二度転生したらスラりんだった件   作:Kut-Ku

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10話 すり替えておいたのさ!

 武装国家ドワルゴンはドワーフの王であるガゼルが治める国。

 

 武器の加工、防具の作成、大工に工芸品、物作りは何でもござれだ。

 

 ここルイーザの宿屋も例外ではなく、朝から鍛冶の音が盛大に鳴り響く。

 

「主様、起きてください、もう朝ですよ!」

 

「ふぁぁ〜〜おはよう風音。寝たくても、うるさくて寝てられないよ」

 

 朝ご飯を食べて散歩に行って帰って来ても、まだ寝ている俺を起こしに来たようだ。

 

「いや〜精霊工学面白いわ。夜更かしして中級まで一気に読んじゃったよ」

 

「どうぞ、お店でだされた朝食の焼き魚とジャガイモスープとソーセージです」

 

 風音が皿に朝食を並べてだしてくれた。

 

 感謝を伝えてスープを飲んでいると、リムルから念話が来た。

 

『おはようさん、めっちゃ暇だわ。4人が思い出話を始めちゃってさぁ〜疎外感が凄い』

 

『おっはーめっちゃ眠い。本でも差し入れしようか? 裁判は明日だろ?』

 

 各種の調味料のこと、味噌と醤油は買えなかったこと、現在購入済みの品を朝飯を食べながら共有していった。

 

 食事しながらでも話ができるから、脳内会話って凄く便利だわ。

 

『王城に入れないだろうし、差し入れも無理だろ。何か変わったことは無かったか?』

 

『あぁ〜あるある! 村が5倍になるくらい人口が増えてるんだよ』

 

 解決しそうだった食料問題がぶり返し、衣食住が更に悪化。

 

 とどめに各地の領土争いも勃発していることを伝えた。

 

『なんでそんな状況になってんだよ! 無制限に受け入れるからだろうがっ!』

 

『俺たちを頼って来ているみたいなんだが、難民と変わらない状態でな。事の発端が、ヴェルドラの消失で各地の勢力図が変化したってことだし、そのせいで押し出されたゴブリンたちが傷つきながらも庇護を求めて集まって来てるってわけ』

 

『ヴェルドラ消失の原因は確かに俺たちだな。仕方ない…混乱の責任は取らないと駄目かハァ‥‥』

 

 少し理不尽で納得いかない現状に、リムルは溜息を吐きながら言う。

 

『現状の問題を順番に教えてくれ、ドワルゴンで食料を購入するだけじゃ厳しそうか?』

 

『食料はドワルゴンで大量購入は出来ない。この国も輸入に頼っているから出荷が制限されている。商人と話をしたんだが、ジュラの森で交易をしているらしくてな。その場所さえ分かれば食料の確保にも一端の目途が立つはずだ』

 

『次は衣服の問題だが、服や布がある程度購入できたし、ドワーフの職人もいるから大丈夫だろう。住居も木さえあれば問題ないから時間が解決してくれる。問題は領土だな』

 

 考え込んでいるのか、周りのドワーフたちと話し合っているのか、リムルからの返答がやっと返ってきた。

 

『衣服の作成も問題なし、住居の作成も得意だそうだ。人口が増え続けるなら井戸より水路を引いた方が良いらしいぞ。領土問題ってどういうのだ?』

 

『ゴブリンたち弱い種族が逃げて、その開いた領土に入った種族が問題でな‥‥。今現在、追いやられたコボルト族がうちの領土に入って来てる。逃げてきたゴブリンたちの領土が隣接してないから、狭いうちの領土にぎゅうぎゅう詰めだ』

 

 庇護を求めて来たゴブリンの領土が隣接していたので、うちが吸収することにした。

 

 領土を広げることでなんとか現状を脱したが、前途多難だ。

 

 物語じゃなく現実なんだから、実際に置き換えたら問題だらけだわな‥‥ボスケテ。

 

『よし! 今日からお前が町の村長だ、俺は裁判があるから後は任せたぞ』

 

『別に、いいぞ? 俺は村長で、でもお前は今日から国王な。話を続けるけど、牛と馬みたいな強い種族がその開いた領土を巡って争ってるんだよ。コボルト族とは争う気はないから交渉中だ』

 

「えっ何!? 国王ってどういうこと?」と混乱しているリムルを無視して話を続けた。

 

