二度転生したらスラりんだった件   作:Kut-Ku

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39話 はいと言うまで雷は落ちる

 俺は自分で汚した研究工房の床を、大ちゃんの小言に辟易しながら掃除していた。

 

「ピオリムを脳に使用したあの全能感は本当にやばいよな‥‥脳汁がドバドバ出る。恐れたまえよ‥‥なんてな」

 

 知識の源流、神の領域。あるいは‥‥うぅ〜んバッサ!

 

「脳が直接焼かれるような痛みなのに多幸感‥‥頭おかしくなりそう」

 

 余韻が忘れられず、好きなゲーム世界の住人になった気分で気を紛らす。

 

 倒れた瞬間に机の上に置いていた物があちこちに散乱し、さま魂も床に落としていたみたいだ。

 

「敵対するか分からんけど、仮面の奴の肉体は用意しといてやるべきだよな?」

 

 さま魂の中にいる魂は心核にダメージは無いものの、劣化が激しく大ちゃんが修復中だ。

 

 カガリを名乗る偽物か、誰かの肉体を乗っ取ったカガリがクロエを襲ったのか‥‥。

 

 ひとまずはカガリと仮定して作るか。

 

「俺が作った錬金術・人造生命体・魂の箱舟(アルケミスト・ホムンクルス・ソウルノア)。頭文字を取ってAHSN! 略してアホソンでハイエルフを作成出来たら良いんだが‥‥」

 

《否定。マスター、最後通告です。その命名を直ちに変更しない場合、今後一切貴方に命名権はありません》

 

「スキルの反乱だ! あほ可愛くて良いじゃんか! おまっ! あああぁえぇ〜〜申し訳ございません! じゃーホムンクルスのプロトタイプ。ソウル・ノアで」

 

《肯定。略称、ホムンクルス、ソウル・ノアで登録します。良くできましたマスター》

 

 勝手にスキルを操作し、高級酒瓶を数本上から落として地面スレスレで道具に収納する脅しは酒カスには効果抜群だと思います‥‥。

 

「どうせならダークエロフにしよう。確かガルムが「俺の生涯で最高の力作だ! リヴェルが言ってたビキニアーマー出来たぞ!」とか鼻息荒く言ってたな。鬼娘達にバレない様に後で取りに行ってカガリに着せよう」

 

 誓約を組み込むと人格強制にもなっちゃうらしいから洗脳みたいで嫌だ‥‥。

 

 意志は自由で創造主に危害を加えられない契約を組み込んで置けば大丈夫だろ。

 

「駄目だ型に流す金属素材が無くなった‥‥鉱物資源が全然足りない〜〜!! ミスリルと金が欲しい! 魔鉄と魔鋼は大量にあるのにな〜何かと融合させたら別の鉱物にならんか?」

 

 ホムンクルスの血液に為るエーテルを合金から作れたら最高なんだけど‥‥。

 

 交易でオリハルコンなら手に入るんだが、ミスリル、金、銀は交易市場になかなか流れてこないんだよなぁ。

 

 俺の個人所有の銀、金、ミスリル鉱山が切実に欲しい!!

 

『おーいリヴェル。大賢者妹がお前に説教しろと提言してくるんだが? 何をしたんだ?』

 

『リムル‥‥我が古き友よ。脳に瞳を得たと言えば?』

 

『貴公‥‥よい診療所を知っているんだが‥‥』

 

『ヨセフカへ送るのは止めろ! いや、最近もやらかしてるが、その‥‥信じてくれ‥‥もう馬鹿な事は絶対しないから』

 

 俺は長い年月で培われたエルフの知識を解読するには、ピオリムを直接脳に使い活性化させ、理解度を高めた上でしか技術取得は不可能だった事。大ちゃんが危険行為を止めて来たのに無理に実行して、結局危機に陥るまで使用を止めなかった事を反省しながらリムルに伝えた。

 

『駄目だ訳を言えわけを‥‥親友がこの世界に来て良かったと毎日楽しそうにしてるのに、ニ度も自殺紛いの行為を繰り返してるんだぞ? お前の立場ならどうする?』

 

