かに」

 

 風音が仲間の狼を呼んでくれたので、皆で荷物を運びながら野営地へと戻った。

 

「何度もすみません、リヴェル様。護衛に来たのに美味しい食事と酒まで頂いて」

 

「いいの、いいの。予定より何日も野宿させてるんだし、皆も楽しんでよ」

 

 買ってきたパンと大壺に入ったスープを皆に分け、商品の仕分けしていると申し訳なさそうにゴブリンの一人が話しかけてきた。

 

「リヴェル様、この荷物の量は流石に俺たちでも運べませんです。はい」

 

 俺は一度皆の背負う量と、地面の荷物を見て頷いた。

 

「そうだな、一旦村に戻って本体でこっちに来るわ」

 

 言うが早いか俺は村に戻り、ルーラを唱えて戻ってきた。急に門の前に現れた俺に驚く門番さんにペコペコしながら風音を呼んで野営地に戻る。

 

「ルーラの欠点だな、思った場所に出られない」

 

「何とか門番さんを誤魔化せましたが、門前に転移は怪しまれますね」

 

 解決策として何処かに小さい小屋を作るか? それか登録できそうな名所を見つけないとな‥‥。

 

「分裂体は合体してっと。皆、荷物は全部俺が収納するよ! すまんが全部地面に置いてくれ」

 

 分裂体と合体したら各種無効化の耐性も同時に獲得できた。分裂体の活用方法が他にも色々ありそうだな。

 

 俺は試しに小さい小屋を作り、リグルの秘密基地と名付けた。

 

「ちょっ! やめてくださいよリヴェル様、もう子供じゃないんですから」

 

「実験なんだから少し我慢してくれよ。看板に名前付けないと登録されないのか」

 

 看板を立てて、ギラで名前を書くと無事ルーラに登録された。

 

 村に帰りたい人を聞いたが、護衛ですのでと全員に断られたので風音と二人で村に戻った。

 

「リヴェル様ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!」

 

「うおぉ!? びっくりした…どうしたリグルド大声を出して?」

 

 ドアを勢いよく開け放ち大慌てでリグルドが入ってきた。

 

「大変ですぞ! リムル様、リヴェル様の噂を聞きつけて周辺のゴブリンたちが庇護を求めて訪ねて来ています!」

 

「ああああああぁーー!! そういやそういう流れだったわ‥‥」

 

 今でも村の建築ラッシュなのにどうすんだよ‥‥。

 

 最終的に人口いくつになるんだっけ? まったく覚えてないわ。

 

 これ食料と衣服、全然足りねぇぞ。

 

「移住者も含めて現在この村の人口は? 庇護って食料とかは持参なのか?」

 

「現在護衛に出ている者も含めて260名、食料は無く村を追われて怪我をしたものが数名います」

 

 オワタ‥‥。村の人口が最初50人くらいで約5倍に増えるのか‥‥。

 

 確かこれからもっと増えたよな?

 

「重傷者はいるのか? いるなら俺が治療する。それから村を広げるためにも伐採して整地しよう」

 

「重傷者はいません。やくそうと上やくそうで治療を終えています。整地は村の者と総出で掛かります」

 

 俺はどうぐから鉄のスコップと鋸を数本取り出した。

 

 雑貨屋で購入したがこれじゃ数が足りない。

 

 俺は力仕事が向いてそうなホブゴブリンを集めると指示をする。

 

「半分はリグルドと整地と伐採を頼む、残りは食料の確保だ」

 

 リグルドにスコップと鋸を渡して使い方を軽く説明した。

 

 残りのゴブリンには狩りと果物採取を頼んだ。

 

「ゴブツ、ゴブテ、ゴブゾウ! 荷物整理手伝ってくれ」

 

「「はい! はーい! わかったべ!」」

 

 ゴブリンたちが藁小屋を使えるので名付けはリムルが帰ってからだ。

 

 備蓄してたから食料はひとまず何とかなったが、厳しい状況だな。

 

「リグルド、ジュラの森で人間と交易をしている種族の場所を知らないか?」

 

「すみません、弱き魔物は生息地をあまり離れませんので…」

 

 リザードマンが住み着く湖と、オーガの里は知っているんだな。

 

 だとすればもっと西の辺りで天狗が住む山の周辺か? ファルムス王国に近い森かもな。

 

