二度転生したらスラりんだった件   作:Kut-Ku

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58話 二度スラ日記 その3

突然、俺の部屋の襖がスパーン! と勢いよく開かれるとレインが入ってきた。

 

「このままじゃ駄目になるわ! 仕事を寄越しなさいリヴェル」

 

「念願の自堕落生活を送れてるんだからいいじゃんよ‥‥」

 

「風呂、酒、風呂、酒、風呂、食事、風呂‥‥もう限界よ!」

 

 適度にサボって適度に仕事をする生活が理想だったのに、風呂に入って酒を煽るだけの生活に嫌気がさしたらしい。

 

 悪魔の頂点に君臨しているレインが部下に任せてグータラしてる方が普通では?

 

 始原と原初がメイドをしてることが異常なんだが‥‥。

 

「そう言われてもな~オベーラがメイド長をしてるおかげで、仕事がスムーズに終わるからレインの仕事がないんだよ。ピリノ、ミソラ、茜も指導を受けて壊す頻度が減ったからね。実際、オベーラとミソラだけで仕事は滞りなく回るんだよ」

 

「それと魔王ミリム様もなんとかしなさいリヴェル。「お前はベルの教育に悪いからギィのところへ早く帰るのだ!」そう言って私をいじめてくるんです。叱って下さい!」

 

「酒飲んだら絡むし、地下のカジノで給料全部溶かすし、ミソラの給金まで使い込んで酒代と賭け事に使うし、悪魔の流儀で道徳をベルに教えるわで、そりゃ姉として妹の近くに教育に悪いマダオ? がいたら嫌に決まってるだろ」

 

 まるでダメなおねーさん、略してマダオ。

 

「マダオってなんのこ・と・か・し・らぁーーー! なんか腹立つから、その呼び方はやめなさい。この!」

 

「おみゃえのふだんよおこないをかえりみゅろ!(お前の普段の行いをかえりみろ!)」

 

「レイン様‥‥また泥棒猫と楽しくイチャイチャして!」

 

 ホッペタをビヨーーンと伸ばされることが、果たしていちゃつくことなんだろうか?

 

 ちょうど廊下をミソラが歩いて来たので、俺はレインの仕事がないか尋ねる。

 

「フフンッ! 私が完璧に仕事をかたずけておりますので、レイン様の御手を煩わせることなどありません」

 

「だそうだぞ? よかったなレイン、もうしばらくは自堕落に過ごせるな」

 

「ぐぬぬぬぬ。私のような優秀で有能なメイドに仕事がないなんて、絶対におかしいわ!」

 

「お可哀そうにレイン様‥‥こんなデタラメスライムに仕えるせいで、仕事も与えられずに飼い殺しにされるなんて」

 

 なんか悲劇のヒロインっぽく振舞う、演技じみたレインが妙に腹立つな。

 

 ミソラさん、レインに嬉しそうにバラの花びら振りまいてるけど‥‥廊下に散乱してるから、ちゃんとかたずけなさいよ?

 

「どうせ貴方も私が使えない、ぐーたらメイドとか思ってるんでしょ!」

 

「うん」

 

 俺は良い笑顔で返事すると、レインに顔を鷲掴みにされたまま凍らされていく。

 

「ちょ、凍ってるって! 嘘、ウソっ! ちょっとした冗談じゃないか! レインの優秀さは理解しているし、何をやらせても卒なくこなすことくらい知ってるよ! でも、建国直後で法整備や決め事が多く、具体的な実務がまだ発生していないんだよ‥‥仕方ないだろ?」

 

 レインは照れながら前髪をいじり、鼻をフンと鳴らした。

 

 だが結局、仕事がないことを思い出すと不機嫌に戻る。

 

「ベル様の御付きの仕事も女狐に奪われるし、オベーラには「貴方が仕事を!? 大丈夫です‥‥全て私に任せておきなさい」と両肩を掴んで必死に説得してくるし‥‥私に仕事を任せない理由はなによっ!」 

 

「オベーラの原初イメージって(ヴィオレ)(ジョーヌ)(ブラン)の三人娘だからじゃない? レインとミザリーはギィと世界を旅して丸くなったのを知らないから実感ないんだろ」

 

「失礼なスライムめっ! レイン様は慈悲深く寛大で、元よりお優しいお方だったのだ!」

 

 おい、ミソラ! レインがなに言ってんだこいつみたいな顔でお前を見てるぞ! 右だ、右をはやく見るんだ! 

