二度転生したらスラりんだった件   作:Kut-Ku

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47話 菜っ葉! よけろーっ! 

 次元空間での訓練は終わり、割れた鏡の破片と妖天さんが落とした羽や灰を回収する。

 

 空を見上げると星空が散りばめられていた。

 

 ベルの心象風景なのか最初は地面も空も真っ黒だったのに、今は草原が広がり星が輝いている。

 

「最近ハクロウと海を見たから追加されるのかな? 俺も自分の次元の部屋作りたいな‥‥」

 

 次元の訓練はベルが一緒に居る時にしよう。

 

 何処に繋がるか分からないし、対処に困る。

 

 だが、どこでもドアは冥ちゃんの協力を得て何とか使用可能になった。

 

「大体イメージは固まったが門の方が使い勝手が良いな。名前は次元門にしよう! 魂の回廊で繋がった相手の場所に‥‥う〜ん難しい。魂の気配を察知できれば‥‥よし! これはリムルだな、近くに出れるはず」

 

 俺は次元門を開いて中に入る。

 

 出た瞬間に門が閉まり、掻き消える。

 

 

 

「リヴェルーーー!! 避けろーーーー!!」

 

「ん? いきなりどうしたんだよリムル?」

 

 俺は物凄い巨大な魔力の塊がすぐ近くに接近してる事に気が付き、慌ててその方向に視線を向けて硬直する。

 

 そこには魔王ミリムが両腕を伸ばし突撃する瞬間だった。

 

 いつかは来るのは分かってたけど突然すぎるだろーーー!!

 

「うおおおおぉーー!!」

 

 気合を入れて衝撃に備える為に腕をクロスさせて構えるが‥‥。

 

「うううぅわぁぁあーーーーーん!! 母上ーーーー!!」

 

 突撃の勢いは無く、ふわりと力なくミリムに押し倒された。

 

 俺は頭を抱き抱えられて、わんわんと泣かれる。

 

「会いたかったのだー!! ずっとずっと会いたかったのだ!! もう離れちゃ嫌なのだーー!!」

 

 俺は突然の事で良く分からないが、何故か体が勝手に動いてミリムの頭を優しく撫でていた。

 

「お、おい? 星の知り合いなのかその娘?」

 

 リムルと仲間達が皆ポカーンと現状を静観している。

 

「俺っていうか、冥ちゃんの方だな」

 

 俺はオートモードに切り替えて冥ちゃんに変わる。

 

 切り替わった瞬間に冥ちゃんはピオリムを唱えて、姿も高校生くらいに変化させる。

 

「わらわはお前の母ルシアでは無い。魂の一部がスキルと融合して出来た別人じゃ」

 

「母上‥‥何でそんな事言うのだ‥‥」

 

 ちょっと冥ちゃん! どういう事だよ! 何だその姿は!? ミリムは娘じゃないのかよ!

 

「リュウはちと黙っておれ‥‥邪魔じゃ」

 

 そういうと並列存在を作り出して俺を弾き飛ばす。

 

 俺はスライム形態で地面を転がるが、近くのベニマルを見てモシャスを唱えて起き上がる。

 

「竜? ああ、俺の名前の流か‥‥もう何がなんやらだぞ冥ちゃん‥‥」

 

 冥ちゃんは俯くミリムにもう一度告げる。

 

「お前の母親ルシアはもうおらん。ここに居るのは魂の残滓に過ぎん、記憶も人格も別物だ‥‥すまぬ」

 

「‥‥お前は偽物なのだ! 母上を返すのだ!」

 

「わらわは偽物だが返してやる事は出来ぬ! わらわはもう冥ちゃんだからな!」

 

 ミリムは怒りに任せて拳を振るうが、冥ちゃんは動かずじっとミリムを見つめ続ける。

 

 だが拳は冥ちゃんの目の前でピタリと止まる。

 

「失せるのだ‥‥その声と顔を二度と私の前で見せるな!!」

 

「ああ‥‥約束する、二度とお前の前には出ぬよ」

 

 二人共今にも泣きだしそうな顔じゃねーか‥‥記憶が無いからか?

