二度転生したらスラりんだった件   作:Kut-Ku

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34話 憧れの! マイホーム

 ハヤテとゲルドが和解した事もあって、俺は襲名パーティーと称して肉や魚を焼き始める。

 

 ハヤテは左右に揺れてワクワクしながら焼けるのを待っている。

 

「火を見ても大丈夫なのかハヤテ? 怖いけど平気? なんじゃそれ‥‥」

 

 テーブルと椅子を出しながらハヤテの顔色に注意するが平気な様だ。

 

 炭火の火力だからか? いや食欲が勝ったに一票だな。

 

「リヴェル様‥‥そのオレは祝ってもらわなくても‥‥」

 

「まあそういうなよゲルド。ほれ、冷えたビールだ飲め飲め」

 

 ゲルドのジョッキにビールを出して雑貨屋の女将さんが作った自家製のタレを木皿に入れる。

 

「偉大なる王、ゲルドの名を継ぐ事ができて良かったな! 乾杯!」

 

「ありがとうございます。恐縮です。おっとと」

 

 零さない様にジョッキを傾けるゲルドは焼肉を食べた瞬間顔を緩ませた。

 

「女将さんのタレ美味いだろ? 頑張って味を盗んでるんだが中々難しいんだ」

 

「美味い‥‥。焼いたり煮たり、食えたら何でも良いがオークですが‥‥あぁ、美味い」

 

 ハヤテは無言で魚にレモンをかけてパクついてる、頬に手を当てて幸せそうだ。

 

「私の家の前で何をやってるのですか‥‥リヴェル様」

 

「ず、ずるいですハヤテもリヴェル様も!」

 

 呆れた顔をしたソウエイとハンゾウが訓練から帰って来たみたいだ。

 

「悪い、ゲルドの襲名祝いをちょっとな。ソウエイも食うか? トレントの用水路に居たんだ、美味いぞ」

 

「頂きます。ハヤテ、俺にもその柑橘をくれ」

 

「お腹が空きました‥‥あっ! あの美味しいタレだやったー!」

 

 俺は精霊の水とりんご果汁を割った飲み物をハヤテとハンゾウに出し、ソウエイにキンキンに冷えたビールを入れる。

 

「ほらゲルドも恐縮してないでどんどん喰え」

 

「いえ、私が焼きますからリヴェル様もお食べ下さい」

 

 人数が増えたので追加でコンロを出して網を乗せ野菜も焼き始める。

 

 周りは鬼達なので更に委縮していたゲルドだが、ハヤテが焼いたものを食べさせたりと次第にソウエイやハンゾウ達とも打ち解けていった。

 

「じゃーなゲルド、気を付けて帰れよ」

 

「フフ、ここより安全な場所などありませんよリヴェル様」

 

 ゲルドが帰るのを見送ると背後に二匹の鬼が居た。

 

「‥‥酷いです。リヴェル様ーーーーーーーーーーーーーー!!!!」

 

「がうがうがうがうがうがうがうーーー!!」

 

 腹ペコシスターズが襲い掛かってきた。

 

「やべ…忘れてた。何か、何か食べ物は無いのかっ!?」

 

 スクルトが叩き割られそう!? 魚も全部食べたし、三人は一目散に家に逃げやがった‥‥。

 

「ちょ葵、まじで俺を喰うんじゃねぇ!」

 

 葵に噛みつかれる前にりんごを盾にする。

 

 その隙に果物の詰め合わせを皿に盛ると、葵と茜は急いでそれを食べ始める。

 

「茜は仕方ないが、葵はスキルの暴走じゃないよな? ご飯抜いたら駄目だろう!」

 

「モグモグ、仕方ないって何ですか! お腹空きましたーってモグモグ、思念伝達を送っても大賢者さんが只今留守にしてますとか返事が返ってきますし! リヴェル様の阿保!」

 

「朝からオークの子達が熱だしちゃってさ、薬剤調合で忙しくてご飯食べれなくて‥‥う〜美味しい! こんな果物食べた事無いよ! それなのにお姉ちゃんは全然役に立たないしさぁ〜ぱくぱく。お腹ペコペコで急いで夕飯に帰ったのに、リヴェル様がいないんだもん! リヴェル様のアホ〜!」

 

 茜が葵の頭を軽く叩く。

 

「役に立たないって患者にお薬の運搬と調合材料を運んであげたでしょ! う〜甘ずっぱい! 苺美味しいです!」

 

「葵はやばいと思ったらゴブイチの食堂に行けよ? 俺も朝から飯抜きでな…今回は全面的に俺が悪かった! すまん!」

 

 子供達の弁当を用意した方が良いかもな? 