『うぐっ‥‥理由を問い詰めると思います。あ〜もう! あれだ! お前の肉体を作ってやりたかったんだよっ! エルフの技術には五感を備えたホムンクルスの作成が出来ると思ってな』

 

『まずは自分の肉体が先だろう? はぁ〜まったく! これじゃー怒るに怒れないじゃないか。このお人好しめ‥‥』

 

『俺はこの体が気に入ってるからな。睡眠や味覚も、トイレだってアイドルボディーで必要無いんだぞ?』

 

『理由は解った。でも俺の為なら尚更無茶は止めろ。お前自身にピオリムを掛ける事は封印させて貰うからな?』

 

『そんな〜! あっ‥‥うん。我慢する』

 

 酒瓶が上空にセットされた瞬間に、リムルが急に思い出したかの様に言った。

 

『そういや、カイジンがお前の事を探し回っていたぞ?』

 

『あぁ〜水道橋の建設の件じゃないか?』

 

『はぁ? 水道橋ってローマで有名なアレか? 本当に出来るのか? 井戸で良いじゃないか』

 

『ヴェルドラ洞窟の山上から水道橋を作り、地底湖の水を吸い上げて街に流そうかと』

 

『うーん‥‥カイジン達がOK出すならやってもいいけど。温泉引き終わったら俺も手伝うよ』

 

『あー悪いリムル。研究で使う鉱石が無いから取りに行くんだよ』

 

『魔鉄や魔鋼があるだろ? 別の鉱石ならモール族には粘土や石の採掘任せてるんだから、余計な仕事増やしてやるなよ?』

 

 モール族はモグラに似ていて目もしっかり見える可愛らしい種族だ。

 

『わかってるって、自分で掘りに行くつもりだから。じゃーな』

 

 俺はリムルとの念話を切り、地下を上がるとミラノが嬉しそうに駆け寄って来た。

 

「師匠! この子と仲良くなれました! 契約はしてくれませんでしたが‥‥」

 

 ふよふよと空を浮き、何処かで見たようなクラゲの中級精霊がミラノの肩に乗っている。

 

「あははは。ミラノ、お前が負けたから私の子分だとか言ってるぞ」

 

「むぅ〜この子がルールを良くわかっていないだけです! えっ!? 師匠! 何故契約してないのに、この子の言葉が分かるのですか!?」

 

「ん? 加護の所為じゃないか? あとはユニークスキルとか」

 

「精霊関係の加護って物凄い貴重で国に囲われるんですが‥‥ま〜師匠ですからね」

 

 あ〜何かに似てると思ったら‥‥。その母親が契約したらしい召喚獣のクラゲ‥‥足の生えたリムルに似てるんだ!

 

 なるほど‥‥だからリムルにミラノさんは好意的と言うか可愛がるのはそういう理由か。

 

 亀に似た精霊がミラノの眼鏡を咥えて飛んで行った。

 

「あっコラ! 待ちなさい!」

 

「ミラノ、俺は少し出かけて来るから!」

 

「はーーーい!!」

 

 俺は急いで地下の階段を上がり、玄関の扉を勢いよく開けた。

 

 だが家の前にはリリナ、カイジン、ゴブキュウ、ログルドが待ち構えていた。

 

 開けた扉を無表情で閉め、リヴェルは一目散に逃げ出した!

 

 ‥‥しかし回り込まれた。

 

「おいおい、リヴェルの旦那。何処へ行くつもりだぁ? 「水道橋を作るなんてドワーフからしたら簡単だろ?」だとぉ!? 俺達をモノづくりの神か何かと勘違いしてねぇか? まったく‥‥設計図を作りてぇから一緒に現地に行くぞ? 構造も機構も知ってる奴から聞く方が早いに決まってるじゃねーか」

 

「リヴェル様。水道橋と下水整備の件ですが、案としては非常に素晴らしいです。ですが私を通してくれませんと困ります‥‥。生活に直結する話ですから最優先に資材を分配させて頂きますので」

 

「リヴェル様。二毛作の事を詳しく聞きたいのですが? それと魔国米の方が収穫量も多いのにドリス米の作付けを優先したいのですよね? 何故ですか?」

 

「リヴェル様。レンガでパン窯作りたいんだよな? 家の何処に設置したら良いんだ?」

 

 ちょちょちょ! 同時に喋るんじゃない、聖徳太子じゃ無いんだぞ俺は! 

