二度転生したらスラりんだった件   作:Kut-Ku

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51話 二度スラ日記 その2

 街からシス湖までの長い道のりを、クモキチバスは地面を滑るように疾駆する。

 

 僅かに聞こえて来るのは、草木をかき分ける時に発せられる音のみ。

 

 ミラノの重力軽減魔法をクモキチバスに組み込み、衝撃吸収するモコモコ足のおかげで車内は静かなものだ。

 

「こっちと見せかけて‥‥これなのだ! うがぁーー! またババではないかっーーー!!」

 

「わざと負けたら怒るし、難儀な奴だ‥‥」

 

 ミリムは面白いほど顔に出るので俺とリムルは最初こそ楽しんだが、負け続けると悔し泣きするので対応に困り果てる。

 

 二人で協力して接待プレイをしているが、心理戦のゲームが壊滅的に弱いミリムを勝たせるのは至難の業だった。

 

 運が悪いとかスキルの影響かと疑ったが、冥ちゃんは不審な点は一切ないと回答する。

 

「そ、それは駄目なのだ‥‥アワワ。ふふ、ワタシの罠に嵌ったな父上!」

 

 俺が左側を取ろうとすると慌てふためき、右を取ると嬉しそうに喜ぶ魔王様。

 

「ハァ‥‥もう遊び方を変えるぞ? ババを当てたらお前の勝ちだ」

 

 俺はリムルに目線をやり頷き合う。

 

 ワタシが勝つまでやるのだーーー! と言い出すミリムに最終手段を使う。

 

 俺は二枚を軽くシャッフルしてミリムの前に出す。

 

「何やら釈然とせんが‥‥これなのだ!!」

 

 ミリムは見事にババじゃない方を引いた。

 

「よし、揃ったな! おめでとうミリム! お前の勝ちだ!」

 

「うわー見事にやられたわ! 流石だなミリム」

 

「これは勝ちなのか? 何か納得いかんぞ! モヤモヤするのだーーー!!」

 

 俺がミリムを宥めている間に、リムルは板を用意して神経衰弱をする為にトランプを並べる。

 

 結果的にはこれが良かったのか、記憶力が抜群なミリムは連続1位を獲得する。

 

 途中まで不機嫌だったミリムの機嫌が直り、俺達二人を煽りだした。

 

「相手に為らんぞ! くっくっく、少しワタシが本気を出せばこの程度‥‥他愛も無いのだ」

 

「さっきまで泣きべそかいてた癖に良く言うぜ‥‥」

 

「キリも良い所だし終わりにしよう。ほら、シス湖が見えて来たぞ!」

 

 リムルにそう言われて俺達は窓から景色を眺めた。

 

 視界一杯に大きな湖が広がり、湖面に光が反射して眩しく映し出す。

 

「綺麗だな‥‥しかし本当に大きいなシス湖は」

 

「ああ‥‥凄く綺麗だ。下流や分岐も合わせると、琵琶湖何個分くらいだこれ?」

 

 リムルと俺が話してる間にバスが停車し、ミリムが窓から飛び出した。

 

「水着とやらで泳ぎまくってやるのだー! ハヤテ、ピリノ、ベル! ワタシに付いて来るのだ!」

 

「あっ! 待ってよミリム! ピリノ、ベル、早く行こう!」

 

「ベルちゃんなら既にミリムの背中に移動したよ?」

 

 ハヤテはズルっ子だー! と叫びながら、ミリムとベルをピリノと一緒に追いかけて行く。

 

「元気だなあいつら」

 

「三人は馬が合うのかすぐに親友(マブダチ)になったからな。リムルは最初の親友(マブダチ)なのに呼ばれなかったな‥‥プっ! ハヤテとピリノにミリムの親友の座を奪われた可哀そうな悟君‥‥あはは」

 

 少しイラっとしたリムルが人化してヤレヤレと首を振り俺に言う。

 

