俺は自分の記憶が本当に正しいのか? この世界は本当に俺の知ってる転スラ世界なのか?
違いが多すぎて正直分からなくなってきた。
少しの違いであれば修正は可能だが、あまりにも違う変化に俺の不安は急速に加速していく。
転スラに似たパラレルワールドの可能性は無いか?
もしそうなら今後、俺の原作知識は全く役に立たない事になる。
「俺はリムルと仲間達と平和に暮らせれたらそれで良いんだがな‥‥」
魔王になった方が悪目立ちするのか、魔王にならないと生き残れないのか。
敵か味方かの判別も難しいし、クロエが存在するかも不明だ。
よくあるパターンだとキャラの性別が違ったりか? 恐ろしい‥‥。
とにかく情報だ! ピリノが獣人ならユーラザニアについて詳しい話が聞けるかもしれない!
俺はハヤテにも色々聞きたいし、塔の中に突撃していた。
「ピリノ! 獣人だったなら魔王カリオンについて教えて欲しい‥‥ん‥‥だが」
目の前にはハヤテの剣を使い、スカートの尻尾部分に切れ込みを入れて貰う途中のお尻丸出し狐っ娘が居た。
「お邪魔しました〜」
「逃がす訳無いよね?」
青筋を立てたハヤテが顔を赤くしたピリノを庇いながら俺に剣を突き付ける。
「確かに狐っ娘をモフモフしたいという欲望はあったが‥‥違うんだ!」
「リヴェル‥‥スライムだから動物と同じ扱いで何でも許されるとか思っている様だけど。魔物からしたら男性に変わりないんだよ?」
いや、本当に悪うございました! 剣が思いっきり突き刺さってますよ! ハヤテさん!
そうなんだ‥‥。
リムルは無性なのに何故か俺はキングスラりん・リヴェル♂なのだ!! 息子は行方不明の癖に! リムルだけ女風呂に入れるとか許せるか? いや、許せん!!
「ハヤテちゃん、その辺で主様を許してあげて。私も凄く気になってるの‥‥何でそのピリノちゃんから魔物の気配がするの? そして‥‥ハヤテちゃんは本当にハヤテちゃんなの?」
風音が俺に刺さった剣を前足で押し返して話しかける。
ハヤテは剣を収めるが、風音の言動に意味が分からず首を傾げる。
「あーハヤテ。そこに鏡があるから自分を見てみろ」
そこには8歳の子供からピリノと同じ13歳くらいの少女の年齢に変化し、身長と髪が伸びたハヤテが映っていた。
「ええええぇぇーーーーーーーーーーーーーー!!!」
「あとピリノの耳と尻尾だよ。ピリノって人間じゃ無かったか?」
「ああああーーーーーーーー! そうだよピリノ! 再会が嬉しくて気にしてなかったけど、何で尻尾が生えてるの!」
あれ? シズさんってこんな天然キャラだっけ?
「あはは‥‥ご主人様。恥ずかしいので今後は気を付けてくださいね? ピズが私の命‥‥魂を救ってくれたの」
ピズは何らかの方法で自分の消滅時にピリノの魂と同化することで、世界の繋がりを維持してシズの魂に寄り添った。
魂だけでも傍に居ようと名付けの親達であるシズとピリノの為に。
ハヤテは泣きながらピリノの姿の理由を聞き終わると、謝罪と感謝の言葉を繰り返して大泣きする。
ピリノが慰めるようにハヤテに寄り添い、優しく抱きしめる。
涙と鼻水をピリノに拭かれた後に、ハヤテは失ったあの子の存在を確かめるようにピリノの尻尾と耳を交互にもふりはじめた。
「うううう。泣ける話じゃねーか! 俺もピリノの尻尾をもふらせてくれよハヤテ〜」
「駄目! これは私の! グスン‥‥あの時助けてくれたのは貴方だったのねピズ‥‥ありがとう」
「シズのじゃないからね? あっ違った。今はハヤテだね」
「呼びたい方で良いんじゃないか? 俺もリムルの事を‥‥あっ友人ね。悟って呼んじゃうし」
「私も‥‥私のって言ってるでしょリヴェル! シズって呼んでくれた方が嬉しいよ?」
隙を見てピリノの耳をSAで触ろうとしたらハヤテに叩かれた。
「なるほど‥‥その風狐とピリノは同化したという事ですね! じゃーハヤテの姿だけじゃなく魔力の質が変化し、別人に為った理由は何ですか?」
「私はハヤテだよ?」
「心の成長が進化の成長に影響した‥‥後はピリノとピズの魂が離れた所為じゃないかな?」
「それが本来のハヤテの匂いって事ですね。皆にも伝えておかないと‥‥」
