二度転生したらスラりんだった件   作:Kut-Ku

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12話 鬼が出るか、鬼嫁が出るか

「こちらスネーク。オーガの里に潜入した」

 

《肯定。その場所から北西に420メートル先に、一番大きな屋敷があります》

 

 ノリが悪い大ちゃんに生返事をした後、竹林を駆け抜けて小さな屋敷を見つけた。

 

 辺りを確認し、素早く縁の下に潜り込んだ。

 

 セ~〜~フ。

 

 ここまでは何とかオーガたちに見つからずに潜入できたぞ! 見つかれば即ゲームオーバーの潜入ミッションだな。

 

 まずは大きな屋敷に潜入して、ベニマルの親父さんに何とか会いに行く。

 

 もし見つからなければ誰でもいいから、里が全滅するから逃げろと忠告することなんだが‥‥。

 

「問題はどうやって会うかだよな‥‥」

 

「誰に会いたいの?」

 

 いつの間にか、真横に小さなオーガの女の子が四つん這いで横にいた。

 

「聞こえるか大佐? どうやらまずいことになったみたいだ‥‥」

 

「たいさ? たいさに会いたいの? 家にはいないよ」

 

 う〜ん。何この可愛い生き物。

 

「この里で一番偉い人に会いたいんだよ。連れて行ってくれるかな?」

 

「いいよ〜! でも今は里にねぇ。変な仮面を付けた人が来てるから、皆忙しいと思うんだ。だから遊ぼ!」

 

 あ〜やっぱり、人工魔王計画はゲルミュットがやっているんだな‥‥。

 

「スライムさん。あそぼ〜、あそぼ〜」

 

「でも俺、手がないしな。しりとりとか、連想ゲームとかかな?」

 

「何それ? やる〜! やる〜」

 

 1時間くらい遊んでいたら、周りにオーガたちが戻って来たみたいだ。

 

「あぁ〜面白かった! お話も終わったみたいだし連れて行ってあげるね」

 

「他の鬼に見つからないようにお願いね?」

 

 わかったーー! と既に大声でやらかしている少女に、俺はアルカイックスマイルで諦め顔だ。

 

 他のオーガに手を振りながら、俺を頭の上に乗せて少女は大きな屋敷の方へ走っていく。

 

 大ちゃん。なんで俺は他のオーガたちに、気にも留められてないの?

 

《肯定。普通のスライムは意思疎通が出来ず。子供ですら脅威になりません。分身体は更に弱く映り、警戒すらされていないようです。》

 

 大きな屋敷の西側にある離れの方に走っていく少女。

 

 目的の場所に着いたのか、俺を頭から降ろし両手に持ち換えた。

 

 そして大きな声で、「ごめん下さ〜い!」と叫んでいる。

 

「誰です? 此処で遊んでは駄目だと言ってるでしょうに‥‥」

 

「おくがたさま〜お話あるの〜」

 

 障子を開けて出てきたのは美しい桃色の女性だった。

 

「どうしたの? スライムを抱えて? でも、見たことがない珍しい種類のスライムね」

 

「はっ、はじめまして。スライムのリヴェルと申します」

 

 途端に警戒し、呪符で捕縛された。

 

 たぶんシュナの母親だろうな‥‥。里で一番偉い人か‥‥。親父-ーー!!

 

「危険だからこっちに来て! 早く!」

 

「大丈夫だよ? おくたま。ずっと遊んでいたから悪い子じゃないよ」

 

「そうですよ。奥方様。悪いスライムじゃないです」

 

「黙りなさい! えっ? 貴方名持ちじゃないわね? 探っても魔素が少なすぎるわ」

 

 札を二重にして、祝詞を唱えていたが。

 

 俺に大した力がないと分ると、怒り任せに札をべりっと剥がされた。

 

「痛った〜〜い! 何するんですか。俺は話し合いに来ただけですよ」

 

「はぁ〜〜貴方は帰ってなさい。私はこのスライムと話があるから」

 

「は〜い。じゃあね、スライムさん。またあそぼ〜ね」

 

 別れの挨拶をした後は、怖い顔をしたシュナママとの対面だ。

 

「何から話せばいいのやら‥‥」

 

「何しに来たのよ貴方は‥‥。まず順に話なさい」

 

 じゃまずは確認だ、ゲルミュッドか中庸道化連か

 

「鳥の口ばしマスクの魔人が来たでしょ? 配下に成れとかそんな感じで」

 

