二度転生したらスラりんだった件   作:Kut-Ku

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45話 大体こいつの星

――――――ドワルゴンの王城・円卓会議室――――――

 

「帝国の狙いはやはり紅玉‥‥あの玉か」

 

「その様です。帝国が持つ不思議な空を飛ぶ乗り物。あれを使い紅玉を強奪する予定だったのでしょうが‥‥」

 

「結果は失敗。手にした者は灼熱に燃え盛り灰に為ったと言う訳じゃな‥‥」

 

 ガゼル王、最高司令官の騎士バーン、宮廷魔道士の老婆ジェーンが続く。

 

 掘り尽くした筈の鉱山から魔物が出現するので調査に向かった結果、見つかったのは不思議な力を持つ赤い玉だった。

 

 紅玉をドワルゴンの研究者達が調べようとしたが断念せざるを得なかった。

 

 近づくとマグマが漏れ出し、魔物が生れてしまうので調査を諦めて結界で封印するしかなかったのである。

 

「私は正直な所を申しますと、帝国にアレをくれてやっても良いと思っています‥‥それにオークロードが出現した報告もございます。優先順位はそちらかと」

 

「急な命令変更でペガサス部隊にも損害を出してすまなかったなドルフ。だが紅玉を利用できる手立てを帝国が持っている‥‥その可能性を否定はできまい? それに暗部の報告では既にオークロードは何者かに討伐されたそうだ」

 

 ガゼル王は腕を組み、しばし思考を巡らせる。

 

 ペガサス軍団を率いるドルフは内乱の対処後にオークロードの報告を聞き、急ぎ国境の守備に加わるために部隊を整え出兵したが、急遽ガゼル王の命令で帝国の進行を食い止める防衛戦へと切り替わったのだ。兵の機動力が高い故に帝国に振り回され、部下や兵馬に損害を出した己を恥じて下唇を噛む。

 

「魔物が生れる玉じゃ。まともなヤツなら近づきはせんものを‥‥帝国の奴らめ。手に触れるとああなるとはのう‥‥」

 

 帝国の将兵が紅玉に触れた瞬間にマグマが吹き荒れ、そのマグマの中から魔物が次々と生み出されていったのだ。

 

 ドルフ率いるペガサス軍団も無差別に帝国兵と同じ様に魔物のスタンピードに巻き込まれ襲われた。

 

「我々は内乱に加えてスタンピードを引き起こされて被害は甚大。帝国は即座に撤退を開始して損害は軽微だ‥‥忌々しい!」

 

「もしやオークロードも帝国の策なのではないのか?」

 

 バーンとドルフが口々に言い合う所にジェーンが続ける。

 

「内乱も誰かに操られていた様じゃし、魔物の反乱も想定外じゃて。オークロードは討伐せんでもこっちに侵攻させれば良いだけじゃから、ドルフは疑心暗鬼になりすぎじゃよ」

 

 しばし、皆が沈黙する中で暗部の長。アンリエッタが溜息と共に発言する。

 

「手を出さなければ少ない数の魔物を定期的に生み出す宝玉よ。魔物が落とす素材は武具にも、兵器にも利用できる‥‥此方にも利は十分にあるわ」

 

「だが! あの様なモノ! いつ巨大な災厄を齎すかわからんのだぞ!」

 

「現状我々ではどうする事も出来ないのよ! それならその素材を利用して備える他ないでしょうがっ!」

 

「ドルフもアンリエッタも止めぬか‥‥どちらの意見も正しいのなら平行線だ。ジェーンよ、現状分かってるのは湧き出す魔物の名だけか?」

 

「そうだね‥‥溶岩魔人、炎の戦士、火喰い鳥、フレイムそして‥‥爆弾岩という魔物だよ」

 

「聞いた事が無い名ばかりだな‥‥もしや異世界の魔物か?」

 

 ジェーンが告げる魔物の名に、まったく心当たりがなく首を捻るバーン。

 

「恐らくそうさね‥‥強さは手前からB+級、B級、残りはCといった所じゃが。最後の奴が特殊でな」

 

「特殊? やっかいな能力持ちなのか? 強さはC級なんだろ?」

 

「対処を誤れば危険度はA級だよ‥‥瀕死に為ると大爆発を起こすのさ」

 

 ジェーンの言葉に唸るバーン。

 