 

 思考加速! え〜っとフムフム。

 

「カイジン少し待ってくれ、土魔法が得意のモール達は街の歩道が完成するまで手が空かないんだ。空き次第ドワーフ達に連絡を入れるよ」

 

「企画は既にリグルドに通している。今聞いた通り設計図もまだだぞログルド? 何故、もう着工するような話が先走りしてるんだ?」

 

「リリナ、二毛作は二種類の作物を季節で分ける方法だ。食料が厳しい昔に出した案で、今の麦や米の育成速度では必要ないと思う。あと俺は黒い米よりドリス米の白が好きなんだ! 最悪俺の食べる分だけで良いから確保してくれ頼む!」

 

「ピザも焼きたいし凄く欲しかったんだよ。シュナにも使わせてやりたいから、両家の真ん中に作って貰えるか? 指定場所は柵で囲ってあるから頼んだぞゴブキュウ」

 

 先に設計図と下見を済ませて置くべきだと食い下がるカイジンに、用事で鉱石堀に行く事に為ったと告げると「俺も一緒に行くぜぇ、ドワーフの血が騒ぐ!」とカイジンが付いて来そうになったので慌てて分裂体と下見に封印洞窟へ向かわせた。

 

 まさかゴブナが狩りのついでに魔国米を見つけて来るとは思わなかったよ‥‥。

 

 取り合えず話が纏まり、皆が解散していったので石切り場で俺と仲の良い士郎(46番)を探す。

 

「いた! おーい士郎」

 

「リヴェル様ではござらんか? 拙者に何か御用で?」

 

 可愛い顔をした、武士言葉で話すモール族の士郎くんにこの辺の鉱山事情を聞いた。

 

「ミスリルでござるか‥‥この辺は塩、鉄、銅の鉱山しか見かけてござらんな?」

 

「そっか、何処かで買うしかないか」

 

「ふむ‥‥確か兎人族が金、銀、宝石類を取り扱っていましたぞ?」

 

「ああああーー! あいつらの事を完全に忘れてたわ‥‥」

 

『風音〜ちょっと遠出したいんだけど?』

 

『すみません主様。今ハヤテとピリノと大森林に向かっていますので‥‥』

 

『了解。気を付けてな』

 

『申し訳ございません。でわ』

 

「そういや二人共、墓を片付けて花畑に変えるとか言ってたな」

 

 生きてるのに自分の墓があるって気分の良いものでは無いよな‥‥。

 

「風音が最近ハヤテに取られて寂しいが、俺には頼れる配下がいるんだよぉ〜」

 

 我が華麗なる配下のゴブリン達よ! 我に参陣する事を許す! ふははは。

 

『すまねぇだリヴェル様。家で使う木材が全然足りねえって言われ‥‥お〜う! 今行くべ! ほんにすまんけどもぉ〜忙しいからきるだよ』

 

 俺は最後の望みのゴブゾウの断りに心が折れて、地面に倒れ伏し泣き崩れた。

 

「人望はあるはずだ‥‥そう、皆忙しいだけだ。前回も全員に断られたとしてもな‥‥フッ」

 

 目から汗がこぼれて少しショッパイが一人で行くしかないな。

 

 俺は壊れたSFを魔鉄製の蜘蛛型に作り替えたモノに乗り込み、兎人族のいる洞穴に向かう。

 

 糸は出ないが鉤爪とワイヤーで高速移動が可能だ。

 

「護衛のいない一人旅も気が楽だと考えて楽しむとするか」

 

「いえ、居ますよ? リヴェル様」

 

「ソウエイ! 分身で護衛をしてくれてたんだ」

 

「分身とはいえ守り抜くつもりですが、不用心ですよ? 魔人の暗躍が遭ったばかりなのですから。ではハンゾウと共に遠くからお守り致します」

 

 あっハンゾウも居たんだ! ピースしてる。あっソウエイに叩かれた。

 

『何処へ向かわれるのですか?』

 

『大森林から西‥‥此処だ。兎人族に会って交渉しに行くんだ。鉱山の場所を聞くか、鉱石を買いたいんだよ』

 

