「エルフちゃん! 目的は何だ? どうして俺達の街に潜入した! 答えなさい!」
「ミラノさんを追ってドワルゴンから来ました! 密偵です!」
リムルが机を両手でバンと叩くと、簡単に供述しちゃうエルフ娘。
「早いよ!? カツ丼すらまだ出してないのに‥‥」
「えっ!? それって親子丼と名前が似てませんか!? 絶対美味しいものですよね! あっ、すみません。嘘つきました! 私は只の旅人です」
スーツ姿のリムルが事情聴取をしている。
刑事の役を楽しんでいるが、犯人がポンコツエルフの所為でグダグダだ。
「折角、苦労してブラインドも作ったのに‥‥」
リムルはブラインドを開けては閉めてを繰り返し、悲しそうにする。
最初はリムルがスライムから人間に姿を変えて驚いていたが、力の強い魔人だし当然かとあっさり納得していた。
「ほい、カツ丼。冷めるだけだしリムルも食べてくれよ。ソーニャちゃんは夜の蝶でも働いてた子だよ」
「サンキューリヴェル。あっ! ホントだ覆面とったら分かったわ」
覆面を取り外し、スプーンでかつ丼をかき込むソーニャ。
「親子丼も美味しかったですが‥‥カツ丼も激やばです! 美味しぃ〜リヴェル様! ショウガ下さい! 甘い奴でお願いします」
「あいよ、沢庵もあるから食べてみ? それでミラノさんが急にこっちに来た件で、探りを入れにきたらしいぞ」
リムルもソーニャも旨い、美味いと食事に夢中で話が進まない。
仕方ないので、お茶を入れて二人が食べ終わるのを待つ事にした。
「ごちそうさまでした!」&「美味しかったです!」
「お粗末様でした。ソーニャちゃんはドワルゴンに帰らなくていいのか?」
「ミラノさんを捜索中なので‥‥お気になさらず」
「俺が魔王っていう誤解も解けたし、ミラノさんとも話をしたんだろ? 何人ミラノさんが居るんだよ‥‥ちょっと居て欲しいけどさ」
何やら深く悩んでいるソーニャちゃんはポンと手を打つ。
「リヴェル様に囚われてしまったという事で‥‥此処はひとつ」
「何が此処はひとつだ! 争いを好まない魔物が作った街に、ミラノは住んで居ましたって言うだけだろ? 早く報告に帰れよ」
「牢から出て更に快適になったのに! 帰れって鬼ですかリヴェル様!」
「様付けたぁ〜随分と好かれたもんだなぁ? リヴェルさんよ?」
エルフも精霊だし加護で好かれるとかじゃねーだろうな! と怒るリムル。
「知らない間にそう呼んでたんだよ‥‥何度言っても止めてくれないしさ」
本当に困ったエルフ娘だよ。
ドワルゴンがテンペストの情報を仕入れていたのはこの娘の報告じゃないのか?
もしそうなら、この間々じゃペガサス軍団もガゼル王も来ない気がする‥‥。
ソーニャの侵入が簡単にバレたのは、俺の地図機能が侵入者を即時に感知した所為なんだよなぁ〜。
あーもう! 敵対の赤マークで潜入してきたんだから警戒するのは仕方ないじゃん!
それにソーニャ‥‥何でお前は今は味方の青マーク表示なんだよっ!
