二度転生したらスラりんだった件   作:Kut-Ku

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50話 二度スラ日記 その1

「ふああぁぁ〜あ〜良く寝た‥‥」

 

 さて、今日はどうしようか?

 

 まだイリーナ姫が来るまで日数があるし、茜や葵達を遊びに連れて行ってやるか。

 

「シス湖に釣りにでも‥‥ん? 何だこれ尻尾?」

 

 キングスラりんの顔に尻尾が揺れてくすぐったい。

 

 もふもふもふもふ。

 

「ひゃん! ご、ご主人様‥‥だ、駄目ですぅ‥‥ああん! あふぅ‥‥」

 

「その声はピリノか? ん? ハヤテもいるな。一緒に足向けて、俺の腹の上で寝てたのか」

 

 もふもふもふもふもふもふもふもふもふもふもふふもっふも。

 

「はうぅ‥‥あぁあああ〜くふぅ~だめ‥‥ひゃあーーん」

 

「ふむ、実にもふり甲斐のある良い尻尾でござるな‥‥ついでにブラッシングもしておくか」

 

「ねえ? 私のピリノに何してるの?」

 

 ブラシを持つSAの手をガシッと掴んだハヤテが、底冷えする声で告げる。

 

「ハァ‥‥ハァ‥‥尻尾が、気持ちよくて、おかしくなっちゃうよぉ〜~」

 

 嬌声を上げたピリノがビクンビクンしてるが、俺は悪くない。

 

「触って下さいと言わんばかりの尻尾が、目の前にあるのが悪いんだぞハヤテ!」

 

「ハイクを詠むんだよ! 介錯してあげる!」

 

「その毛並み、我慢できない、魔性かな。アバーッ! サヨナラ!!」

 

 ‥‥酷い目にあった。

 

 16連射のスタンガンは流石に死ぬかと思ったぞ。

 

 ハヤテのガードが固くてやっとピリノの尻尾に触れられたから、つい我慢が出来なくて暴走しちまった‥‥。

 

 忍殺語を使ってハンゾウと遊んでいたからハヤテが影響されちゃったか?

 

 三人で顔を洗いに行き、今は俺の部屋に戻ってきている。

 

「ふわぁ〜凄く気持ちいいです。ご主人様って尻尾の手入れが非常に慣れているし、丁寧で本当に心地良いですね」

 

 俺はピリノにブラッシングしながら家の兄妹犬の事を思い出す‥‥。

 

 風音とランガは俺がブラッシングと天然素材のシャンプーをしている。

 

 だから二匹の毛並みはいつもモフモフのツヤツヤだ。

 

 並列存在と分裂を使えば二匹を洗うこと何て大して労力も要らないからな。

 

 言葉を理解して、大人しく洗われてくれるワンコなんて楽なんてもんじゃない。

 

 ランガはリムルに洗って欲しそうだが‥‥怒らせてしまった所為で洗って貰えなくなった。

 

 リムルに洗って貰えるのが嬉しくて、ワザと汚して帰って来る感じだったからな‥‥。

 

 流石に頻度がおかしいと疑ったリムルに見つかって、もうお前を洗ってやらない! と宣言されてしまった。

 

 物凄く落ち込んだランガは可哀そうにストレスでハ‥‥抜け毛が増えていた。

 

「そりゃ前に犬を3頭飼っていたからな。狐の換毛期って何時だろう? 尻尾に少し椿油を塗るか‥‥これでよし。キツネ耳も綿棒で掃除するか?」

 

 ピリノは慌てて手を振り、狐耳をへにょらせる。

 

「狐耳と尻尾は飾りみたいなものですから‥‥あはは。感覚はあるんですが人間の耳も、ほら! ありますし、耳掃除は流石に恥ずかしいですよ」

 

 髪の毛をかき上げて人間の耳を俺に見せてくるピリノ。

 

「むぅ‥‥私の尻尾なのに。あっ! そうだリヴェル! ピリノの狐耳は不思議なんだよ? 穴が無いのに聞こえるの」

 

「へーそれは面白いな‥‥人間の耳を塞いで、獣人の耳で聞き取れるって事か? 何か霊的なパスが繋がってるのか? ピズの魂と融合した影響が大きいだろうな。そういや獣人の耳は頭の上だけなのか? 人間と獣人から生まれる子供はピリノみたいになったり?」