 俺は地図機能を使い目的地をハンゾウとソウエイに思念で送った。

 

 二人は了承の返事と共に速度を上げて、安全確保の為に先行していった。

 

「この下から兎人の男の反応があるな‥‥でも周囲は森だ」

 

 ソウエイとハンゾウは周囲を警戒してくれている。

 

『ソウエイ、ハンゾウ。近くに洞穴か地下に行けそうな場所はあったか?』

 

『岩陰や木の洞も探しましたが‥‥何も』

 

『リヴェル様。こっちは森と泉だけです』

 

 俺は考えるために切り株の上に腰掛ける。

 

「ベギラマで直接穴開けていくと戦闘行為になるからな‥‥おおおぉ」

 

 急に切り株が横に動き出し、俺は横に転がる。

 

「あっ! 見つけた」

 

「えっ!? その声‥‥」

 

 切り株の下から出て来た兎人の女の子はスラぼうが助けた娘だった。

 

「えっと蜘蛛の巣に捕まってた所を助けた事が在るんだが覚えてるか?」

 

「へっ? うん、お父さんとお兄ちゃんと‥‥本当にスライムの貴方が助けてくれたの?」

 

 何の魔力も感じないスライムの俺に疑いの眼差しで見つめるうさ子。

 

「これに見覚えがあるだろう?」

 

 証拠として蜘蛛を倒した時のライデインを大岩に落として粉砕する。

 

「‥‥」

 

 大きく目が開かれて口をパクパクしている娘さん。

 

「安心しろ、俺は良いスライムだ」

 

「ううえぇぇん〜凶悪極まりないんですけどぉ〜〜」

 

 俺は無表情の間々、更に大きな巨岩に向けてもう一度ライデインを落として粉々にする。

 

「安心しろ、俺は優しいスライムだ。取引がしたいから里に案内してくれるか?」

 

 うさ子は喜びの涙を流して頷き、切り株の下に降りて行ったので俺も続く。

 

 地下に降り立つといつの間にか俺の背後にいた鬼人二人に腰を抜かし、うさ子は大慌てで族長に伝えてきますぅ〜! と走り去っていった。

 

「リヴェル様? 少々脅かし過ぎでは?」

 

「すまん、少し八つ当たりがすぎたな‥‥」

 

 昔はリヴェル様〜! とゴブリン達は俺の傍に居てくれたのに、最近は親離れしちゃって少し寂しいぜ‥。

 

 奥に辿り着くと族長と周りの武装した男の兎人達は震えながらお辞儀をしてきた。

 

「わ、私がこの里の長をしております。ほ、本日は何用でございましょうか?」

 

「うさ耳のおっさんだけとか何処に需要があるんだよっ!」

 

「ひっ! すみません! お許しを!」

 

 ソウエイがヤレヤレと首を振り、代わりに俺の前に出て話す。

 

「あー長よ。本日は此方におらっしゃるリヴェル様がお前達の鉱物を欲しておられるのだ。無体な事もせんし、公平な取引に来たので安心されよ」

 

「取引ですか‥‥その、非常に申し訳ないのですが。今ある装飾品はお売りできますが、鉱石がある洞窟に魔物が住み着いてしまいまして。鉱物そのものは今は持ち合わせが無く‥‥我々としても困っている状態でして‥‥はい」

 

 どうやら鉱山アントという魔物が鉱石を食べて色々進化する性質を持っているみたいだ。

 

 今回はミスリルアントに進化してしまい、討伐しようにも魔法が効かないので兎人族では倒す方法が無い。このまま放置すればどんどん鉱山アントが増えていくので困っている様だ。

 

「私が倒してきましょうか?」

 

「いや俺が行くわ、ミスリル素材なら収納したいし」

 

「そ、その退治して頂けるのですか?」

 

「うん、どっちに居るんだ?」

 

「申し訳ないのですが私共には現在報酬を支払える余力が無く‥‥見返りは労働力として我々男が働きますので、女子供は勘弁して頂けませんか?」

 

「えっ?」

 

「ハァ‥‥リヴェル様があの娘を脅し過ぎたからでは?」

 

「誤解だ! あの娘〜! 何を伝えた、何をっ!!」

 