「童貞の癖に、突然二児の父親に為ってしまった可哀そうな奴よりましだけどな」

 

 俺は近くのクロベエにモシャスしてからプークスクスと笑う。

 

「童貞を無くす前に性別を失くしてしまった、哀れなモンスターに言われたかねーよ」

 

 その後、俺とリムルはクモキチバスの上で壮絶な死闘を繰り広げた。

 

 

 

「まったく! クモキチさんが怖がっていたじゃないですか! お二人共反省してください!」

 

「姫様の言う通りです! リムル様も旦那様も気軽に喧嘩できる強さじゃ無いんですよ? 森を破壊して‥‥」

 

 俺とリムルはシュナと茜に連携で攻撃された後に、呪符で捕縛された。

 

「えっ!? シュナもなの!? お腹痛い‥‥ナニコレ」

 

「リヴェルが言ってた愛情で耐性を貫通する奴じゃないかこれ!? ぎゃー痛覚無効が! シュナ待って! まじで痛い」

 

 俺達はミノムシのように呪符でグルグル巻きにされて、湖畔の傍に横たわる巨木の隣に放り出される。

 

「腹痛の呪いです! 反省してくださいね。ほほほほほ」

 

「姫様って見かけによらず武闘派ですよね‥‥見事な体術でした」

 

「嗜みとして少々護身術を齧った程度ですよ。さあ茜、私達も皆の元に行きましょう」

 

「はい、姫様」

 

 俺はウルウルと涙を流して茜に言う。

 

「茜助けて! ポンポンが痛いの!」

 

「はわわ! だ、旦那様! 今助けます!」

 

「もう! そんな見え透いた手に引っかからないの茜! 行きますよ?」

 

 俺を助けようと駆け寄る茜を引っ張っていくシュナ。

 

「あーー! 旦那様ーーーー! 申し訳ございませ~〜ん!」

 

「チッ‥‥」

 

「お前‥‥使える手は何でも使うよな」

 

 俺はリムルの方に体をよじって言う。

 

「お前もシュナおねーちゃん助けてって涙ながらに言えよな」

 

「もうそれ通じないんだよ‥‥シオンにしか」

 

 二人は微妙な腹痛に耐えながらモゾモゾしているとオベーラがやって来た。

 

 ビキニは茜に許可されなかったのか白の競泳水着は良く似合っていた。

 

「何をやっているんですか‥‥リヴェル様」

 

 オベーラは呆れながらそう言うと、パラソルとデッキチェアを二つ並べて俺達を寝かす。

 

「ありがとうオベーラさん」

 

「ありがとオベーラ」

 

 せっせと世話をしてくれるオベーラに俺達は礼を言う。

 

 今はテーブルのグラスにジュースを注いでくれている様だ。

 

「丁度良いから話すか‥‥」

 

「何をだ? 痛てて‥‥」

 

 俺は眼鏡を取り出し、神妙な顔でリムルに告げた。

 

「実は破壊神が目覚めようとしていて、この世界は破滅に向かっているんだ!!」

 

「な、なんだって~〜~!!」

 

 俺はリムルにニヤリと笑う。

 

「つまらん冗談はよせよな‥‥おっ! リンゴジュースも炭酸入りじゃないか!」

 

「いえ、本当ですよ? リムルさん」

 

「ブフォーーーーーーーーー!!」

 

 オベーラはフルーツを切り分けながら真面目な顔でリムルに告げる。

 

 咳込むリムルの口をナプキンで拭い去るオベーラ。

 

「計画通りみたいな顔して笑ってんじゃねーよリヴェル! どういう事か説明しろ!!」

 

「もう俺だけがアレコレ悩むのはやめたんだ。悩み事は親友のリムルに全部任せ‥‥分かち合おうと思ってな! キリッ!」

 

 俺はリムルに睨まれるが、顔を逸らして口笛を吹く。

 