 

 冥ちゃんは俺の方へゆっくり歩いて来るが、俺はかける言葉が見つからず黙り込む。

 

 突如、上空に次元の穴が空いてベルとレインがふわりと降りてくる。

 

「父上〜! ゼギオンが面白い果物見つけてくれたんだよ! 一緒に食べ‥‥母上!!」

 

 冥ちゃんを見つけたベルが飛びついて抱き着き、抱っこされると満面の笑顔で笑うベル。

 

「生身で会うのは初めてじゃなベル! 会いたかったぞ! 元気にしておったか?」

 

 冥ちゃんはベルの頬に優しくキスをする。

 

「あはは、くすぐったいよう母上! ベルも母上に会いたかったよ! そうだ! 母上も一緒に食べようよ、面白い果物なんだ~!」 

 

お前ぇーー!! そこは私の居場所だ!! 退けぇ!!」

 

「むむぅ‥‥誰? ママの腕の中はベルの特等席だもん!」

 

 最悪だ‥‥ベルと俺と冥ちゃんが三人居る事でミリムの記憶がフラッシュバックしたのか?

 

 物凄い魔王覇気が辺りに撒き散らされて皆動けずにいる。

 

『リムル! 皆を連れて逃げろ! 標的は俺とベルと冥ちゃんだ』

 

『アホか! 標的がお前達なら俺が時間を稼ぐ! こっちに来た時の門で逃げろ!』

 

 ランガも風音も動けないのか? クソッ本気のミリムが此処までとは‥‥。

 

 俺は何とか二人の盾に為ろうと前にでるがミリムの方が早い。

 

 怒りの所為で少し龍化したミリムが高速で近づきベルを殴ろうと拳を振るう。

 

「グアッ! くうーーーーーっ! ‥‥おのれ!」

 

 ベルはミリムの拳を次元に入れて連結し、ミリムの顔横に穴を出現させて自身を殴らせた。

 

 物凄い勢いで地面を抉り吹き飛ぶが、ミリムは片手を地面に突き入れて勢いを殺す。

 

「私の氷結地獄(コキュートス)もベル様と位置を入れ替えられて、自分で喰らいましたからね。ベル様ほんと容赦ない‥‥」

 

 レインは魔王ミリムが何故ここへ? と呑気に思案している。

 

 何でこんな荒れ狂う覇気と魔力の暴風の中でケロッとしてるんだよ! あ、原初でしたね貴方‥‥。

 

「じゃリヴェル様の腕の中は私が予約しますよベルちゃん!」

 

「ひえ~今はそんな場合じゃないよ! お姉ちゃん」

 

 茜はスキルを使ったのか赤いオーラが立ち上り、何とか動ける様だ。

 

 葵は茜にしがみ付いてるのが精一杯の癖に‥‥無茶しやがって。

 

「あれはまずい‥‥茜も葵も下がれ! 相手が悪すぎる!」

 

 俺の言う事を聞かずに葵は結界を貼り、茜は大技を放とうと構える。

 

竜星拡散爆(ドラゴ・バスター)ーーーー!!」

 

 だがミリムは直線でベルを狙わず竜星拡散爆(ドラゴ・バスター)を湾曲させてから、自動追尾に切り替えてベルの背後を狙い撃つ。

 

 リムルが2発だけ暴食者(グラトニー)でかき消すが、残りが無慈悲に襲い掛かる。

 

 俺も数個門を破壊されながらも何とか吸い込んで全てかき消す事に成功する。

 

「グウッ‥‥ミリム止めろ! お前の方がお姉ちゃんだろ! 抱っこぐらいしてやるから」

 

「父上はどっちの味方なのだー! そこは私の居場所なのだぞ! そいつが奪ったのだー!」

 

 あーもう! 何か幼少期の自分とベルを重ねて、怒りで家族との思い出がごっちゃになってるな?

 

 冥ちゃんがベルを抱っこしたまま前にでて来て、ビシッと指をさしてミリムに言う。

 

「ミリムはお姉ちゃんであろう! 妹のベルに殴り掛かるとか何を考えてるのじゃ!」

 

「ううがああ〜!! ミリムは悪くないのだ! 父上も母上もそいつが‥‥うっ? 妹なのだ?」

 

 急に竜化が解けて、殺気も魔力も収まったミリムが、ベルの近くまで歩いて竜眼で見つめる。

 

「りゅ‥‥竜種なのだ!!! あはは! お前竜なのかベル!」

 

「むう! お前は危険だから母上に近寄るな〜!」

 

 突如謎のタイマー音が辺りに鳴り響く。

 

「あっ! 3分たったのじゃ。もう帰らねばならん。またなベル、リュウ」

 

