二度転生したらスラりんだった件   作:Kut-Ku

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33話 食い物の恨みは恐ろしい

「トレント君、取引しようぜ?」

 

 トレント君は首を振り、丸を作る。

 

「タダでくれるって事? う〜ん、流石に激レア素材は申し訳ないな‥‥高位の魔物産の肥料はいらない?」

 

 物凄い勢いで6体は俺を取り囲み小躍りしだす。

 

「よしよし、じゃー交換成立な! トレントの樹液ゲットだぜ!」

 

 作業してるトレント君の脇とか胸から黄金の汗が垂れていてキモ…気になったので大ちゃんに鑑定してもらったら、トレントの樹液とかいう素材らしいのよ。

 

 採取して錬金したらけんじゃのせいすい、特上やくそう、腕輪、だいじなものなど作れる品がかなり増えた。

 

 精霊の水も此処の用水路から手に入れたし、トレントの葉とか枝も踊ってるこいつらから拾えるし、宝の宝庫やなここ。

 

「錬金レベルを早く上げないと、賢者のせいすいも特上やくそうもLVが足りない‥‥」

 

「錬金ですか? 大昔の人間達が黄金を作る秘術だとか言ってましたわね?」

 

「あっトレイニーさん! トレントの機嫌も直ったし、食料コンテナ受け取ったら帰りますね」

 

 トレイニーさんは困った表情をして、少し考えた後に口を開く。

 

「申し訳ございません、リヴェル様にご相談があるのですが‥‥」

 

「夕飯の支度があるので手短にお願いします」

 

 えっ主婦!? いけない! 茜さんが居ない今がチャンスよ! フフフ‥‥。

 

 と独り言が丸聞こえ何ですけどね。

 

 トレント君も知らない間に離れて行って、俺とトレイニーさんの二人きりだ。

 

「まず今回の報酬の件ですが話すと長くなるので後日改めて、それと申し訳ないのですが二点リヴェル様にお願いがあるのです‥‥」

 

「‥‥聞くだけは聞きましょう、叶えられるかは分かりませんが」

 

 トレント君の報酬だけでも十分だし、米も食物の種も貰えるからな‥‥。内容次第ならOKだ。

 

「もし聞き入れて貰えるのでしたら、私が叶えられる望みは何でも叶えて差し上げます」

 

「ほぅ‥‥何でもですか‥‥ふむ」

 

 トレイニーさんをジロジロと見つめるエロスライム。

 

「いくらリヴェル様でも! そっ! そういうのは駄目ですわ〜!」

 

「え〜〜そういうのって何さ? ぜひ詳しく教えて欲しいなぁ〜トレイニーさん」

 

 自分を抱きしめ顔を赤くしたトレイニーさんは怒って俺をツタでグルグル巻きにした。

 

「このエロスライム! 何でも叶える件は無しです! 馬鹿っ!」

 

「トレイニーさんの可愛い姿を見れたからよしとしよう。それで頼み事って何ですか?」

 

 顔が赤いまま大きく咳払いをして、トレイニーさんは話し始める。

 

「一つ目は我が主である、精霊女王ラミリス様を探し出して欲しいのです」

 

「向こうから来ると思いますよ? 痛い、痛い!」

 

 冗談かと思ったのかツタが力強く俺を縛る。

 

「そんな簡単に来て下されるのでしたら! 数百年も待ち続けたりしていません!」

 

 怒ったまま涙を流すトレーニーさんを見て俺は反省する。

 

「ごめんなさい、軽率でした」

 

「そういう冗談は嫌いですわ‥‥。物知りな貴方なら居場所を探り出せるのでは? 私はこの森から離れられませんので‥‥どうか…どうかお願いいたします。リヴェル様」

 

 ラミリスの安否を心配して口を押え嗚咽を漏らすトレイニーさんには悪いけど、本当の事なんだよな…。

 

 遊びに来たぜ! ヒャッハー! 的な感じでラミリスは来るってばよ。

 

 涙を拭いながらトレイニーさんは次の願いを言う。

 

「二つ目は貴方にも影響がある事です。オークの国を滅ぼした蟲の対処ですわ」

 

「あーそれならうちの娘? 息子? に対処を任せてあるよ」

 

 空間が軋み、次元の割れ目から出現した竜がトレントの住処の木々を次々と薙ぎ倒す。

 

「呼んだ? 父上? あと私は娘ですよっ!」

 

 知らんがな‥‥鑑定弾くお前が悪い。

 

 あ〜顔を出すだけで被害が‥‥またトレント君に怒られるじゃん。

 