「捕虜ってドワルゴン側に誤解されたら、うちとしても困るぞ? この街に居たいならまずはキチンと生存報告をしてくれ。それに密偵の仕事は辞めるしかないぞ? できるのか?」
「あっリムルさん生存報告はしていますし、夜の蝶で客からの情報収集が主な任務でした! 実は制約は其処まで厳しくありません。諜報員の下役ですので国の重要な情報は任されていませんから。でも罰金刑と秘密保持の観点で、国から数年出る事が許されないかもしれません‥‥はぅ〜」
「じゃ! 数年後また会おうぜ! ソーニャちゃん」
捨てないで〜! と泣きながら俺に抱き着くエルフを剥がしていると、ミラノが取調室に入ってきた。
「私が一筆書きましょうか? ソーニャさんの上司はサリオン高等部での学友ですし、私が助手として雇ってあげますよソーニャさん」
ミラノは机に座って簡単に手紙を書き纏める。
「貴方が神なのね!」
「じゃーこの手紙を持ってドワルゴンに帰りなさいな。あと買ってきて欲しい素材が‥‥はい、メモとお金」
「貴方が悪魔だったのね!!」
ドワルゴンまで牙狼でも三日だし、エルフが風魔法を使っても五、六日くらいか? そりゃ往復だとそうなるわな‥‥ルーラが無くて、すまんなソーニャ。
ミラノはごねるソーニャちゃんの耳を引っ張って連れて行く。
「水洗トイレも無い、シュワシュワも無い、美味しいご飯も無い、帰りたくな〜い〜!」
ジタバタと暴れ出すソーニャにミラノは溜息を吐き、ソーニャの近くにしゃがみ込む。
そしてソーニャの耳元で何かを呟いたミラノが、首切りのジェスチャーをすると敬礼をしたソーニャが風の様に駆けて行った。
「お、おう‥‥流石軍関係の勤務っすね」
「も〜嫌ですわ師匠! 私、法学部卒業でドワルゴンでも只の研究所長ですよ?」
眼鏡が怪しく光りお仕事モードのミラノが、いつものポワポワお姉さんに戻る。
「リムルさん今日はスライム姿じゃ無いんですね‥‥残念です」
「すみませんミラノさん、教える時はスライムに為りますので」
「ふふふ、お願いしますねリムルさん。それじゃー師匠! 私、樹精霊に水やってきま〜す」
「うん、お願いね」
手を振り去っていくミラノと入れ替わりで、ハヤテが部屋に入ってきた。
「リヴェルいる〜? あっリムルも一緒だ。二人して何してるの?」
「ソウエイに捕まってたエルフの事情聴取」
「もう終わってミラノさんが助手に引き取るみたいよ」
「ふ〜ん。どうせリヴェル様とか言われて鼻の下伸ばしてたんでしょ!」
俺が嫌そうな顔をしたのが意外だったのか、こてんと首を傾げるハヤテ。
「まー確かに、仕事中と随分イメージが違うよな‥‥クールビューティーで冷たい視線にツンな態度。なのに話題を振ると照れ屋なのかすぐに恥ずかしがる仕草が実にエロフッ! ま〜普段がどうあれ、そういうギャップもソーニャちゃんは可愛いんだけどね‥‥」
これは我が街に、是非とも出張店を作らねば‥‥とリムルは真顔で呟く。
「然り! 夜の蝶ではクール系で過激なセクシードレスなのに実は凄く恥ずかしがってる所とか、ツンな態度とは裏腹に膝に乗せて食べ物や飲み物のお世話をせっせとしてくれる‥‥ツンデレとは実に良いものだ! と大変良かったんだがな‥‥どうしてこうなった!?」
俺はリムルとは違いギャップ萌えにはならんぞぉ!
あのツンツンの視線が良かったのに! 飯で簡単にデレやがって!