 冥ちゃんはそう言うとベルを俺に渡して、小さい子供に為り俺と同化する。

 

「「ウルトラマンかよ!!」」

 

 俺とリムルは盛大に突っ込んだ。

 

「ばいばい‥‥母上。こいつの所為で一緒に食べられなくなった! 嫌い!」

 

「まあまあ、ベルちゃん。ミリムはお姉ちゃんみたいなもんだから許してやってくれよ」

 

 茜は恐る恐る構えを解いて後ろに下がる。

 

 葵はへなへなとその場に座り込む。

 

「旦那様? ミリムさんはもう暴走しませんか?」

 

「多分な‥‥抱き着いて来るな茜! お前は本当にぶれないな‥‥」

 

 俺は男の姿で居た方が良いので、頑張って茜を引きはがす。

 

「ワタシはおねーちゃんのミリムだぞ! よろしくするのだ~ベル! うははは!」

 

「もう! 頭をらんぼうに撫でないでー! ミリム嫌いーあっちいけー」

 

 ミリムに抱き抱えられたベルは助けて父上ー! とジタバタ暴れるが、俺はすまん暫く相手してやってくれとベルに両手を合わせて謝る。

 

 ミリムは楽しそうにベルを抱っこしてクルクルと回り、ご満悦だ。

 

 その後ろを追従しないといけないレインは、青い顔をして助けて父上と馬鹿な事を言う。

 

 俺の近くにやって来たリムルが、陰からランガを出して撫でながら慰める。

 

「何だかよくわからんが‥‥リヴェルが悪いって事だよな?」

 

「おまえなぁ‥‥何でも俺の所為にしたら解決! みたいなノリ止めろよな」

 

 葵とベニマルが俺達に駆け寄り安堵の溜息を吐く。

 

「焦ったよ〜リヴェル様死んじゃうと思った!」

 

「俺も死んだと思ったぜ。スラきちを遠くに逃がしてたけど‥‥お前も茜を連れて逃げろよな!」

 

「リムル様。あの娘、ミリムと名乗っていました。恐らく魔王ミリム本人でしょう。目的は定かではありませんが‥‥オークロードの件と無関係ではない気がします」

 

「ほんと抜け目ねぇーなお前! 恐らくそうだと思うぞベニマル。だが詳しく経緯を聞いてみない事にはな‥‥」

 

 シオンがリムルに抱き着いて申し訳ございませんと泣きだし。

 

 ランガも動けず申し訳ございませんと、リムルの顔を舐めまわす。

 

 俺はリムルと一緒に仲間達にもう大丈夫だと経緯を話して安堵させる。

 

「ハヤテ‥‥落ち込まなくっても良いって。俺が突然次元から出たのに守れるわけないだろ?」

 

「茜ちゃんと葵ちゃんは前にでれたよ? 私は魔王覇気で動けなかった‥‥悔しいよ」

 

 ハヤテの頭を優しく撫でて慰める。

 

「申し訳ございません‥‥主様」

 

 風音とハヤテが落ち込んでいるので好物のアップルパイを渡しておいた。

 

 今回は茜が異常なんだよ‥‥半竜化してたミリムの力もおかしいんだけどさ。

 

「ミリムーー! ベルーー! 話を聞きたいから一度家に帰ろうぜ~美味いお菓子もあるぞ〜!」

 

 ベルを高い高いしていたミリムが美味いだと!? と目を輝かせて走り込んできた。

 

「父上ーー!! 何で助けてくれないの!」

 

 泣きながら俺に飛びつくベルを優しく受け止めて頭を撫でる。

 

「ワタシを呼び捨てにするとは良い度胸だな‥‥だがベルの父親という事で特別に許してやるのだ」

 

「ありがとなミリム。俺はリヴェルって言うんだよろしく! 何かうちの冥ちゃんが色々ごめんな」

 

「フン! 早くお菓子をよこすのだ! ワタシは舌が肥えているのだっ! 美味く無かったらリヴェルはノヴァるからな?」

 

 英会話かな? 多分そうだろ‥‥信じてるぞミリム。

 

 

 

 リムルがミリムに話しかけると様を付けろと言い始めたので、リムルに耳打ちする。

 

「ミリムに蜂蜜食わしてやれ。それですぐに仲良くなれるぞ」

 

 そう俺がリムルに言うと、分けたくないのか梅干し顔になる。

 

