二度転生したらスラりんだった件   作:Kut-Ku

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38話 あんたのジャスパーじゃ〜二番目だ‥‥。

「お待たせしましたミラノさん。居間に行きましょうか」

 

「お気になさらず師匠、私も引っ越しの荷ほどきと衣服の整理をしていましたので。しかし師匠‥‥お話なら私の部屋ですれば良いのでは?」

 

 俺は無言で部屋の外に指を挿すと廊下を覗いたミラノさんがなるほどと納得する。

 

 茜、葵、ピリノに抱き抱えられ今にも寝落ちしそうなハヤテが、姉妹の部屋からこっちを覗いているのだ‥‥。

 

 ハヤテが急成長したり、ピリノが家族に為ったりと同世代が増えた事が嬉しい様だ。

 

 葵が皆でお泊りしようよ! と女子会みたいな事をして皆で一緒に寝るみたい。

 

「俺も最近性を自覚したんですが、魔物的にはおっさんが夜に女性の部屋に押しかけてる事に為るらしくてね。じゃー行きましょうか」

 

「師匠って何歳なんですか? 太古のスライムとか言われても驚きませんが‥‥」

 

 まだ0歳でばぶー。何て言える訳無いしな。

 

 居間に着きテーブルにお茶とお菓子を出して、ミラノさんの方に置く。

 

「まー想像にお任せしますよ、お茶とお菓子です」

 

「ありがとうございます」

 

「ご馳走になりますわ」

 

「俺もお茶だけ貰えるか?」

 

「何でリムルやトレイニーさんまで居るんだよ‥‥」

 

「「お構いなく」」

 

 まーこの二人が居るお陰で葵達も自分の部屋で大人しく寝た様だが‥‥。

 

「ごほん、ミラノさんは所長を辞めて来たんですか?」

 

「ええ、まぁ‥‥。ガゼル王には私の代わりを国に派遣して貰っていますのでと伝えましたが、かなり渋られ説得には難航しましたわ。ですが強制力は無いので何とか了承を得れました。他のスタッフが全員止めて来て薙ぎ倒すのに苦労しましたけど」

 

 俺も美人で優しい上司が辞めて後任におっさんが来るなら全力で止めると思います。

 

「実はリムルがミラノさんを弟子にするのは反対だそうで‥‥」

 

「ブフォーーー!! げほっげほっ。おいリヴェル! 違うんですミラノさん!」

 

「リムルさんは、私がリヴェルさんの弟子になるのは反対でしょうか?」

 

 ミラノさんはリムルにお願いするように頬を触る。リムルを触る手つきが何かこう‥‥エロい。あー俺が来る前にこれを、リムルに色々したからシュナが警戒しちゃったか。

 

「許可します! 寧ろリムル家に住んで下さい!」

 

「ありがとうございます。もう荷物は運んでしまいましたわ、ふふ」

 

「リヴェル様、マヨネーズって何ですの?」

 

 こっちは色気の欠片も無く、俺のほっぺに指をグイグイ押し付けながらしつこく聞いて来る。

 

 俺は溜息を吐きながら、うすしおさんにケチャップ、コロッケ、ウイスキーを出す。えっ? て顔をするなリムル‥‥ソースは無いんだ。

 

「良い子だから、これ呑んだら大人しく自分の家に帰りなさい」

 

 子供扱いしないでください! と文句御言うがケチャップを付けて食べると大人しくなった。

 

 気に入ったらしいトレイニーさんが、リムルと一緒にウイスキーをチビチビやり始めたので安堵する。

 

「ミラノさんは何を学びたいんですか? 魔道具なのは分かりますけど研究分野は何ですか?」

 

「まだ名前は無い魔道具制作です。戦闘用ばかりでしょ? 生活に役に立つような魔道具が作りたいのですが‥‥調整が上手くいきません。ですが師匠に私の作品を沢山購入して頂けたので、精霊の涙が手に入りましたわ!」

 

「ゲホッゲホッ‥‥失礼。お酒がきつくてむせましたの」

 

 貴方、度数が高い方が好みでしょうに‥‥。

 

 精霊の涙は近づけたり遠ざけたりで威力調整が可能になるとか? 本来は杖の先に付けたりして魔法の威力を大幅に向上するブースト的な触媒だからな。

 

「それならリムルの弟子に為った方が良くないですか?」

 

「そうなのですか? リムルさん」

 

「まあ、こういうのを作る事は出来ますよ」

 

 そう言って、リムルは筒の容器を取り出し水を入れる。

 