「主様の伝え方に問題がある様な気がしますよ? リムルさんは滅界竜(イヴァラージェ)に付いてどれぐらいの知識をお持ちでしょうか?」

 

「いえ、全く知らないです‥‥すみません、オベーラさん」

 

 オベーラはリムルに一つ頷くと全てを語り始めた。

 

 滅界竜は創造神ヴェルダナーヴァの半身である事や、自我を持つまで封印する経緯やオベーラ達の監視の役割も伝えた。

 

 俺は次いでとばかりに其処から生まれてくる侵略種族が、オーク達の土地を砂漠に変えた事も伝える。

 

 真面目にオベーラの話を聞いてるリムルだが、突然言われても困ります! と言う顔をして俺の方をチラチラと見てくる。

 

「俺も同じ気持ちだったんだが? おお神よお救い下さい! 何て言われるし」

 

「ですが‥‥もはや主様に縋る他無く‥‥申し訳ございません」

 

 俺は慌ててオベーラを宥める。

 

「いや異界にお前達を閉じ込めて、長い間滅界竜の監視をさせた方が悪いだろ‥‥最低だなヴェルダナーヴァ!」

 

「ご自身を卑下するのはお辞め下さい! リヴェル様‥‥」

 

 自分達が不甲斐ないばかりにと泣き出しそうな顔をするオベーラ。

 

 俺はアルカイックスマイルでどうしろと? とリムルの方に笑顔を向ける。

 

「もう慣れるしか無いんじゃね? しかし世界の破滅か‥‥折角転生したのに厄介すぎだろ‥‥」

 

「そういやオベーラってどうやってこっちに来れたんだ? 天星宮からか?」

 

「それは不可能‥‥いえ、直接リヴェル様が門を開いて道を作って下さったじゃないですか?」

 

 俺が開いた? 何の話だ? まさか次元門の事なのか?

 

《肯定。ミリムの攻撃を凌ぐ際に出した次元門から此方に飛んで来た様です。次元門の連続使用時に異界と接続され、その門をオベーラが潜ったと思われます》

 

 無茶だよオベーラさん‥‥。

 

 あの時に壊れた門もあったんだぞ? 次元の狭間に消えたらどうするんだよ。

 

「俺がオベーラを危険に晒しちゃったな‥‥すまん」

 

「危険ですか? そんな気配はありませんでしたが?」

 

「門の制御がまだ未熟でな‥‥異界に繋がったみたいだ」

 

「いえいえ、熾天使に戻れたばかりかすぐに私をお呼び頂いて感謝致します。ヴェルダナーヴァ様は我々をお見捨てに為らなかったと‥‥門を見た時は感激して涙を零しましたわ。うふふ」

 

 何でこんな偽物の粘液野郎に美少女が全幅の信頼を寄せて来るの? 痛いよ、心が痛いの! 助けて冥ママン。

 

 俺のやらかしの所為で神を偽り勘違いさせている事に、罪悪感で胸が圧し潰されそう‥‥。

 

 胃痛に悩まされている間も、オベーラさんとリムルは色々情報交換や質問を繰り返している。

 

「オベーラさんの強さってミリムより少し下なだけだよね? そんな強さでも封印できない相手なの?」

 

 たぶんオリジナルと同化した後に神格化したら竜化ミリムに匹敵するんじゃないか?

 

 あっシュナの呪縛が解けた! 札を回収してシュナに返さないと怒られるからな。

 

「神を封印できるのは神だけ‥‥容易に封印できる存在では無いのですよ。創世級武器である慈愛(カーマ)‥‥あの神器だけが唯一滅界竜を眠らせ封印できるのです」

 

 えっ!? そうなん! 冥ちゃんで封印魔法とか考えてたんだが‥‥ムムム。

 

《否定。私の権能は封印に特化していません。神聖魔法及び封印系統の特技、スキル、魔法陣等を解析してまずは習得する事をお勧めします》

 

 慈愛(カーマ)の所持者に選ばれる必要が出て来たな? 冥ちゃんが扱えないか?

