二度転生したらスラりんだった件   作:Kut-Ku

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32話 あばよとっつぁん

 墓参りから帰ると、泣き疲れて寝た二人をソウエイに任せた俺は、家で昼飯を食べようと料理を作り始めた。

 

「これで二人も心に折り合いを付けれたら良いんだけどな‥‥」

 

 作り終えた所にベニマルが急に現れて、からあげの乗った皿を強引に奪われた。

 

「リムル様がお呼びだ。仕方ないから俺が食べといてやるよ」

 

「ふざけんなこの野郎! 返せ!」

 

 奪い返そうとした所にシオンに顔を鷲掴みにされて問答無用で連行される事に。

 

「ベニマル。私の分も残しておかないと後で酷いですよ?」

 

「シオン! 力を緩めないとでちゃいけないものが出ちゃうから-ー!」

 

 一口味わうと肉汁と旨味が口一杯に広がる。

 

 あまりの美味しさに数秒悩んだベニマルだが、全て平らげその場から逃亡した。

 

 

 

「俺昼飯まだなんだけど‥‥」

 

「知らん、昼食後に会議するって言ってただろう」

 

 森の広場に日よけのテントを張り、長机と椅子を置いて簡易な会議室を作っている様だ。

 

 中に入るとリムル、トレイニー、アビル、ソーカの4人が待機していた。

 

 お腹が空いた俺は皿を出した後にからあげと一緒に揚げたポテトを出すと、それを素早くトレイニーさんに奪われた。

 

「何も其処まで泣かなくても良いじゃありませんか」

 

 ギャン泣きした俺をトレイニーさんは宥めるが許さん!

 

「仕方ないですね‥‥」

 

 トレイニーさんは俺を膝に置き、ポテトを一緒に食べる事に為った。

 

「はい、口を開けてリヴェル様」

 

 全てを許そう‥‥俺は慈悲深いのだ。

 

 だがベニマル。お前だけは絶対に許さん! 絶対にだっ!

 

「クソ‥‥加護を存分に利用しやがって」

 

「ふはは。楽しい御仁だなリヴェル様は」

 

 リムルが不貞腐れながら愚痴を言い、アビルが楽しそうに笑う。

 

「議題の内容はオーク達の食料問題だ。何か良い提案は無いか?」

 

 でたよ‥‥。もういっその事、サリオンと国交を結ぶか?

 

「我々が出せる食料は2万人が10日食べれる量ぐらいですな」

 

「首領さん、魚の養殖はしてる? 不安定な漁獲量なら乱獲は危険だよ?」

 

「養殖? 何ですかなそれは」

 

「あちゃーやっぱりか。稚魚から自分で育てる方法ですよ」

 

 俺がアビルに尋ねると養殖はせずに漁獲量が不安定な時はモンスターを狩るらしい。

 

「割り込んだ発言をお許しください。父上、兄が稚魚から育てる方法を試していました」

 

 ソーカがアビルに耳打ちする。

 

「あの馬鹿者が‥‥反乱など起こすでないわ!!」

 

「くっくあはは。ならガビルに養殖をさせて、安定供給してから魚は提供してくれた方が良いな」

 

 リムルはそう結論し、アビルには魚は干物や燻製などを中心に、野菜も提供してもらう事に為った。

 

「リムル様。それなら我々ドライアドが力になれますわ」

 

「何か当てがあるのか? トレイニーさん」

 

「ええ、私達も同盟に参加するのです。協力は惜しみませんわ‥‥ただ食料を持ち運ぶのに人手を貸して頂きたいのですが‥‥」

 

 トレイニーさんがチラッと膝の上の俺を見たので、俺は親指を立て追加のポテトを出した。

 

「あら? ありがとうございます。って違いますわよ! リヴェル様に手伝って頂きたいんですっ!」

 

「ん? 別に良いですけど、良いよなリムル?」

 

「お前一人でやるなよ? 農業と料理部署から誰か連れていってくれ」

 

 ゴブゾウ‥‥えっ忙しい? ゴブテ、ゴブツ‥‥あっ無理?