 

 二人はどうなんだろう? と良く分からない顔をする。

 

「おっと、用意する時間が無くなっちまうな! 今日は家族でシス湖にピクニックに行こうと思ってるんだ。ハヤテもピリノも予定が無いなら弁当作って釣りや泳ぎに行かないか?」

 

「「行きたい!! 良いですね!!」」

 

 他の皆にも知らせてくれと二人に告げると、俺は弁当を作りに自室を出て台所に向かう。

 

「話は聞かせてもらったぞ! 俺は今日は非番だから手伝ってやろう」

 

 親指でビシッと自分を指さし、任せろ! と良い笑顔で笑うイケメンが居た。

 

 家を繋ぐ渡り廊下で聞き耳を立てていたのか? 

 

 からあげの件で懲りたベニマルが、手伝えば旨いモノが色々食えると学んだ様だ。

 

「お兄様‥‥俺を手伝えばメープルシロップのお菓子が貰えると思ってませんか?」

 

「お兄様はやめろ! お前にシュナはやらん!」

 

 シュナはリムルにお熱だから俺に何て興味無いって。

 

 いらんと言えばシュナに魅力が無いと言うのかと怒るし、ほんと面倒なお兄様だ事‥‥。

 

「悪いなベニマル。今回はリヴェル家だけで行こうかと思ってるから遠慮してくれ」

 

 俺がそう言うと、柱の陰に隠れていたミリムとリムルが絶望した顔で項垂れる。

 

 そして二人は寂しそうに此方を見つめてウルウルしている。

 

 美少女の二人が大粒の涙をポロポロと零しだすので、俺はいともたやすく行われるえげつない行為に簡単に折れた。

 

「そうだな‥‥家族皆で行こうか‥‥ハァ〜~〜~」

 

「「やったーーー!!」」

 

 ミリムとリムルはハイタッチした後に、アルプス一万尺をやり始めた。

 

 俺がベルに教えたら何故かブームになっちゃったんだよな‥‥。

 

 ベニマルは大将がすまんなと苦笑しながら、コカトリスの肉は任せろと捌きに行った。

 

「何故からあげを作ると分かったんだ? 大元帥の無駄遣いだろ‥‥ベニマル」

 

 リヴェル家とリムル家のちょっとしたバカンスだな。

 

 風音とランガは並列存在の俺と街でお留守番だ。

 

 ランガはシオンに護衛役を奪われてご立腹だが、風音は並列存在の俺と久々に二人きりなので満更でもない様子。

 

「たくっ‥‥一緒に連れて行かないだけで泣くなよな」

 

「リヴェルが水着姿の可愛い女の子達とキャッキャウフフとバーベキューをするって思ったら、悔しくてつい涙がな‥‥ごめんなひゃい!」

 

 俺がリムルの頬っぺたを抓っているとミリムが自慢げに言ってきた。

 

「ワタシは泳ぐのも得意なのだ! 優雅なフロッグ泳ぎは十大魔王随一と呼ばれているのだぞ?」

 

 何で声のトーン変えて威圧したの? あっ! これ、芋掘りでも言ってた奴だ!

 

 十大魔王唯一ミリムだけしか関わらない競技の話ね。

 

 え〜っと〜フロッグ? カエル? あぁ〜平泳ぎの事か。

 

「ミリムは泉で泳ぐために水着持って来てる? 魔法換装(ドレスチェンジ)だっけ? パパっと着替える奴」

 

「泳ぐ時は下着姿で泳ぐものだぞ? 知らんのか?」

 

「ヒューッ! 聞いたかリムル? ミリム御嬢様は大胆すぎるぜ! と言うのは冗談です‥‥はい。冥ちゃんから絶対に着せろと命令が下りましたので! み、み、ミリム御嬢様には水着の着用をお早くお願いしますぅ〜!」

 

「ミリムさんや‥‥水着を来てやらんとリヴェルの魂が抜けて成仏しちまうぞ?」

 

 俺は娘の無防備さに怒った冥ちゃんに、クイックイっと魂を引っ張り出されそうになる。

 

「水着とやらが良く分からんが? まあ、母上が着ろと言うなら着るのだぞ!」

 

