二度転生したらスラりんだった件   作:Kut-Ku

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エピローグ おてんば姫は姉に弱い

 涙を流し、怒りに染まった形相でエレンが水氷大魔散弾(アイシクルショット)を俺達に唱える。

 

 リムルが皆に当たる前に全部捕食するが、エレンが魔石を砕いて何かしようとしたので俺は大声で叫ぶ!

 

「エレン! イリーナはまだ死んでない! 時間が無いんだ! 邪魔しないでくれ」

 

 納得していないエレンは杖に魔力を充填しているが、俺は構わずリムルと一緒にイリーナに駆け寄る。

 

「まずはベホイミ。肉体は修復したけど魂まではやっぱ無理だな‥‥」

 

「よし! やるか‥‥しくじるなよリヴェル!」

 

「お前もなリムル!」

 

 俺はAでベホイミx3とCでスクルトx3を融合。リムルにも融合魔法は覚えさせたが、俺の魔法は一人じゃ融合できない。リムルは魔法陣を掛け合わせ不要な陣を削る作業が非常に神経を使いそうだった‥‥。

 

 俺の魔法イメージは完全回復と魂の補強だ。

 

 リムルはリジェネレーションと守護結界を融合。

 

 イメージは心核と魂の欠損回復とそれを包む修復結界。 

 

「ゆっくり‥‥そう。大ちゃん融合出来てる? OKいけるぞリムル」

 

「こっちも完成だリヴェル!」

 

「「いくぞ!! 合体魔法! ベホネレーション!!」」

 

 イリーナの姿が金色に包まれて光り輝き、やがてそれは静かに消えていく。

 

 そして俺は白目になって力尽き、リムルは溶けた‥‥。

 

「「主-ーーーーーーーー!! 主様ーーーーーーーーー!!」」

 

 

 

 

 

「ふぁ〜〜〜よく寝たわ! 此処は何処かしら?」

 

「リーナーーーーーーーー!!!!」

 

 両腕を上げて背伸びした後に辺りを見渡すイリーナへ、追いかぶさるようにエレンが突撃する。

 

「痛っ! どうしたのよリュー姉! いきなり突撃してきて?」

 

「うええぇ〜〜〜リーナ生きてた〜〜〜」

 

 大粒の涙をポロポロ零しながら泣きじゃくるエレンを、イリーナは優しく抱きしめ頭を撫でる。

 

「ほんと私が居ないと駄目ね‥‥リュー姉は」

 

「馬鹿‥‥無鉄砲! 正義馬鹿! どうしていつも危ない事に首を突っ込むのよ! 私に心配ばかり掛けて、リーナはほんとにバカなんだから‥‥」

 

 泣きながら抱き着く力を強めてくるエレンにイリーナはアイアンクローをする。

 

「誰が馬鹿ですって〜!! リューも一人で護衛も付けずに何でジュラの森に居るの!!」

 

「痛い! 痛い! 爪が食い込んでるよリーナちゃん!!」

 

「「姫様〜〜〜〜ご無事ですか!!!」」

 

 御付きのブティとクリパトが慌てて駆け付ける。

 

「無事よ? それよりネヴァンは!? ネヴァンは無事なの!」

 

「姫様! 相手より自身の身を心配してくだされ。婆がいつも厄介ごとに首を突っ込むなと‥‥」

 

「姫様! ネヴァンさんは無事です。そこで死んでるスライムが助けてくれました」

 

 俺は死んでないと小声で呟き、リムルに魔法のせいすいをかけて自分も飲み干す。

 

「それじゃ〜後はエレンに任せたぞ‥‥。俺達は帰るから…ミナルーラ」

 

「ふえぇ‥‥頭へこんでないですぅ? 血は? えっ? リヴェル? ちょ!!!」

 

 頭を押さえて涙目のエレンを生贄にスライム達はトンズラした。

 

 急な魔法の展開にブティ、クリパト、イリーナが口を開く。

 

「驚いた! あのスライム転送魔法も使えるのかい! 古代種かもね‥‥」

 

「魔法だけじゃ無いですよ、リヴェルとか言うスライムは絶対ユニークスキル持ちです! じゃないと踊りに魔法吸収能力何て説明が付きません。死ね!」

 

「もう、パトったら口が悪いぞぉ〜! 今回ばかりは絶対にダメだと思ったわ‥‥。あのスライムさんには命を助けてくれたお礼に行かないとね」

 

 ブティ、クリパト、イリーナが三者三様にスライム達の疑問や質問をエレンに怒涛の如く問い詰めるが、可愛く舌を出してワタシシリマセーンと変なイントネーションではぐらかす。

 

 そうした最中にメイガス再編部隊が駆け付け、全員が姫の無事な姿を見て歓声をあげて喜んだ!