 

 そっか開墾始まったみたいだな。ゴブタやゴブリン達に狼達も全滅か‥‥。

 

「リムル。農業も料理担当も全然空いてない。開墾でリリナに取られてる」

 

 リムルは机に突っ伏して項垂れる。

 

「どんだけ人手不足なんだよ‥‥せめて茜と葵を連れて行け」

 

「葵は器用で何でもそつなくこなすんだが‥‥。茜か…うん、まぁ」

 

 ちなみに葵の役職は薬師だ。

 

 実家で巫女をしながら母親の薬作りを手伝っていたみたい。

 

 父親は神主だが木を切って炭を作り、クロベエの所に卸していたらしい。

 

 茜は不器用とまではいか無いんだが大雑把すぎるんだよな。

 

 神楽舞や掃除は得意らしいが‥‥あくまで自称だ。

 

 シオンに対抗して秘書をやりたいと言うけど、正直お茶くみしか任せられん。

 

 女給さんは嫌だと言うし、護衛で良いだろうと言うと特別感が無いだと文句を言う始末。だから知らない言葉で誤魔化しメイドさんにした。

 

 秘書に護衛に女給も何でもござれのスペシャリストだと茜を言い包めた。

 

 嘘は言ってないからな!

 

 

 

「えー無理だよ! オーク達も増えて薬が全然足りないんだから! お姉ちゃんもっと丁寧に鉢を! あっーー!!」

 

 鉢が勢い良く割れて中身がこぼれ、部屋の中が大惨事になり茜は葵に叩きだされた。

 

「うふふ、スペシャリストのメイドである私が居るから安心して任せてくださいね! リヴェル様!」

 

「いや、あの大惨事の後ですげーな茜…」

 

 腕まくりをして何を任せろというのか‥‥。

 

 トレイニーさんも呆れて苦笑いだ。

 

「リヴェル様と二人きりの方が都合が良かったのですけどね」

 

「いえいえ、年配者の守護者様だけに任せるわけには参りません」

 

「何もできない若年者は邪魔なんですけどね」

 

 笑顔でオホホ、ウフフと睨み合いが始まったんだが‥‥怖いよ、助けて葵ちゃん。

 

「はぁ‥‥こっちです。付いて来てください」

 

 トレイニーさんは浮かび上がると猛スピードで森を上昇して駆け抜ける。

 

「失礼しますね。リヴェル様」

 

 俺を抱きかかえた茜は地面を蹴り、大きく跳躍すると木の頂上に辿り着く。

 

「これぐらいは着いてきなさいって事ですか? 上等! ですっ!」

 

 木を連続で蹴り加速していく茜に俺は喋る事も出来ずに風圧に晒される。

 

「‥‥ス、クルト。ふーこれで喋れる。ピオラっと。茜、トレイニーさんに騙されてるぞ? 右右、あっちだ」

 

「幻術ですか? 小癪な真似を!」

 

「いや違う、木を操作して茜が飛ぶ方向の感覚を少しづつ狂わせてるんだよ」

 

 それから俺がナビゲートをしてジュラの大森林の中央へ辿り着く。

 

「ハァ、ハァ、楽勝‥‥です。トレイニー様は年ですか? ふふふ、私の勝ちですね」

 

「ぜぇ、ぜぇ‥‥リヴェル様に補助魔法を掛けて貰っておいて良く言えますね。小娘!」

 

 俺は二人にベホイミを掛ける。

 

 二人は俺に礼をするが睨み合いそっぽを向く。

 

「仲が良いなお前達…。ここが大森林の中心か? 空気が澄んで美味しい、マナの量もかなり多いな」

 

 世界樹とは規模が小さいが、それでも大きな巨木が湖の真ん中に1本立っており、その周りで精霊たちは生活してるみたいだな。

 

「綺麗‥‥。幻想的で美しいですね。リヴェル様」

 

「だな‥‥。エルフや妖精が水辺で戯れてたら完璧なんだが‥‥いたたっ!!」

 

 茜に両頬を抓られて涙目になっていると背後から声がした。

 

「おかえりなさい、姉様」

 

「おかえり、姉様」

 

 二人のドライアドがトレイニーさんの前に来て出迎える。

 

「只今帰りました。リヴェル様、紹介します。私の妹達でトライアとドリスです」

 

「初めましてリヴェル様。トライアと申します」

 

「初めましてリヴェル様。ドリスと申します」

 

 ショートの子がトライアでツインテールの子がドリスだな。二人共よろしくね!

