二度転生したらスラりんだった件   作:Kut-Ku

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28話 オークロード討伐編 その3

「絶対にダメだ! 直ぐに帰って来るから二人共待っててくれ」

 

「ううううぅ!」

 

「お願いします! リヴェル様!」

 

 出発前に諦めきれずに二人が俺にしがみ付く。

 

「ハンゾウ、ハヤテ。街を守り、皆が帰るまで待つのも役目ですよ!」

 

 シュナがハンゾウとハヤテの手を引こうとするが。

 

「母様の敵を! 敵を討ちたいのです!!」

 

「ああう! あああい!」

 

 シュナは伸ばした手をピタリと止めて俯いてしまう。

 

 ベニマルが二人に近づき、しゃがんでから二人の目を見て力強く言った。

 

「お前達の母親の敵も俺が取る! 必ずだ! 棟梁として命ずる! お前達はお前達の戦をしろ。俺達の帰る場所を守ってくれ」

 

「グッ‥‥承知‥‥いたしました」

 

「‥‥うぁぁぁあああああああああ!」

 

 拳を強く握りしめ後ろに下がるハンゾウ。敵を討てず頭を振り乱して泣き出すハヤテをシュナは優しく抱きあげて、強く抱擁する。

 

 ソウエイがベニマルに謝る。

 

「すまんな。俺が止めるべきだったが‥‥」

 

「無理もねえよ‥‥。俺も歳を理由に止めたくねぇと思ったからな」

 

「‥‥勝つぞ」

 

「当然だ」

 

 二人は拳を合わせて頷き合う。

 

 

 

「出発だ!!」

 

 リムルの号令で部隊は湿地に向けて移動を開始した。

 

 一番前に鬼達、次に俺とリムルが並び後方に狼とゴブリン部隊という編成だ。

 

 人間みたいに隊列や陣形を重視しない、力ある者が前に立ちその力を示す。

 

 大将自ら先頭に立ち配下を鼓舞するスタイルだから魔物は上位の魔物を信頼するのかもな。

 

 

 数時間くらい移動をした辺りでランガに乗ったリムルが話しかけてきた。

 

 俺のサイズに合わせて巨大化している風音に向かって話しているから、リムルが見上げる形だ。

 

「鬼達がピリピリしてて居心地が悪いんだが?」

 

「うちの子達を泣かせやがってゲルミュッドの野郎〜〜絶対許さん!」

 

 お前もかよとリムルにため息をつかれるが、魂の回路から二人の悲しみがダイレクトに伝わるから仕方ないだろう。

 

「あーもう! 鬱陶しい! いつも冷静な貴方まで何ですかソウエイ! 皆も殺気と妖気を仕舞いなさい!」

 

 痺れを切らしたシオンが皆を叱咤する。

 

 ベニマルは静かに舌打ちをし、気が付かなかったソウエイが冷静に戻り目を閉じる。茜と葵もしぶしぶ顔だ。ハクロウはわざと漏らしていたのか、心地よい空気じゃったんじゃがのぅと呟きシオンに睨まれている。

 

 俺は非常に驚いてシオンを凝視してしまう。

 

「何ですか? しばきますよリヴェル」

 

「‥‥偽物? 痛っ!!」

 

「ほっほっほリヴェル様。こやつはハヤテを大泣きさせた事がありましてな。それを悔いており、冷静に心がけるようになっとるんじゃよ」

 

 ふんっ! とそっぽを向いたシオンは少し寂しそうな顔をした後に俺に言う。

 

「それより戦えない貴方が何故前線にいるのですか! 風音に守られてるから平気だとでも?」

 

「風音は戦えるが足手まといはいらんぞ? 後方に下がっていろリヴェル。兄だからと矢面に立つ必要は無い」

 

 ベニマルの言葉に乗っかり、リムルは笑いながら兄より優れた弟に任せろと煽ってくる。

 

「俺の名を言ってみろ! こっちの方が早いな‥‥バイキルト!」

 

 俺はベニマルに呪文を唱えると拳を握った後に首を傾げる。そして地面の石を人差し指と親指の間に挟み砂に変えた。

 

「お前の力は理解した‥‥。だが俺達には必要ないぞ? 他の部隊にかけてやれ」

 

 俺はでしょうねと呟き、納得したベニマルに了解と返事を返した。

 

 シオンも仲間を強化する観点で前線にいると理解し何も言わなくなった。

 

 二人以外は‥‥。

 

「もう! 何で実力を隠すんですかリヴェル様! モヤモヤします!」

 

「リムル様はリヴェルは秘密兵器じゃよ。ほっほっほと訳の分からない事言うし!」

 

「リムル先生‥‥俺農業がしたいです。オーガって強さに拘り過ぎじゃね? ほら! 俺にはあふれ出るカリスマと心の強さが‥‥」

 

 姉妹は俺を無視してプンスコしながらシオンとベニマルに抗議しに行った。

 

「ぶっちゃけシオンやベニマルに様付けで呼ばれるより呼び捨ての方が嬉しいまであるんだがな‥‥」

 

「しかし本気でシオンやベニマルは気が付いていないのでしょうか?」

 