 

 その中には微笑み涙を流してイリーナに頭を下げるネヴァンの姿もあった。

 

 

 

 

 

「帰ってこれたか‥‥リムル? 生きてるか?」

 

「生きてるよ‥‥。何とかスリープモードに為らずに済んだけど暫く動きたくねぇ〜」

 

 俺達は王族をボコボコにした件で不敬罪になりたくないので、エレンに全部投げてトンズラしてきた。

 

 それに色々力を見せちゃったから警戒されても困る。

 

 相手の出方がわからん以上は逃げ一択なのだ。

 

「褒美もいらないし、お偉いさんからは距離を取るのが正解だわな」

 

「俺は骨折り損の儲け無しは嫌だがな‥‥」

 

 俺達は互いに顔を見合わせてため息を付きながら項垂れた。

 

 そうしてる間に帰って来たのが全員に伝わり、次々に無事を祝われて皆に揉みくちゃにされる。

 

「リヴェル様、この爪お返ししますね!」

 

「良いのか? 折角お前に作ったのに‥‥この”まよけのつめ”」

 

 可愛くないですからと言って爪を置いて去っていく風音を見送る。

 

 紫色に薄く輝き、誰がどう見ても可愛くない不気味な装飾の爪が寂しく地面に横たわる。

 

「大型犬のサイズだし他に誰が使うのよ‥‥。霊体にしか効果無いし、お蔵入りだな」

 

 哀愁漂い「そんな〜」と嘆いてそうな爪を無慈悲にしまった。

 

 働く皆には悪いが、久々の休暇なんだ! 俺は家で自堕落に過ごすぞ!

 

「よし全員集合! 分裂は三体まで、残りは暴風龍様の生贄だ。配分は2・3・3だな」

 

「だな‥‥数日間の記憶統合ですら頭がパンクするかと思ったわ。魔物じゃなかったら脳が壊れてたんじゃね?」

 

「分身の術じゃなくて全部俺はリスクしかなかったな‥‥」

 

 錬金と研究と交易を三人で担当する事にした。

 

「んじゃ俺はヴェルドラの解析の手伝い‥‥いやお守りに逝ってきます!」

 

「「逝ってらーーでも頭使う遊びは控えろよ」」

 

「わーってるよ! 俺に言うな俺に」

 

「「俺だから念押しして言うんだが‥‥」」

 

 交易品に商品を補充して目当ての商品を購入。ゴブタの銅装備一式を作り終える所で玄関のドアが開いた。

 

「おーい星! ベッドが出来たぞ〜何処に置くんだ?」

 

「さんきゅ〜地下の寝室に置いといてくれ。あっこれ初級のスクロールな」

 

「おお! 助かる! って全部生活魔法じゃねーか‥‥でもライトは電球要らずだな、ふむふむ」

 

 リムルはスクロールを床に広げて解読と改良をしている様だ。

 

 俺は融合魔法が手に入ったお陰で、精霊工学で手詰まりだった部分が何とかなりそうなので凄くウキウキしながら研究部屋に向かう。

 

「んじゃ俺達は地下にいるから」

 

「ういうい」

 

 俺は早速台に並べてある”手”を取り作業を始めた。

 

 

 

「リヴェル〜飯だってよ〜」

 

「後で食う〜」

 

「お前は味が分かるんだからしっかり食えよな!」

 

 リムルが怒って俺に体当たりをするが体積が3倍なのでリムルが弾かれる。

 

「痛てて、何をそんなに夢中になってんだよ? 手?」

 

「ふっふっふ! 見て驚くがいい! これはマスターハンドくんだ!」

 

「恐ろしいほどネーミングセンスの無さだな‥‥おい」

 

 俺はマスターハンドくんを操作して中指を立てた。

 

「疑似神経とか難しい事出来ないから困っていたんだよ。でも融合魔法で解決できた」

 

 リムルは糸で中指をグーに戻して会話を続けた。

 

「へー微精霊をこの木の手に融合させたのか? それで精霊契約で自分の意志で自由に動かせる訳か考えたな」

 

「金属で色々試したんだけど、シンクロ率が一番良かったのがこの魔樹から作った奴なんだよ」

 

「俺にも「ほれ、こっちはお前のだ」お〜流石親友! 分かってる」

 

「調子の良い奴め‥‥名前はくれいじー「スピリットアームな略してSAな」おい! 命名は俺の特権だぞ」

 

 世界Jrネーミングセンス賞で優勝した事のあるこの俺が! センスが無いだとっ!! と叫んでる間にリムルが精霊と簡単に契約しちまいやがった‥‥。

 

「タルるーとくんがいない世界線の奴はこれだから‥‥えっ!? ちょ、大ちゃん俺のマスターはんど君も略SAになってるんだが!?」

 

《肯定・告。すでにリムル・テンペストの命名で世界に登録されていますので変更できません。良い仕事です姉さん。《割り込み変更など容易です妹》

 

「姉妹で結託してやがる‥‥これとこれは無事だな? リムルが名付けてる奴だけか! お前、俺の作った奴に命名するの絶対やめろよ!」

 

「俺が使う奴なんだから別にいいだろ? 名前くらいで其処まで怒るなっつ〜の! 俺のは鋼の籠手か? デカくて青色で格好いいじゃん!」

 

「俺のは生産専用だから小回りが利く小さい手で良いんだよ。籠手の方が防御面でも盾として使えるだろ?」

 