「‥‥」

 

「でオーガたちはそれを断ったはず。それに怒った魔人は配下に命令して、この里に報復に来ると思います」

 

「待って! 待ちなさい! 何で知ってるのよ!? あの魔人の目的を教えなさい!」

 

 俺の顔を両手で掴み取り、ぐいぐいと押し潰される。喋るに喋れないと理解したシュナママが素早く手を離し、咳払いをして誤魔化す。

 

「痛てて。憶測ですけど、ジュラの森で配下同士を戦わせて何かを企んでいるとしか」

 

「うちの旦那は強いわ。あの魔人の配下程度問題ないと思うけど?」

 

 ゲルミュッドで確定だな。オークロードの事は話すべきか‥‥。

 

「噂程度の情報で申し訳ないんですが。ゴブリン、リザードマン、オーガ、他にもあの魔人が名付けをした種族がいるはずです。オーガにも勝てるような配下が‥‥」

 

 そう言った瞬間、薙刀の刃が俺の顔横に鎮座していた‥‥。

 

「このジュラの森にオーガより強い種族がいるとでも?」

 

「天狗、牛頭、馬頭、どの種族も名付けをされたら分からないじゃないですか。断言しますけど、あの魔人、絶対根に持ってこの里を襲いますよ」

 

 深く、静かに長いため息を吐きシュナママが答える。

 

「で? 貴方は私たちにどうしてほしいの?」

 

「俺たちもここから北に住処を作ろうとしている。この里を捨てて、俺たちに合流してほしい」

 

「曲者めっ! 我らオーガが里を捨てるわけがないだろう。死ね!」

 

 いきなり障子が吹き飛び、俺は意識が飛んだ。  

 

 

 

「なにやってるのよ‥‥貴方。短気にもほどがあるわよ」

 

「でも奥方様。あのスライムは我らに逃げろなどと!」

 

「母上、あのスライムの言を信用するので? 確かに、仮面の魔人は仕返しに来る気がしますが‥‥」

 

 紫色の髪をしたオーガがスライムを真っ二つにしてしまい。文字どうり話がぶった切られた。

 

「兎に角この件はあの人に報告します。どのみちあの程度の強さでは私たちが頼りなのでしょう」

 

「里の警戒を厳重にします。万が一にも備えるべきかと‥‥」

 

「姫様は弱気です! オーガは誰にも負けません! 全部叩き斬れば良いのです!」

 

 親子は盛大に深いため息をついた。

 

 

 

 

 

「クソっ! 俺とした事が一瞬でもあの谷間に、二つのメロンに釘づけにされるとは‥‥」

 

「お帰りなさい主様。何をわけの分からないことを言ってるんですか‥‥」

 

 冷静な分析が出来るシュナも交えて話し合いができそうだったのに。

 

 万が一のときのために、老人や女子供だけでも避難できる状況に話を持っていきたかったんだが‥‥。

 

 おっぱい星人の俺は避けられなかったよ。

 

「ただいま、風音。なにか変わったことはあったか?」

 

「なにもないですね。魔物も避けて移動していますし、匂いで縄張りを嗅ぎ分けましたがこの辺りはゴブリンや昆虫系の魔物のようですね」

 

「明日にはブルムンドの領土に出ちまうな‥‥。トルネゴはどこで交易してるんだ? こんなことになるなら髪の毛むしり取っとけばよかったわ」

 

「匂いは覚えていますけど、近くを通らないことには‥‥なんとも」

 

 もう夕方か‥‥。

 

 簡易小屋を置いて野営の準備だな。

 

 あとはリムルに定例報告も、忘れないうちにやっとくか。

 

 風音から降りて、作成済みの小屋を木の下に配置する。

 

 すでに焼いた骨付き肉を皿にのせて風音の前に置く。

 

 俺は一口サイズに切ってある肉を口の中に出現させつつ、リムルに念話をした。

 

『こちらライデン、聞こえるか大佐』

 

『ライデン! 今直ぐにゲームの電源を切るんだ!』

 

『ネタが通じるって幸せなことなんだな‥‥(ラビット)、及び妖精(フェアリー)は見つからず。次の指示を仰ぐ』

 

『お疲れだなジャック。今は拠点周りを伐採して整地しているところだ。明日には、ゴブタとリグルが周囲の食料の調査に出かける予定だが‥‥そうだなぁ〜調査も兼ねてオーガやリザードマンと一度交渉でもしてみるか?』