「リヴェルが魔物のカエルやナマズの皮で水着を作れるから、好きな水着に着替えなさいな。ちょっと~シオン! シュナ! こっちに来てくれ! ミリムに似合う水着を選んで欲しいんだ!」

 

 リムル家でお茶を飲んで寛いでいたシュナが障子を開ける。

 

「水着ですか? 確かリヴェル様が御作りに為った、泳ぐ時に着る服ですよね?」

 

「うん、そうだよシュナ。ワンピース水着にスクール水着、セパレート水着、競泳水着も似合うかもな‥‥あとこれとこれ?」

 

 あぶない水着は自由度が高く色々変更できるが、モンスター素材を使う方は錬金釜で作り出している。

 

 竜物語に強化が入ったお陰で錬金釜が便利になった。

 

 まず錬金壺に欲しいモノを選んで設定する。

 

 今回なら水着を設定して対応する素材を放り込めば、ドラクエシリーズの水着をランダムで作製してくれるので非常に便利だ。

 

 スクール水着をゲットしたので、ゼッケンにハヤテとピリノと書き込んで専用装備を作った。

 

 りむると書かれたスクール水着も作ってあるのは内緒だ。

 

「何か良く分かりませんがお任せくださいリムル様! リヴェル! 早く水着とやらを寄越しなさい! 私の分もです」

 

 障子を開けてシュナがこちらに歩いて来る。

 

 シオンは何かを食べている途中らしく、開いた障子から箸を俺に向けて言い放つ。

 

「シオンには特別に用意してあるぞ。ミラノ、オベーラ、茜にもあぶない水着を加工した水着を用意して‥‥あ〜~何でも無いです茜さん。これ水着です! へへへ」

 

 いつの間にか俺の背後に居た茜が、笑顔で槍を構えている。

 

 俺は慌てて可愛い赤色のパレオ水着を茜に渡してご機嫌伺いをする。

 

 葵、ハヤテ、ピリノは三人仲良く、俺が出した水着を試着しに部屋に向かって行った。

 

「あ、あぶない下着が非常に危険なモノでしたから、つい体が反射的に動いてしまいましたわ。鳥のデザインですか? 凄く綺麗でお洒落ですね!」

 

「上品でお淑やかな茜様にはお似合いですね。これで許して頂けますでしょうか?」

 

「ちょっと気になるので、あぶない水着も見せなさい‥‥」

 

 俺はキングの腹をぐいっと茜に抉るように抓られる。

 

「こ、これでございます‥‥セクシーで妖艶な大人の魅力溢れる茜様には似合うと‥‥ぎゃあああああああああーー!!」

 

「なななななな! 何てモノを着せようとしてるんですか!! ほぼ紐じゃないですかこれ! ん‥‥でも面積増やしたら確かにデザインは良いかも?」

 

 灼熱のコークスクリューを顔面に叩き込まれた俺は、不屈の闘志で立ち上がる。

 

「じゃーこれぐらいでどうだ? これ以上面積を増やすと体のラインが隠れてデザインが損なわれるから駄目だぞ?」

 

「まあ‥‥これぐらいなら着てあげても良いですけど‥‥」

 

 俺はSAでガッツポーズをとる。

 

 茜は大和撫子タイプで肌を見せるのを嫌がるからな‥‥シオンを見習って羞恥心を放り投げて欲しいぜ!

 

「痛っ! シオン、箸を投げるな! 刺さっただろう!」

 

「何かイラっとしましたので」

 

 しかし、胸元からヘソまで空いたハイレグを出さなくて本当に良かったぜ! ありがとう悪意感知さん!

 

 居間で寛ぎ話を聞いていたレイン、オベーラ、ミラノも付いて来るみたい。

 

 ベルを巡ってオベーラとレインが話してるのをヒヤヒヤしながら見守っていたが、何故か仲が良くなっていた。

 

 天使と悪魔って敵対関係じゃなかった? 現世に降りたらそれはそれ的な感じなのか?