「何をだ? ソウエイ」

 

 ソウエイが俺の横に並び静かに言う。

 

「オーガを四人も鬼人に進化させたというリヴェル様の実力にですよ」

 

 驚いてこちらを振り向き自分の額を軽く叩くハクロウ。ブルータスお前もか‥‥。

 

「いやはや‥‥リヴェル様はモノづくりで力を発揮されている方だと思ってましたぞ。戦う事だけが強さではありませんからな! はっはっは」

 

「笑って誤魔化しておられるな翁‥‥貴方もでしたか」

 

 夕方になり開けた場所で野営をする事になったので俺、ゴブイチ、料理当番達が晩飯の準備を始める。

 

 カイジンが忙しいのでミートミンサーをクロベエと一緒に作ったが、何故か巨大になってしまった。

 

 ミンチが大量に作れるから便利と言えば便利だが、ハルナが回せないので小型化が必要だ。

 

 シュナ? 簡単に回せるよ! 言わせんな恥ずかしい。

 

「ハンバーガーって言うんだ美味いだろシオン?」

 

「ええ‥‥美味しい! はぁ〜〜」

 

 何だろうこの疲れ切ったOL感‥‥。しかし憂い顔も絵になるなシオンは。

 

 ハンバーガーをお代わりしながらポツリとシオンが呟く。

 

「あの時に貴方を斬り倒さなければ里は救われたんでしょうか‥‥」

 

「あ〜そういう事? そりゃねーよお前が最初に言ってたじゃん。鬼達が里を捨てて逃げるか! ってそれがもう答えだろ? 男も女も子供も年寄りも戦えると思ったものは皆戦った」

 

「ですが貴方がリムル様を呼んでくれていれば‥‥」

 

「あの時は俺もリムルもまだ力が無かったんだよ、すまんな。だから逃げて合流してくれとしか言えなかったんだ。お前は悪くねえよ‥‥。誰もな‥‥」

 

 ハンバーガーを一気に食べ終え、俺に指を挿してシオンは言う。

 

「ふん! 貴方が私に斬られるような弱さだから悪いのです! 私は強く成りますよ! 貴方も強く成りなさいリヴェル! いいですね!!」

 

「お、おう」

 

 目じりに涙を浮かべ、笑顔のままシオンはハンバーグスープのお代りに行った。

 

「ありがとうございます。リヴェル様」

 

 嬉しそうにシオンを見送る茜が俺に言う。

 

「俺の所為で変な希望が生まれちまってたのかもな‥‥シオンには悪い事をしたな」

 

「いいえ、そんな事はありません。リヴェル様は私達の希望でしたよ? ふふふ。シオンの心の蟠りも無くなった事ですし、幼馴染として感謝致します。リヴェル様」

 

 俺の隣で両手を顔の横でポンと合わせ、美しい微笑を浮かべて礼を言う茜。

 

「とか言って〜お姉ちゃんは料理の希望(リクエスト)でしょ?」

 

「もう、葵! 良い感じだったのに邪魔しないで!」

 

 葵は茜をからかいながら空の器を差し出す。

 

「お姉ちゃんのユニークスキルが発動して、皿にヒビが入ってるから注意しに来ただけ〜」

 

 茜がテーブルに置いたスープの汁が漏れ、慌てて葵が持ってる器に移しかえる。

 

「美味しいものを食べれば食べるほど力が増すか‥‥難儀だな」

 

「こ、今回は新作でしたものでつい…ほほほ。あまりに美味しくて制御が乱れちゃいました。ありがとう、葵」

 

「いえいえ、どういたしまして」

 

 布巾でサッと拭いて優雅に去っていくが、茜の皿からウインナーが消えてるのを俺は見たぞ葵。ウインナーはドワルゴン産で数が少ないもんな‥‥。

 

 その後はシオンが沢山食べて強くなりなさいと俺にハンバーグを食べさせに戻り。

 

 それに対抗した茜が俺にあーんをして、それを見てイラっとした葵が参戦して俺の口に熱いスープを流し込み。更にイラっとしたリムルがモテ期かこの野郎とハンバーガーを詰め込みに来た。

 

 俺は意識を朦朧としながら、何故か角の生えたシズさんがこっちに来ちゃ駄目よ! めっ! と叱る幻影を見た。

 

 

 あれから俺達は湿地へ向けて歩き続け三日目が立とうとしている。

 

「今日はこの辺りで野営をしよう。リヴェル〜キャンプ用意〜」

 

「あいよ、俺の水ストックが無いから頂戴」

 

 俺はリムルから水を貰い、鍋を配置して水を入れる。

 

 道具からテントを出してゴブリン達が手際よくテントを張って行く。

 

 鍋の仕込みを手伝っていた葵が急に地面に寝転んで動かない。

 

「どしたの葵? 疲れたならテントで寝ろよ?」 

 

「リヴェル様〜〜索敵範囲内に誰かいます! あっちの方向! 数は13!」

 

 大声で葵が地面に耳を離して立ち上がり、指を挿して俺達に言う。

 

 地図機能で見てみるとリザードマンの首領の娘とオークエリートとオークナイトが多数だな?