 

「なるほど‥‥オベーラが私に仕事をさせたくないわけね。でもリヴェルはどうして私の過去を知ってるのでしょう?」

 

「あーえーっと‥‥そう、シルッちに聞いたんだよ! 何千年も生きてるからね」

 

「‥‥まーいいです。そういうことにしておきましょう。それより仕事を用意しなさい、できるだけ長く続けれるような仕事です」

 

 何かあったか? レインが適任の仕事って‥‥絵描き? でも王宮画家なんていらんしな。

 

「あっ! 魔界に行って資源集めて来てくれよ」

 

「嫌です」

 

「即答!? 故郷みたいなもんじゃん、なにが嫌なんだよ」

 

「あの三人と黒にもすぐにバレて絡まれます。非常にウザイから嫌です。それにやっと受肉したのに死にたくありませんし」

 

 先に受肉したせいで八つ当たりされるってこと? 面倒だな‥‥。

 

「でもレインさん、俺の作る服が好きですよね? その服、自分の好きな色に染色できたらいいと思いませんか?」

 

「貴方にさんづけで呼ばれると、馬鹿にされてる感じがするからやめなさい。別に魔界に素材を取りに行かなくても染色くらいできるでしょ?」

 

「オベーラが虫で染色したら泣きます。仕事も休むかもしれませんって脅してくるんだよ‥‥この世界の染色ってコストも安いし魔物の虫素材だろ?」

 

 唇に指を当てて考えこむレイン。

 

 魔界ならわけのわからん色した素材が、ゴロゴロありそうだからな。

 

「危険です! レイン様。悪魔王の誘いに乗ってはいけません! グゥ‥‥やめなさいリヴェル!」

 

「その名前で呼ぶんじゃない! このこの」

 

 俺はSAで聖水が入った霧吹きをミソラに吹きかける。

 

「私のような大悪魔に効く聖水なんて、神話級アイテムに違いないわ。馬鹿みたいに無駄遣いするがいい! アイテムが尽きたときこそがお前の最後だ!」

 

 俺がミソラの目の前で上薬草と水で聖水を錬金したら、白目を剥いて倒れた。

 

「それを私に寄越しなさいリヴェル。あと魔法を封じる杖あったでしょ?」

 

「きえさりそうってのもあるぞ? 姿を1時間くらい消せるんだ。そもそもレインって水分身あるよね? 分身に魔界で作業させたら死んでも大丈夫じゃん」

 

「ハァ!? 馬鹿ね‥‥あいつらに負けること自体が嫌なのよ! それにミストなんかでいったらブランに臆病者と謗られるのが落ちよ」

 

「プライドなんて投げ捨てるものでしょ? 勝てばよかろうなのだ」

 

 イラっとしたレインは霧吹きを俺に使うが、効かんな。

 

「効果が無いじゃない‥‥痛ああぁい! なんで魔物の癖に聖水効かないのよリヴェル」

 

 自分の腕に噴射してジタバタと涙目で暴れるレイン。

 

「うちの魔物達にも効かないぞ? 邪気がないし、心が清らかだからな! レインは色々と汚れて‥‥あふん」

 

「対悪魔の聖水ってことね‥‥魔封じの杖もよこしなさい。あと消えるやつも」

 

 俺はビンタされながらもヨロヨロと起き上がり、アイテムをレインに渡す。

 

「マホトーンはやめとけレイン。悪魔が魔法を使えなくなったら情緒不安定になるし、大勝ちして恨みを買うと粘着されるぞ?」

 

「一理あるわね‥‥危なく為ったら次元門で助けてくれるんでしょうね?」

 

「レインの気配は覚えたから大丈夫だ、問題ない」

 

 本当に大丈夫かしら? と訝しんでいたレインだったが魔法陣の中に消えていく。

 