 

 そういやガラシャとピコとカマクラで女子会してたな‥‥。

 

「炭とバーベキューコンロとパラソルもいるか? あと男共に水着も用意してやらんとな‥‥なんせ全員ふんどしだからな」

 

「俺の水着作ってくれたか?」

 

「もっと可愛い奴にしろよ‥‥ほれ。ボーダー水着? 囚人服水着って言うのかこれ?」

 

「煩いな‥‥心は男なの!」

 

 俺はしれっとリムルにスクール水着を渡すと殴られた。

 

「師匠、私は茜さんに最初に渡していた水着で良いですよ? 日焼け止めの薬も魔法もありますから」

 

「そうですね。私もミラノと同じで構いませんリヴェル様」

 

 ミラノとオベーラは際どいビキニを着用してくれる様だ。

 

 天使は光耐性が高いから、日焼けはしないですよ?

 

 二人の会話からそんなパワーワードが飛び出し、耐性ってすげーなと驚いた。

 

「リヴェル様が興奮するので駄目です! 二人もスクール水着とやらにして肌を隠しなさい!」

 

「「それは逆効果だぞ茜!!」」

 

 俺とリムルは見事にハモる。

 

 ミラノとオベーラの水着を見て、自分も欲しくなったのか俺に詰め寄る人物がいた。

 

「何故私の水着は、あぶない水着を使わないのか説明しなさいリヴェル!」

 

 俺はレインの胸をチラ見した後に、ニジウラセブン顔で口ずさんだ。

 

 

 

 本体がレインによって血祭りにあげられている頃。

 

 スラぼうはクロベエとソウエイを誘う為に、鍛冶屋と見張り小屋に向かう事にした。

 

 何か味噌小屋を囲う壁と見張り櫓も相まって砦の様な小屋になって無いかこれ?

 

 クロベエとソウエイが仕事を理由に一緒に行くのを断ろうとしていたので、家族皆で行くぞ! と無理矢理にでも連れて行く事にした。

 

「叔父上も一緒に行こうよ!」

 

「わかった、わかった。引継ぎをソウカに頼んでくる」

 

 ソウエイはハンゾウに説得されて、ヤレヤレと首を振るが嬉しそうだ。

 

「キンキンに冷えたビールを飲み放題。枝豆、ピザ、唐揚げまで用意してあるのに‥‥そうか‥‥仕事が優先なんて流石クロベエだな! いや〜バーベキューも楽しみだな!」

 

「うぐぐ‥‥どっちが鬼かわからんべ! リヴェル様が面白そうな案を持って来た癖に酷いだよ! わかったべよ‥‥いくべ! 飲みまくってやるだよ!」

 

 二人とも仕事ばっかりでろくに休んで無かったから丁度良いだろ。

 

 パッと次元移動で泉に付くのは味気無いので、乗り物を用意する事にした。

 

 シス湖へ続く街道はまだ整備されていないが、伐採は既に済んでいるからな。

 

 俺は可愛くデフォルメされたハエトリグモのバスに、クモキチを憑依させてから大量の魔素を注いだ。

 

 バス全体に俺の魔力が覆ってゆき、ヌイグルミの様な足がぴょこぴょこと動き出す。

 

 クモキチはモコモコの蜘蛛足で動こうとするが慣れていないのかぎこちない。

 

「クモキチー! 飛び跳ねるのは危ないから止めとけ~」

 

 魔霊傀儡は使役霊魂が物質を取り込む事で全身が魔霊化する。

 

 それにより魂だけの存在になり、サマタマに仕舞えるから本当に便利だわ。

 

 俺はクモキチから前足で手を振り大丈夫! と試運転が上手く行ったと合図がきたので、サマタマにクモキチバスを仕舞い込んだ。

 

 街に帰ろうとした瞬間に見張り櫓に居た西華から、手を振り声が掛けられる。

 

「リヴェル様〜! 地図機能で青表示の者が接近しています! ご確認ください」

 

「あいよ! ありがとねサイカ!」

 

 俺が名付けたお陰なのか地図機能の一部を使える西華はソウエイに重宝されている。

 

 誰かと思えばギド一人か? 俺は街道に向かって歩き出す。

 

「よう! 久しぶりギド! 隠密魔法何て使わなくても森を切り開いた場所は安全だぞ」

 

「その声はリヴェルの旦那でやすか? 一体何処に‥‥あっ居た! そもそも、何故あっしが見えてるんでやすか‥‥」

 

 別に隠れるつもりは無いんだが、身長が草むらに隠れるから仕方ない。

 

 ギドは会話をする為に隠蔽魔法を解いて今は姿を見せている。

 