「ガゼル王。出現する魔物は全て火属性。爆弾岩という魔物は水魔法や氷で対処すれば倒すのは容易でした」

 

 皆の報告を聞き終えたガゼルは髭を撫でながら言う。

 

「この件、儂はサリオンにも協力を得ようと思うが‥‥皆の意見を聞きたい」

 

「私は反対です、現状我々で対処は可能ですし。我が国の調査で分からぬものをサリオンが解決できるとは思えません」

 

「儂は異世界の知識を持つ古いエルフに協力を仰ぐのは正しい判断じゃと思っておる‥‥じゃが王よ、相手はサリオンじゃ。何を要求されるかわかったもんじゃないぞぃ」

 

「私は賛成です。せめてダンジョンの様に国が管理出来るかの判断は欲しいですからな」

 

「私も賛成だね。帝国の動向に、内乱の後始末、今回の魔物の被害の状況‥‥オークロードの軍団を誰が討伐したのかの調査。調べる内容が山積みです。そこに玉の情報の調査が加わるのは勘弁して欲しい所だわ‥‥」

 

「決まりだな‥‥使者を頼む。儂の見立てでは暴利な要求は無いとみている」

 

「何故じゃ王よ?」

 

「帝国が欲する程のモノだぞ? そして異世界の魔物を無尽蔵に生み出す‥‥超魔導王国ソーマの古代兵器かもしれんからな」

 

 皆が王の言葉に驚愕する中で、何故かガゼル王は王城を見上げていた。

 

(古代兵器か‥‥我が曽祖父の悲願が叶うかもしれんな)

 

 

――――――ジスターヴ国 side:クレイマン――――――

 

 

「ゲルミュッドは失敗しましたか‥‥」

 

 お気に入りのワイングラスが割れてから事が上手く運びませんね。

 

「とんだ無駄足だったな‥‥」

 

 机に頬杖を突き嘆息する魔王カリオン。

 

「トウッ!」 

 

 部屋の空いた窓から勢いよく少女が飛び込み着地する。

 

「スコーンと紅茶を出すのだクレイマン!」

 

「もう出してますよミリム。冷めないうちに座りなさい」

 

 テーブルに着くなり豪快にスコーンにジャムを付けて頬張るミリム。

 

「残念だったなミリム。今回の計画は失敗だぞ」

 

「何だとぉ!! では新しい魔王は誕生しないのか!」

 

「クレイマン、私はローズでお願いね」

 

「何故貴方まで居るのですか‥‥フレイ」

 

「ミリムに無理やり連れてこさせられたのよ‥‥貴方ほんと紅茶入れるの美味いわね」

 

 ティーポットを持ち上げジャンピングさせ、目と香りを楽しませてフレイのカップに注ぐ。

 

 フン! カザリーム様に入れて差し上げる為に鍛えに鍛えたのだ。

 

「当然です」

 

「うわーん! フレイ! 私の計画が潰れたのだーー!!」

 

「そもそも計画って何よ? カリオンもクレイマンも何の悪だくみ?」

 

 私はゲルミュッドが計画した事をフレイに教えた。

 

「ふ〜ん。新たな魔王を自分の傘下に引き入れるねぇ‥‥ジュラの大森林の不可侵条約を知らない筈がない癖に良くやるわね」

 

「別に俺達魔王が森に入る訳じゃねーしな」

 

「そもそもどうして失敗したのだー! 教えるのだクレイマン」

 

「計画は面白い形で継続できますよ。皆さん、これを見てください」

 

 水晶には鬼人達やスライム達の映像記録が映し出された。

 

「こいつはおもしれーな。強い部下なら豚よりこっちの方が俺は好きだぜ」

 

「スライムから腕が生えたのだーー! 空も飛ぶのか! 変だな! あはは!」

 

「鬼人がオークロードを倒したのかしら? まさかこのスライムが? どっちにしろ魔王種を倒した者が魔王になったか、それ相応の実力があるって事よね‥‥」

 

「残念ながら映像はゲルミュッドが亡くなった所で途絶えていますが、計画は続行します」

 

 飛び入り参加のフレイがどうでるか‥‥上手く三人の魔王から貸を作れたら良いのですが。

 

 私の目的はあくまでカザリーム様の救出。

 