 

 茜はもう二人と仲良く談笑してるな‥‥。コミュ力高っ!

 

「リムル様に献上する食料はどの程度集まりましたか?」

 

「半分といった所です姉様。準備出来次第広場に積んでおきますね」

 

「一週間あれば15万人の食料は用意できると思いますよ」

 

 巨大な木のコンテナに大量の果物や野菜が木の巨人によって運ばれてくる。

 

「凄すぎないか? 精霊の力で作物を急成長させてるのか?」

 

「そんな非道な事は致しませんわよ‥‥。土さえ良ければ早ければ数週間で採取可能な野菜もあるんです」

 

「はっ!? 何だそれ‥‥つまり食料問題は綺麗さっぱり解決したって事じゃん!! やったーー!! トレイニーさん大好き!!」

 

 俺はトレイニーさんの胸に飛び込んだ。

 

「ちょ!? 何ですか行き成り! 止めなさい! もう! 離れなさい!」

 

「キャーーーーー!! お姉様に春が来たわ!」

 

「やりましたねお姉様! おめでとうございます!」

 

 顔を真っ赤にしたトレイニーさんは俺を引きはがしチョップする。

 

「痛っ! すまん、つい嬉しくなって」

 

「貴方達も違いますからね! 茜さんも勘違いしない様‥‥? 何で立ったまま気絶してるのよ‥‥」

 

「ハッ!? 何かリヴェル様が年増に告白していた悪夢を見ましたわ‥‥」

 

「おいゴラッ!!」

 

 ツタのムチと拳でじゃれ合う二人は置いておいて妹達と話す。

 

「トライアさん、その作物の種分けて貰えませんか? あと米とか有れば嬉しいのですが」

 

「呼び捨てで結構です、義兄様。イメージを渡していただければドリスが食物の種を作れます。私は花の方が得意でして‥‥」

 

「義兄様。お米ですね‥‥う〜ん。これかな? はい、あと食べれる種は実際の野菜と果物みて決める?」

 

「しれっと既成事実化するのやめような? 助かるよドリスさん。野菜や果物の種も欲しいかな」

 

 私も呼び捨てで良いですよと、抱きかかえて農場? まで運んでくれるようだ。

 

 何故か姉妹は義兄呼びを絶対やめない強い意志を感じる‥‥。

 

 目の前には筋骨隆々の木の巨人がポージングしている。

 

「ドリス‥‥嘘だと言ってくれ‥‥」

 

「どうしたのお義兄様? 貴方の果物を見せて貰える?」

 

 巨人は違うポージングをして顔の部分の樹木からみかんが沢山見える。

 

「なあ…ドリス? 種からこいつらが育つのか?」

 

「育たないよ? この子トレントだもの。今回はこの子達に無理を言って果物を作って貰っているんです」

 

 巨人は俺を指さして首を振り、指でバツを作る。

 

「何か腹立つな‥‥何て言ってるんだドリス」

 

「あ〜〜そんな事やっちゃってたのかお義兄様‥‥」

 

「それはですね、リヴェル様。貴方がトレントの木々に非道をしたからですよ!」

 

 ボロボロになったトレイニーさんが、腰に手を当てビシッと指をさして俺に言う。

 

 胡坐をかき、腕を組みソッポを向く巨人君。

 

 取り合えず巨人君のケツにメラを唱えた後に、トレイニーさんから事情を聞いた。

 

 俺がリムルと一緒に魔樹を切ってた話の様だ‥‥。

 

「いや、マジですまんかった‥‥トレント君。ギラで焼き切って炭化させたら木々は腐って死ぬだけだもんな‥‥マジですまん」

 

 ケツの火を消そうと必死に地面を転がるトレント君に謝る。

 

「リヴェル様‥‥貴方、謝る気はあるんですの? 謝罪と誠意をお願いいたします」

 

「だってトレント君の見た目が三角様なんだもん‥‥ついやっちゃうんだ」

 