 

 お腹も膨れて満足したのか、眠った姉妹を俺は起こさない様に静かにキングサイズの身体の背に乗せる。

 

 ハヤテとハンゾウは今日はソウエイの所で寝る様だ。

 

 リムルがゲルド王を食べた影響で身体のサイズ変更が自由に変えれるようになった。

 

 俺にも力をくれようとしたのかなゲルド王?

 

 食べ物の名前を寝言で呟く姉妹を背負って家に帰ると。

 

 リムルがお帰りと笑いながら玄関のドアを開けてくれた。

 

「ただいま」

 

 

 

「これが新しい我が家か! うぉぉお畳だ! 良い匂い!」

 

「いいねぇ〜これぞ日本人って感じだ」

 

 カイジン達が俺達の家を町の北側に建ててくれた。

 

 ドワーフの技巧と素材で非常に頑丈だ! 特に玄関は結界も貼って壊れないぞ! やったね!

 

 俺の要望を取り入れて古き日本家屋の家だ。

 

 キッチンも広いし、シンクもあるぞ〜!

 

「それじゃー俺達はこっちの家に住むから」

 

「引っ越しの荷物は庭に置いといてリムル」

 

 俺とリムルは別々の家に住む事になった。

 

 シオンやシュナが茜と葵だけずるいと駄々をこねたからだ。

 

 リムル家にはハクロウ、ベニマル、シオン、シュナがそれぞれの部屋に住む。

 

 リヴェル家には茜、葵、ハヤテ、ハンゾウが住むことに為った。

 

「ソウエイは一匹狼が好きだな‥‥一人が落ち着くのも分かるけど」

 

 ソウエイは町の外側に建てた小屋のままだ、仕事の寝起きに便利だかららしい。

 

 クロベエは鍛冶屋の中にカイジン達と部屋別で寝泊まりしてる。

 

 鍛冶屋の排熱で沸かした公衆浴場が近場にあるし、ゴブイチの食堂件飲み屋も近くにあるから天国だべと家に帰る気はない様だ。

 

 俺達の住んでいた小屋はゴブテとゴブツの兄弟が、パートナーの狼達と4人で暮らしている。

 

「地下はジメジメしてて嫌だったから凄く嬉しい! お姉ちゃんこの部屋にしようよ」

 

「日当たりも良いし、そうね。此処にしましょうか」

 

 さりげなく地下をディスるんじゃないよ葵。

 

 俺は地下の方が落ち着くから広い空間をドワーフ達に作って貰った。

 

 ほんと便利だよな土魔法って。

 

 家同士は渡り廊下で繋がってるし、離れには洞窟の温泉を引っ張ってきて露店風呂を作る予定だ。

 

 畳の上でゴロゴロと転がっているとハンゾウから念話が届く。

 

『リヴェル様。町の入り口でリヴェル様を訪ねてきた人が来ています』

 

 一体誰だろう? トルネゴかな? カバル達なら顔パスだし。

 

『その人の名前分かる?』

 

『ミラノ・フローゼンという方です』

 

『そのエルフさんは知り合いだ。家に案内してきて』

 

『わかりました!』

 

 ミラノさんは何の用だ? どうして此処に俺がいるって分かったんだ?

 

「悩んでても仕方ないか‥‥ドワルゴンからの使者なら厄介だぞ」

 

 俺は急いでリムルに連絡を入れる。

 

 リムルも畳でゴロゴロと日向ぼっこしてたらしく慌ててこっちに来た。

 

「美人エロフが来ると聞いて!」

 

「グラマーが抜けてるぞブラザー」

 

 二匹のエロスライムは大はしゃぎしながら玄関に移動を始める。

 

 今日の護衛はランガと風音だ!