『コボルトたちも、慌てて同じ種族で集まっていたから問題になったわけで。安全な場所を探してあげたら、近くのコボルトの領土を貰えて俺たちも暮らしやすいってことだ』

 

『ん? そういやコボルト族って人間と交易してるとか言ってなかったか?』

 

 よし! 無理やりな流れで国王はリムルに押し付けられたぞ! 俺はリリナと一緒に農園の村長になるんだ。

 

『ところがぎっちょん。コボルトさん、エルフを介して人間と交易していたらしくて、抗争のせいでエルフさんも各地に逃げたらしいのよ。現在新しい取引場所を探さないといけない状態みたいでな』

 

『もうそいつら邪魔なんだが‥‥。エルフを困らせるとか極刑だな。判決を下す! はい、死刑!』

 

 俺が情報を仕入れてる理由は地図の監視機能だ。

 

 リグルドとリグルにあと4人組だけ、髪の毛を1本貰っている。

 

 流石に盗み聞きはしていないが、これで知りたい情報は大ちゃんから聞けるからな。

 

『放置一択だろう。いちいち関わってられんぞ? 領土侵入してきたら極刑でいいが』

 

『抗争に首突っ込む方が馬鹿らしいか。裁判終わってから忙しくなるな‥‥。明日の裁判は昼だから外で待っててくれよな!』

 

 

 

 うわ、念話を終えたらもう昼じゃねーか。

 

 カイドウさん来てるのかな? 酒場に入ると酒を飲んで、ステーキを食べているカイドウさんが居た。

 

「おう、先にやってるぜ。飯は俺のおごりだから遠慮なく食べてくれ」

 

 風音と一緒にソファーに座って食事を始めた。

 

 仲良くなった、自称21歳のウェイトレスの少女に注文した。

 

「ごちになります! メイちゃん。俺は肉団子とジャガイモスープで」

 

「私はステーキでお願いします」

 

「は〜〜〜い!」

 

 食べ終えたら、何処に行きたいんだ? とカイドウさんが聞いてきたので錬金術関連のお店がないかを尋ねた。

 

「錬金術? そんなの眉唾だろう? 魔術工房で錬金水は買えるが‥‥。魔道具や刻印魔法に使う素材だな」

 

「素材が欲しいので魔道具、魔術工房、刻印関連の店を案内してもらえますか?」

 

 魔法屋が別にあるが素材も魔道具屋で全部揃うみたい。

 

 魔法を習ったり、本やスクロールも売ってるそうだ。

 

 錬金素材がないと作れる物が増えないからな、手あたり次第に購入しといた方が良いだろう。

 

「それじゃー魔道具屋だな、刻印、精霊工学、魔法の触媒の素材を売ってるからな」

 

「じゃーそこでお願いします!」

 

 カイドウさんに案内されて来た場所は、アラビアン風の大きな建物があった。

 

「ここだ。この店は値はちと高いが質と品揃えは保証するぜ!(小声)あと、店長が美人で胸もでけー」

 

「それ一番大事ですね(キリッ)」

 

 店に入ると、何故か白衣のような服を着た如何にも研究者な人が大勢いる。この人たちが店員も兼ねているのか?

 

「カイドウさん、何で研究者も居るんですか? 彼、彼女らは店員?」

 

「ん? あー工房とセットになる店がほとんどだぞ? もちろん店員も兼ねている。店の奥には実験室もあったはずだぞ」

 

「いらっしゃい、カイドウさんがここに来るなんて珍しいわね」

 

 美人のエルフのお姉さんが話しかけてきた。

 

 眼鏡にベレー帽? と白衣みたいな格好をしている。あとでかい。

 

「ミラノさんお久しぶりです。普段は軍関係でしか来ませんからね。今回はこちらのリヴェルがこの店を案内して欲しいと言ったもんですから」

 

「いらっしゃい、リヴェルさん。スライム種族なんて珍しいわね? 知っての通り軍関係のお店なの。だから値だけはどうしても張るわ。質は国一番だと保証するわよ」

 

「よろしく、ミラノさん。研究員の店員さん捕まえて、品の説明聞いても大丈夫なんですか?」

 

「ふふ、大丈夫よ。ここに顔を出してる人は工房で作った品を並べたり、店員の当番でいる研究員ですから」

 

 ミラノさんは所長兼、店長らしい。研究所の方に用事があるのでここで別れた。

 

 俺と風音は並んでいる商品を興味深げに見て回る。

 

「綺麗な石ですね主様」

 