 尻もちを付き口をパクパクさせるトレイニーさん。

 

「娘か‥‥名前を考えとかなきゃな‥‥あっ! そうだ、次元の割れ目は修復できたのか?」

 

「此処ですよね? 直しましたよ。ですが父上、根本的な原因はこちらの世界の異世界人を呼ぶ召喚魔法ですよ?」

 

 俺の地図機能を使いオーク国の辺りを光らす。

 

「そういうのは良いよ、この世界の問題はこの世界の人に任せよう。トレイニーさん。蟲の対処と次元の穴も塞いだみたいだからジュラの森には影響は無いと思うよ」

 

 土下座姿勢で涙目になったトレイニーさんが震えて声を出せないでいる。

 

「もっと力を抑えたりできないの?」

 

「やってますよ‥‥じゃないと叔父さんに直ぐにバレるじゃないですか」

 

 リムルにばれないと言う事は局所的に抑える事は出来るけどって意味か。

 

「これはお土産です父上。蟲の素材と悪魔ですね」

 

「さんきゅうーー! っておい!! なんだこの綺麗なねーちゃんは!」

 

 大量の蟲の残骸と青い髪の女性の死体が地面に置かれる。

 

 凄いlvUPしとる‥‥。じげんりゅうが倒した敵の経験値が入ったのか? 次元に保管していて、出した瞬間俺が倒した事に為ったとか?

 

 だぁ〜もう! 今はそれどころじゃねぇ!!

 

「蟲は貰うが悪魔は捨ててきなさい! えっ? いや、何で殺したのさ?」

 

「だってあっちから攻撃してきたんだもん。父上、悪魔の素材も欲しいかなって」

 

「だもんってお前なぁ〜放置してても仕方ない、道具袋に入れるか‥‥」

 

 俺は素材に目を通して驚愕する。

 

 悪魔を素早く道具袋から出して狼狽する。

 

「お、お、落ち着け。まだ慌てるような時間じゃない‥‥あわわわ」

 

「どうしたの父上? 変な顔、あははは」

 

 何故か原初の悪魔素材が手に入ったんだが!? 助けてミラエモン!

 

 これ以上厄介ごとを増やすんじゃないよ馬鹿娘! 知らん! 俺は何も知らんからな!

 

 えーと悪魔が受肉する原理は? 精神体だから魔素で補えない?

 

 解体途中のグロイ姿にベホイミをするが変化は無い。

 

「回復系は悪魔にダメージ? いや、そんな感じじゃないな? 死体だから回復しないだけか」

 

 助けて! お願い助けて! 大ちゃん!

 

《肯定。悪魔の心核は無事ですので肉体と魔素があれば自動修復します。まずは依り代が必要です。木彫りの女神像の使用を提案。トレントの樹液を流し込み、貴方の魔素を送り込めば肉体が定着し受肉します》

 

 確かトレント素材を使用するだいじなものの中に女神像があったよな? 作成っと‥‥デカいな。

 

「木彫りの女神像を割って、中に悪魔の残骸を入れる。うーむ‥‥全部トレントの樹液は勿体ないな? 精霊の水でかさ増しちゃえ! えっ? 足りない? タンポポの体液と交易品の悪魔のしっぽを入れてどうだ? いけそう大ちゃん?」

 

 ふたを閉めた木彫りの女神像に魔素を送る。

 

《肯定。新しい依り代に定着する時間は3分は掛かりそうですが成功です》

 

「カップラーメンかよ‥‥。じゃージゲン。これ北の大地に捨てて来て、場所は此処ね。何処かのガンマンみたいだし早く名前決めないとな」

 

「ジゲンはちょっと嫌かな‥‥。了解、捨てて来るね」

 

 よし! 蟲は退治してジュラの森は平和になりました! それ以外は俺は何も見てませ〜ん!

 

 じげんりゅうが去りトレントの住処に静寂が戻る。

 

 倒れた木々だけが残るが、俺は証拠隠滅を図る為に素早く全部回収するが‥‥。

 

 何処からともなく戻ってきたトレント達に首を振り、腕でバッテンを作られる。

 

「クソ‥‥追加で15本か」

 

「リ‥‥リヴェル様!? 貴方は一体‥‥まさか!」

 

「ヴェルダナーヴァとは関係無いからね」

 

 驚いた表情の後に、胡散臭い者を見るような顔をしたトレイニーさんは答える。

 

「精霊の心を読まないでください! あの竜の事をリムル様は知っているのですか!?」

 