「なんでミソラさん気絶してるの? こらリヴェル! ミソラさんをいじめちゃだめでしょ」

 

「もう! ご主人様! バラを廊下に散らかしてなにやってるんですか!」

 

 廊下に倒れてるミソラを見つけて、慌ててハヤテとピリノが駆け付けた。

 

「ミソラが全部やったんだ! 俺は悪くないの!」

 

 ピリノとハヤテが俺にいいわけしないのと言って、ミソラをベッドに運んでいく。

 

 俺は腹いせに二人の顔に水鉄砲を噴射して煽る。

 

「俺じゃないって言ってるだろ。ラムちゃんみたいに電撃で攻撃しやがって! 鬼のパンツでもはいてろハヤテ! それにアホ毛の狐っ娘! 毎回夜に一人でトイレに行けない癖に、炭酸ジュースをガバガバ飲むんじゃないよ。くらえ! 追加のウルトラ水流だ! サラダバー! オタッシャデー!」

 

 俺はきえさりそうを飲んでドロンした。

 

「くっ! スリケンが当たらない! リヴェルの卑怯者ーーー!!」

 

「もう怒ったもん! 出てきなさいご主人様!」

 

 

 

『ドーモ、ハンゾウです。リヴェル様、兎人族の方がお見えになってますよ。北の門にまで来てください』

 

『ドーモ、リヴェルです。ありがとね、ハンゾウ。ソウエイもそこに呼んでもらえる?』 

 

 門に向かう途中で後ろからベルに抱きかかえられる。

 

「父上あ〜そ~ぼ~」

 

「ムム、並列は出払ってるし‥‥あ! ベルも付いて来るか? 面白いもん見れるぞ」

 

「行くーー!」

 

 俺は小型のクモキチを呼び出してベルと座る。

 

 大人になってベルに肩車をしてやりたいな‥‥このまま自分が成長するのか不安だわ。

 

 リムルは12歳、俺は10歳くらいの見た目だからな。

 

 門前に辿り着くと兎人族が三人居た。

 

「ひゃああぁーーーく、く、クモ!?」

 

「なんで街のなかにクモが!?」

 

「落ち着け二人共。クモのうえにリヴェル様が乗っている」

 

 そういやこいつらクモに襲われてたな‥‥忘れてた。

 

「よく来たな、カンスケ、タケル、宇佐田」

 

「うさだって何!? 私をヒカルって名付けたのリヴェル様でしょ! 無視するなー!」

 

 うさ子の癖に名付けたら無駄に美人になりやがって‥‥。

 

 兄はタケルにした、妹に名前を似せただけで意味はない。

 

 勘助は手足が無くなっていた、傷だらけだったおっさんだ。

 

「ヒカルは呼んでなかっただろ‥‥親父さんはどうしたんだよ」

 

「こいつ親父を気絶させて「代わりに私がリヴェル様のお役に立つの!」とか言って付いて来たんですよ‥‥」

 

「俺は止めたんですがね‥‥すいやせん」

 

「親父さんも戦闘特化じゃないし、ヒカルも忍具の作成要員な?「兄はこきつかって構いませんが、娘には危ないことはさせないでください」って向こうでお母様から言われているんだ。危ない任務は受けるなよヒカル?」

 

 タケルは「母さんヒデェ‥‥」と項垂れているが、息子に対する世の中の母親とは皆そんなもんだぞ。

 

「お呼びでしょうか? リヴェル様」

 

「前に言ってた人員の補充だよソウエイ。左からカンスケ、タケル、ヒカルというんだ。あとでソーカ達に紹介しといてくれる? あとモール族からも三人補充でくるから」

 

「助かります、リヴェル様。フッ‥‥カンスケ、お前は中々強いな? タケルには訓練が必要だが潜在能力は高そうだ。ヒカルは‥‥術者タイプか? 俺では鍛えられんから姫様にお願いするとしよう」

 

「ソウエイがお前達の上司になるからいうことを聞くんだぞ?」

 

 少し不満そうなヒカルにソウエイが聞く。

 

「ヒカルは不服そうだな? 何か他にやりたいことがあるなら別に構わんぞ? 人員も補充されたからな」

 

「す、すみませんソウエイ様。リヴェル様に仕えたかったものですから‥‥」

 

 うーん。道具作成だし、ミラノ達の研究チームに参加させるか?

