二度転生したらスラりんだった件   作:Kut-Ku

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引っ張るよりネタバレしていくスタイル

※魔物は意思疎通が可能だが小説としては不便なので名前を表示しています


秘話 私はこの世界に囚われる

 

 

 

 

私が未だこの世界に囚われているのは何故か

 

兄弟や家族にも恵まれて私は幸せなの?

     

私の故郷はあれからどうなったんだろう

 

ああ‥‥私はこの世界が嫌いだ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 何の因果か知らないけど私は生まれ変わり、再びこの世界で生を受けた。

 

 何故か人ではなく魔物として‥‥。

 

「おはようははさま!」

 

「おはようハヤテ。朝ごはんはもう少し待ってね」

 

 面影が良く似ていて優しい、大好きだったお母さん。

 

「はーーーい。あにたまおこしてくるぅ」

 

 子供の振りも大変だが、お母さんに再び会えたのはとても幸運だった。

 

「おきてにいたま! あさだよ」

 

「‥‥眠い」

 

 私は兄さんの布団の上でゴロゴロと転がる。

 

「起きるから! やめてくれハヤテ」

 

「あーーーーい」

 

 

 

 私の家族は三人家族でお父さんはいない。

 

 物心がつく前に戦で仲間を庇ったことが原因で、傷が悪化して亡くなったそうだ。

 

 生前の私の父も戦争に出兵していたので、特に寂しくはなかったわ。

 

「ハンゾウは今日もソウエイと修行?」

 

「はい! 今日のお昼は向こうで食べてきます」

 

「ハヤテも〜ハヤテもいく〜」

 

「お前はまだ小さいから駄目だ‥‥」

 

「そうよハヤテ。他の子供達と遊んでくればいいじゃない?」

 

「うううううぅ〜あにのあほう!」

 

 私は兄にあっかんべーをして居間を飛び出した。

 

 里の子供と会話が続かないの! 葵ちゃんと茜ちゃんとは話が合うんだけどね。

 

 随分と剣を長い事振っていないから感覚が鈍っちゃうわ‥‥。

 

「おっハヤテちゃんじゃねーか。葵見なかったべか? 境内の掃除をサボって妹がカンカンでよ?」

 

「うちにはきてないよ! みかけたらじんじゃにつれてくー」

 

「何か里に嫌な力を持った奴が来てるからよ。ハヤテちゃんは危ないから家にいな。変な仮面を付けた奴でよ‥‥あぶねーからな」

 

「平和的な話し合いなの? 場所は御屋形様の屋敷かな?」

 

「ああ‥‥今殿様の屋敷で話あっ‥‥はぁ童に何言ってんだオラはハヤテちゃんはとにかく家に帰りなよ?」

 

「うん! わかったー」

 

「何故かハヤテちゃんと喋ってると、大人と会話してる感じになるんだべか?」と不思議そうに首を傾げるクロベエ。

 

「頼むで〜ほら饅頭やるで家で食べな」

 

 鍛冶屋のクロベエさんは仕事が忙しいのに、葵ちゃんが逃げ込む避難所になっている。

 

 なので姉妹の騒動によく巻き込まれてる人だ。

 

 鬼達は強いし傭兵の依頼かも?

 

 クロベエさんと別れて葵ちゃんと饅頭を食べようと思ったら、気配察知になにか引っかかった。

 

 私は急いで家の軒下に潜り込み侵入者を探したが‥‥。

 

 

 

「問題はどうやって会うかだよな‥‥」

 

 青色のスライムさんがなにやら難しい顔をして呟いていた。

 

 魔力は感じない? 嫌な感じも無い‥‥大丈夫そうね。

 

「誰に会いたいの?」

 

「聞こえるか大佐? どうやらまずいことになったみたいだ‥‥」

 

 大佐? 軍のお偉いさん? でもなにか違う気がする。

 

「たいさ? たいさに会いたいの? 家にはいないよ」

 

 何やら悶えてフルフルしてるスライムさんは凄く可愛かった。

 

「この里で一番偉い人に会いたいんだよ。連れて行ってくれるかな?」

 