 

「でわ、私が行って参りますリムル様」

 

「ストップ! シオン! あーその〜え〜っと…あれだ! 顔を知ってるソウエイの方が話が早いから! ソウエイ行ってくれ!」

 

 首を軽く傾げるソウエイだが、頷いた後にその場から素早く消えた。

 

「リヴェル! 私がヘマをするとでも言いたいのですか!」

 

「違う違う! 地図機能でリザードマンの首領の娘ってあったんだよ。戦闘になるし顔見知りじゃないと咄嗟の判断に困るだろう?」

 

 シオンよ人の恋路を邪魔すると馬に蹴られるんだぞ‥‥。

 

「シオン落ち着け。俺も地図機能を借りて見たがリヴェルの言った通りだ、ソウエイが適任だ」

 

 ウンウンと頷いてる俺が気に入らないのか、リムルに見えない速度でビンタされた。

 

 俺じゃなきゃ気絶してるね!

 

 ソウエイの後を追いかけた俺達はソーカを回復させて配下のオークをあっさり片付けた。

 

「本当にスライムなの!? 恐ろしい魔素の量だわ‥‥。それに配下の強さが尋常じゃない‥‥」

 

「無事か? 俺はリムル=テンペストだ。リザードマンとの同盟を結びに来た者だ、一体何があった?」

 

「はっ!? 惚けてる場合じゃなかったわ! お願いしたき事が在ります! どうか我が父と兄をお救い下さい!」

 

「どういう事だ? もう拠点まで攻められたのか?」

 

 

 ソーカが俺達に伝えた事はガビルが謀反を起こして首領の座を奪い、リザードマン単独でオークロードの討伐を行う様だ。現在父親はガビルによって幽閉されており、撤退時にも指揮する首領が居た方が迅速に行動できると救出の方向で俺とリムルは念話で確認しあった。

 

 流石ガビル様。自称勇者は伊達じゃない。

 

「虫のいい話とは重々承知しております! ですが数名の魔人を従えた偉大な貴方様のお力に縋る他無く‥‥何卒! 何卒、お願いいたします!」

 

「大丈夫だ! 兄より優れた弟のリムルに全部任せとけ!」

 

「リヴェルにしては良く言いました! 貴方もリムル様の偉大さに気が付くとは感心です! 全てリムル様に任せておけば良いのです!」

 

 俺はソーカに親指を立て、シオンはソーカの肩に優しく手を置き、リムルの偉大さを語る。

 

「おいコラッ! たくっ‥‥嫌な予感は当たるんだよな。首領の娘さん、あんたは今からリザードマンの代表だ。同盟締結の同意を得たいと思うが返答は?」

 

「えっ!? よろしいのですか! お願い致します!」

 

 ソーカは地面に顔を付けるようにして土下座をした。

 

「んじゃソウエイは影移動で首領の所に飛んでくれ、一人で行けそうか?」

 

「無論です」

 

「フフフ、じゃー頼むなソウエイ」

 

 リムルが言うや否や素早く陰にもぐり消えていくソウエイ。

 

「ありがとうございます! ありがとうございます!」

 

「同盟相手に為ったんだ、助けに行くのは当たり前だろ?」

 

 安心したのか肩を抱き、ヨロヨロと起き上がるソーカ。

 

「貴方も回復ありがとう、リヴェルだったかしら? 助かったわ」

 

「俺はリムルのオマケみたいなもんだから気にするな」

 

「そう‥‥貴方もなのね。優秀な兄弟が居るとお互い大変ね」

 

 ギャルゲー主人公の友人ポジみたいな感じで言ったんだが‥‥ソーカの勘違いが少し重いぞ。

 

 

 

 オーク軍とリザードマン軍を見渡せる戦場に辿り着いた俺達は、現状把握に努めるために全軍待機する。

 

 俺は現状を皆が把握する為に地図機能を使う。

 

 此処に居る全員に上から俯瞰して見る光景の他に葵のスキルの音源探知を加えて音を拾い、ガビルを中心とした戦闘風景の映像を思念を通じて皆に見せた。

 

「かなり劣勢だな‥‥あいつはガビルだったか? へぇ〜意外と漢じゃないか」

 

「ほう‥‥リヴェルはこんな事も出来たのか、リムル様が連れて行くわけだ」

 

「褒めてあげますリヴェル。一騎討でしょうか? トカゲの方が負けますね」

 

 リムル、ベニマル、シオンが映像を見て言う。

 

「ソウエイの方も上手くいったようだ! 俺達も仕掛けるぞ!」

 

「「「おおおおおおおぉぉおおーーーー!!」」」

 

「おいらが助けに行くっすよ〜!」

 

 相棒に乗り疾駆するゴブタに補助魔法をかける。

 

「ピオラ、スクルト、バイキルトっと怪我すんなよ〜ゴブタ〜〜!」

 

 それじゃー俺達も戦闘開始だ!

 

「葵! 茜! 俺から離れない限り全力で構わん。弔い合戦だ! 派手にやれ!!」

 

 腹の底から姉妹が吠えて答える

 

「「承知!!!!」」

 

 

 

 

 

 

 

 

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