 俺はトレント達に謝罪し、苗に魔素を注いでから植えてくれたら許すと言われた。

 

 泉の巨木前に戻ると茜は亀甲縛りされて吊るされていた。

 

「荷物運びを茜に頼みたいから降ろしてくれる? 聞いちゃ駄目な声も聞こえるし」

 

 トレイニーさんが指を鳴らすと茜がドサッと落ちてくる。

 

「ベホイミ、大丈夫か茜? 町に食料を運んでもらいたいんだが‥‥」

 

「はう‥‥ひゃい‥‥大丈夫です」

 

 身体を抱き寄せ、微妙に痙攣しながら涙目でトレイニーさんを睨む茜。

 

 勝ち誇ったトレイニーさんに敏感な身体を突かれて遊ばれている。

 

「えっ!? 茜ちゃんそれは流石に‥‥いけるんだ‥‥」

 

 巨大なコンテナを4つ同時に持ち上げて、軽々運ぶ茜にトライアは口に手を当て驚愕する。

 

「ふっふっふ。メイドを甘く見ちゃ困りますよ、トライアちゃん」

 

「茜姉さん凄いね!」

 

 トライアとドリスが茜を褒めちぎり、茜のドヤ顔が増していく。

 

「じゃあ頼むな茜。俺も残りの食料が届き次第戻るから」

 

「はーい! じゃあ行って来ます!」

 

 俺は他のドライアドにお茶を入れて貰い、まったりしようとしたらトレーニーさんに抱きかかえられた。

 

「何を寛いでるんですか‥‥種が欲しいならトレントの機嫌を直さないと駄目よ」

 

 トレイニーさんは問答無用で俺を6体のトレントに手渡した。

 

「嫌だ〜〜! 俺は綺麗なドライアドちゃん達とお茶を飲むんだ!」

 

『おい! リヴェル! 早く帰って来い! オークを飢えさせない方法が見つかったんだ! それは‥‥』

 

『名付けだろ? 15万人だったな‥‥ドンマイ』

 

『なっ!? お前! わかってて逃げたんじゃないだろうな!!』

 

『あばよ! とっつぁん!』

 

『まて〜ぃ! リヴェル! 逃がさんぞ!! いやマジで冗談だよな星? 俺一人でとかシャレにならんからな?』

 

 俺は無慈悲に念話を切るが、怒涛の如くリムルから念話コールが流れてくるので大ちゃん留守電に切り替えた。

 

 トレント君達に担ぎ運ばれて、少しだけ開けた森で止まった。

 

 此処がトレントの住処か? 自然の用水路みたいなのが彼方此方にあって面白いな。

 

 シエルさんに泣きついたのか緊急ホットラインを繋いできたので、俺は奥の手を使う。

 

「ちょっとトレント君達、この木の鉈を全員が持って構えて…うん、そんな感じ。俺を囲んで下向きで角度は…そうそう」

 

『リムル‥‥今の俺の状況だ‥‥代わるか?』

 

『‥‥頑張って』

 

 六体の三角様に囲まれた現場の動画イメージを、リムルに送り何とか念話の応酬を終わらせる。

 

 トレント君が土魔法で穴を開け苗木を植える。

 

 大ちゃん、どの程度魔素が必要なんだ?

 

《肯定。推定ですが消費魔素はMP1で十分かと思われます。苗木に接触していただけたらこちらで調整します》

 

「苗木に体が触れたらいいんだよな? よし、これでどうだ? トレント君」

 

 トレント達は腕で丸を描いてから別の穴を掘っていく。

 

 確か俺50本くらい切ったんだっけ?

 

「後、植える苗木は何本あるんだ?」

 

 数体が100と体で表現した。

 

「倍じゃん‥‥まあ罰として甘んじて受け入れるか」

 

 数百年育たないとトレントに為れないらしいから悪い事したよな、何だよ突くな…サボってないよ、はいはい。

 

 俺は夕飯に間に合わないとハヤテに怒られるので頑張って植林に励んだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

「一体何があったのですか? お兄様‥‥」

 

「ふぁに、なんれもない、りふぇるの罠に嵌った」

 

 顔をボコボコに腫らして帰って来たベニマルにシュナが呆れた顔をした。

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