 ジュラの森の盟主代行の立場とトレイニーさんの名前を借りて、何とか族長の誤解は解けた。

 

 奥に隠れていた女子供も出て来て、むさくるしい男兎だけの空間は無くなった。

 

「何が極悪非道なスライムが鬼人を引き連れ、女子供を攫いに来ただ馬鹿兎!」

 

「ひぎゅ〜だって‥‥どうみても脅しじゃないですか!」

 

 ゴツンと叩くと涙目のうさ子は理不尽だと怒り帰す、

 

「そういやお前の親父と兄貴は何処にいるんだ?」

 

 うさ子と奥さんが悲しそうに俯く。

 

「ミスリルアントから仲間を逃がすために大怪我を負ったのです。父親の方は先ほど息を引き取りました」

 

 族長は治療部屋のある方向に視線を向けて話す。

 

「じゃー急がねえと魂が消えちまうな」

 

 俺が入ると怪我人が三人、一人の顔には布がかぶさっていた。

 

「ベホイミ、ベホイミ、ベホイミ、ザオラル‥‥ザオラルよし! 魂は無事だなベホイミ」

 

 死んだ夫が生き返り、走り込んで抱き着く奥さんと娘さん。

 

「よかったよ〜よかったよぉ〜あんだぁ〜」

 

「俺は‥‥生きてるのか? 傷が消えている‥‥」

 

「お父さん! お父さん! お父さん‥‥ううえぇぇん」

 

 事情を奥さんが涙ながらに旦那さんに説明すると、俺に深々とお辞儀をして礼をする。

 

「正直、まだ夢の様で信じられませんが‥‥生き返して頂ありがとうございます」

 

「折角助けたのに死なれたら目覚めが悪いからな」

 

 と笑いながら言う俺に、え? と困惑顔を浮かべる旦那さん。

 

 隣の重体だった顔に傷のあるおっさんが起き上がり俺に礼を言う。

 

「助かった。手足もあんたが治してくれたんだろう? この恩は必ず返すぜ。ありがとよ」

 

「盟主代行としてジュラの森の民を守るのは当然だ、気にするな」

 

 意識を失っていた息子の方も起き上がり俺を見る。

 

「何でスライムがこんな所に居るんだ? あ〜すげーお腹空いた‥‥母さんこいつ料理してくれよ? ガフッ‥‥」

 

 娘と母親の両方から殴られ兄は気を失ってしまった。

 

「「無礼な息子&兄をお許しくださいリヴェル様」」

 

「えっ‥‥あーうん」

 

「何度も助けてくれてありがとね! リヴェル様」

 

 俺のほっぺにキスをするうさ子。

 

「俺は極悪非道なスライムだぞ?」

 

 俺はくっくっくと笑う。

 

「もう! リヴェル様の意地悪!」

 

 顔を赤くして、腕を組みソッポを向くうさ子。

 

 怪我人や死人を治したことにより住民達の信頼は得れたようだ。

 

 

 

「じゃー食料も置いとくな? ミスリルアントを退治して来るから、此処から逃げなくても大丈夫だからな?」

 

「何から何まで本当にありがとうございます、リヴェル様。心配なさらなくともミスリルアントを退治する事を信じて皆お待ちしていますよ」

 

 取引相手のコボルトやエルフが居なくなったので兎人族も困り果てていた様だ。その上、今回の鉱山からモンスターが現れる件で移住を考えていた様だ。

 

 リムルに作って貰った生活魔法ライトの懐中電灯を片手に採掘通路に入る。

 

 奥に進むとギチギチと蟲の音だろうか耳障りな音が近づいて来る。

 

「アイアンアント? 鉄はいらん鉄は」

 

 俺はギガデビで殴って叩き潰す。

 

「リヴェル様。ミスリル以外は僕に倒させてよ」

 

「ん? 別に良いけど怪我するなよ?」

 

 ソウエイは兎人族が同盟に参加する事に為った事を、リムルやリグルドに報告する為に分身を消した。

 

 時間制限もあるから仕方ないだろう。

 

「この程度の魔物相手なら、ハンゾウなら問題なく対処できますよリヴェル様」

 

 心配性め‥‥本体の影移動ですぐにとんぼ返りしてきたな?