 俺がお菓子作ってやらんぞと言うと、渋々文句を言いながらスプーン1杯をミリムにあげる。

 

 ミリムは味皇の様に叫ぶとリムルを問い詰めだした。

 

 蜂蜜効果で簡単に友達に為ったのか、今は二人仲良くランガの背に乗り帰宅中だ。

 

「なあリムル。お前達って魔王にならないのか?」

 

「嫌だよめんどくさい‥‥」

 

「俺は成りたいけど魔王の種が無いからな」

 

 俺の言葉に驚愕するリムルは、何を馬鹿な事を言ってんだと怒る。

 

「別に魔王の種がなくとも実力が魔王達に認められたら名乗れるぞ?」

 

「魔王に進化して究極能力を復活させたいだけだ、俺も魔王自体には興味はないぞ? リムルは魔王に勇者と選び放題なのに勿体ない」

 

「お前‥‥知ってたのかよ」

 

 俺もシエルさんに教えて貰って驚いたんだが、ビアンカの影響かリムルは勇者の卵と魔王の種の両方を所持している。

 

「大賢者さんが教えてくれた」

 

「おい! 大賢者、何勝手にバラしてんだよ! お前なぁ〜ハァ? 何が黙秘するだ!」

 

「レオンと同じなのだなリムルは。だが、勇者になっても結局魔王に戻るだけだがな‥‥ハッハハ!」

 

「「どういう事なんだ? ミリム」」

 

 俺達にレオンについて語ってくれるそうなので、リヴェル家の台所で話す事にした。

 

 

 

 ミリムが語った内容はこうだ。

 

 勇者レオンは虐げられる魔物や人間、精霊と種族を問わず助け続けた。

 

 だがその中には戦争行為も含まれている。

 

 奴隷解放や悪逆非道の王族など様々だ、そういう道を辿っていくと人間の魂が蓄積されて自然と魔王へと覚醒を果たしたそうだ。

 

「だからリムルが魔物である限り、此処に住む魔物達を守って人間と争う事に必ず為る。勇者が先か魔王が先かという事だな! ワーーハハハッ! 早い話が時間の問題なのだ~!」

 

「レオンって奴も苦労しているんだな‥‥」

 

 俺は苺のシュークリーム、マフィン、ブドウジュースをミリムの前に置く。

 

 手に取り一口、二口。

 

 後はパクパクモグモグとあっという間に二つとも味わって食べ終わる。

 

「美味いのか? ノヴァるのか?」

 

「‥‥」

 

 どっちなんだよ! 死刑宣告を待つみたいで怖いんだが‥‥。

 

「黙って泣くなよ‥‥えっ? すぐに無くなって泣いてたのかよ! ほらお代わりも沢山あるぞ」

 

「美味いのだ‥‥こんな美味しぃお菓子知らないのだ‥‥ずるいのだぁ〜ううううぅ」

 

 リムルがリヴェルのお菓子は危険が危ないとうんうんと頷いている。

 

 うちの子達も私の分は? と羨ましそうに見ているので、ピリノと手分けして配った。

 

「話を戻すが、俺は人間と魔物が共存していけると信じてる。それに勇者にも魔王にも絶対ならんからな?」

 

「リムル。俺も同じ気持ちだがこの際だからハッキリ言っておくぞ? 帝国は世界征服が目的で人間至上主義が大半の貴族社会だ。恐らく帝国の支配する領域に魔物は入れない。皇帝ルドラは魔物も人間も等しく民と思ってくれてそうだが‥‥希望的観測に過ぎない。そして二つ目は神聖法皇国ルベリオス。その教会組織にルミナス教があり、分派で西方聖教というものが世界各地に支部がある。どちらも人類の守護を名目に魔物を殲滅する組織だ。全ての人間と仲良くなんて幻想は早めに捨てろ。じゃないと大勢の仲間が死ぬだけだぞリムル」

 

 リムルは俺の言葉に頭が真っ白になったのか暫くフリーズすると、慌てて大賢者と地図機能を使ってルミナス教の勢力圏内を調べ始めた。

 

 ルドラもミカエルに完全に支配されてたらアウトですけど。

 

「リヴェルの方は世の中が良く見えてるではないか! 人間は馬鹿で愚かだから滅ぼせば良いのだ!」

 

「気持ちは分かるが極端だぞミリム‥‥。美味しい食材を作ってくれる農家さんまで滅ぼす気か?」

 