 

「おい、リヴェル! 表情をコロコロ変えてないで何か言えよ」

 

「逆に考えるんだ‥‥封印が解けちゃっても良いさと! 痛ああああい!! 何度もビンタすんなよリムル!!」

 

「リヴェルがッ! 泣くまで! ビンタするのをやめないッ!」

 

「お二人共おやめください! 封印は直ぐには解けませんから落ち着いて、何か打開策を考えましょう」

 

 俺の両頬に手を当てて回復魔法を唱えてくれるオベーラ。

 

「うぅ〜リムルが虐めるんだオベーラ!」

 

 俺はオベーラの胸に顔を埋めて泣く。

 

 水着最高かよ‥‥ぐふふ。

 

「ふふ、もう大丈夫ですよ主様」

 

「こいつ! ホントに使える手は何でも使いやがる‥‥羨ましい。お前が真面目に考えないでふざけるからだぞ!」

 

「真面目に考えた結果、リムルに全て任せるしかないと思いましたマル!」

 

「うわーん! オベーラさん、リヴェルが厄介事を押し付けてくるよぅ〜」

 

 俺の隣で一緒にオベーラに抱き着くリムル。

 

「ふふふ、頼られているのですねリムルさんは」

 

 俺達二人の頭を優しく撫でて甘やかす、天使のおねーさん。

 

 子供好きなのかオベーラはチョロかった。

 

「ブチ殺しますよ? ゴホン! うふふ、失礼。反省してない様ですね? お・ふ・た・り・と・も!!」

 

 普段優しいシュナと茜は俺達の女性関係に為ると悪鬼羅刹に早変わりする。

 

 ドスの利いた最初の声で俺とリムルは瞬時にオベーラからバッと離れた。

 

 急いでその場を逃げ出すリムルにシュナは素早く間合いに入り、見事な背負い投げをする。

 

 地面に倒れ伏すリムルに流れるような連携で腕挫十字固めを決める。

 

「げふっ! ちょっと大賢者さん!? 何で痛覚無効切ったんだよ‥‥ぎゃーーシュナさーーん!! ギブギブ!!」

 

 リムルは地面を必死にタップするが、シュナは更に力を込めていく。

 

 散々俺に魔素で覆って素早くガードしろとか言ってて、自分が出来てないじゃん! 

 

 俺? 勿論出来て無いよ? 茜のアッパーカットで上空に吹き飛ばされた後に、アルゼンチンバックブリーカーされてる所だよ。

 

「南無三ーーーーー!! ガハッ‥‥痛たたたたたた! 死ぬぅ! 背骨折れるって茜!!」

 

「物理耐性も無駄に上がってるんですから! これぐらいしないと反省しないで・す・わ!」

 

 水着に着替えて来たシュナと茜が術が解ける頃合いを見て、俺達を誘いに来てくれた様だがタイミングが最悪でしたね。

 

「まったくもう! リムル様に水着を褒めて貰いたかったのに! ほら! 行きますよ? お二人共」

 

「旦那様は隙あらばすぐに浮気するんですから‥‥ほんとにもう!」

 

 ボロ雑巾の俺達を悪魔‥‥鬼娘達は引きずって連れて行く。

 

 捕獲用の網なのか特に痛くも無いので、俺は引きずられながらも皆の様子が気になったので眺める事にした。

 

 茜は結局恥ずかしい様であぶない水着にパーカーを着込んでいる‥‥そこ! 何やってんの! 早くパージしろ!