「俺はドワーフ王国に戻って小麦や衣服を追加で購入してくるわ。すまんが村のことはお前に任せた」

 

「畏まりました。他の村の村長たちにも人間と交易した種族のことを聞いてみます」

 

 よろしく頼むとリグルドに告げ、風音とリグルの秘密基地にルーラした。

 

「リグル大変なことになったぞ! 村に難民が大勢押し寄せてきた」

 

「うわっ!? びっくりした‥‥驚かせないでくださいよ、リヴェル様」

 

 急に背後から声を掛けて驚いたリグルにすまんと謝り、状況を説明した。

 

「ということでリグルや他数名は俺と一度村に戻ってほしい。護衛は風音とランガに数名だけで良いだろ」

 

「確かに今後も数が増えればもめ事も起こるかもしれません。それに指揮する人数が要りますね」

 

 リグルは護衛を続けたかったみたいだが、適任者がいないということで了承してもらった。

 

 ルーラはパーティー登録の3名しか送れないので分けて送った。

 

 馬車があったら人数を多く運べるのか? これも今後に要検証だな。

 

 門に戻るとカイドウさんが門衛をしてるみたいだ。

 

「リヴェルの旦那‥‥。門衛仲間で噂になってんぜ? 上空から落ちてきたとか何やってんだよ」

 

「すまん、俺って軽いから風音に軽く投げられたら結構高くまで飛んじゃってさ。ははは」

 

 乾いた笑い声で誤魔化しながら、図書館の場所をカイドウさんに尋ねた。

 

「あぁ〜その、なんだ…。魔物は図書館を使えねーんだわ。本屋なら教えてやれるぞ」

 

「そりゃそうか、気を使わせて悪いな。本屋の場所を教えてくれよ」

 

 カイドウさんが言うには、門を出てずっと壁沿いを左に行けばあるみたいだな。

 

 丁度突き当りの角に本屋があった。

 

「いらっしゃ、なんだ魔物か? お前たちが買うような物はここにはねえぞ! 帰れ」

 

 うわ‥‥。今までが良い人だらけでハズレを引いた気分だわ。

 

「お金ならありますので、中に入っても良いですか?」

 

「本当だろうな? 汚したら弁償だからな」

 

 薄汚ねぇ魔物が、俺の本屋に来るんじゃねーよとブツクサ言ってる。

 

 風音が静かに切れているのでドウドウ。

 

「大丈夫です。主様、証拠は残しません」

 

「それ大丈夫じゃないね。落ち着こうね〜」

 

 中に入って色々見て回る。

 

 ドワーフの酒造り、植物図鑑、ゴブリンにも分かるシリーズか。錬金術は無いかな? 

 

「おっこれ面白そう。ゴブリンでも分かる精霊工学、初級・中級・上級があるのか全部欲しいな」

 

 他にも魔道具や、魔術刻印、封印術、精霊魔術とか色々あるな。とりあえず精霊工学は全編あるし買うか。

 

「すみません、ゴブリンでもわかる精霊工学全部ください」

 

「あ〜〜ん? 金貨100枚だ!」

 

 表示価格は全部で金貨12枚だろうが! この糞ドワーフ親父。

 

「表示価格と随分違うんですが?」

 

「払えないなら、帰りな。しっし」

 

 無理して此処で買う必要も無いか、中央区にも数件あるみたいだし。

 

 風音が爆発する前に移動しよう。

 

《肯定。この本屋はすべて網羅しましたので用済みです。いつでも複製可能です 》

 

 大ちゃんが一番キレてたのね‥‥。

 

 中央区の本屋で精霊工学と魔術刻印を購入し、ルイーザの酒場で料金を払い宿をとった。

 

 食事を素早く済ませて、宿で本をゆっくり読もう。

 

「リヴェル様〜! あの本屋潰しましょうよ」

 

「もう忘れなさいな。値段が他より4割も高いんだから勝手に潰れるよ」

 

 怒りが収まらない風音に、ジャムとコッペパンを出して宥めた。

 

 風を器用に操りパンに塗ってご満悦だ。すぐに無くなりそうだしもう一瓶買っとくか。

 

 俺は眠くなるまでゴブリンでも分かる精霊工学初級編を読んだ。

 




なんか最近、ちょこちょこ修正するのが趣味みたいになってるw
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