「魔界樹の時に見えてないってカバルにも言ったろ? 位置だけが分かるスキルだよ。それでギド? 何で一人で行動しているんだ? イリーナ姫が来るのはまだ先のはずだろ?」

 

「こっちにも色々とあるんでやすよ‥‥少しお願いがあって来たんでやす」

 

「街で話すか? すぐ近くに小屋もあるぞ?」

 

「早急に返事を持ち帰らないと駄目でやすから、小屋でお願いしやす」

 

 俺達は見張り櫓の下に設置してある、ソウエイ達の武器保管小屋で話す事にした。

 

「ハァ‥‥姿を消してるのに旦那やハイオークさん達にも見つかって挨拶されるし、街道は武装したオークさん達に整備され始めてるでやすし、一体何がどうなってるでやすか? あっしは旦那方の厳重な警備体制が恐ろしいでやすよ」

 

「作業中に冒険者と出くわす場合もあるからな、幸いハイオークの集団にびびって逃げてくれるが。ギドの場合はサイカの連絡もあるがオークは嗅覚が凄いんだ、姿が消えてるくらいじゃ意味がないぞ?」

 

「街道は何故? まさかブルムンドに侵攻する気じゃないでやすよね!?」

 

「あほ! 姫様達が馬車で来るだろ? 本来はリザードマン方面の街道を先に整備する予定だったんだ。急遽変更してブルムンド方面の整備を俺が頼んだんだよ」

 

 サイカがお茶を持って来てくれたので一息つく。

 

 ギドがサイカにデレデレして話が進まないので足に棍棒を落とした。

 

「ぎゃああー! 何するでやすか! この悪魔!」

 

「急用で来たんだろうが! 早く言え馬鹿タレ」

 

 大きく咳払いをしてからギドは話し始める。

 

「だから秘密裏に会談を行う場所には、リヴェルの旦那の街が丁度良いでやすよ」

 

 サリオンとドワルゴンが何やら秘密裏に会談する事に為ったらしい。

 

 他国に干渉されず、極秘裏に会談できる打って付けの場所という事だろうな。

 

 ジュラの森への不干渉もヴェルドラ消失で曖昧になったから丁度良いのか?

 

「その会談にはトップのお偉いさんが来るのか?」

 

「それはあっしにはわからないでやす。そこまで詳しく聞ける身分じゃ無いんでやすよ、あっしもカバルも‥‥。ただ秘密裏と言っても外交官同士での話し合いだと思うでやすよ? イリーナ様の護衛依頼をしろとしか上からは聞かされて無いでやすからね」

 

 リムルとリグルドに俺の方針を伝えると、任せると許可が出たのでギドに伝える。

 

「別に構わんが会談の警護に責任は取らんぞ? 何が起きても俺達は関与しないし、誓約魔法も契約魔法も俺達や住民には使わせない。会談中はそっちで結界を張って隔離する事を徹底してくれ。それと保障として責任追及や厳罰は一切無しと姫様の直筆のサインとして紙に残してくれるなら許可する」

 

「‥‥徹底してやすね。わかりやした報告に戻りやす」

 

「すまんな‥‥お前は初耳だろうけど、国を作るんだよ俺達。だから他国が絡むとこっちもなあなあで済ませるのはもう無理だ」

 

 一瞬何を言ってるか分からない顔をしたギドが、ハッとした顔で叫ぶ。

 

「国って事はあれですかい!? リヴェル王国みたいな? えっ!?」

 

「俺じゃない、リムル王国だ。国の総人口が37万人で、今も増え続けてるから国を名乗る事にしたんだよ」

 

「ちょっと待って欲しいでやす! そんな大規模の魔物が住む街にイリーナ様を来訪させる事や、会談は無理でやすよ!」

 

「すまん、すまん。連合国全体の魔物の総人口って意味だよ。俺達の街には1万人程しか住んで居ないから安心しろ。戦力的にはむしろ一番高いが‥‥げふんげふん」

 

 配下には絶対に手出しはさせんし、泊まって貰う場所の西区は商業予定地域なので、住居も無く人が全くいない事をギドに伝える。

 

 ギドは少し考え込んだ後に俺に言う。

 