「投げて使う魔道具みたいだな」

 

 魔道具コーナーは戦闘関連しか置いていないようだ。

 

 扇風機とか、魔導コンロとかイメージしていたんだが‥‥残念。

 

 魔石を用いて結界を貼ったり、各種属性の攻撃をする杖や短剣、武器、防具などが一般的な魔道具なんだな。

 

「属性魔石には魔物から取れる魔晶石と、鉱石に精霊が宿る魔鉱石の二種類がある。人工魔石もあるんだが俺は知らん」

 

「属性が火と土に偏ってるのもお国柄なんでしょうかね? 魔鉱石はあるからこの触媒と刻印の所に行きましょう」

 

「そうだな、精霊が好む場所でとれる属性も変わるからな。触媒はこっちだ」

 

 刻印魔法に使う魔導インク、錬金水、精霊粉末、精霊魔核など各種の魔法触媒を買い漁った。

 

「おいおい、リヴェルの旦那。ここは値引きなんて出来ないんだぞ? これはさすがに買いすぎだぜ」

 

「うっ‥‥全部でいくらなんだろう? 欲しいものがありすぎる」

 

 カイドウさんが購入する品をカートで運んでくれている。

 

 流石に買いすぎかもしれないので、一度清算するか。

 

「凄いわね‥‥金貨250枚はするわよそれ‥‥」

 

「ミラノさん、200枚に負けてもらえませんかね?」

 

 丁度後ろを通るミラノさんに交渉してみる。

 

「駄目よ。触媒なら少しはオマケできるけど、精霊魔核は金貨20枚でも安い方よ? それを6個もだなんて‥‥買い過ぎよ」

 

「高級ポーションを3本売るので、200枚になりませんか?」

 

 急に真顔になって考え始めるミラノさん。カイドウさんも驚いている。

 

「今何本持っているの? 質次第だけど、今うちでも量産体制で不足気味だから幾らでも買い取るわよ?」

 

「旦那のポーションはすげーぞミラノさん。あっという間に回復したからな」

 

 それってフルポーションのことじゃない? とりあえず8本出すか。

 

 それをじっと見て確かめるミラノさん。

 

「品質は最高。じゃあ1本、金貨12枚で清算するわね。購入の差額で金貨154枚よ」

 

「はい、どうぞ。あと相談なんですがミラノさん」

 

 俺は軍関係ということで、リムルが裁判にかけられていることを話した。

 

 べスターが弁護士を雇うなら、こっちも雇うだけだ。

 

「なるほどね。べスター大臣を殴った弁護は厳しいわよ? リムルさんは巻き込まれただけで、エルフたちの証言もあるから何とかなりそうだけど」

 

「金貨40枚支払います。冤罪を防げたらそれで良いです。カイジンさんは無茶な要求の剣を国に治めたばかりですし、聡明な国王ですから心配はないでしょう」

 

「わかったわ。でも弁護に40枚も要らないわよ? フフ」

 

 クスクスと笑いながら10枚だけを取るミラノさん。

 

 俺はお礼を言って、どうぐに買った物を収納して店を出た。

 

 これで余程のことが無い限り、リムルが投獄されたままとかにはならんだろう。

 

「流石に肩が凝ったぜ、それじゃー約束通り飲みに行くか!」

 

「すみません、長時間付き合わせて。飲み代は俺が奢りますよ」

 

 どこに飲みに行くのかと思っていたが、夜の蝶かよ!

 

 最高だぜカイドウさん! あんたに一生ついていきます。ウオロロロ

 

「いらっしゃい、あらリムルさん? 無事だったのね」

 

「ああ、違うんだ、旦那の兄貴でリヴェルって言うんだ」

 

 カイドウさんが色々事情を皆に説明してくれたが‥‥。

 

「どうも、リヴェルです。よろしくね」

 

 俺も挟まれたかったんだが‥‥何にとは言わないが。リムルが裁判待ちなので空気が少し重い。

 

「元気出してね、リヴェルさん。リムルさんは無実だしすぐに釈放されるわよ」

 

 可愛いエルフ達に次々に頭を撫でられるが、違う! そうじゃない。ぱふぱ‥‥。

 

「子犬サイズにもなれるのね! 風音ちゃん! かわいいーーー!」

 

「「私も 抱かせて!!」」

 

 知ってた‥‥。所詮、俺はスライムよ‥‥俺はク〜〜ルに去るぜっ!