「あのエルフさん、ソーニャさんって言うんだね? 夜の蝶って何だろ?」
俺はリムルに口を押えられ、頭を叩かれる。
「な、何でも無いぞハヤテ! それより二人に相談があるんだが」
「お、おう! 俺もリヴェルに相談があったんだよ! ハヤテも聞いてくれよ」
「あっ! 私も相談しに来たんだよ!」
俺はリムルにすまんと謝り、二人で安堵のため息を吐く。
場所を俺の部屋に移して、テーブル席に三人で座る。
「それじゃー私からで良いかな? 私の相談ってすぐに済む話だし」
「じゃーハヤテからどうぞ」
リムルも頷く。
「豆腐と味噌汁に納豆が凄く! 食べたいんだよ!」
「重大な相談じゃねーか!!」
「ちげーよ!」
落ち着けと、リムルの頭を軽く叩く。
「豆腐を作るにはにがりが必要だ。ドワルゴンで海水を手に入れれば簡単に作れる。味噌はソウエイが作ってる最中だから、しばらく時間は掛かる。納豆の工程はスキルで把握してるから藁があれば作れるぞ」
「それってマヨネーズとかソースも可能か?」
「俺が前世で食べた事があるモノは全部レシピに登録されているから可能だ。材料さえあれば作れるが、スキルに任せてポンと出来る訳じゃ無いんだ。醤油や味噌はソウエイに任せるし、俺はクロベエと酒を造るのに忙しいからレシピは教えるから自作してくれ」
ハヤテにお酒ばっかり飲んじゃ駄目! と怒られるが、日本酒があればトロトロの角煮が食べれるぞ! と言うとニコニコと頬を緩ませ許された。
「おおお! すげーユニークスキルだな! ラーメン! ラーメン! 星、星! 俺、豚骨ラーメン食いたい!」
「ラーメンやカレーライスはお前が作れるはずだよな? 悪いが分担してくれ、昆布やワカメが手に入ったらシュナが鬼人化して包丁両手に暴れまわるから無理だ」
「真鬼人化の間違いだろ? うっ!? 悪寒が‥‥リヴェル! シュナを絶対怒らすなよ? 家の飯が悲惨になるからなっ!? 確かにラーメンは時間掛けたら俺でも作れそうだが‥‥カレーはルーの作り方が分からないぞ?」
「嘘だぁドンドコドン!」
「お前もいつかそうなる‥‥って嘘じゃねーよ! 何のスパイスか解からないんだって!」
原作で簡単に作ってたやろうが! ミリムに何食わすつもりやったんじゃワレ!
「えっ‥‥ライスカレー食べれないの‥‥嘘だと言ってよリムル!」
「最低だな‥‥リムル」
「まてまて‥‥何で俺が悪い流れになってんだよ!」
ウソ泣きの真似事をしていたハヤテが、リムルにごめんねと謝り溜息を吐く。
ハヤテが俺を枕にしようと手を伸ばすが不自然に手が止まる。
「どうした? ふて寝するならキングに為ろうか?」
「べ、別に‥‥何でもないもん!」
顔を少し赤くしてソッポ向くハヤテ。
「最近、急に恥ずかしくなりやがって‥‥遠慮すんなよ子供なんだから」
「リ、リヴェルが急に男の子に為るからでしょ!」
「元から男だよっ!!」
俺がキングサイズに為ると、少し躊躇いながら頭の上にダイブするハヤテ。
「リヴェル! ライスカレーが食べたいの! 何とかしてよ!」
「何とかって言っても‥‥味噌汁と納豆で我慢してくれよ素材が無いと、どうにもならん」
「まーカレーの件は置いといてだな‥‥次はリヴェルの相談な? 俺は最後で良いわ」
ハヤテは足をパタパタさせて寛ぎモードだ。
「俺の相談は呪文がピオリム以外全部消えた事と、特技がモシャスと不思議な踊りだけになった事だな」
「そうか‥‥は!? 何で消えたんだよ!」
「そういう大事な事は早く言いなさい! リヴェルの阿呆!」
「痛いぞハヤテ! 何か大ちゃんが進化する為に生贄が要るらしくてな‥‥ハァ‥‥俺のブルーアイズ」
「あ〜!! それそれ! 俺の相談の一つは大賢者の進化方法なんだよ! お前の大賢者妹の所為で大賢者が煩いのなんのって‥‥あっ! 別に煩くはないよ。あーもう‥‥大賢者、ごめんって」