「いいよ〜! でも今は里にねぇ。変な仮面を付けた人が来てるから、皆忙しいと思うんだ。だから遊ぼ!」

 

 もう少し目的や素性を探ってからじゃないとね‥‥。

 

「だ‥‥だいこん あっ」

 

「ふふっリヴェルのまけ〜〜」

 

「時間制限ありって結構きついな」

 

 しりとりしてわかったことだけど、リヴェルは日本人で転生者? だと思う。

 

 私も魔物に生まれ変わってるから、不思議なことではないのかも知れない。

 

「まんじゅうはんぶんたべる?」

 

「おっ、ありがとな。いただきます」

 

 はい確定。私の食べかけで悪いけどスライムだからいいよね?

 

 

 

 

 私は暫く遊んでからリヴェルを奥方様の元に届けた。

 

 殿様だと殺されちゃうかもしれないからだ。

 

 リヴェルが気になるので奥方様の屋敷の庭で文字遊びをしていると、シオン姉の怒号が聞こえてきた。

 

 私は気になったので庭を駆けて廊下を走り、奥方様のいる襖を開けた。

 

 そこには真っ二つにされていたリヴェルの姿があった‥‥。

 

「いやあああああああああああああああああーーーーー」

 

 私は絶叫し頭が真っ白になり泣き崩れた。

 

 その後はよく覚えていない‥‥。

 

 奥方様に抱きしめられたあとに頭を撫でられた記憶はあるが、気が付けば母様に膝枕されていた。

 

「ううぅおかーさん。おかあさ〜〜ん」

 

「友達だったのね‥‥。辛かったね。ごめんね」

 

「もっとリヴェルと色々おはなししたかった‥‥」

 

「お墓作ってあげましょうね」

 

 優しく何度も頭を撫でられて私は眠りに付いた。

 

 もう親しい人が死ぬのは嫌だ。

 

 悲しいのは嫌だ、嫌い、嫌い、この世界なんて大嫌い!

 

 

 

 

 私はこの日の出来事を決して忘れないだろう‥‥。

 

 里がオーク達に襲われて壊滅し、私の心が壊れた日だ‥‥。

 

「ハヤテ! 逃げなさい! 早く!」

 

「やだぁ! おかーさんも一緒に逃げて!」

 

 屋敷が火に包まれ、逃げ場もなくなった。

 

 大勢のオーク達が扉を壊して、中に入ってくるのも時間の問題だろう。

 

 火は嫌い、物も、人も、尊厳も、何もかもを焼き尽くすから‥‥。

 

 母親は我が子を逃がそうと床板を外して、そこへハヤテを押し込む。

 

「生きなさいハヤテ! 絶対に諦めちゃ駄目! 愛してるわ」

 

 次の瞬間、母の胸から槍が数本生え大量の血が噴き出ている‥‥。

 

 一瞬世界が止まった感覚におちいり、顔に掛かる母の血で現実に戻された。

 

 ああ‥‥この世界はまた私から愛する母を奪うのか。

 

「お‥‥かあ‥‥さん」

 

「クソ!! よくも母上を!」

 

 兄が反対側の障子を蹴破り、母さんの惨状を見て激昂する。

 

「ハンゾウ‥‥ハヤテを連れて逃げなさい‥‥早く!」

 

 槍が刺さったままなのに強い口調で母が言う。

 

「ぐっああぁぁーーーー!! 命に代えても!!」

 

 兄は涙を流しながら大声で叫ぶと、私を引っ張り床下に飛び込んだ。

 

 最後に見た光景は生涯忘れることはないだろう。

 

 母様の微笑む顔と、群がられ貪り食らうオーク共の姿を。

 

 

  

 頭が回らない、眼が痛い、喉が痛い。

 

 歩く事も、走る事もできない。

 

 兄がなにかを言ってる気がするが、何も考えられない。

 

 私は今、兄に背負われているの?