「そ、そんな事はしないのだぁ! 悪い人間と良い人間が居ることくらいミリムも知ってるのだ!」

 

 リムルは溜息を付いて俺に問いかける。

 

「で? 今後の俺達が平和に暮らせるようにするには、どう行動するのが一番良い流れか教えてくれ星」

 

「知らんがな‥‥それこそ大賢者に聞けよ」

 

「お前は冥賢之王の能力で知らない知識も得れるんじゃないのか? 流石に世界情勢や知識を知り過ぎだぞ‥‥あっそうなの大賢者? あ〜ごほん。リヴェル君! 今後どういう未来が待ってるか予測を教えて頂戴!」

 

 シエルさんと一体何のやりとりがあったのかボブは訝しんだ。

 

 俺は丁度良いのでこの場に居る、ベニマル、シオン、茜、葵、ハヤテ、ピリノ、ソウエイ、リムルに講義をする為に、テーブルと椅子を並べ替えて俺は教師の様に立って話す事にした。

 

「まず歴史的背景の説明だ。帝国がジュラの森に再侵攻してくる確率は非常に高い。それは数百年前にも帝国はジュラの森に侵攻を開始した事が理由だが、これはヴェルドラによって阻止されたんだ」

 

「うん、それはお前に聞いたな。だが人間同士の争いなら森の通過は見逃そうと思ったんだが‥‥」

 

「無理だろうな‥‥理由は魔王達が帝国の侵略行為を見逃さない事と、ドワルゴンも森の通過を許さないだろう。俺達は結局、ジュラの森の支配権争いに巻き込まれる」

 

「おい、リヴェル。リグルドやリグルも呼んでやれよ? 何で重要な議題を此処でしたんだ‥‥あと何で蜂蜜を黙っていたリムル様!」

 

「リムルに言えよベニマル‥‥俺はミリムに菓子食わすだけのつもりだったんだから」

 

「蜂蜜? 何の事だベニマル? そんなものは存在しない」

 

 ずるいぞ大将! とリムルとベニマルの取っ組み合いが始まった。

 

「まー情報共有は俺がしとくよベニマル。報告書として後でリグルドにも提出しておくし、皆と会議もするわ。てか聞けよ! 蜂蜜の他にもメープルシロップがあるんだぞ‥‥」

 

 ベニマルとリムルがバッと椅子から降りて凄い勢いでこっちに駆け寄る。

 

「大人しく座って聞くなら、シロップ入りのパンプキンケーキをやろう」

 

 何故かレインも混ざっていたが、大人しくなったので講義を続ける。

 

 俺は黒板を用意してジュラの地図を書き込み、周りの勢力図を書き足していく。

 

「二つ目のルミナス教の話をするぞ。魔物による被害は結構深刻で、魔素だまりから突如生まれるから人間の生活領域を簡単に犯してくる。その為に冒険者というものが存在します」

 

「美味い! 甘〜い! 冒険者か‥‥憧れの冒険者! 一度はやってみたいよな〜」

 

「その時はお供しますねリムル様!」

 

 シオンとリムルが楽しそうに冒険者について談義する。

 

「魔物は冒険者には為れんぞシオン?」

 

 ソウエイがそう言うと、何故かシオンだけじゃなく、ハヤテ、葵、リムルもガーンと項垂れる。

 

 転生者なら一度は冒険者してみたいよな‥‥でもユウキ君がいない冒険者って規模が小さく、下手したら街に支部が無いんじゃないか?

 

 国に数カ所存在する程度の規模で兵士だけで魔物の対処をしてるなら、人間達の魔物に対する憎しみが少し怖いな。

 

「まあ面白そうではあるよな。んでジュラの森という環境はかなり特殊でドワルゴンなど魔物と交易もする国があり、ヴェルドラの影響力とトレイニーさんのお陰で争いも少ない珍しい場所だ。オーガも人間や魔王と交渉して傭兵もしていたしな」

 

「改めてリヴェルは守らねーとな‥‥オーガは西方諸国や魔王の所に傭兵を派遣してたが、ルミナス教の奴らとはやりあった事が何度かあるぞ? もぐもぐ」

 

 ケーキを見つめながら俺を守る誓いを立てるんじゃないよベニマル。

 

「よく無事だったな‥‥結界持ちだと魔物はかなり不利だぞ?」

 

「「「爺がいたからな。ハクロウが居ましたから。翁が居てくれましたからね」」」

 