 

 シュナは薄緑のワンピース水着が良く似合っていて可憐ですね。

 

 ビーチボールでミリム、ピリノ、ハヤテ、葵が楽しそうに遊んでいる‥‥あっ! ミリムがアタックして壊した。

 

 まさか四人共スクール水着とは思わなかったぞ、色は違うみたいだが。

 

 ミリムと葵のゼッケンに名前が書いて無いな? スキルよ届け! 届いた! あおいにみりむっと! よし完璧だ。

 

 湖で泳いでいるのはクロベエ、ミラノ、ソウエイ、ハンゾウに、ベニマル。

 

 男の水着は色違いの同じ奴だからな‥‥早く我の視界から消え去るが良い!

 

 ミラノは水色のビキニに緑のパレオが凄くオシャレで似合ってるな。

 

 ソウエイとベニマルは平泳ぎで競争しているのか? 後であいつらにクロールを教えてやるか。

 

 ハンゾウとミラノは風魔法を使ってバナナボートで爆走している。

 

 クロベエはザルで何を捕っているんだ? あっ潜った。

 

 桶に捕れた奴を移して、良い笑顔でニヤニヤしていた。

 

 シオンは髪が濡れているのでひと泳ぎした後だろう。

 

 リムルが来たので自分の荷物から嬉しそうに物体Xを取り出している。

 

 シオンは黒と白の競泳水着か? 白が雷の形でエロさより格好良さが目立ちますね。

 

 サーフボードとかサングラスが似合いそう。

 

「あれ? ハクロウとベルとレインがいない‥‥」

 

「ん? あっ! ほらあの岩の上で釣りしてるぞ‥‥ていうか隣の美人は誰だ?」

 

 俺とリムルは鬼娘達に網で引きずられているだけなので、会話する余裕はある。

 

「あ〜あの人はレインさんのお知り合いだそうですわよ? リヴェル様」

 

「私もよく知らないのです‥‥空から降りて来た途端に、レインさんに抱き着いてワンワン泣いてましたから」

 

 知り合いが何しに来たんだ? ギィの所へ連れ戻しに来たのか?

 

「俺ちょっとベルの所に行って釣りに参加して来る」

 

「駄目です! 今日は私と一緒に泳いだり釣りをしたりして遊びますよ!」

 

「それならベルも誘ってやろうぜ? どんだけ釣りがしたかったんだよ‥‥北の海でお預けされたもんな」

 

「湖に付いたとたんにハクロウにせがんでましたからね! うふふ、よっぽど釣りが楽しみだったのでしょうね」

 

 葵とも遊ぶ約束をしていたが、四人で楽しそうに遊んでるし無理に誘わなくても良いだろう。

 

「ぐぬぬ‥‥ハクロウの奴! ベルちゃんを膝に乗せた上に、水着の美人に囲まれている何てうらやまけしからん!」

 

「リムル様には私が居ますよね‥‥何かご不満でも?」

 

「そ、そうですよね‥‥いや〜嬉しいな〜」

 

「私もいますよリムル様! はい、アーンしてください」

 

 リムルは近づいてきたシオンに劇物をアーンされていた。

 

「あはは‥‥シオン、俺はまだお腹空いてないかな~」

 

 リムルがシオンと攻防戦を繰り広げている最中、茜にバレない様に地図機能で水着美女達を眺める事にした。

 

 レインは黒のビキニか‥‥やりおるわい。

 

 ベルが着ている水着は俺が選んだヒマワリのワンピースだな。

 

 良く似合っていて凄く可愛らしいぞ! 帽子も作ってやればよかったな。

 

 えっ!? 何であの美人さん俺がミラノに内緒で渡した、胸元の空いたハイレグ着てるの!