 

 もう放っておいて‥‥。

 

 子供の足で背負いながらなんて無茶だよ。

 

「ハヤテ? どうした?」

 

「あ、あ、う、あ」

 

 あれ? 声が出ない‥‥頭が割れそうに痛い。

 

 酷く悲しいことがあった気がする。

 

「お前‥‥声が‥‥くそっ」

 

 兄が静かに怒りを滲ませた声で呟いた。

 

 少しだけ意識が戻ると、逃げる途中で茜ちゃんと葵ちゃんと合流したみたいだ。

 

 休憩中に誰かに優しく頭を撫でられていた気がする。

 

 頭だけじゃなく心臓も痛くなってきた。

 

 私、死んじゃうのかな‥‥もう生まれ変わりも嫌。

 

 お母さんに会いたいよ‥‥お母さん。

 

「助けに来たぞ! 怪我はないか?」 

 

 聞いたことがある声‥‥何処かで。

 

 優しい声‥‥誰なんだろう?

 

「何なんだお前は? 魔物か? 助けてくれて感謝する‥‥」

 

 助けて‥‥くれるの?

 

「そんな警戒すんなって! 背負ってる女の子と知り合いなんだよ俺」

 

 私を知っているの? だ‥‥れ‥‥。

 

「あ…う、あ、あ、あ-ーーーーーーーーー!!!」

 

 生きてた! 生きてた! 生きてた! リヴェル! 生きてた!

 

 私は心臓の痛みが消え、嬉しさで心が一杯になった。

 

「久しぶり! 元気にしてたか?」

 

 元気じゃない! 馬鹿! 死んだと思ってた!

 

 私は色々言いたいことがあるけど、言葉が全く出なかった。

 

 どうやらリヴェルはまた私を置いて、葵ちゃんのところに行くみたいだ。

 

 嫌だ! 嫌だ! またリヴェルが死んじゃう! 行かないで!

 

 私は強く抱きしめて必死にリヴェルを止めるが、ぬるりと二つに分かれてしまう。

 

 そのままもう一人のリヴェルは、風のように駆け抜けていく。

 

「あ‥‥ぅ‥‥」

 

「ハヤテの知り合いなのか? おい! 大丈夫か!!」

 

 私は横に倒れてしまい、頭の痛みと心の痛みがぶり返してきた。

 

 ああ‥‥心が死んじゃうと肉体も死んじゃうんだね。

 

「あ‥‥あ」

 

「どうすれば! どうすればいいんだよぉ! ハヤテ頼む! 死ぬな!」

 

 私は静かに目を閉じて最後を待つが、身体の芯からポカポカと温かくなっていく。

 

 目を開けると抱え込んでいたリヴェルが私の身体に溶けていく。

 

 私のスキルが反応してる? 私の中に統合されていく‥‥。

 

「あ、あ〜あああ」

 

「ああああハヤテ‥‥良かった! 助かったんだな」

 

 心が温かい‥‥ありがとう。

 

 私は兄を引っ張り、リヴェルの元に走る。

 

「おい! 本当に身体は大丈夫なんだな?」

 

「ああああーーーう!」

 

「わかったよ。でも俺がおんぶするからな」

 

 兄は私をおんぶして、葵ちゃんがいるところに駆けて行く。

 

 

 

 

「上城流星! 吶喊します!」

 

 私は目を疑った。

 

 リヴェルは巨大な化け物の口の中に突撃したのだ‥‥。

 

 兄の背から降りてヨロヨロと、リヴェルに近寄ろうとするが兄に止められる。

 

「危険だ! 止めろハヤテ!」

 

「ああーーあああぅーー!」

 

 私は心が締め付けられる感覚に襲われるが‥‥。

 

 背後でポヨンと大きな音がする。

 

「到着っと! スラぼう‥‥漢じゃねえか!」

 

 背後で巨大なリヴェルが機械の腕で親指を立てていた。

 

「ああああ! ああああああああーーーーーーーーーーー!!!」

 

 私は何度もなんども、心配させて泣かせる女の敵をタコ殴りにした。

 

「痛い、痛い! どうした鬼っ娘? かなりデカいが俺もリヴェルだぞ?」

 

 知ってるよ! 馬鹿! あほ! 唐変木!

 

 私は頭によじ登り踏みつけるがぽよんぽよんと跳ねる‥‥あっ楽しい♪

 

「あっ葵姉様が元の姿に‥‥」

 

 あの巨大な化け物は葵ちゃんだったの!?