帰ったらソウエイが号泣するな、ハンゾウは違う意味で号泣するが‥‥。
「それよりピリノは何でリヴェルをご主人様って呼んでるの?」
「ホムンクルスである私の創造主? だからだよ?」
「駄目! リヴェルは助平なんだよ!? 俺の命令を聞けとか言ってくるに決まってるよ!」
「そんな権限付けて無いし、自由意志のはずだぞ? ピリノも俺を好きに呼んで良いからな」
「はい、ご主人様」
「ううううぅ〜」
ピリノは口に手を当ててニヤニヤする。
「もしかして嫉妬してるのシズ? 俺の嫁って言った癖にって?」
「にゃあああーーーーーーー!!」
茹蛸のように真っ赤になったシズが俺をボコボコにする。
「そうよ! 何でリヴェルはわた…私をお嫁さんなんて言ったの! もう!」
「‥‥しゃ‥‥しゃべっていいれふか?」
「あはは、ふふふ、止めてよシズ」
ピリノにも擽り攻撃をしているハヤテの隙をついてベホイミを唱える。
「俺の故郷に自分の好きなキャラを俺の嫁って呼んだりするんだよ。結婚したいな〜とか思う願望? そして、そこに性別は関係ない面白さがある」
「キャラ?」
「好きな人(二次)って意味」
「そ、それって私がすっ…好きで結婚したいって事だよね!?」
すまんなハヤテ‥‥。俺が好きなのはあの長い人生経験を得た大人のシズさんなんだ‥‥。
「いや、今はちんちくりんだしノーカンで」
その後の記憶は抜けていて、気が付くと俺はピリノに抱かれていた。
風音に乗ったハヤテとピリノと町に帰る所だ。
「体中が痛いんだが‥‥」
「フンッ!」
「あはは! ご主人様はもう少し女心を勉強しましょうね」
「料理をしている主様は凄く格好良いんですけどね」
俺は女性陣にいじられ、心身ともに疲れ果て我が家に辿り着いた。
ピリノはハヤテの部屋で一緒に生活する様だ。
二人でハルナの所に食器や家具を貰いに行ってる。
『ボ‥‥スケ‥‥テ、リヴェル』
『リムルの霊圧が! 消えた…あれ返事が無い? 緊急か!? すぐに行くからな!』
俺は慌ててリムル家に駆けあがり、リムルの部屋を開ける。
「助けてくれリヴェル‥‥味覚が無いのに何故か味がするんだ‥‥」
シオンの手料理をシオンに抱きしめられながら、恐ろしい笑顔のシュナに食べさせられてるリムルが居た。
「あら? おかえりなさいリヴェル様」
「リヴェルじゃないですか? 何かリムル様に用事でも?」
シオン‥‥別の意味で料理の腕を上げたな。恐ろしい子!
何故かお椀の中にジェリーマンとてまねきリングがいるんですが‥‥。あっ親指立てて沈んで行った。
「少し‥‥リヴェル様に聞きたい事があるのですが? あのエルフの女はリムル様の何でしょうか?」
「ぴっ!? リ、リムルは裁判時にミラノさんに助けて貰ったんだよ」
「本当にそれだけでしょうか?」
能面の様なシュナに高速で頷く俺。
「ふふ、シオン。リムル様はもうお腹いっぱいの様ですよ?」
「そうですか? 次も頑張りますね! リムル様!」
去り際にシュナが、あの女はリヴェル様の家に居ますと教えてくれた。
「ホイミ、ホイミ、ベホイミ! 立て! 立つんだ悟! ラーメン食うまで死ぬんじゃねえよ!」
「燃え尽きたぜ‥‥真っ白にな‥‥」
リムルは口から魂が出ているので今のうちに証拠隠滅しとこ。
「あっ大賢者さん。念話の録音メッセージ消しといて貰えます?」
《疑。消去する必要性を感じません》
「そこを何とか! リムルがこんな状況だと思わなくて、お願いします大賢者様! 優しいお姉様!」
《是。マスターの精神に負荷をかける可能性を考慮して削除します》
「あざす! お優しいお姉様に感謝します」
文字どおり真っ白に燃え尽きたリムルを背負い運ぶ。
同じ日本人の静江さんに会わして元気付けてやろう。
「リムル、俺達と同じ転生者で同郷の人が見つかったんだ」
「‥‥それは本当か!?」
「何と家のハヤテがそうだったんだよ。すげーだろ?」
「そっか‥‥なら早く喋れるようにしてやりたいよな」
「もう喋れるぞ」
「ダニィ!?」
俺は動くのも辛そうなリムルを頭に乗せたまま、渡り廊下を抜けてリヴェル家に帰る。
「何か寒気がする‥‥」
「あーそれ…俺もシュナに拷問「説教‥‥ですよね? リムル様」あっはい」