 それは直ぐに湯に変わり、湯気が立つ超瞬間湯沸かし器に早変わり。

 

「凄い! 刻印だけで調節している‥‥魔法陣を重ねる事で遅延効果をもたらしてる? 刻印の陣を少しでも変えたり削ると効果が出ない筈なのに‥‥あっ! 魔法陣を鏡のように反転させてるのね‥‥リムルさんこの技巧魔法をぜひ教えてください!」

 

「じゃ〜後はリムル任せたぞ〜お休みなさい」

 

「待ってください師匠! 両方から学びたいです!」

 

 俺もやりたい事が多くてミラノさんに師事してあげられないから、リムルに任せたかったんだが‥‥。

 

「えっ? 俺要ります?」

 

「精霊工学を教わりたいんです!」

 

「それにリヴェル。俺にも出来ない事が在るからな? ドライヤーとかいい例だろ?」

 

「あー二つの属性だと威力調整出来ない奴か」

 

 ドライヤーはハ…髪の毛が無いから別にいらんけど。ハンドミキサーは欲しいな‥‥ブレンダーがあればマヨネーズ作りが楽だ。

 

「ドライヤーも凄く気になりますけど‥‥精霊工学を学べば色々出来そうなんです!」

 

「俺もやりたい事があるから普段は自分の研究しながら、見て学んでくれる? 教えて欲しい事が出来たら何とか時間作るから」

 

「それで大丈夫です。宜しくお願いします」

 

「うん、よろしくねミラノさん。おやすみリムル。おい‥‥何寝てんだこのうすしお」

 

 俺は盛大に溜息を吐く。

 

 仕方なく酒臭い芋を背負い、空いている部屋に移動する。

 

 部屋に布団を敷いた後に悪い子のうすしおさんをセイヤッ! と投げ捨て毛布を掛けてから部屋を出た。

 

「ふぎゅ〜〜コロッケ‥‥」

 

 自分の部屋に戻り温かい布団の中に入る。

 

 ミラノさんに弟子入りの餞別として貰った素材で、新しく作れる物が無いかをチェックしているといつの間にか眠りに付いていた。

 

 

 

「師匠! 三人居るなら一人くらい私を師事してくれても良いじゃないですか!」

 

「錬金、交易、研究と役割分担が決まっていて忙しいんだよ! 店舗の品出し、在庫管理、交易品と相場のチェックで交易は暇が無いし、錬金は鋼が作れるようになったから配下達の装備更新に忙しい。それと研究でも錬金は使用するんだ‥‥だから言ってるだろう? 忙しいから見て学ぶしかないと、教わる事が出来ない時間は自分の研究をしてなさい」

 

 正式に弟子入りしたのでミラノさんとは師弟関係で接する事にした。

 

「うううぅ〜もう! 師匠意地悪です! 精霊の好かれ方とかありますか?」

 

 並列存在を出してやりたいが、研究にも魔素は要るし、錬金にもMPが必要な品があるんだ。

 

「好きなだけ実地で学べミラノ。まずは気に入られる所から始めないと相性云々は先の話だぞ」

 

「話しかけようとしてもすぐに逃げちゃうんですよ!」

 

「あいつらは遊んで欲しいんだよ。俺達の言葉は理解できるから近づく前に有利な遊ぶルールを決めろ、時間制限だったり、範囲指定のかくれんぼとか」 

 

「ルールを設定した追いかけっこなら捕まえられるかも? 私が得意なジャスパーなら有利じゃない? 師匠、かくれんぼってどういう遊びですか? あっあの子!! 見つけた! 絶対貴方と契約して見せるんだから〜!」

 

 お気に入りの子を見つけたらしいミラノさんは走り去っていく。

 

「俺はむしろジャスパーを知りたいんだが‥‥」

 

 精霊工学は精霊と契約し言葉を理解するか、信頼を得て仲良くなる方法が分かっていないと事故の原因になる。 

 

 子供の純粋さに精霊は引かれやすいから、小さい時に精霊契約をしていないと余ほど相性が良くないと契約は難しい。なので精霊工学の研究だけなら仲の良い精霊グループと友好を築いた方が近道だと言ってるんだが‥‥。ミラノは母親の召喚獣に思い入れがあるらしく契約に拘るんだよな。

 

 精霊工学なのに精霊の言葉も理解できず特性だけ分かっていても、仲が悪い子を隣に配置した時点でアウト。その上懐かれてない奴らだらけで研究とか、最初から成功するわけないだろドワルゴンの研究員達よ‥‥。