 

「何をしょぼくれてるの? リヴェルさん」

 

 おおおぉ、ママさん! ママさんが抱きしめてカウンターまで運んでくれた。

 

「はい、どうぞ」

 

 ウイスキーか、いただきます。この生ハム美味いっすね。

 

「ママさんも飲んでよ、店に迷惑をかけたから奢るよ」

 

「あらあら、うふふ。頂きますね」

 

 あれ? なんか酔う気配がないんだが? 猛毒無効が今更効いてるのか?

 

《肯定。耐性スキルの切り替えは自由に出来ます。現在はスキルを使用してアルコールを分解しています 》

 

 切れきれ! オフだそんなもん。酒は常にオフだぞ大ちゃん。

 

 飲みなおしだ! ママさん強い酒を頼む。

 

「ねえ、リヴェルさん。貴方も運命の人占ってあげようか?」

 

 あー占い師のエルフちゃんか、俺の運命の人ママさんだぜ?

 

「もう! 聞いてるの? えいっ!」

 

 ふむ、良いものだ。まさか占い師エロフちゃんが運命の人だったなんてな‥‥。

 

「嬢ちゃん、リヴェルの旦那もうかなり酔っぱらってるぜ?」

 

 人間では付き合うなんて考えなかったけど、スライムになってアノ夢も見ないし。男以外なら誰でもいいわ。

 

「水晶にカイドウさんが映ったら割ってもいい?」

 

「だ〜〜め。割ったら弁償だからね? それじゃーいくよ」

 

 俺だって嫌だわ。と大笑いしているカイドウさん。

 

 すっごい緊張する。

 

 トルネゴだったら馬車ごと燃やさなきゃ。(使命感)

 

「よ〜し、でてきたよ。赤い髪の女性だね。うわ〜凄く綺麗な人! 泣き笑い? あっ切り替わった。次は黒髪の女の人? 御淑やかな美人さんだ。リヴェルさんの浮気性♪ 駄目だ‥よ。えっ!? 嘘っ‥‥」

 

 最初に映ってる赤髪の女性は俺を抱きしめたルビス様。

 

 いや、予想が正しいならルシア‥‥なのか?

 

 夢で見た血だまりが見え無いから、皆気にしていないな。

 

 二人とも赤髪なのがややこしい‥‥。最後の黒髪はシズさんじゃん!

 

 しかも全身から炎吹き出して燃え尽きてるし、なんちゅーもん見せるんだエルフちゃん‥‥。

 

「「・・・・・・・・・・・・・・」」

 

 全員が凍り付いた。映像がリアルすぎるんだよな‥‥。

 

 くっ空気が重すぎる…。俺から何か言わないと駄目か。

 

「皆、この黒髪の女の人知ってる?」

 

「私は知らないわ、でも見た感じ炎の上位精霊の暴走よ。ハイエルフ様が呼び出したところを見たことがあるの」

 

 ママさんがそう言うが、他の子は皆知らないらしい。あれ? カイジンさんがシズさん知ってるんだっけ?

 

「爆炎の支配者でシズエ・イザワって誰か知ってる?」

 

「冒険者? 誰か知っているか?」「知らない」「私も知らない」「聞いたことがないわね」

 

 えっおかしくね? リムル助けて! 

 

『どうした? もう夜も遅いぞ、いつまで起きているんだ』

 

『なあリムル! お前占い師に運命の人占ってもらったろ? 誰だった!』

 

『い・や・だ! 駄目だ。何でお前に教えなきゃいけないんだよ』

 

『頼む! 大事な事なんだ! 頼む! 悟』

 

『たくっ! この女性だよ』

 

 頭に直接イメージを送られてきた女性は‥‥‥。

 

 

 

 

 

 シエルじゃねーか!!! 

 

 いや運命だけどもさ! なんでさ! 流石正妻。運命すら塗り替えやがった。

 

 場が凄く悪くなってしまったな‥‥。

 

 とりあえず運命の人は俺が何とかするから大丈夫と言い。

 

 皆に酒を奢って有耶無耶にした。お会計は金貨12枚払だ‥‥。

 

 えっ!? 誰がこんなに飲んだの風音? 

 

 色っぺーエルフのねーちゃんとママさんなの!?

 

 もう深夜だし、リグルたちのところで寝よっか。

 

 爆睡したら裁判も終わるだろうし、精神的に疲れたわ。

 

 風音、すまんが運んで頂戴。

 

 うん、いつもありがとね。

 

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