スキル通信で早速マウント取ってんのかよ‥‥あの愚妹。
「手っ取り早いのはお前のグラトニーを生贄にする事だな」
「却下に決まってるだろ!」
「だよな〜俺も却下したかったわ‥‥」
「もう魔法も特技も使えないんだよね? じゃーユニークスキルを鍛えたら良いんだよ!」
ハヤテは俺からピョンと飛び降りると修行よ! と楽しそうに言う。
「神話之竜の奴、綺麗な顔してるだろ? ‥‥ウソみたいだろ。死んでるんだぜ?」
「竜物語は生きてるだろ‥‥リッちゃん。俺も暴食者を生贄にされたら泣き崩れる自信あるけどさ‥‥」
「また二人で訳の分からない話してる! 何の話なの! 教えてよ!」
仲間外れにしないでと怒るハヤテに俺達はすまんと謝る。
「漫画って言う絵本みたいな物があってだな、それに登場するキャラってわかるか? 俺達が偶に話してる台詞は、そのお芝居のセリフみたいなもんだよ。そうだな‥‥今度何か作ってやるよ」
「あ〜そういや、綺麗な紙作れるもんなお前。紙渡してくれたら俺も作ってやるよ」
ハヤテに少年漫画を読ませるか? やっぱり教育的に少女漫画の方が良いか?
リムルが言ったように、錬金を使えば紙を生産できる。
木も粉々にできるし、分離、抽出、ろ過、も出来るから塩素を加えて漂白すれば簡単に紙は作れる。
後は俺がスキルを使わなくても、機械化して紙を大量生産出来たら最高なんだが‥‥。
「まほよめとかフルバをハヤテに読ませてやりたいな」
「それは年齢層高すぎないか? ダークな部分が多すぎて不安だな‥‥ハヤテの歳ならふし遊とかCCさくらだろ?」
「もう! だから内緒話は止めなさい!」
俺とリムルは互いに苦笑いを浮かべてハヤテに再度謝る事に為った。
私は22年も生きてるんだから、もう大人よっ! っていうけどさ‥‥小学生の人生を2回繰り返しても、精神は成長せずに子供の間々だと思うぞハヤテ‥‥。
「やっぱ冥賢之王と天元之王を使うしかないか?」
「冥賢之王は大賢者の進化だろ? 天元之王って何だ?」
「あっ‥‥リヴェルはお馬鹿さんだね。私、し〜らない」
「禁則事項です‥‥」
「おい! 今度はお前達が内緒話かよ!」
「呼んだ? 父上」
急に次元から飛び出して来たヴェルベルを見て、俺はその場に泣き崩れた‥‥。
「たくっ!! お前は本当にろくなことしないな‥‥馬鹿タレ!」
俺は美少女のビアンカに怒られ、踏まれ、最後には尻に敷かれて説教を受けるが、こいつは悟と念じて耐えた。
皆で庭に出て来た後に、お仕置きを一通り受けた俺はリムルの椅子になる。
「ごもっとも‥‥だってベルの事を言ったらリムル怒るじゃん」
「違うは戯け! 死にかけた事を怒ってるんだよ! お前は俺に頼らなすぎる‥‥もっと俺を信用しろよな‥‥」
「信用も信頼もしてるよ‥‥ただまー今回は成り行きと言いますか‥‥突発的過ぎたんだよ、すまん」
「叔父上許してあげてよ! 父上も必死で私を助けてくれたの!」
ベルがリムルに抱き着いて懇願すると顔を赤くしてデレる叔父様。
「叔父上‥‥ふむ、悪くない。ベルちゃんクッキー食べる?」
「食べる〜!」
「私も食べる〜!」
「俺も俺も! 痛い、痛い、痛いって拳でグリグリするな」
俺の座り心地が気に入ったリムルはキングに為ってくれと言うので、今は俺の上に三人が寝転がっている。
「リヴェル。冥賢之王の死の権能のお陰で心核が無事だったらしいぞ? ちゃんと感謝しとけよ?」
「えっ!? そうなん‥‥冥ちゃん、助けてくれてありがとうな!」
‥‥フン! と冥ちゃんが顔を真っ赤にしてデレる姿が浮かんだ。
《否定。妄想は控える様に進言致します》
あ〜照れ隠しだ! ‥‥痛い、痛い、頭が割れる! ごめんなさい冥ちゃん!