「わかりやした、旦那達を信用します。リヴェルの旦那達は姫様の救助の件で特別配慮がなされてるでやすよ。この街にサリオン王族の私有地がある事にして、この街の魔物には一切不干渉。手を出す者にはサリオン王族が黙っていないって事でやすね。ちなみにこの案を出したのはイリーナ様でやす! だから信頼を裏切る行為はやめてくださいね? 周辺諸国に発布するかはリヴェルの旦那達次第でやす」

 

「それは非常にありがたい。なんなら本当に街に別荘を作っても良いぞ? もちろん建設費用はこっちが持つ。そこまで友好的に接してくれるなら、護衛許可を出してくれ。滞在期間中は俺が何があっても姫を守ってやるよ」

 

「それはうちの姐さんもでやすかい?」

 

「それはお前達の仕事だろうが!」

 

 俺達は笑い合った。

 

「それじゃーあっしは伝えに戻るでやす、六日後に会いやしょう」

 

「ああ、イリーナ姫に宜しく伝えてくれ」

 

 ギドと入れ替わりに風音が迎えに来た。

 

「主様! 瓶にりんごを詰めて腐らせるのは駄目ですよ!」

 

「ん? あーそれ酵母を作ってるんだよ。柔らかいパンが食べれるぞ」

 

「早く乗ってください! 帰りますよ主様!」

 

「はいはい」

 

 俺は風音に柔らかいパンとは何かを説明しながら街に帰った。

 

 

 

 弁当を作り終え、皆の水着も選び終わったので俺達は東の街道に出る。

 

 俺はクモキチバスを呼び出し、一番乗りでクモバスに乗り込む。

 

 俺の後に続いて皆は恐る恐るバスに乗り込むが、中に入ると座り心地が良い椅子を堪能する。

 

 移動にも振動が無く快適なので、高い場所から景色を楽しみだした。

 

 バスの運転席にスライム形態の俺とリムルが一緒に座り、ギドとの会話内容を伝えた。

 

「クモキチって便利すぎないか? 俺もそのスキルが欲しくなったぞ‥‥しかし秘密裏に極秘会談か? 帝国が動いたとかじゃないだろうな?」

 

「冥ちゃんが無いと覚えられないと思うぞ? 帝国が動いているなら西方諸国も交えて会談しないか? 二国間だけで協議しても意味が無いだろ」

 

「帝国が動くならワルプルギスが開かれると思うぞ? だから別なのだ」

 

 俺は何だ其れ? というリムルに魔王達が集まる会議の名だと教える。

 

「魔王達の会議ってまた恐ろしいな‥‥」

 

「その恐ろしい代表のミリム様が家に入り浸っているんだよな‥‥」

 

 ミリムは地獄耳なので俺達の会話が聞こえて伝えに来てくれたんだろう。

 

 それは無いと伝えた後に直にベルの隣に戻ろうとするが、ベルの隣はハヤテとピリノに奪われていた。

 

「ぐぬぬ‥‥親友(マブダチ)の二人ならワタシのベルを任せられるのだ。ハァ〜~〜仕方ない、父上の隣で我慢してやるのだ」

 

「腹立つ溜息だな‥‥これ食べて大人しくしてろ、ポテトと何ちゃってコーラだ」

 

「おおお!? しゅわしゅわするのだーー!!」

 

「おいリヴェル! 俺にもコーラくれよ! 何で俺に秘密で色々作っちゃうの!!」

 

「だって教えると独占して一人で消費する悪~〜いスライムが家には居るからな!」

 

 下手糞な口笛を吹いて、ポテチとコーラを旨そうに飲み食いするリムル。

 

 食欲が増したとかいう話じゃない‥‥たぶん大罪の暴食の影響だろう。

 

 本来の悟は食い意地は張っていたが此処までじゃ無かったからな‥‥。

 

「トランプを作ったんだ、リヴェル一緒に遊ぼうぜ!」

 

「ワタシもまぜるのだ! 数字と何か絵が描いてあるのだな?」

 

「ん? おう」

 

 計画も順調だし、打てる手は打っておかないとな‥‥。

 

「どうした星? ぼーっとして。ババ抜きは嫌か?」

 

「何でも無いよ悟」

 

 問題が山積みで俺が色々悩んでいるというのに‥‥呑気に隣でゲップするリムルに溜息が出る。

 

 ヴェルダナーヴァ、滅界竜の封印、原初、始原、帝国など全部こいつに押し付けてやろうかと本気で考えるのであった。

 

 

 

 

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