 

 その事をカイジンに言うと「先に言え! 先に!」と理不尽に怒られた。

 

 カイジンの研究チームは精霊使いを複数用意し、研究は好調だったらしい。精霊と契約した者だけが意思疎通が出来ると言う落とし穴に気が付くまでは‥‥。

 

 精霊魔導核の起動で仲の悪い子達が喧嘩して魔力暴走を起こして爆発という。

 

「エルフもドワーフも精霊の血を引いてるからって、生まれに関係ない属性の精霊まで全て仲良くなれると考えるから痛い目に合うんだよ」

 

 俺はミラノを見送った後に地下の研究施設に降りる。

 

 当初は研究施設も設置してあったんだが精霊が増え過ぎた所為で、地下一階は精霊の遊び場として精霊達に提供する事にした。

 

 地下二階に新たに研究所を作ったが水の精霊の所為で気温が凄く低いらしく、ミラノの研究場所を作ろうとしたが冷え性なのでと丁重に断られた。

 

 俺はケースから取り出された、人体模型の様な皮膚の無いホムンクルスを眺める。

 

「この未完成のホムンクルスの素体はエレンじゃないのか?‥‥鑑定しても名前がわからないからエレンの髪の毛で照合したんだが別人じゃん」

 

 エレン、カバル、ギドには地図機能に登録する為に、髪の毛を貰ってあるので遺伝子情報は入手してある。そのお陰であいつらは自由に街に入れるからな。

 

「まあ、あの娘大好き親父がエレンのホムンクルスを知らない奴に渡す訳無いか‥‥」

 

 我々エルフの技術力をお前に理解できるのか? とか思ってそう。

 

 ホムンクルスを知ってると言う俺への当てつけなのかこれ? どう見てもお礼の品じゃなく煽られてる気がするんだが‥‥。

 

 技術漏洩を防ぐ為か未完成品に色々魔法の術式プロテクトを施してあるし、決して完成されない様にOSとマザボが抜かれたPCと同じ状態だからなこれ。ホムンクルスの調整や生命維持装置みたいな外部ハードも作らないと駄目だろうな‥‥。この状態でお前に理解できるか? ドヤッ! とか喧嘩売ってるよなあのおっさん? 売られた喧嘩を即買いしたからオリジナルホムンクルス作ってやったんだが‥‥。

 

 ミラノにホムンクルス技術を聞いても何も分からなかった。軍事関連の技術はかなり高い地位にいる人でないと知り得ない秘匿技術らしい。

 

 俺のホムンクルスは素体に大量の魔素を注いで作り出すごり押しで、悪魔召喚と精霊召喚を解析して編み出された産物だ。

 

 こっちの世界に来るために一度分解され、召喚時に再構築されるのを応用している。悪魔が受肉する方法にザオラルを併用するやり方で、生き返らしたい相手のイメージを召喚者として素体に反映させて復活するのがオリジナルホムンクルスって奴だ。

 

「これだと素体の作成にオリハルコンやらミスリルエーテルをガバガバ使うから、エルフの技術を解析したいんだけど‥‥どうしたものやら」

 

 俺は椅子の上でクルクルと回りながら考える。

 

「解析しても情報を正しく理解できる頭が無いとな…。知能…知力…頭を良くする方法? 頭の良さは賢さとは別‥‥かしこさ!?」

 

 俺は金のロザリオにかしこさ+6と7が付いてるアクセサリーを二つ装備し、知力ステの鱗の鎧を着て、鱗の盾を背負う。

 

「こんなんで頭が良く為れば誰も苦労はしな‥‥理解できるな。だがホムンクルスの参考書が欲しい。一から自分で解釈していくのは結構辛いぞこれ」

 

 俺が悩んでいると急に大ちゃんからお知らせが来た。

 

《提言。個体名リムル・テンペストの捕食者(クラウモノ)飢餓者(ウエルモノ)と統合され新しく進化し暴食者(グラトニー)へと成りました。恩恵により擬態と受肉の効果を得て特技を獲得。魔法と特技を生贄に上位の呪文に格上げする事が可能になりましたので、このシステムの利用を提言します。尚不要なものはコストとして保存可能です》

 

「おおおおおおおお!? お前、統合まだやったんかいっ! 新しい呪文キター!! うぉぉー愛してるぜ悟ぅーーー!!」

 

 大ちゃん生贄って保存してあるからコストで呪文の再利用とか可能?