 

「じゃーミラノの研究チームに参加するか? 忍具の作成は掛け持ちして、ソウエイのところに納品してくれよ?」  

 

「うん、任せて!」

 

「父上? 面白いものは?」

 

「あーヒカル。通路の方はどうなってる?」

 

 恐る恐るクモキチに乗り込むヒカルは頷いた。

 

「完成しましたよ。私達がそれでこっちに来ましたから」

 

 俺は北側の街道横に設置してある入り口まで移動する。

 

「ベル、面白いものってこの中だぞ」

 

「早く! 早く入ろうよ!」

 

 扉を開くと地下への階段が続いており、したには長いトンネルが続いていた。

 

「壁にキラキラが一杯光ってる! 凄い穴だね父上」

 

「トンネルって言うんだよベル。通路には溝が掘っていて聖水が流れているから、悪い魔物も近寄らないんだ」

 

「ドワルゴンまではまだ開通していません。兎人族とモール族の集落までは開通させています」

 

 俺だけなら開通作業を手伝うんだが、ベルがいるからな‥‥。

 

 兎人族とモール族が協力してトンネルを掘ってくれている。

 

 避難経路とドワルゴンの交易にも使えるということで、どちらの種族も二つ返事で引き受けてくれた。

 

「ヒカルはどうする? クモキチで兎人族の集落まで駆け抜けるつもりだが?」

 

「あ〜お父さんに怒られるから降ります。私はミラノさんという方に会ってきますね」

 

 ヒカルを降ろして、クモキチで通路を走る。

 

「おお! クモキチ速い!」

 

 クモキチはベルに褒められたせいで、調子に乗って加速していく。

 

 地図を確認して、通路に人はいないか確かめる。

 

 地下鉄を作って電車もいつかは走らせたいな。

 

「ベル、壁を見てごらん。モール族が色々絵を描いてるから面白いぞ」

 

「動物? ヘビ! ワニ、イノシシ、カニ? 竜! これベルだよね!? 凄い、凄い!」

 

「今のベルが竜化したら違う姿かもしれないけどな‥‥デフォルメされて可愛いだろ? 俺が描いたんだ」

 

「うん! うん! 凄く可愛い! ありがとうねパパ!」

 

 俺はニマニマしながら兎人族の集落まで辿り着く。

 

「これはこれは、リヴェル様。良くお越しになられました」

 

「久しぶり村長。ヒカルの親父さんは居る?」

 

「ヒカルには困ったものです‥‥重体ですぞ」

 

 俺はヒカルの家を訪ねると、妻に介抱されているラブラブ夫婦がいた。

 

 足が添え木で固定され、頭に包帯を巻いた親父がデレデレしている。

 

「はい、あなた。アーン」

 

「熱くて食べられないよ‥‥フーフーしてくれ」

 

「もう‥‥甘えん坊さんね♡」

 

 帰るか‥‥俺は親父のスープにラリホー草をぶちこんで部屋を出た。

 

「もうよろしいので?」

 

「お前はクビだと! せいぜい夜道には気を付けるんだなと伝えておけ!! ゴホンッ! ああ、冗談だ‥‥。ヒカルがいるし、親父さんには集落で暮らせと伝えといて」

 

「は? はい、畏まりました」

 

 落ち着け、まだ慌てるような時間じゃない。

 

 早く爆弾石を仕舞うんだ‥‥クッ。

 

「父上大丈夫? どこか痛いの?」

 

 ベルは心配そうに俺を抱きしめて聞いて来る。

 

「ごめん、大丈夫だよ。しっとの父から勧誘を受けていたんだ。ベルのおかげで嫌な気分も治ったよ! ありがとうな」

 

「シットのチチ?」と首を傾げる可愛い娘に、なんでもないと告げてテンペストに帰る。

 

 

 テンペストは北は兵舎区で軍事関連施設が並んでいる。

 

 今日も誰かがベニマルとハクロウにしごかれているのだろう。

 

 西が商業区、南が居住区、東が農業区で区分けしてある。

 

 中央区は行政区だが、鍛冶屋と公衆浴場はセットで残ったままだ。

 

 国が大きくなったら西区に移動させる計画だが、カイジンもクロベエも立地が良くて乗り気じゃないんだよな。

 

 ワープポータルの値は張るけど、アンリさんに街の四方に設置依頼を頼むべきか?