「悪いなシュナ。家の料理を作って貰って」
料理を運ぶシュナがお盆を片手に、器用にリムルのほっぺを詰まんでグニグニする。
「作るのは好きなので構いませんよ。お礼にレシピを教えてくだされば‥‥」
「駄目だ」
「むぅ〜リムル様。リヴェル様が意地悪をします」
「諦めろ。俺もシュナには和食専門で覚えて貰いたい」
昆布も醤油も味噌もカツオも無いからまだ教えれない、和食はダシが基本だからな。
「お菓子は教えてやってるだろう? それで我慢しろ」
「お菓子も和菓子だけじゃないですか! シュークリームが食べたいです」
俺は料理のお礼にシュナにイチゴのシュークリームを出してやると、嬉しそうにリムル家に帰って行った。
ゴブイチは飲み屋と飲食店なので色々教えてるが、シュナには是非和食を極めて欲しい。
「シュナは凝り性なので色々教えると器用貧乏になりそうなんだよな‥‥」
「だが手間暇を惜しまない性格なら、和食を作る板前さんには向いてるよな」
居間に入ると寒気の原因が分かった。鬼だ‥‥。
「リヴェル様!? このエルフが一緒に住むってどういう事ですか!!」
「リヴェル‥‥この無駄に大きいエルフは誰かな? かなっ!!」
「馬鹿な…お姉ちゃんより大きい‥‥だと? 反対! 私反対だからね!」
茜、ハヤテ、葵が順にまくしたてる。
「このお茶、凄く美味しいですね師匠」
「でしょ? ブレンド茶にしたんだ、乾燥工程をずらしたりで‥‥ミラノさん馴染んでますね」
ミラノさんはどこ吹く風で受け流している。
「別に部屋は余ってるんだから良いんじゃないか? ピリノはハヤテと一緒で良いのか? 部屋はまだ沢山あるぞ?」
「駄目!! ピリノは私と一緒に住むの!」
「ふふ、だそうですよ」
ピリノはシュナに作って貰った料理を皆に配膳してくれている。
隣には号泣しているハンゾウの身体から不幸オーラが漂っている‥‥。
「ハンゾウ‥‥大丈夫か? ソウエイはもうハヤテの事は知ってるのか?」
「ううううぅ! リヴェル様〜ハヤテの事は叔父上も喜んでいました。僕も喜ばしい事ですけどぉ!! 兄の威厳が! 僕より身長が高いなんて酷すぎますよぉぉぉ!」
「ドンマイ」
「うわぁぁぁぁ〜誰も分かってくれないんだ~」
ハンゾウは泣きながら去っていく。
「あっソウエイの所に行くなら、ついでに塩せんべい持って行ってくれハンゾウ」
律儀に泣きながら戻り、紙袋を受け取って走り去っていく。
ソウエイって甥っ子達のお陰か良く笑う爽やかイケメンに為ってるんだよな‥‥。家族が生き残った影響かストイックじゃないんだよ。
甘いマスクにソーカも出血多量で倒れなきゃ良いが‥‥。
夕飯を食べた後に、一番奥にある俺の部屋に三人だけ集まった。
「ハヤテ、紹介するな。同じ日本生まれの悟だ」
「どうも三上悟です。今はリムルってスライムですけど」
「えっ!! リムル様も転生者なんですか? あーサトルってそういう‥‥」
「同郷だろ? 俺も様はいらないよ」
「ついでだから俺も改めて、初めまして上城流星です。宜しくね井沢静江さん」
静江さんは今までの事を俺達に全て伝えた。
「そうか‥‥大変だったな。恐らくは東京大空襲の時にこっちの世界に呼ばれたんだろうな」
「空襲? あの空が真っ赤に染まった‥‥」
「すまん、忘れてくれ‥‥今はほら! 東京も戦後から復興して、今はこうだ!」
「凄い! 凄く綺麗だね。大きな建物がたくさん並んでる。リヴェルが戦争は終わったって言ってたけど信じれなくて」
「すまん、ハヤテがシズさんとは思わなくてさ」
「ううん、良いの。平和になった事が一番嬉しいよ」
リムルが思念イメージをハヤテに送る事で色々見れたようだ。
「ハヤテを召喚したレオンについて聞きたいんだが」
「妹を助ける力を持った人間を探してるみたい。私にその可能性があると分かると精霊を与えて生かしてくれた‥‥けどそれは救いでは無く呪いだった」
炎の精霊なんて相性最悪だ‥‥。空襲の所為で静江さんは火はトラウマなんだぞ。
訳も分からず急に母親から離されて寂しいのに、ただ能力を鍛えろと言われて訓練の日々‥‥。
これは俺も殴るしかないぞレオン?