「父上は母上にもっと感謝するべきだよ!」
「母上って冥ちゃんの事か?」
「そうだよ? 私を娘って呼んで助けてくれたんだ! 大好きって言ってくれたよ!」
「私もベルちゃん大好き! ムフフ‥‥良い匂い」
ハヤテがベルに後ろから抱き着いてスーハ―してる。
「冥ちゃんが母親ねぇ‥‥プッ。おい! 俺が悪かったから瓶を仕舞えよ、その数は戦争だぞ!?」
「あっこれ辛口の美味しい奴だ! もーらい! あっ!? チッ‥‥」
空中に大量の酒瓶が出現し、リムルが高級酒瓶を奪おうとするが‥‥。
道具のスキルの性能が強化されたのか、視界の範囲の酒瓶を瞬時に道具に仕舞えた。
「竜物語が強化されたのは嬉しいが‥‥結局呪文や特技が失われた所為で戦闘面が不安なんだよな‥‥」
「もしかしてリヴェル‥‥お前自分が弱いとか思ってないか?」
「いや、弱いだろ? 呪文や特技が俺の強みだったのに」
「かぁ〜! お前鬼人の強さを見誤ってるとか言ってたけど、お前自身もじゃん」
そういうとリムルは魔素を具現化して、巨大な黒い魔力を剣にしていく。
「魔力を操作し制御するだけで強力な力に為る。イメージ次第で守る為の鎧でも、攻める剣にでもな。特に俺もお前も魔素だけは馬鹿みたいにあるからな」
そういうとリムルは黒い剣を岩に投げるとクレーターが出来た。
「これはお前の暴食者の力か? すげーな‥‥岩が円状に綺麗に食われてる」
「こうやって自分の能力を宿して飛ばす事も出来る。まだまだ訓練中だけどな」
「そういやオークエリートが使っていたな? 能力かと思ったが自分の魔素を攻撃手段に使っていたのか‥‥」
俺は魔樹で出来た棍棒をギガデビで逆手に持ち、膨大な魔力が棒に黒い渦を巻いていく。
上手く力が制御できないな? 暴発する前にパッと形にして撃ちだすか。
やっぱり必殺技は声に出す方がイメージしやすいよな。
「おい! 馬鹿リヴェル! 魔素を込め過ぎだぞぉーー!!」
「先生! 見ていてください!! はああぁぁ! アバンストラッシュ-----!!」
「
リムルが慌てて黒い竜巻の暴食者を黒い禍々しい刃にぶつけて吸収する。
「あぁーーーーー! 何すんだよアホリムル!」
「アホはお前だリヴェル! 裏庭の山と大森林一帯を消し飛ばす気か!」
「いや、そんなに威力は無いだろ? あの岩に当てるつもりだったんだが‥‥」
「父上、叔父上の言う通り岩を貫いて山が消し飛んでいたよ?」
ベルの言葉にサッと顔が青くなる。
俺は大森林の方角を見つめ、消し飛ぶ森の中から魔王化したトレーニーさんが微笑む地獄の幻影が見えた。
「すまんリムル! 命拾いしたぜ‥‥トレント君達もアップを始める所だったわ」
「棍棒で信じられない‥‥何でそんなに魔力操作が上手に出来るのリヴェル?」
呆れた顔をしたハヤテにアバン流刀殺法を簡単に説明する。
「アバン先生も棒で出してたし、お前にもできるはずだハヤテ‥‥アロータイプとブレイク? ブレイカーだっけ? 二つの型があってAが斬撃を飛ばして攻撃する方法。Bの型は剣に纏わして相手をぶん殴るんだ」
「私なら剣に
「俺とリムルはゲームやアニメでイメージを鍛えまくってるからな。まずは完成した形をイメージするんだハヤテ」