 魔王レオンから奪還が失敗した今、打てる手立ては何でも使いますよ‥‥例えこの三人を操ってでもね。

 

「よし! じゃーさっそくこいつ等の所に私が直々に挨拶に行ってくるのだ!」

 

「「「はっ!? えっ!? はい!?」」」

 

「おいおい! 不可侵条約の事を忘れたんじゃないだろうなミリム!」

 

「貴方ねぇ‥‥さっき私が言ったばかりじゃないの」

 

「ミリム。古い魔王である貴方が規律を破ってはいけませんよ。此処は私が調査してから報告しますので」

 

「フハハ! そんなもの今この時に破棄すればよいのだ! 丁度魔王が四人も揃っているではないか!」

 

「「「‥‥!!!」」」

 

 確かにそうだ‥‥これはミリムに感謝しないといけませんね。これで何の縛りも無くカザリーム様の居城跡を調べられる。

 

「そもそも暴風龍はもう居ないのだ。この条約は暴風龍の封印が解けない様に交わされた奴だぞ? もう必要なかろう?」

 

「言われて見りゃ確かにそうだぜ! よし、俺も条約破棄に賛成だ」

 

「私も正直、ジュラの森の条約が邪魔だったのよね‥‥空域を制限されちゃうし。私も賛同よ」

 

「私も賛同です。ミリム、スコーンのお代わりとブルーベリージャムです」

 

 目を輝かせてミリムが食べてる間に、私は署名の紙と各地の魔王へ通達を部下へ指示する。

 

「受理が完了してから動くように、それで罰せられても私は知りませんよミリム?」

 

「食べるのに夢中で聞いちゃいねえな‥‥よし! 此処からは配下争奪戦だな。負けても恨むんじゃねーぞ? お前ら」

 

「そうね、負けたからって力任せに配下を奪い返すような性根の腐った魔王はこの中にはいない様だしね」

 

「はー食ったのだ。フレイ、私を見ながら言うのは止めるのだ! 面白いな、それでいこう! 恨みっこ無しの早い者勝ちなのだ~! あと、お前達! お互いに手出しは厳禁だからな?」

 

「勿論ですよミリム」

 

「獅子王の名に懸けて誓うぜ」

 

「ええ、この翼にかけて誓うわ」

 

「じゃー私はもう行くのだー! さらばなのだー!」

 

「俺も行くわ、帰って配下を選出しねーと」

 

「私も失礼するわ。紅茶ごちそう様、クレイマン」

 

 ふむ、フレイは空を高速で飛べるから貸を多く作りたいですね。

 

「少し良いですかフレイ」

 

「何?」

 

「何か困ったことがあれば、いつでも相談に乗りますよ」

 

「怪しいわね‥‥でも、ありがと」

 

 

 

 フレイの背中を見送ったあと、素早くマントを羽織り帽子をかぶる。 

 

 魔王の配下が集結している今がチャンスですね。

 

 私の邪魔をするならあの者達は消しますが、最優先はカザリーム様だ。

 

「私達には強い繋がりがある‥‥生きておられるのだ。カザリーム様は」

 

 レオンが勇者時代に訪れた痕跡がある場所‥‥西方諸国と帝国は調べた。後はジュラの森の古城、サリオン、魔王の領土が一番やっかいですね‥‥。

 

 エルドラドを調べるのは最後です。奴が取引を持ち掛けた時に俺の国には居ないという言を信じればですが‥‥。

 

「必ずやこのクレイマンが、お救いして見せます! カザリーム様!!」

 

 

 

 

――――――北の大地・白氷宮――――――

 

「放り出して良かったのですか? ギィ様」

 

 緑の髪をしたメイドのミザリーが赤髪の男ギィに話しかける。

 

「帰って来るなり可笑しな格好で異臭を撒き散らした挙句に、記憶を失って自身が誰に倒されたかも分からんとほざく馬鹿をか?」

 

「馬鹿ではありません‥‥あの子はやればできる子なんです。それに蟲の対処は問題なく解決した様ですし」

 

 お前が甘やかすからだぞとミザリーを睨む。

 

 現在、ギィの配下で幹部クラス9名だけ会議室に集まっている。

 

「原初であるレインを倒し、態々肉体を復活させて俺に送り返す目的は何だ?」

 