結局静江さんはピリノとピズをイフリートに操られて殺してしまい、追加のトラウマ…ドン! レオンと一緒にイフリートも殴るしかないよな?
最後はカザリームの敵を討ちに来た道化師と仮面の男との戦いで、イフリートを制御できず焼き殺されたようだ。
「道化師!? 仮面!?」
「仮面と言えば‥‥うちにちょっかいを出して来た魔人だよな?」
「ハヤテ! この仮面に見覚えは?」
「!? その仮面はカザリームがしていたわ! 何でそんなものをリヴェルが持ってるの!」
「塔の中で拾ったんだよぉぉぉぉぉ」
俺はハヤテにガクガクと揺さぶられながら考える。
ハヤテの言ってる事が本当ならカザリームはさまたまの中に入ってる事に為る。
つまりユウキ君を召喚していない事になるんだが‥‥白目。
いやまて、時期によるよな?
「なぁ‥‥ハヤテ。お前はレオンにカザリームの居城で召喚されたのか? それならカザリームはレオンに倒されてるから矛盾するんだが?」
「えっ? カザリームの居城とか教えられてないから分からないよ。最初からレオンの城と思ってたから‥‥」
トレイニーさんが俺に嘘を教えた?
いやそれは無いな‥‥けど巻き込まれない様に近くで見て無いからなあの精霊。
「よくわからん、リヴェル分かるように説明しろ」
「トレイニーさんが言ってたんだよシズエはカザリームに大怪我を負わされたって。でもレオンはカザリームと戦って倒した後に居城を奪い、静江さんを召喚してるんだ。矛盾してるだろ?」
「卵が先か鶏が先かみたいな話だな‥‥」
「その仮面の女はカザリームと名乗っていたよ? もの凄く強かった‥‥そんな相手なのにあの子を庇いながら戦う事で、私は隙を突かれて重傷を負い気を失ってしまった。気が付いてからレオンに尋ねるとカザリームは俺が倒したと言ってたよ?」
あーそういう‥‥別に知らんでもいい謎が解けた。
俺は部屋の中にある花瓶の花を中央のテーブルに置く、それに向かって囁いた。
「皆、お腹空かないか? 何か食べるものを‥‥そういや二人共、ポテトチップスの食べ方で一番美味しい食べ方は何だと思う?」
俺は何か言いたそうな二人に話を合わせてとジェスチャーする。
「俺は粉チーズかけてビールで良く食べてたな」
「私は何も付けないで食べてるよ」
俺は花に近寄り少し大きな声で言う。
「俺はのりしおを袋に入れてハンマーで粉々にしてから、マヨネーズを混ぜてちくわの中に詰め込んで食うのが好きだ」
「邪道よ!!!」
煙と共にボンと言う音がすると、怒った表情の後にしまった…という顔になるうすしおさん。
今はゆっくりと背筋を伸ばし正座してから綺麗な土下座をしている。
「あの‥‥その‥‥リヴェル様」
「あー大丈夫。俺にしか盗聴してないだろうし、理由も検討が付くからね」
「ハァ‥‥。探知にも引っかからない筈なのに何でバレましたの? あんな邪道な罠まで使って、卑怯じゃありませんの! 大体、貴方は私が見張っていないと何をしでかすか‥‥申し訳ございませんでした!」
俺は反省しないトレイニーさんを睨む。
何故盗聴がバレたのか? 答えは君の眷属であるトレント君だよ。主様が悪い事してるの〜ってね。
俺が魔力を注いだ苗木トレント君とは意思疎通が出来るのだ。あと成長も早い。
リムルは苦笑い、ハヤテは凄く驚いている。
「別に俺達が転生者とばれても問題ないけど、もう盗聴は止めてくださいね?」
「はぃ‥‥以後気お付けます」
「お前の事だ何か分かったんだろ? 早く教えろ」
「盗聴だよ。つまり情報を音だけで得ていたんだよトレイニーさんは。だからミスリードされていたんだ」