 

 今はお日様の下でスヤスヤしてるけど。

 

「ミラノさんをお連れしましたよーー!」

 

「此処で靴を脱ぐんですか? はい、この履物に変えるんですか? あっ良いですねこれ」

 

 ハンゾウはお茶を入れてきますと台所に歩いて行った。

 

 俺とリムルはポヨン、ポヨンと跳ねながらミラノさんを出迎える。

 

 軽い挨拶を終えて、リヴェル家のお茶の間で話し合う事に為った。

 

「お久しぶりです、ミラノさん。本日は何用で?」

 

「お久しぶりです、ミラノさん。相変わらずお美しい」

 

「うふふ、お二人もお元気そうで何よりです。本日はお礼に参りましたの」

 

「「お礼?」」

 

 俺とリムルは顔を見合わせて首を傾げる。

 

「私の祖母から手紙が届きまして、まずはこれをどうぞ」

 

 俺は丸まった手紙を受け取り読み始める。

 

 どうやら筋肉エルフの婆さんからの手紙らしい。

 

 姫さんは俺達に直接お礼をしに行きたいそうだが、簡単には外に出れない身分なのでブティさんの孫であるミラノさんが代わりにお礼をしに来た様だ。リムルに手紙を渡して俺が話す。

 

「えっ〜と、その‥‥天帝様はお怒りに?」

 

「えっ!? いえ、むしろお喜びだと思いますよ? 私も代々お仕えしてきた姫様を助けて頂いて非常に感謝していますし」

 

 手紙を読み終えたリムルがミラノさんにこちらの要望を告げる。

 

「ミラノさん俺達は礼もいらないし、ひっそりと暮らしたいんだ。ドワルゴンやサリオンの様な大国から目を付けられたくない」

 

「今回はドワルゴンは関係ありませんわ。個人で休暇を貰い訪ねてきましたので、それに尊きエルフの血を守ってくださったお二方には感謝しかありません。静かで平穏な暮らしをお望みなら、国には関与を最小限に留める様に私から言い含めておきます」

 

「助かります」

 

 失礼しますと部屋に入り、三人分のお茶と塩せんべいを置いてハンゾウは下がった。

 

「お礼はいらないとの事ですが、貰って頂かなければお婆様に叱られますわ」

 

 魔法カバンからボンと大きな箱と小さい箱が出て来る。

 

「開けても?」

 

「どうぞ、正直大きい方は国家秘密なので個人としては悩む所ですが‥‥」

 

 大きい方には巨大なガラス瓶が入っており、中は液体で満たされ人形の様な者が浮いている。

 

「ホムンクルス? 調整はまだの様だけど、しかも未完成品だなこれ」

 

「ちょ!! リヴェルさん! どうしてそんな事まで分かるんですか!」

 

「お前が言ってた奴か。じゃーこれはお前の品か?」

 

「まぁ、別に欲しいとか頼んでなかったけど貰うわ」

 

 ミラノさんが俺を掴んでぶんぶんと振り回すが鑑定できるだけだよ。絶景かな‥‥。

 

「カバルから聞いてない? 俺はホムンクルスの事は知ってるから機密にならないよ」

 

「カバル? あぁメイガスの‥‥エラルド様も? どうりでお礼の品として献上できる訳だわ」

 

 リムルが小さい箱を開けると綺麗な虹色の宝石があった。

 

「精霊の涙? ああーアレか」

 

 ミラノさんは取り乱しましたと、俺を恥ずかしそうに降ろしてリムルに言う。

 

「リムルさん。真に失礼な事なのですが、お許しください‥‥出来ればその宝石を買い取らせて頂きたいのです」

 

「良いですよ」

 

「お礼の品と言っておきながら、あつかま‥‥えっ!? 良いのですか?」

 

「どうぞどうぞ」

 

 それもそのはず、精霊の涙を俺もリムルも作成できるからだ。

 

 これ早い話が精霊のうんこなんだよね。トレイニーさんはアイドルだから‥‥いいね?

 

「私の研究が行き詰まっておりまして、どうしても研究材料に欲しい品なんです。とても貴重で滅多に市場に流れないの‥‥リムルさん、金貨500でどうでしょう?」

 

「いえ‥‥もう50くらいで構いません」

 

「では金貨550お支払いいたします」

 

「ち、違います、金貨50で良いですよミラノさん」

 

「そんな訳には参りません! 500でも安いくらいなのに!」

 

「アレにそんな金要らないんだよな‥‥じゃー精霊魔核を代わりに下さい」

 

「‥‥リヴェルさんもリムルさんも何でそんなに精霊魔核を欲しがるんです? 凄く怪しいですねぇ…」

 