 

「ハクロウ爺ちゃん、目のやり場に困って顔が真っ赤だな。良いなあ〜俺も釣りがしたいな〜」

 

 ハクロウは水着の美女達にデレデレしながら魚を釣り上げて拍手されている。

 

 しっかり映像記録に残してカエデとモミジに報告しなきゃ‥‥(使命感)

 

「リヴェル様は釣りがお好きなんですか?」

 

「うん、めっちゃ好き! ここはアユ、イワナ、マス、ウナギ、ヤマメに似た魚が生息していたと思う。カニもエビも居るから天ぷらにすると美味いぞ? アブラナから油を少し作っているからな」

 

 この世界に回遊魚はいないらしいからな‥‥魔物化してる奴はどうかは知らんけど。

 

 リムルがスライムに変身した後に人化してシュナの拘束から素早く抜け出した。

 

「ウナギ! リヴェル! ウナギ! リヴェル! ウナギ!」

 

「うるせぇ! 串打ち3年、裂き8年、焼き一生を知らんのか! 秘伝のタレも数十年だぞ」

 

 可愛いビアンカちゃんがハラハラと涙を流して俺に訴えて来る。

 

「わかった! わかったよ‥‥でも泥抜きがあるから今すぐには食べれんからな?」

 

「「「「ええっーーーーー!!」」」」

 

 何だよ‥‥シオンにシュナと茜まで。

 

「専用の道具も作らないとだし‥‥もうウナギは諦めろよリムル」

 

「やだ! やだ! 絶対食べるの!」

 

「お前も使える手は何でも使うじゃねーか! その可愛い仕草は止めろ! 俺には効果抜群だぞ‥‥くっ」

 

 茜やシュナもリムル様がそこまで言うウナギを、ぜひ食べたいと俺にせがみ。

 

 シオンはおねーちゃんも食べたいです! と普段見せない柔らかい笑顔でおねだりしてくる始末。

 

「じゃーリムル捕獲してきて。でも、アビルに怒られるから絶対乱獲すんなよ?」

 

 リムルはシス湖にう〜なぎちゃーーん! と叫びながらルパンダイブして行った。

 

 俺はミリムが持ってきたビーチボールを修理し、クロベエが採って来た大きいカニとエビを鍋で茹でる。 

 

「天ぷらにできる大きさじゃねーな‥‥あ〜エビチリが食べたい」

 

「昼飯までは時間があるだども、オラはこいつで一杯やらしてもらうべよ‥‥へへへ」

 

 両手を摩りながら嬉しそうに茹でエビに塩を振るクロベエ。

 

「これつけて食べてみ? マヨネーズって言うんだ。マヨラーに気が付かれる前に食べろよ?」

 

「マヨラー? あー此処にはいないって事はリムル様だべか‥‥うまっ!? なんだべこのタレは‥‥リヴェル様は食いもんで天下をとる気だか? お、恐ろしいべ‥‥ぐうぅ~たまらん」

 

「しまった‥‥此処にもマヨラーが誕生してしまったか‥‥」

 

 俺はクロベエに日本酒を出してやる。

 

「飲んだら泳ぐなよクロベエ?」

 

「もう素潜りしてきた後だべ、それに鬼はそんな簡単には潰れないだよリヴェル様」

 

 結局ベルはハクロウの傍から離れず、俺の目の前に次元を繋いで釣った魚の自慢をしてくるだけだった。

 

「別に羨ましくないもんね〜! 茜サメボートで中央まで行こうぜ」

 

「何ですこれ? 見た事が無い生き物ですが可愛いですね!」

 

 俺は茜と泳いだり、潜ってシジミを取ったりして楽しんだ。

 

 そうこうしているとあっという間に昼に為った。

 

 

 

「うまそうだな! ま‥‥マヨネーズじゃねーか!?」

 

「ビンでやるから人のものまでとるなよリムル?」

 

 並列存在と協力して作ったお弁当を鬼娘達にレジャーシートに並べるのを手伝って貰う。

 

 シジミの味噌汁にベルが釣った魚を串焼きにして、クロベエが捕ったカニとエビも殻を外して食べやすくする。

 

 俺は変身が解けたので、オベーラの膝の上で箸の使い方を教える。

 

「スプーンもあるぞ?」

 

「いえ、コツを掴みましたので大丈夫です」

 

 飲み物はお茶とビールで良いか‥‥ん?