リムルは俺が簡単に出来る様な言い方をするので、慌てて否定する。
「俺はお前みたいに数キロ先まで斬撃を飛ばしたり何てできねーよっ! それと魔力操作は完璧に出来てるが、魔素調整が絶望的に下手だぞお前?」
俺の魔素を吸収してお肌ツヤツヤのリムルが、対抗意識を燃やして海波斬と叫び大岩を貫く。
リムルは魔素を鎧にしたり剣を手に生やして持ったりと、身体の一部の様に扱うのは得意みたいだな。
逆に俺は放出系な感じで、盾も鎧も形は作れても魔素制御が維持できないから直に消える。
MPの殻に魔素が覆われてた影響で、ろくに制御しないで過ごしてきたからな。
固い卵の殻ではなく膜の様なモノだし、蛇口をひねれば魔素がドバッと出ちゃうんだよな‥‥。
「でも守る時にトゲみたいに全身から出せるのは面白いな。消費がえぐいけど‥‥」
「父上は魔素制御が下手なのか上手いのかわからないよね‥‥トゲトゲをブワッって一瞬で作っちゃうし」
ヴェルベルの竜眼が青く光り、俺の身体の魔力の流れを見ている様だ。
「鎧は薄く広く幕を張る感じだ。お前は魔素コントロールを鍛えないと駄目だな‥‥俺は操作と精度を鍛えないとな」
ハヤテは剣に雷を纏わそうとしてるが上手くいかない様だ。
「ムムム‥‥刀身を覆うのは難しいんだよ‥‥」
「魔素で形を作るのは簡単だが、魔法そのものを変化させるのは難しいんじゃないか? クロベエに頼んで雷神剣作ってもらえハヤテ」
「ヤイバかよ懐かしぃ! でも属性魔石を剣にはめ込むのは浪漫だよな‥‥」
「そういや、相談って進化の他にもあるのかリムル?」
「あーメルセデスの事だよ」
メルはヴェルドラと一緒にリムルの中で本を読んでいるが、ヴェルドラがガハハ! と煩いので静かに本が読めないとお冠だそうで。
「仲は悪くなかったぞ? 俺が居ないときも一緒に遊んでるし」
「そういう話じゃ無いんだ‥‥あっ! お前ヴェルドラと会話出来てた事も俺に秘密にしてたろ! メルセデスが教えてくれたぞ」
「痛い、叩くな! でも秘密にしろって言ったのヴェルドラだぞ? リムルもお前みたいに解析しないで遊ぶなって、煩く言うに決まっておる! 秘密だ! とか言って横に為って漫画読んでたし‥‥」
リムルは頭を押さえて天を仰ぐ。
「まーいいや。それで俺の記憶から本を読めないメルセデスは、森で亡くなった冒険者か商人が落とした本を読むしか無いんだが‥‥」
「あー商人の本は知らんけど、冒険者が持ってる本って春画だもんな」
まともな本を体内に取り込んで、それをメルちゃんがヴェルドラと一緒に読んでいるんだろうけど‥‥数が少ないんだろうな。
「でもお前が紙が作れるって話だろ? 何処かで本が買えないかっていう、相談をしようかと思ってたんだが‥‥」
「わかったよ、紙を大量に作るわ。メルちゃんの為だしな」
「助かる。推理とか歴史ものが好きみたいだから、お前も暇な時に作ってやってくれ」
隣でハヤテが魔素を使い過ぎたのか地面にへたり込む。
「私もユニークスキルがあったら良いのに‥‥」
ヴェルベルがハヤテの特訓に付き合って色々制御方法を試している様だ。
ハヤテの言葉にヴェルベルが首を傾げて呟いた。
「ふむむぅ? ハヤテ、ハヤテ! ハヤテもユニークスキルの