 俺は何とも言えない顔をする。

 

「ごほん! なので森しか知らないリムルは、外の悲惨な魔物による被害状況を知りなさいって事。だからと言って人間と仲良くするなって事でもないぞ? ルミナス教も腐敗していてお布施を払わないと騎士団を派遣しないし、それを良く思わない人間国も多いからそういう国々と仲良くしていけば良い。ブルムンドやドワルゴンがそうだな」

 

「リヴェル先生! 俺ドワルゴンから国外追放されました!」

 

「むう‥‥痛い所を付いて来ますねリムル君。それは今回来る、サリオンのお偉いさんに頼んでドワルゴンとの橋渡しをお願いしましょう」

 

「リヴェル! 私もパンプキンケーキが食べたいのだ」

 

 俺はキッチンで追加のケーキを切り分ける。

 

「ピリノ、ハヤテ。お代わり欲しい奴に持って行ってあげて」

 

「わかったよ」

 

「はーい」

 

 レインがお代わりを持って次元に消えていくが‥‥。

 

 それはピリノが良い笑顔でお酒が入ってる方がレインさんのケーキです! と唐辛子の粉をふんだんに振りかけたケーキを手渡していた。

 

「ミリム生クリームがついてるぞ。よし、綺麗になった。はい、ケーキどうぞ」

 

 黒板を消して今後の展望と書き込む。

 

「今欲しいのは権力です! リムルを王にしてリムル王国を作り、世界の中心になりましょう!」

 

「ぶふぅーーーーー!! げふぉ! げふぉっ! まてリヴェル! お前なにを考えてるんだ!」

 

「うちにはベルやヴェルドヤに何故かレインも居るから抑止力は十分にある。だが他所から見たら謎の魔物の衆団が核兵器を持ってる事と変わらん。だが経済圏を作り、国として樹立すれば話は変わる」

 

 皆はベルちゃん? ヴェルドヤって誰? 何でレインが出て来るの? と困惑顔だ。

 

「国ってお前な‥‥あーすでに規模は37万人か。いやリムル王国は止めろ! あ〜!! 前にリヴェルが俺に王なって言ってたのはコレか!!」

 

「俺は村長だ! フハハハハ!」 

 

「あんな前から構想してやがったのか! お前が兄なんだからお前が国王になれば良いじゃねーか!」

 

「良いのか? 独裁国家になるぞ? 基軸通貨も変更してリヴェル金貨を鋳造し、世界を軍事力と経済力の両方で支配するが本当に良いんだな?」

 

「何でそんなに極端なんだよお前は! 信長の野望じゃねーんだぞ現実は!」

 

 リムル王国!! とベニマル、シオン、ソウエイは呟いた後、楽しそうに何処から攻めるか話し出す。

 

「お前らまで‥‥何でそんな物騒なんだよ」

 

「いやリムル。鬼は戦闘種族だぞ? 一緒に天下統一しようぜリムル!」

 

「却下に決まってるだろ! あーもう馬鹿リヴェルゥー! アホタレー!」

 

「お前がどぉ~しても王が嫌って言うなら、俺達の長男に国を任せるか? ベルのおかげで末っ子から兄になったから張り切ってくれると思うぞ?」

 

 俺がリムルにそう言うと、ヴェルドラの国王を想像したのか目からぽろぽろと大粒の涙が零れ落ちる。

 

 涙を拭いながら自分‥‥王やりますと宣言してくれた。

 

「ミリム様。お聞きしたい事が在るのですが」

 

「かまわん。言ってみろ」

 

「オークロードの件にミリム様は関わっていらっしゃいますか?」

 

 ベニマルはミリムにオークロードの件を尋ねる。

 

「関わっているぞ! 他にも魔王カリオン、フレイ、クレイマンの三人だな」

 

 ミリムが関与を認めた事で怒りでベニマルが力むが、他の魔王が三人も居る事で冷静になる。

 

「だが計画を立てたのはゲルミュッドの奴だ。私達魔王は新しい魔王の誕生を待ってただけだからな! ふふん!」

 

 リムルとベニマルは顔を見合わせて頷き合う。

 

「ミリム様の配下に仮面を付けた魔人は居るのでしょうか?」

 

「おらんぞ?」

 

「ありがとうございます。助かりました」

 

 ひとまずミリムは白という事でリムル達は安堵の溜息をついた。

 

 

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