「知識としては知ってるよ。けど言ったら怒られんじゃん。何時かはバレるとは思うけどさ‥‥」

 

 頭痛を抑えるポーズを取り、考えるだけ無駄と納得して長い溜息をつかれる。

 

 首を振った後にリヴェル様ですものね‥‥と諦めた表情で呟いた。

 

 あれ? もしかしてトレイニーさん悪魔の件は見てないのか? よし! セーフ。

 

「何か今日で色々なトレイニーさんを見れたな。後はくっころをお願いします」

 

 またも溜息をつかれ、よくわかりませんが腹が立つのでお仕置きですとムチ撃ちの刑を受けた。

 

 

 

 残りのコンテナを受け取り町に帰ると、リムルが窶れた様子で机の上に鎮座していた。

 

「15万人お疲れ様。でも何でリムルはスリープモードじゃないんだ?」

 

「お前なぁ…15万じゃねーよ! 遅れて来た領民が戻って18万人だ! というかお前こそ無事なのか!? 呪われてないよな!?」

 

 そういや領民が後ろに追従してたな‥‥お疲れさん。

 

 俺は何とか静岡から脱出してきたぜっ! と言うと、リムルが素直に信じてしまったので逆に焦る。

 

 トレントの住処での説明も適当に相槌を打ち、よく分からない光魔法を俺に放ち、これで良しと言わんばかりにうんうんと頷くリムル。

 

 えっ!? 呪われてるの俺?

 

「帰ってきて早々悪いが、リヴェルからも何とか言ってくれ‥‥こいつに」

 

 いやそれより俺の呪い‥‥ん? リムルの前で跪くゲルドさんがどうかしたのか?

 

「どったの?」

 

「王の名を受け継ぐ資格が無いとか言ってな‥‥ハァ〜」

 

 リムルの溜息にビクッと怯えるゲルドくん。

 

 うーん。俺の所為だけどゲルドの自業自得なんだよな‥‥。

 

 ベニマルに説得されなかったのか? からあげの件と言いあの野郎‥‥。

 

「俺達はゲルドの罪を背負ったがゲルドの意思を継ぐ気はない。あの件が尾を引いてるなら、お前がゲルドの意思や責任を背負った上であの子に謝ってくれ。俺からは以上だ」

 

「ですが‥‥オレは‥‥」

 

「グダグダうるせー! お前以外にゲルドの名が相応しい奴はいないだろう! それともゲルドには意思を託せる配下も人望も無かった王なのか?」

 

「違う! 王は! ゲルド王は我々の誇りだ!」

 

「よし、じゃーリムル! 名付けお願い。俺MPも魔素も無いんだわ」

 

「たくっ…しまらねぇ〜な。お前の名はゲルドだ! 偉大な王の名に恥じぬ誇り高いオークに為れ」

 

 胸に手を当てリムルと俺を交互に見て礼をした後に光り輝くゲルド。

 

 俺はスリープモードになったリムルをシオンに預ける。

 

「また魔素を使い切ったんですか? 仕方ないですね…リムル様は」

 

 リムルを抱きしめながらも物凄い不機嫌なシオンが恐ろしくて、何があったかを聞く勇気も無い俺はシオンにじゃあと告げてその場を逃げようとした。

 

「待ちなさいリヴェル! あの肉料理ですがもう無いのですか?」

 

「へっ? うん、ベニマルが全部食べたのなら無いよ? 調味料も油も貴重だから‥‥ひっ! すみません‥‥本当に無いんです」

 

 鬼の形相をしたシオンに少し漏らしながら涙目になり言う。

 

 うわぁ〜リムルが握りつぶされて泡拭いてる‥‥し、死ぬなリムル! ベホイミ。

 

「オオオオオォォォノレーーーー!! オノレ‥‥ベニマル‥‥ユルスマジ‥‥」

 

 暴走したロボの様なシオンにゲルドも余りの恐ろしさに土下座して固まっている。

 

 一人贅沢して胡椒とか油とか使ってすみません! お願いします! 殺さないで! 

 

 ベニマル馬鹿じゃ無いの!? シオンは怒らせたら駄目なんだって‥‥お前の方が付き合い長いでしょうが!!