「眷属と感覚を共有する方法でして目としても使えますが、それは軽い探知能力がある物ならすぐにばれてしまいますから」
目という事は妖精とかドライアド、実際に視覚がある眷属だろう。
「あっ! 思い出した! 精霊の扱い方を教えてくれた人の声!」
「ふふ、あの時の少女騎士様に会えて光栄ですわ」
お前達…何度も一緒に並んでお菓子食べてたよな? 夢中になり過ぎだろ‥‥。
「トレイニーさんカザリームの姿や声って知ってます?」
「申し訳ございませんリヴェル様。カザリームは居城に引き籠って姿を見せませんし、ヴェルドラ様に預かったこの土地で無暗に問題を起こすわけにもいかないのです。ジスターブよりこの地にカザリームが訪れても静観する以外は何も‥‥。ただ、シズエさんが戦った相手がカザリームと名乗っていたのは事実ですわ」
「死んだカザリームに成り済ました? 目的は偽装工作か?」
「刺客が生き伸びて逃げたのならそう解釈できそうだが殺されている。その証拠に敵討ちと称してカザリームの配下が来ているからな。恐らくは‥‥陽動だと思う。何かを盗み出す為か、囮に為って逃がす為なのか、情報が足りなすぎて確証は無いんだが‥‥」
「たぶん目的は姫様じゃないかな? 襲撃者の狙いは姫様だったよ?」
「姫様? あー! その子の名前を教えてくれハヤテ」
姫が目的ならカザリームを名乗らずに、別の奴に陽動させて殺害か誘拐をする筈じゃないか? 一か八かの単独犯行? 陽動のついでに姫を狙った?
「えっ!? いつもお嬢様とか姫様呼びだからわかんないよ‥‥ピリノもあの子って言ってたでしょ? あの子、滅多に外に出ないの」
俺はハヤテにクロエの思念イメージを送る。
「そう! この‥‥何でリヴェルが知ってるのか教えてくれるかな?」
言いなさい! とハヤテに口を伸ばされるが夢で見たと言うと余計に怒られそうだから言わない。
絶対に口を割らない俺に白状させる事を諦めたハヤテが、俺の頭を軽く叩いて「大きく為って」と言いうのでキングに戻ると俺の頭上にダイブしてふて寝を始めた。
「トレイニーさん奇病の類で寿命が延びる病とか、延命の為に時間を止める術や技法って聞いた事あります?」
大ちゃん検索によると、前者の病は該当なし。
後者は過去の文献には在ったらしい、所謂コールドスリープって奴だ。
「無い‥‥と思いますわ」
俺が深く考え込んでいるとリムルが聞いてきた。
「お前がこの件に拘るのはオークロードの件と関係がありそうだからか?」
「すまん悟。盟主代行の立場ならそっちで考えろって話なのに‥‥俺が個人的に気になるだけだよ。どうやら昔に見た夢で何度も出て来た女の子が姫様‥‥だと思う」
「あー星が言ってた予知夢かもしれないって奴か‥‥静江さんも出て来てるんだよな確か?」
「正確には最後の女の子は大人になったり、姿が変ったりするんだが‥‥同一人物じゃなかった気がするんだよな。あーもう何度も見たのに最後の女性だけ思い出せねぇ」
夢ではハッキリと一人だったはずなのに記憶の人物像がブレるのは何故だ?
「最後の人物だけやけに曖昧じゃないか。繋がりは転生者か?」
「‥‥それは面白い着眼点だな。予知夢とは違う‥‥助けて! と言う強いメッセージ性の方がしっくりくるんだよ」
目的は何だ? クロエの身体を乗っ取ろうとしていたのか? お前の大事な妹を殺す! みたいな感じで、レオンに対する人質か嫌がらせか‥‥。
取り合えず分かる情報は此処までかな。
俺はハヤテを起こさない様に静かに移動し、ピリノに預けてからミラノさんに会いに行った。