 

 裸になって倒れ伏す葵に背を向けるハンゾウ。

 

「何とか元に戻ったな‥‥よかっぎゃああああああああああああああ」

 

 裸をじっと見るリヴェルの巨大な目に、私は迷わずビンタする。

 

 服は亡くなった茜ちゃんの服を着せればいいか‥‥ううぅ茜ちゃん。

 

 着替え終えて葵ちゃんが起き上がるが、その歪さに私は顔を歪めた。

 

 魂が歪に混ざり合っている‥‥葵ちゃんを見るのが怖い。

 

 私は凝視できなくてリヴェルの背に隠れた。

 

「‥‥私を殺してくれませんか?」

 

「ああああ、あああ!」

 

 駄目! 葵ちゃん! 死んじゃ嫌! もう! 声がちゃんとでない、何で!

 

 するとリヴェルが何事もないように、葵ちゃんを進化させてしまった‥‥。

 

 あれ? 魔物の進化ってそんなにほいほいできたっけ?

 

 私も進化したい! 喋りたい! またリヴェルとお話したい!

 

「あーうぅーあ! ああ」

 

「子供は駄目だよ‥‥大人になったらどうするんだよ」

 

 心は大人だから良いの! お願い!

 

 私はリヴェルのほっぺたをこねくり回す。

 

 しぶしぶ了承したリヴェルは私の名前を考えるが

 

「花子!」

 

「あああああああああああああああぅーーー! ああああああ!!!」

 

 私は持てる力の限り拳を連打した。

 

 確かに私の時代で花子さんはいたけども! 真面目に考えなさい!

 

「颯と書いてハヤテだ!」

 

 私は名付けで光り輝き力が漲ってくる。

 

 急激な眠気に襲われて、私は意識を手放した。

 

 

 

 凄い‥‥鬼人に進化したんだわ。

 

 もう! 子供姿のままじゃない!

 

 お兄ちゃんもリヴェルに進化させてもらったのね。

 

「ああ、あ、あああ、う〜あ」

 

 駄目だ進化しても声がでないわ。お母さ‥‥ズキッ!

 

 あああ‥‥駄目。思い出すと立てなくなる。

 

「無理をするなハヤテ。ゆっくりと治していこう」

 

 私はコクリと頷くとリヴェルの頭によじ登り、ぷよぷよを楽しんだ。

 

 葵ちゃんが突然驚いたが、その言葉を聞いて私も驚いた。

 

 反魂の術で茜ちゃんを生き返らせるというのだ! お母さんも生き返らせてくれるかも!

 

 私と葵ちゃんはそわそわしながら待っていたら、リヴェルがポイポイっと木でできた武具? を色々出して並べ始めた。

 

 その後は世にも恐ろしい巨大な力の竜の化け物が出てきたり、何とか茜ちゃんは生き返ったりしたけども。

 

 うちのお母さん‥‥グッ。

 

 駄目‥‥思い出そうとすると頭痛が酷い。

 

 あの反魂の術は失敗の方が大きすぎて安易に使えないみたい。

 

 世界が破滅する魔法? 母さんがいない世界なんて破滅したらいいんじゃ? 駄目‥‥お母さんも生きろって‥‥痛っ!

 

 私はこの世界が嫌い! 大嫌い! 

 

 でもリヴェルと一緒なら、この世界で生きるのも悪くないと思えるんだよね‥‥。

 

 もう二度と悲しい思いや辛いことから、私を遠ざけてくれる気がするの。

 

 それに! リヴェルが作る食べ物は皆美味しいんだもの!

 

 ライスカレー、コロッケ、とんかつ! かつての憧れも現実に‥‥ゴクリ。

 

 里でも和食は食べれたけど納豆が無いのよ! 焼き魚もずっと食べてないし! 芋の煮っころがしも!!

 

 リヴェルの笹茶を飲んでいると、涙が出て言葉がでなかった‥‥元からでないけどね!

 

 私がこの世界に来て、最初に亡くなってから何年たったのかな?

 

 

 

 ピリノとピズの墓参りにも行きたいな‥‥。   

 

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