 

《否定。その様な権能は持ち合わせていません。竜物語の呪文を記憶し複製する事は現在不可能です 》

 

「チートはリムルだけか…パルプンテ生贄にする? うーん‥‥悩むな」

 

 とりあえず上位の魔法が既にあるメラ、ホイミ、ギラはいらんよな焼け付く息と猛毒の息もいらない。

 

 大ちゃん。ザオラルをザオリクにできそう?

 

《否定。指定した全てを生贄にしてもコストが足りません。ピオリムとベホマが実行可能です 》

 

 ベホマか‥‥でもフルポあるし部位欠損もベホイミで治るしな。

 

「大ちゃんピオリムで頼む」

 

 ベホマは全部生贄だがピオリムはホイミとギラのコストだけでいけた。

 

 要らないものはコストとして置いておけるが、何が必要になるか分からないし保留だ。

 

 リムルに念話で感謝を伝えると、本人も大賢者にいきなり言われて驚いたそうだ。

 

「固有スキルの肉体操作で理解が深まったんだが、ピオリムを脳に使えばどうなるんだ?」

 

《否定。思考加速とは根本的に違います。脳の血流速度を上昇させ活性化し、情報処理能力を上げる事は脳にかかる負担が尋常ではありません。私の制御下に置いてもリスクの方が上回りますので却下します》

 

「頼む大ちゃん! これしか方法は無いんだ! 上手く制御してくれよ‥‥ピオリム!」

 

《慨嘆。生命維持を最優先、脳の潜在的能力を限定解除。危険域に入る前に、私の判断で強制解除します》

 

「情報が抜かれない様に色々小細工してるが‥‥こっちには大ちゃんというスパコンがあるんだぜぇ〜! ほいほいっと。これで解析と分析は大体終わりか? サリオン産のホムンクルスの設計図とレシピも作成できた‥‥が。素体を作る為の素材コストは同じか少し少ないくらいか。DNA登録型だと魂が複製されて、魂の転移が出来るのは凄い技術だな。オリジナルの本体は強制的に睡眠状態に陥るが、複製された魂は壊されようが本体にダメージは無いのか? 記憶を引き継ぐためには精神ダメージを受け入れるしかない設定だな‥‥う〜〜ん」

 

 俺は目から血が流れてる事に気が付かずほくそ笑む。

 

「クックック‥‥エルフ技術ゲット〜! テンペスト一家を舐めたあんたが悪いんだぜぇ? エラルドさんよぉ〜ぐあっ〜〜!!」

 

 突き刺さるような目の痛みと、激しい頭痛に晒されて眩暈がする。

 

「くそっもう少し、この因子研究を‥‥ガッ‥‥あっ」

 

 何かが切れる音がして俺は床に転げ落ちた。

 

 声が‥‥聞こえる‥‥。

 

 

 

――――お願い   を止めて―――――

 

――――世界が   前に――――――

 

――――貴方   いるの?――――

 

 

 

《馬鹿者! 何故、いつも貴方は私を心配させる!》

 

 ん? 身体が動かない‥‥誰だ? 大ちゃんなのか?

 

《警告。脳の損傷が激しく現在修復中です。脳組織を復元するイメージでベホイミを使用してください。損傷個所の治療をサポートしますので至急回復呪文を唱えてください》

 

「ベホイミ‥‥ベホイミ。ハァ‥‥ハァ‥‥ベホイミ!」

 

「ごめん、本当に助かったよ、大ちゃん。」

 

《‥‥》

 

「もうズルしないで独学で学ぶよ‥‥許してくれ」

 

《‥‥疑心。》

 

 ひでぇ‥‥。

 

 体中が血塗れだ、頭もボ〜っとするし、眼の奥がまだ痛い。

 

 温泉の湯を頭から流しさっぱりする。

 

 温かいコーヒーを飲んで、ようやく一息付けた。

 

 最初に頭の中に響いた声は一体誰だ? どこかで聞いた事が在るような?

 

 そして次に俺を心配し叱りつけるような声の主は一体? 

 

 同じ声なのに何故か、同一人物じゃない気がするんだよなぁ‥‥。

 

「あの声の主は大ちゃんなのか? ルシアさんか?」

 

 

 

 大ちゃんからの返事は無く、俺の言葉は空しく掻き消えた‥‥。




精霊用心棒「じゃあ、一番は誰なんだ!」

天帝はチッチッチと指を振り自分を指す。

イメージはエルフ式じゃんけんです。
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