 

「俺は冒険者ギルドに寄ろうと思ってるんだが、ベルはどうする? ミリムはシュナのところで試食していると思うけど」

 

「う〜~ん。今日は父上と一緒にいる~」

 

「そっか! ふふ、じゃー行こう」

 

「ごーごー! クモキチ」

 

 俺を膝に置いたまま、片手をあげて楽しそうに叫ぶベル。

 

 西区は街の子供達も建設ラッシュで、大人の邪魔をしないように近寄らなかったからな。

 

「ほら、あの縦に長い建物が冒険者ギルドだよ」

 

「大きいね! 四角いお豆腐みたい」

 

 冒険者ギルドは三階建てのビルにした。

 

 土魔法があれば石を隙間なく接合するのも簡単だからな。

 

 解体施設は匂いがあるから、元から離れた西地区に作ってあったんだよね。

 

 今は魔法で消臭したり、上空に放出できるから問題ないんだが。

 

 獲物を持ち込んですぐに解体できるように、施設の隣に冒険者ギルドを立てた。

 

「いらっしゃい、リヴェル様。内装はこんな感じだよ〜あっ! ベルちゃんも来たんだね」

 

「葵姉と茜姉もいる~なにしてるの?」

 

「カウンターや受付の待機部屋の色を決めているんだよ」

 

「ふふ、リヴェル様にお前達の好きに色を決めていいと言われたんですが‥‥なかなか決まらなくて。ベルちゃんは何色が良いと思う?」

 

 葵と茜が冒険者ギルドの内装を整えてくれている。

 

 ベルも混ざって色の布をカウンターに当てがいながら、三人でウンウン唸っているが決まらないようだ。

 

 1階が受付、2階が食堂、地下が訓練施設、3階が‥‥。

 

「俺のギルドマスター部屋だ。どうだベル? 格好いいだろ」

 

「う〜ん。よくわかんないや」

 

 裏社会のドンみたいで格好いいと思うんだが‥‥ベルのうけが悪いのは嫌だな。

 

 ヌイグルミとか置くか? 観葉植物も花にして、飾ってある厳つい武具も仕舞うか‥‥。

 

「うん、いいね! 良くなったよ父上。この可愛いふわふわのやつ、私も欲しいな」

 

「あれ? ぬいぐるみってベルにあげてなかったっけ? すまん、俺よりゲルドの方が作るの上手いから頼んでおくよ」

 

「父上が作ったものがいい! でもサメは可愛くないからやー」

 

「よし、可愛いの作るから父ちゃんに任せとけ! サメは駄目か‥‥あっ! クモキチは作ってあるぞ?」

 

 サメとかワニとか格好いいのに‥‥恐竜もダメなんだろうか?

 

 大きいクモキチに嬉しそうに抱きつくベル。

 

「これ部屋に置いて来るね! ありがとう父上」

 

「うん、俺は1階にいるからな」

 

 下に降りると新米冒険者がカウンターに来たので、応対する。

 

「親父、冒険者登録をしたいんだが」

 

「すまんな坊主‥‥登録は15歳からだぜ?」

 

 俺がそういうとあまりのショックに膝から崩れ落ちるリムル。

 

「ガチ泣きするなよ‥‥冗談だって。A級からでいいだろ? 試験とかもなんも知らんし」

 

「えっ? この見た目じゃ、お前が許可しようが無理だろ? 年齢制限のことを完全に忘れてたわ俺‥‥。あと、F級からちゃんとやりたい」

 

「俺がトップのギルマスだぞ? リムル・テンペスト、37歳独身、種族小人族(ハーフリンク)。とか擬装したら良いだけだ、問題ない」 

 