 

「何かメイドが増えとるーーーーーー!!」

 

 セクシー水着の上にメイドエプロンとか最高かよ! 誰この美人さん?

 

「ミソラ~そこのビール取って」

 

「はい! レイン様!」

 

「ミソラ!? 角も翼も無いから気が付かなかった‥‥レインの眷属じゃん!」

 

 俺がレインにミソラをどうするのか訪ねようとしたが‥‥。

 

「おい! そこのスライム。レイン様のスライム好きを利用して取り入ったわね! この泥棒猫!」

 

「別にとったりしねーよ‥‥そうだなミソラ。じゃーレインとミザリーを交換しよう!」

 

「それって私よりミザリーの方が優秀で御好みの相手って事かしらリヴェル?」

 

 レインは俺の顔を鷲掴みにしてギリギリと締め付ける。

 

「痛たぁ〜い! 違うんですレインさん!! だってレインには青の使徒とか無いでしょ? 緑の使徒を使って世界各地の情報が欲しかったんですぅ! 真面目に働けば優秀だし、レインは可愛いと思います!!」

 

 レインは少し頬を赤らめて、なら良いわ‥‥と言う。

 

「そもそも交換なんてミソラにそんな権限ある訳無いでしょ? 私の事が好きな癖にすぐに厄介者扱いするんだから‥‥罰としてチーズケーキを所望するわ!」

 

 俺はレインにこやつめ、ハハハ! と頬をツンツンされる。

 

「レ‥‥レイン様の照れた顔なんて私も見た事が無いのに! 貴様っ! 許さん! レイン様を一番お慕いしているのはこの私だ! 勝負しろスライム」

 

 話聞いてたミソラさん? レインとユリユリするのは自由ですよ?

 

 襲い掛かってきそうだったので、面倒だからスケさんに任せよう。

 

「オベーラさん! 少しお灸をすえてやりなさい!」 

 

 黄門様宜しく、オベーラさんをけしかけるとミソラはボコボコにされた。

 

 一応はレインの知り合いという事で手加減はしてくれた様だ。

 

「ひ‥‥卑怯者! 何で始原の七天使がこんな所に!? ましてやスライムの言う事を聞いているのですか!?」

 

「オベーラは我が四天王でもぶっちぎりで最強‥‥リムルさんとクモキチさんを出すまでも無かったようですな‥‥ほっほっほ」

 

「お〜いリヴェル〜俺を勝手に四天王に入れるな〜ナニコレ! エビうっま!」

 

 レインが回復薬を寄越せと言ってきたので渡してやる。

 

「ミソラ‥‥リヴェルは普通に戦っても貴方じゃ勝てっこないわ。おかしなアイテムや装備で魔法を封じたり、跳ね返したり、大爆発させるものを空間移動させて投げたりとやりたい放題されるから諦めなさい。本当にどっちが悪魔なんだか‥‥馬鹿リヴェル」

 

 魔法が得意な悪魔の天敵みたいな奴なのよ! とプンスコするレイン様。

 

「うううぅ‥‥レイン様! お可哀そうに、あの極悪非道の悪魔スライムに無理矢理契約を結ばされているのですね」

 

 誰が悪魔だ! あっ‥‥称号に悪魔王がついてる!? 消しとこ。

 

「何を勘違いしているのよ‥‥ほら魔王ミリム様の膝の上にいるお方が私の主よ?」

 

「へ? 釣りをしていたこの娘がですか? はあああああ!? 魔王ミリム様!? 何故ここに‥‥」

 

 ミソラはミリムにペコペコとお辞儀をしてからベルの元へ歩いて行く。

 

「力を感じませんね‥‥少し体に触れても良いですか?」

 

「うみゅ? 別に撫でても良いよ?」

 

「では少し、失礼しますね‥‥キュ〜~」

 

 ミソラはベルの頭に手を置いた瞬間‥‥白目を向いて後ろに倒れた。

 

 

 




その3は暫くないかも。
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