「あの子がギィ様の配下という認識があれば‥‥許しを請う為? でしょうか‥‥」

 

「レインを間違って殺したって事か? ありえねーだろ」

 

「ううううぅ‥‥レイン様」

 

 レインを放り出した所為で使い物に為らなくなった、レインの配下を見て溜息を吐くギィ。

 

「ミソラ‥‥レインは直ぐに帰ってきますから仕事をしなさい」

 

 レインが出て行ってしまった所為で涙に暮れる日々のミソラ。

 

「私にレイン様の捜索許可をお願いします! ギィ様」

 

「駄目だ、敗者は勝者に従うのが悪魔のルール。俺の縛りが上書きされたのならあいつの自由だ。レインが又俺に挑むなら、それはそれで面白いしな」

 

 卑怯な罠で殺された場合や例え殺されても、心から納得した上で従属させないと従わないのが悪魔である。裏切り、共謀などで逆に殺されるのがオチだ。

 

「どうせ不意打ちや卑怯な手でレイン様は倒されたに決まっています!」

 

「ハァ‥‥レインは原初の悪魔だぞ? 自身が殺された記憶も朧げな間々でその相手に屈服してるなど、相手は相当の実力者だ。相手を探る為にもレインをクビにして放り出したんだからな」

 

「じゃー私もクビにしてください! レイン様は私が居なくて寂しい思いをしていらっしゃるに決まっています! 一刻も早くお慰めに行かねば! では、ギィ様。お暇させて頂きます」

 

 慌ててギィがミソラを止める。

 

「まあ待て、レインとは違いお前は優秀だ‥‥今抜けられると非常にまずい」

 

 自分の赤の眷属は脳筋だらけ、ミザリーの配下は優秀だが何かに特化しすぎている。

 

 非常に使い勝手の良い配下は青の眷属‥‥それは万能タイプが多く、ミソラは頭一つ抜けて超優秀な事。

 

 ミソラは涙目でジトっとギィを見つめて言う。

 

「私は昔にレイン様に挑んで負け、慈悲深いレイン様に殺されず名を与えて下さいました‥‥」

 

「慈悲深い? あの子は「配下探しは面倒ね‥‥貴方で良いわ」と殴って名付けしただけよね?」

 

 ミソラの美化された主従関係に首を傾げるミザリー。

 

「グッ‥‥わかった。だがお前の後釜を見つけてこい。それが条件だ」

 

「ナユタ‥‥後は任せましたよ」

 

「はっ!? 俺ですか」

 

 ギィはミソラが既に手を打って、何が何でもレインを追いかける気だと知り呆れる。

 

「ナユタ‥‥子爵位か」

 

「ギィ様。ナユタは非常に優秀ですが、問題は従わない悪魔が出てしまう事でしょうか?」

 

「青の眷属には全てナユタに従う様に契約させていますので、運営に問題はありません」

 

 ミザリーとギィはミソラの執念に少し気圧される。

 

「それでは私はレイン様を追いかけるので失礼いたします」

 

 そういうや否や水の翼を生やして飛び去って行くミソラ。

 

「ミソラ様! お待ちください〜! 私には荷が重すぎます!」

 

 ミソラを引き留めようと手を伸ばすが空しく空を切る。

 

 ナユタはトボトボと元の位置に戻るが、緑と赤の眷属から値踏みされて居心地が悪そうに整列しなおす。

 

「ハァ‥‥まあ良い。各地で異変が起こってる件を報告してくれミザリー」

 

「はい。現在使徒達に調べさせた結果分かった事は、各地に不思議な力を秘めたオーブと呼ばれるものが出現している模様です」

 

「俺がドワルゴンで調べていた奴が各地にあるって事か‥‥」

 

「ギィ様が調べていたドワルゴンの他に、帝国、聖虚ダマルガニアの三か国に現在確認されております」

 

「帝国? これはルドラの奴が仕掛けた画策じゃないのか? ダグリュールの所にもオーブは出現していたんだな‥‥ダマルガニアはどういう災厄だ?」

 