 

 アイアンアントはサクサク倒せたがルビーやクォーツアントは刀が通らなくなってきた。

 

「クッこいつ固い。あーもう、叔父上助けて!」

 

「弱点は関節だ、蟲の節を狙えハンゾウ」

 

 俺は補助もするなと言われてるので観戦している。

 

 ハンゾウの爆破クナイとか狭い洞窟じゃ使えない技ばかりだもんな。

 

「はぁ‥‥はぁ‥‥関節も堅いじゃないですか叔父上の嘘つき」

 

 ソウエイは刀を蟲の節に沿って刃を入れ込み、スパッと蟻の首を落とした。

 

「修行が足りんだけだ」

 

「ぐぬぬ‥‥」

 

 あーこの巣穴から兎人族の採掘場に繋がったのか。

 

「穴を塞いで終わりますか? ミスリルアントは居ませんでしたが」

 

「全て討伐しといてやらんと不安だろう、中に入るか」

 

 鉱山アントやアイアンが増え巣穴の奥までは弱い個体だけなので簡単に辿り着けた。

 

「暗いな‥‥メラミ。うわ‥‥キモ。鉱山アントクイーンに為るのか?」

 

 白い女王が羽を威嚇して鳴らし、色々な種類のアントが女王の命令に従い迫って来る。

 

 金のアント、銀のアント、ミスリルにダイヤモンドか? 財宝の山だな。

 

「リヴェル様! 何を悠長に笑っているのですか! この数は流石に厳しいです‥‥。一旦下がって各個撃破しましょう!」

 

「叔父上、大丈夫ですよ。あの悪い顔の時のリヴェル様は負けませんよ」

 

 誰が欲まみれの悪い顔だとハンゾウを睨む。

 

「お前達、一応耳を両手で塞いでおけよ?」

 

 大ちゃんザラキの解除お願い。俺は二人が耳を塞ぐのを確認してから行動に移る。

 

 俺は8体に分裂して全員でザラキをクイーンに連続して唱えた。

 

 

 

「うほっ! お宝じゃー宝の山じゃーー!!」

 

「だから言ったでしょ叔父上? 大丈夫だと」

 

「即死の魔法とは恐ろしいお方だ‥‥頼もしくはあるが」

 

 死体を片っ端から道具袋に収納する。

 

 クイーンから全て生まれている個体なのでエリア内の蟻は全て死んだ。

 

 蟻にも聴覚器官があるのは知ってたからな。

 

 無傷で綺麗な素材が手に入るしザラキが効いてよかった。

 

 鉱石を食べると不純物をフンで排出し、外殻である鉱石部位が同じ鉱石を食べる事によって精製されていくのか、各部位のパーツが非常に高い純度の鉱物になっている。

 

「これクイーン生かして精錬工場にした方が良かったんじゃね?」

 

「駄目です」

 

「駄目だよリヴェル様」

 

 帰りに巣穴を大岩で塞ぎ兎人達にクイーン討伐と巣穴の件を報告すると、祝いに宴をしましょう! と族長に誘われ引き留められたが丁重に断り家に帰る事にした。

 

 ルーラを唱えて三人で家に帰り、ホクホク顔でご機嫌だったんだが‥‥。

 

 リグルには立場を考えて単独行動を控えてくださいと怒られるわ。

 

 リグルドには心配されて泣かれた上に、私をお供にしないのは何故ですかと親子で怒られるし、いやお前ら役職的に連れていけんだろうが!

 

 リムルにはゴブリン達が心配して、お前の家に集まってるから早く何とかしろと怒られるし‥‥ククク! まったく!

 

「俺が居ないと直ぐに寂しがりやがって! しょうがない奴らだなお前らは〜! ガハハッ! よし、ピザパーティーするぞお前ら!」

 

「「「しょうがないのはリヴェル様でしょ! 泣きながら、誰も来れないんだべ? って泣いてただぁ。一人は寂しいんじゃ〜とか言って心配させたのはリヴェル様っすよ!」」

 

 俺達のやり取りに苦笑するゴブツがピザの食材を運んで来たので、俺は久しぶりに古参メンバーだけで盛大に酒を飲み、変わりゆく街に思いを馳せながら皆で食事を楽しんだ。

 

 

 

 

 

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