 眼鏡をクイっと持ち上げて怪しく光るミラノさん。

 

 壊れたらリムルが修復可能だけど制作するのは難しいんだよな。エルフの技術らしいがカイジンもお手上げらしい。

 

「リヴェルが精霊工学で遊んでるんだよ、何個も壊しちゃってさぁ〜」

 

「そそ、いや〜精霊工学って難しいなぁ〜」

 

 ジトっとした目線で見つめられ二人揃って下手な口笛を吹く。

 

「ハァ‥‥今、手持ちは4個だけです。リムルさんにとっては大損ですが構いませんか?」

 

「「いいですとも!!」」

 

 手持ちのバッグに保存していたのか4つを受け取って俺が仕舞う。

 

 豪華な装飾のモンスターボール何だよなこれ‥‥。

 

「少しリヴェルさんの研究を見さして貰っても? 非合法だと問題が出ますので‥‥」

 

「精霊工学上に記載してある、聖霊を人工的に作る行為と精霊に非道をすると大精霊に処罰されるって奴ですよね?」

 

「そうです。追い詰められていたとは言え、ルートが人間に使った禁忌の聖霊魔法は世界を壊す危険なモノです」

 

「ルートって何です? 精霊の力を引き出し、精霊王級の魔法を発動するでしたっけ? エルフ数千人の精霊使いによる大規模魔法の話を、スライム一匹に当てはめられても困ります。大体、精霊魔核だけあっても精霊の入れ物だけに過ぎないのに、非合法だ〜とか言われてもねぇ〜」

 

「うぐっ‥‥小精霊や精霊で魔道具を作るにしても、中精霊クラスじゃないと壊れたりするような設計じゃないのにリヴェルさんが壊すとか言ってたじゃありませんか! エルフを騙せると思わないで! 足元から伝わってくるのよ! 精霊が地下に沢山いるんでしょう!」

 

 畳をペシペシと叩きながらミラノさんは怒る。

 

「え〜そんな精霊をポンポン捉えるなんてハイエルフでも不可能じゃないんですか? 地下に居るのは移動中のノームやオレイアス達だと思いますよ?」

 

 ポーカーフェイスだが内心は焦りまくっている。

 

 勝手に遊びに来るんだからどうしろと?

 

 微精霊同士を合成して精霊とか作ってるんだが罪になるのか? リムルも確か合成して作ってたよな?

 

「リヴェルさんには沢山買い取って貰えて研究資金もウハウハで…ごほん。凄〜く凄〜くお得意様ですけども! 流石にこの数は異常です! 断るなら国を動かしますよ?」

 

「リヴェル大丈夫だろ? ミラノさんに見せるくらい」

 

「別の意味でこの地下は研究対象です! とか言ってエルフ達に占拠されないか?」

 

 リムルがそれは非常に困る‥‥。

 

 だがエルフが沢山来るのかと更に悩み始める。

 

「エルフはそんな野蛮な事は致しません! 流石に看過できない状態なら国が介入しますが。ジュラの森の領土には一切干渉しないのがこの辺りの国家間の取り決めです」

 

 問題があるならトレイニーさんが怒るはずだし、大丈夫だろ。

 

 あそこの精霊も偶に遊びに来てるからな。

 

「ミラノさん、奥の廊下の階段から地下に行けます。こっちです」

 

 物凄くワクワクした様子のミラノさんは凄く可愛いけど、何かあったら暫く逃亡生活だな。

 

 脅しは只のブラフで地下に行きたかっただけか‥‥。

 

 俺の研究場所が中央に設置してあり、本棚と試作機がゴチャゴチャと積んである。

 

 部屋の外側には精霊が好みそうな各種属性の住処を色々置いてあるので、沢山の精霊が楽しそうに遊んでる。

 

えええええええええぇぇーー! 凄い、凄い! 何ですかこの数は! あり得ない! 精霊王様がいらっしゃるのかしら? うふふ」

 

 ミラノさんが精霊を驚かせない様に器用に小さな絶叫を上げて、今は歓喜の声を上げながら精霊の住処を回ってる。

 

 普段はキリッと知的な美人エルフが少女の様にはしゃぐ姿は実に尊い。

 

 俺とリムルは可愛らしいミラノさんにデレデレしながら調査を待つのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




転スラ日記が好きなんだよな‥‥。
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