「まずはダグリュール様の国のオーブですが‥‥ヴェルダナーヴァ様の祝福だと皆喜んでいます。名称はブルーオーブ。砂漠に膨大な水と食料にもなる魔物が生み出されて、砂漠周辺の国も水で潤い民が感謝していますね‥‥。帝国ですがこちらはシルバーオーブと呼ばれています。魔物が出現するのはもちろんの事、近寄る物を機械と呼ばれる金属に変えてしまう呪いがやっかいそうですね‥‥。現在は上手く有効活用されて有機物を、鉱物に変えて資源にしている様です」

 

「ドワルゴンではマグマを生み出すモノだしな‥‥有効活用は難しいだろうな。ヴェルダナーヴァの祝福とは大きく出たものだ。呪われた不毛の大地を払拭したいというダグリュールの思惑か? それにしてもミザリー、オーブという名称は何処から出て来た? ドワーフ共は紅玉と呼んでいたぞ?」

 

「ドワルゴンのオーブはレッドオーブと呼ばれていますね。帝国の異世界人が皆、その名で呼んでいるそうです。何でもドラクエ? と同じモノだと‥‥元凶は同じ異世界人の仕業と噂されていますね」

 

「異世界人の特殊なユニークスキルの仕業か? 面倒な事を起こしやがって! 管理する身にもなりやがれ。ん? そういや状態異常が効かない便利な奴が居たな‥‥あいつにオーブを回収させて封印するか?」

 

 ギィの前に跪き、カーンという魔人が問いかける。

 

「恐れながらギィ様。状態異常無効なら私も持っています。その任、私目にぜひお任せください」

 

「クククッ。そいつはな俺の状態異常を全てレジストしやがったんだよ。それに帝国やダグリュールから奪う事はお前でも不可能だ。そうなると残りはドワルゴンだが俺の腕も溶かされた、あれは力づくではどうにもならん代物だ」

 

「ギィ様の状態異常を全てレジストですか‥‥俄かには信じられませんな。いえ、それなら配下に是非欲しいくらいです。出過ぎた事を申し上げて申し訳ございませんでした」

 

「構わん。能力は面白いが力が皆無でな‥‥流石に我が陣営に迎えられん、死ぬだけだ。よし! これにて会議は終わる! 解散!」

 

「「「ハッ!!!」」」

 

 ギィは徐々に女性に変化し、着替える為に自室に向かう。

 

「ちょっとギィ! 貴方何処に行くつもりよ! 買い物に付き合う予定でしょ!」

 

 白髪の美しい少女がギィに回り込み問い詰める。

 

「うるせえな‥‥お前が勝手に予定した事じゃねーか。俺は約束してねえよ」

 

 部屋に入り裸になりドレスや装飾品を身に付けて行く。

 

 ふくれっ面の少女はギィの後を追って部屋に入るなり言い放つ。

 

「またドワルゴンに行くの? まさか‥‥レオンの所じゃないでしょうね」

 

「あいつを誘惑するならもっと華美で上品な落ち着いたものにするわよ‥‥ちょっとヴェルザード邪魔をしないで頂戴」

 

 最強の竜種である長女は構って貰えず、道具を取り上げメイクの邪魔をする。

 

「じゃーお茶会よ! 何かドワルゴンで美味しい物買って来て!」

 

「ハァ‥‥遊びに行くんじゃないのよ」

 

 ギロリと睨むヴェルザードに、お手上げのポーズでわかったわよと呟くルージュ。

 

「さて‥‥どう料理してやろうかしら。スライムさん‥‥ふふふ」

 

 あの愉快な情報通のスライムで、ストレス解消を企むルージュだった。

 

 

 

 

 

 

 

「ぶぇっくしょん!! 何だ? 寒気がする‥‥」

 

「汚ねぇな‥‥そりゃ極寒の地に居るからな」

 

『クソ‥‥何で俺がこんな目に』

 

『お前がシュナを怒らすからだろうが馬鹿タレ』

 

 ブラジャーの件で怒りが収まらぬシュナの為に、海産物を採りに来た俺とリムル。

 

 ベルに次元を繋いでもらい北の海に放り出された俺とリムルは、寒い海底でワカメと昆布を採取している。

 

 リムルは何故か沈むので、抱きかかえて貰えば一緒に海底まで直行だ。

 

「にがりも手に入ったし、帰りに夜の蝶で一杯やろうぜリムル!」

 

「いいね! 労働に対価は必要だよな」

 

 小舟に引っ掛けたロープを辿り船上に上がると、にっこりと微笑むシュナが手招きしていた。

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