「独身は余計だ! ギルマスが堂々と不正するとか世も末だな。今からでも間に合うから、ギルマスは止めとけリヴェル。親友が汚職か不正行為で逮捕されるのは見たくない‥‥」

 

 俺は登録不採用と申請書にハンコを押す。

 

「やだな〜リヴェル以外にギルマスが務まるわけないだろ? 俺もスライムじゃなくて生まれは小人族(ハーフリンク)だった気がしてきたわ」

 

 不採用を採用に改変して提出し直すリムル。

 

「見習いから駆け上がりたいのはわかるが、見た目で絡まれるだけだぞ? 悪いことは言わんから、A級の証みたいなのぶら下げとけってリムル‥‥」

 

「見た目に関してはお前の方が幼いからな? 絡まれるのはお約束だから別にいいよ」

 

 するとゴブタが冒険者ギルドの中に入ってきた。

 

「おや? 新入り君じゃないっすか、先輩のE級冒険者のゴブタっす! よろしくっすよリムル様」

 

 ゴブタがリムルの頭に手を乗せ、先輩風を吹かす。

 

「うっとおしい! 手をどけろゴブタ。お前なんかすぐに抜かしてやるからな」

 

 指をチッチッチと振るゴブタ。

 

「甘いっすよリムル様。見習い期間は2週間、1週間は講習や訓練、そこから依頼を1週間受けてE級に‥‥」

 

「リヴェル、A級で登録を頼む」

 

「それはずるいっすよリムル様〜~〜!! おいらも苦労したんすっから!」

 

「そもそもお前はE級からじゃねーか! 登録したばかりで苦労なんてあるか馬鹿タレ。ハクロウの訓練受けてるのに、この国でFから始める奴なんていねーよ」

 

 ゴブタも真面目に俺が作った冒険者の案内書とかちゃんと読み込むんだな‥‥意外だわ。

 

「たくっ・・・・ゴブタもE級からじゃん。じゃー俺もEからで」

 

「内緒にしといてくださいよリヴェルさま~。もう少しリムル様に先輩風吹かしたかったっすよ」

 

「今登録してるのゴブタとリムルだけだから、これから登録する奴は全てお前の後輩だぞ?」

 

 悪い顔をしたゴブタがニヤニヤと笑うが、急にハッと思い出して言い放つ。

 

「そういや美人の受付嬢の件はどうなったんっすか!? 茜さんと葵ちゃんが受付嬢って酷いっすよ! 全員綺麗なエルフさんにするとか言ってたじゃないっすか!」

 

 俺とリムルが慌ててゴブタの口を押えるが手遅れだった‥‥。

 

 最悪のタイミングでシュナとミリムがギルドに入り、青筋を立てた茜と葵が受付のカウンターをメキメキといわせていた。

 

「ゴブタくん‥‥受付は美人で優しい葵と茜が担当してくれるんだ。なんの文句があるって言うんだい?」

 

「そうだぞゴブタくん‥‥ミラノさんとソーニャちゃんにも受付を頼むと言ってただけだ、聞き間違えなんじゃないか?」

 

 女性陣がゴブタを鋭い目で見つめる。

 

「酷いってどういう意味よゴブタ!」

 

「私達姉妹のどこに不満があるんですの!」

 

「ふふ、じゃー私が受付をしましょうか? ゴブタさん」

 

「いや、シュナさんはもっとないっす」

 

 その後、ゴブタの姿を見たものはいなかった‥‥。

 

 

 

 

 

 

 

 

「ゴブタのせいで鬼娘達の警戒度が上がってしまったじゃないか! シュナやシオンまで冒険者登録をすませるし、暇なときは業務も手伝うとか言ってたぞ」

 

「ああ‥‥最悪だ。シュナが受付をしてるときに、ミラノさんの方に並ぶだけで飯が貧相になる」

 

「受付嬢をエルフやケモミミにして、俺の権限で服装を少しエッ! な感じに変えて自由に楽しむ計画が‥‥ちくしょう」

 

「昼は食堂のウェイトレスさん、夜は酒場で夜の蝶という俺の計画が~〜ぐぬぬ」

 

「オイラを身代わりにするなんてひどいっすよ!」

 

「「うるさい!! お前のせいだろ!!」」

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