 

 怒りで殺意の波動に目覚めたシオンに、俺とゲルドは訳も分からずその場を去るまで土下座をしていた。

 

 

 

「リ、リヴェル様‥‥あの子に謝りたいのですが‥‥」

 

「そ、そっか‥‥ソウエイの所に飛ぶな」

 

 この場を今すぐにでも離れたかった俺はソウエイの表札がある家までルーラでゲルドと一緒に飛んだ。

 

 俺の気配を感じてハヤテが家から飛び出すがゲルドを見て塀に隠れた。

 

「ハヤテ〜! ゲルドがお前に謝りたいんだと、出て来てくれないか?」

 

「やはり、いきなりは駄目でしたでしょうか?」

 

 気配はするが一向に出て来てくれない。

 

「いや、こういうのは早い方が良い」

 

 俺は卑怯とは言うまいと、七輪を出しアユに似た魚の塩焼きを焼き始める。

 

「リヴェル様‥‥一体何を?」

 

「まー見てろ。小魚の天ぷらが好物だったし、魚料理は食いつくはずだ」

 

 ハヤテの身体の半身が匂いに釣られて出たり引っ込んだり忙しい。

 

「ハヤテ、嫌いなら嫌いで良いがゲルドの謝罪は受け取ってくれないか? 頼むよ」

 

 俺は手ごわいハヤテを相手にする前に自分の食欲に負けた。

 

「うわ! 美味しい、ホクホクで油も乗ってて最高だな!」

 

「あああああああああああああああああああーーーー!!」

 

 七輪の下に魚の油が零れ落ち、炭火に触れた瞬間に漂う美味い匂いに俺は空腹の余り無意識に齧り付いていた。

 

「あっ‥‥すまん」

 

 だって昼ご飯はベニマルに奪われるし、ポテトフライもトレイニーさんは数本だけ俺にアーンしてくれたが、後は全部自分で食べちゃったし‥‥。もうお腹ペコペコなんよ俺。

 

 ハヤテは素早く飛び出して俺の食べかけのアユの串焼きを俺事奪うと、家の塀まで戻りゲルドと距離を取る。

 

 俺の頬をビヨーンと伸ばし抗議した後に、俺で顔を隠してアユの塩焼きを頬張りつつゲルドの反応を待つハヤテ。

 

 暫く呆然とするゲルドだが覚悟を決めて話す。

 

「すまなかった。お前の怒りをわざと引き出してオレを殺させようと‥‥子供にさせる事では無かった! 本当にすまなかった!」

 

「えーと俺が代わりにハヤテの通訳するな? どうして?」

 

「この娘、声が出せないのですか? オレは何と‥‥いや、どうしてか‥‥お前に殺される事でオーガ達の怒りを鎮めようと思ったのだ」

 

 片言は喋れるんだがアユが美味しすぎて、ニコニコしてる顔だと気まずいとハヤテが念話で伝えてくるんだよ‥‥。

 

「貴方が死んでも、母さんは帰ってこない」

 

「‥‥そうだな。オーガのもの達には非道をした‥‥償う事が出来るなら何でもしよう」

 

「争いは嫌い、悲しいのも嫌。もう二度と私は大切なモノを失いたくない」

 

「誓おう‥‥争いから守り、悲しい思いをさせないようにハヤテを守ると」

 

「違うよ? 守って欲しいのは私だけじゃない、大切なのはこの町に住む全ての住人。その中にはオークさん達も入ってるよ」

 

「ああ、ああ‥‥ありがとう。本当にすまなかった‥‥」

 

 泣きながら何度も頷き答えるゲルド。

 

 オーク達の経緯はソウエイから聞いたのか? 罪を憎んで人を憎まず? 子供の癖に難しい言葉を知ってるんだな…痛いっ! 串で刺すなハヤテ。

 

「花を添えて、オーガの里に在るお墓‥‥お母さんのお墓に」

 

 ゲルドは大粒の涙をポロポロと零しながら力強く言う。

 

「ああ! 承知した‥‥何度でも花を添えるとも!」

 

 ハヤテは俺を顔からスッとずらすと、ゲルドに満面の笑みで微笑む。

 

 ゲルドもまた泣き顔でハヤテに笑い返した。

 

 

 

 

 

  

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あれ? 私、何で此処に‥‥さむっ‥‥」

 

 

 やっとの思いで城に戻り、赤と緑の悪魔の元に辿り着く。

 

「帰ったか‥‥? あん? 何だお前その天使みたいな姿はクサッ! 早く離れろ馬鹿!」

 

「おかえりなさい。なんですかその尻尾? うっ‥‥くさっ!! 早く! お風呂に入って!」

 

 二人は鼻を抑えてズサッと後ろに離れ、向こうに行けと青に向けて手を払う。

 

 蟲討伐の記憶がスッポリと抜けた青の悪魔が同僚達にキレたのは仕方ない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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