 

『交渉つっても特産品とかないし、何と物々交換するんだ? あっ! 魔法の小瓶とか回復薬はありだな』

 

 風音とジャムを塗ったパンを食べながら、リムルと会話を続ける。

 

 ジュラの森は戦国時代状態。

 

 敵対勢力になるかもしれない相手に、軍事物資での交渉は駄目だと怒られた。

 

 リムルは心配性だな‥‥。

 

 看板? 別にいいじゃん、リムル王国! 消すな、消すな。うん、おやすみ。

 

 風音は骨に齧りついて、嬉しそうに尻尾を振るう。

 

 俺たちだけなら犬小屋でも寝れるしな。

 

「ブルムンドに入る手前の木の上に、バレない様にルーラ小屋作っとくか」

 

「主様。これ以上ゴブリンたちが増えなければ食料には困らないのでは?」

 

「だと良いんだけどな。ジュラの森は広いからな‥‥まだまだ増えそうな気がするぞ」

 

 二人は眠りに付き、そして朝を迎えた。

 

 

 

「おはよう、風音。今日も頼むよ」

 

「おはようございます。主様、森を抜ける所までは行くんですよね?」

 

「うん、ご飯食べたら出発しようか」

 

 火を起こしてカイジンに作って貰った炭火コンロをセットする。

 

 鍋にメイちゃん特製スープと干し肉と野菜を入れてコトコト煮込む。

 

 焼いたパンにベーコンを乗せ、チーズをたっぷりとかけて‥‥。

 

「早く、早く! 私もう我慢ができないの!」

 

「何でジュラの森でこんな旨そうな匂いがしてやがるんだ! ちくしょう!」

 

「不用意に近づいたら駄目でやすよ‥‥あーもう座ってるし」

 

 どこかで見たような三人組が俺の飯をたかりに来ていた。

 

「風音さん、不審者ですよ? 何もしないの?」

 

「リムル様が人間とは仲良くしろと、それに悪意も感じませんので」

 

 俺のチーズパンに齧りついてるエレンには、悪意しか感じないんだが?

 

「お前、何で俺の朝飯を勝手に食ってんだよ!」

 

「ふらいむがしゃべふたー(スライムが喋ったー!)」

 

「うめ〜、すまねーな。金は払うから食わしてくれ」

 

「スライムと狼さん。食料が腐ってしまって、申し訳ないんでやすが。少し恵んで下せぇ」

 

 ふがふがと食いながら紹介されたが。

 

 カバル、ギド、エレンの三人組だった。

 

 あれ? なんでシズさんがいないんだ?

 

「お前達三人だけか? もう一人の冒険者はいないのか?」

 

「あっしらはいつもこの三人組ですぜ?」

 

「そうそう! ギルマスに頼まれて、ジュラの森の調査に来てるの」

 

「喋るスライムとか初めて見たぞ俺。ほれ銀貨3枚だ」

 

 シズさんがこの世界に来ていないのなら、空襲でそのまま亡くなったのだろう。

 

 だが夢と占いでの姿は大人に成長していた‥‥。

 

「シズエ・イザワこの名前に聞き覚えは? 冒険者では有名人のはずなんだが」

 

「聞いたことがないでやすね‥‥。特徴は何かありやすかい?」

 

「あーすまん。黒髪、黒目のこんな感じだ」

 

 俺は三人に思念イメージを送った。

 

「凄く美人! スライムさんはこの人を探しているの?」

 

「良い女じゃねーか。だがギルドでも見かけた事がねーな」

 

「黒髪、黒目の人間なら帝国に多くいるらしいでやすよ。西側では見かけないでやす」

 

 大ちゃんが知らないってことは、人知れずに亡くなった。

 

 もしくはこの世界に存在していないか。

 

 シズさんが幸せなら良いが、バッドエンドなら助けたいな。

 

 現状考えられる不都合と言えば‥‥。

 

 リムルが人型になることができない。

 

 シズさんのスキル、経験、知識が得られないので戦力が低下する。

 

 イフリートが居ないとヴェルドラの相手がめんど‥‥困ります。

 

 この三つあたりか? 何にせよ情報が足りなすぎる‥‥。

 

「あっ!! この三人が居れば問題解決じゃね?」

 

「「「えっなに? なんだ? なにがでやす?」」」

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