「お前も戦闘用作っとけよ? 何かとお前は俺にばかり戦闘させるからな!」

 

「俺だって魔人斬りとか近接特技があったら前衛するっての! 飛べないわ、移動遅いわで魔法しか使えない脳筋ステなんだぞ!」

 

「そういやどのゲームでも近接タイプだったなお前‥‥。悪かったよ」

 

 嬉しそうに鋼の籠手を振り回すが少しぎこちない。

 

「木製に比べたらシンクロは落ちるけど其処まで悪くはないはずだぞ? 精霊とのリンクが安定してないんじゃね?」

 

「ん? うん、そうみたいだな大賢者が俺の魔素が馴染むまで時間が掛かるってよ」

 

 そういうとリムルはSAを体内に仕舞い込み、自分の魔元に馴染ませるようだ。

 

 俺が中々食事に来ないからゴブテが乱暴にドアを開けてやって来た。

 

「もう! リヴェル様! ご飯の時間には直ぐに来てください!」

 

 少々お冠だ。どうやら自分が作ったものを食べて欲しかったらしい。

 

「ゴブテほらクッキー美味しいぞう〜! 悪かったよこの俺に食わせてやってくれ」

 

「ほむほぉいしぃ〜もう冷めちゃったよリヴェル様。少し失敗もあるけど一杯作ったよ! 早く、早くリヴェル様!」

 

 俺は分裂してゴブテに持って行って貰った。

 

 後で合体すれば食事も取れるし、睡眠も別の俺が寝ればすむ。便利っちゃー便利なんだけどな。

 

「さっき交易でこれ買ったんだ。やるよリムル」

 

 俺は道具からの葉を数枚取り出した。

 

「何だこの葉っぱ? 水色で綺麗だな」

 

「それラリホー草。まー草っていうか葉なんだけど」

 

「ん? 何でそれを俺に?」

 

「あー気づいてないのか‥‥これでお前も睡眠できるぞ」

 

「‥‥おおおおおお!!! ありがとう! 星!」

 

「念の為に言っておくけど、大賢者さん。睡眠を無効にしたら駄目だぞ?」 

 

「なっ!!! 駄目だぞ大賢者! 睡眠は必要なんだ! 絶対だぞ」

 

 リムルは嬉しそうに大賢者と言い合いながら、1階の自分のベッドに戻って行った。

 

 去っていく姿を不安げに眺めながらABCが呟いた。

 

「三大欲求の食が無いからせめて睡眠でも取ってくれ‥‥」

 

「魂の回路で伝わるからな‥‥悟の精神が結構疲弊してるの」

 

「あいつの為にもう一つの研究も急ぐか‥‥いや俺にも必要か?」

 

「焦げた肉団子はもうたくさんだーーーーー!!」

 

「「「おかえり」」」

 

 お腹も膨れたし、研究再開だな。

 

 早く強く為らないと次はゲルドが軍を率いてやって来る。

 

 やっぱりオーガの里に分裂を‥‥嫌、今の分裂は危険か‥‥うーむ。

 

 俺も戦闘して痛覚耐性とか精神修行しないとな。

 

 痛みで魔法が使えないとかは致命的だ、俺も生産だけじゃなく配下達と戦闘訓練した方が良いな。 

 

「よし! 修行するぞ! lvも上げたいし」

 

 魔素さえあれば分裂体を再生できるって大ちゃんが言ってた。

 

 一人死んだら立ち直れないような精神力では困る! でも死なない強さを手に入れる方が現実的だよな‥‥。

 

《肯定。本体が死なない限り理論上は再生可能です。この本体個体Aを軸とした並列存在化を提案します》

 

 いやそれが出来無いから困って‥‥出来るの?

 

《肯定。ヴェルドラから魂の回路を通してスキルを貰いました。現状スキルの適合性が低く2体までしか使用が出来ません。しかし技能を修練する事で適合性を上げることは出来ます》

 

 この三人体制でスキルを鍛えていけばいいって事ね。

 

《否定。残り1体はヴェルドラのお守りに必要です》

 

 お守りじゃないよ! 封印の解析の手伝いだから! 遊んでないから! じゃー実質使える並列存在は一体じゃん‥‥。

 

 それでも助かる! ありがとう大ちゃん! ヴェルドラ! (うむ、我に感謝せよ)

 

 何か聞こえた気がするが死んでも別個体になる分裂はまじで助かる。

 

 でもヴェルドラ‥‥俺と遊んでないで能力の使用方法とか教えてくれよ‥‥。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あれ? ここは何処だ‥‥俺は姫さんに蹴り飛ばされて‥‥」

 

「あっしは顎を砕かれてたはずでやすが‥‥治ってるでやすね?」

 

 起き上がるとはらりと手紙が1枚落ちてきた。

 

 二人は同時にのぞき込んで絶叫した。

 

 手紙には命令無視と減給とだけ書いてあった。

 

「「そりゃねーだろ隊長ーーーーー!! でやす-ーーーーー!!」」

 

 

 

 

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